青根温泉 湯元 不忘閣 伊達政宗が愛した蔵王山麓の温泉旅館に泊まってきた

目次

伊達氏ゆかりの温泉

今回は、宮城県川崎町にある青根温泉 不忘閣に泊まってきました。

不忘閣は仙台藩伊達氏の湯治場として1528(享禄元)年に開湯して以来490年以上の歴史を誇っており、あの伊達政宗もかつて泊まったという歴史ある温泉宿です。単に温泉としてだけではなく密談の場に使ったとも言われていて、仙台で何かあったときにはここから狼煙を確認していたそうです。

伊達政宗ゆかりの旅館…ということで温泉好きのみならず歴史好きにとっても有名なため、季節を問わず多くの宿泊客が訪れる宿として特に説明不要なほど知名度があります。また芥川龍之介や山本周五郎、与謝野鉄幹・晶子夫妻といった名だたる文豪が泊まった記録も残されています。

建物全体は本館や不忘庵、西別館といった複数の建物が棟続きになっている構造をしており、館内はとても広いものの客室の数は全部で14部屋しかありません。従って館内が過度に混雑するということはないため、温泉や本館の雰囲気をじっくり味わうことができるというのも魅力の一つです。

湯元 不忘閣

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国道457号に面した入り口
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不忘閣 本館

旅館の敷地内に入ってまず目に入るのが本館で、不忘閣を代表する建築の一つ。建てられたのは明治時代の1907年と古く、木造2階建てとなっています。

軒先は短く、横一直線の見た目をしていますが表側/背面側ともに中央部が張り出しており、それぞれ表側は入母屋造の車寄、背面は休憩所になっています。

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国道はすぐ左手に通っている。車は本館の前に止める形となる。
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本館は宿泊としてではなく、温泉に入った後の休憩所や食事場所として使われています。

後述しますが古いままの雰囲気がよく残されていて、温泉の数が多いこともあって滞在中はもっぱら部屋ではなく本館で過ごしていました。

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西別館
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玄関入り口

本館の右側には玄関を含めた西別館があり、屋内への出入りはこちらから行います。

青根温泉周辺の雰囲気は本当に静寂そのもので、蔵王のスキー場など人が多い場所からは離れているため交通量もそんなにありません。さらに季節は冬なので山全体が眠っているような感じが全体に漂っており、日頃の喧騒から離れた理想的な土地でした。

館内散策

玄関~西別館

本館の前に車を止め、受付の方に従って館内へ。

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玄関土間と玄関ロビーの様子。玄関周辺には除雪のための道具が多く置かれており、土間部分がかなり広い。
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玄関土間のすぐ向こう側が帳場で、帳場の奥が事務所。左手方向が厨房。
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ロビーはかなり広いが暖房は行き届いており、採光も十分なので明るい雰囲気がある。
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ロビーにある若水の井戸
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昭和を感じさせる場所表示
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不忘閣が「不忘閣高原ホテル」だった頃の見取り図。まだ不忘庵は建設されておらず、代わりに新館という西別館横の棟が使われている。

玄関ロビーや帳場周辺はこんな感じで、和モダンな要素となっています。

設備としては新しいものを導入している一方で木材を多く使用していて、しかも照明だけでなく玄関から入ってくる灯りもプラスされるので非常に明るい。私は玄関の雰囲気って旅館の顔みたいなものなので結構重要だと思っていて、その点では個人的には好印象です。

玄関土間から見て右奥が西別館や不忘庵へ続く通路で、逆に左奥は本館方面へと続いています。

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西別館1階から2階への階段
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西別館2階の廊下。奥に進めば不忘庵に繋がっている。
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軒先にできたつららは大きく、人を刺せるような形状をしていた

西別館1階は客室、2階は大広間になっているため、西別館の階段から先は実質不忘庵に泊まる人のみが通っているような感じでした。

この日に泊まった宿泊客のうち、家族連れで比較的大人数なグループはすべて西別館に配置されたようなのでそのあたりの配慮はあるようです。

不忘庵

不忘閣の宿泊棟は2つとシンプルにまとめられており、温泉や玄関ロビーにとても近くて庭園の眺めも良好な西別館が4部屋、山の斜面に沿った長い階段を上った先にある不忘庵が10部屋あります。

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不忘閣の見取り図

上の写真は昔の不忘閣全体の部屋の配置図を示したもので、青根御殿がまだ宿泊部屋として使われているなど今とは少し異なるもののほとんど同じです。

西別館の部屋の広さはいずれも10畳で広縁付き。ご覧の通り玄関の真横にあるので食事に行くにも温泉に行くにも非常に楽で、しかも庭園越しに青根御殿を眺められるなど景観的な意味でも良いです。しかし4部屋しかないのでもちろん競争率は高い様子でした。

対して不忘庵は西別館の奥、山の斜面に沿って形成された階段の先にある棟。斜面の高さによって廊下が二箇所に伸びていて、奥に行くほど階段の量が増えます。部屋の広さは西別館と同じく10畳ですがネックになるのが階段の多さで、階段の上り下りがつらいという場合には西別館にしておいた方が良いです。

ただ、一人や二人など少人数で泊まる場合は主に不忘庵に割り当てられるようなので、そこは我慢するしかないかと。

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不忘庵への階段
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不忘庵の廊下
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不忘庵への階段は、なんと90段もあります。

しかし90段と聞くと結構な高低差に感じるものの、実際に歩いてみるとそうでもないです。階段の斜度は緩めになっているため、ちょっと歩いていたらいつの間にか到着していたという感じ。廊下にはファンヒーターが設置されているので寒さについても問題なく、この移動が苦に感じることはありませんでした。

ただ、不忘庵に泊まった際には部屋を出る際に忘れ物をしないように気をつけたほうが良いです。仮に玄関ロビーまで降りてから部屋にスマホを忘れた場合はまた90段を上って下ってこないといけないわけで、夏とか気温が高い時期だと一層面倒に感じるかも。

なお、インターネットの予約サイトでは「山の斜面に沿って長い(約70段~90段)階段をご利用いただくため、ご年配のお客様や階段の不都合なお客様には大変ご不便をおかけいたしますので、西別館をお勧めいたします。」と注意書きがあります。

客室

今回泊まったのは、不忘庵の中でほぼ最奥に位置する「ちの間」です。

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部屋からの眺め

不忘庵の客室は特に憂うことがないほど設備が整っていて、テレビやエアコン、加湿器、ポット、広縁、冷蔵庫など一通り揃っています。冷蔵庫の中には瓶ビールが三本入っており、飲んでから料金を支払う形式。

不忘閣の中で一番高い建物なので部屋によっては景観が良さそうですが、ちの間の目の前には竹林がありました。ただ、竹林のすぐ向こう側に青根御殿があるようなのでそれは良かったかな。

宿泊を終えてから振り返ってみると、温泉の種類が多いことなどから結局部屋にはほとんど戻らず本館や温泉に入り浸ってました。たぶん宿泊中は誰もがそういう行動になると思うけど、個人的にはこれらの設備はかなり豪華で良かったです。

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客室入り口部分。右奥に洗面所とトイレがある。
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玄関から客室方向を見る。

不忘庵は客室内に洗面所とトイレがあって、トイレの方はウォシュレット付きの新しいものでした。

洗面所の右側には部屋備え付けのお風呂場がありましたが、こちらは今では使用できなくなっているようです。

本館1階

それでは浴衣に着替えて階段を下り、本館内部を散策してみます。

本館は真ん中に十字に通路が走っていて、それ以外の四つ角方向に部屋があるという造り。それでいて客室の外側をぐるっと囲むように周り廊下が走っている独特の構造です。現在の建物は明治39年の大火の翌年に建てたと伝わっているもので、不忘閣に投宿する際には真っ先に目に入るため印象に残りやすいと言えます。

また、不忘閣は敷地内に建つ計7つの建物が国の有形登録文化財に指定されており、これから回る本館(金泉堂)、離れ、御殿棟(青根御殿)、文庫蔵(蔵湯への道中)、座敷蔵、穀倉、門がまさしくそれ。いくつかは倉庫として使用されていて中に入ることはできませんが、本館はどのタイミングでも自由に見学することが可能です。

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本館1階休憩室の「喫茶去」
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水やお茶に加え、雑誌などの展示物が飾られている。
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西別館の玄関ロビーから廊下に従って直進していくと右側に部屋があり、こちらが休憩室になっています。休憩室には水やお茶が置かれていて温泉に入った後などに休憩できるほか、庭園に面しているため景色が良いです。

さらに、夕食前の時間帯に限り地酒(今回はあたごのまつという銘柄)が無料で飲めるというのがもう最高だった。酒が無料というだけで嬉しいのに加え、その飲む場所が歴史ある本館というのがなんというかお洒落というか。

休憩室は見ての通り落ち着いた雰囲気で、湯上り後にちょっとここで休んでいこうという気になります。

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休憩所を過ぎて直進していくと廊下が十字路になっているところがあって、ここに2階への階段や飲み物の自動販売機があります。

投宿前に見た玄関部分がここのすぐ左手になりますが、現在では特に使用されていない様子でした。

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本館1階の奥が大湯と御殿湯になっている
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洗面所
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十字路を直進するとまたいくつか部屋があり、その奥には温泉(大湯)への入り口と洗面所があります。

本館2階

続いては、階段を上がって2階へ。

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本館2階は主に食事場所として使用されていて、朝夕ともにここでいただく形になっています。階段上がってすぐのところにある十字路のところがその給仕の拠点のような場所で、まだ夕食の時間まではかなりあるのにも関わらずすでに準備が進んでいるようでした。

部屋は廊下の左右にそれぞれ3部屋ずつあって、それが西別館側と青根御殿側にあるので合計で12部屋。なお階段の部分にあたる部屋は中央廊下からのアクセスができないので、建物外周を走っている周り廊下から入ります。

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食事場所の様子
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部屋の中の設備は共通しており、椅子とテーブルにファンヒーター、エアコンが揃っています。

テーブルの高さは低くないタイプなので足腰に優しく、暖房もばっちりなので季節を問わず快適に過ごせると思います。

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不忘閣を代表する場所である休憩所
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ここの雰囲気がめちゃくちゃ好きでした

そして、中央廊下を山の斜面側に歩いていった先にあるのがこの休憩所

本館を外側から見たときに真ん中に張り出していた中央部分、あれが実は建物の向こう側にもあって、その内側にはこのように椅子やテーブルが置かれていて休憩できるようになっています。

この場所は不忘閣を語る上では外せない場所の一つで、不忘閣を扱ったサイトや書籍などではまず間違いなく登場してくるほど有名じゃないかと思います。窓際の外周に張り巡らされた欄干、その向こう側にある年代物のガラス窓、そしてこれまた古びた廊下。しかも置かれている椅子とテーブルもどこか品を感じさせるようなもので、この空間全体が過去にタイムスリップしたような印象を受ける。

こちらは山の斜面側に位置することもあって日がなかなか当たらず、仄暗い感じになっていることも「良さ」に拍車をかけているような感じ。この一角を含めて本館2階は不忘閣の中でも個人的にかなり好きになったところで、特に用もないのにここに座っていることが多かったです。

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隙間のある廊下の板
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本館から見た西別館と、その奥側にある不忘庵。

本館2階の窓からは通常、本館の建物自体は見えなくて、今自分がいるのがどういう場所なのかは内装から判断するしかない。

しかし、この張り出している一角だけは周り廊下からもはっきり見えるという点が個人的に素敵だと感じた。

ここから見えるのは古びた屋根やぼろぼろになった窓枠だったりして、それらを吹き付けているのは雪が混じった風。建物の奥側と内側を同時に見ることができて、その両方のありのままを見れるというところにこの構造の美点があると思います。

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眼下に見える庭園の丸池
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青根御殿へ続く廊下
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斜め左奥にそびえる青根御殿
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翌日は晴れてました
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その休憩所の真ん前には庭園が広がっているのですが、今の季節はほとんどが雪で覆われているため確認できるのは丸池くらいです。また、ここからは宿泊棟である西別館や不忘庵も確認できました。

その奥には不忘閣御殿棟(青根御殿)と呼ばれる建物があり、要は旧藩主一門(伊達家)の宿泊を意図した別荘みたいなもの。実際に伊達政宗が泊まったのはこの御殿で、中には政宗公が実際に使用した愛用の品や直筆の手紙など、伊達家ゆかりの品々が多数展示されています。

過去のある時点までは青根御殿にも実際に宿泊できたそうで、冒頭に紹介した与謝野晶子・鉄幹が泊まったのもここ。

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国道側の張り出し部
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逆に国道側の張り出し部にある休憩所はこんな感じで、さっき見た山の斜面側の休憩所と比較すると雰囲気が全く異なるのが分かります。仙台方面=海側なので日当たりがよく、快晴になった翌朝はここで最高の朝日を迎えることができました。

周り廊下の途中にちょっとしたスペースがあるという点では同じですが、欄干の有無や窓ガラスの様子、それに置かれている椅子やテーブルなど空間全体の要素としてはかなり違う。どっちが好みかは人それぞれということで。

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ここまで素敵な本館ですが、宿泊客は主に客室と温泉を往復するのがメインなようで、このスペースに人がいるのを見たことがなかったです。夕食前や朝食前は必然的にここに集まることになるため、一組くらいはいるかと思ってたけどそれもなし。まあ寒いしな。

とにかく、このスペースを独占状態でのんびりできたことは正直嬉しい。

温泉

散策が一通り終わったところで、これからは主に温泉を楽しんでいく時間。

不忘閣の温泉は貸切湯を含めて全部で6つあって、いくつかの温泉は時間帯によって男女が切り替わるため、夕食前や朝食前などの空いた時間を活用することをおすすめします。

  • 御殿湯(大):男性8時~20時、女性20時~8時。
  • 御殿湯(小):女性8時~20時、男性20時~8時。
  • 大湯 金泉堂:女性8時~20時、男性20時~8時。宿泊者が少ない場合はここも貸切湯になる。
  • 蔵湯浴司:貸切湯。
  • 亥之輔の湯:貸切湯。
  • (新湯:積雪による損傷のため現在は使用不可)

これらのうち洗い場(シャワー・カラン・シャンプー類)があるのは御殿湯だけで、他の温泉は湯船しかありません。なのでまずは御殿湯に入った後に貸切湯へ行くなり、大湯に入るなりといった流れになると思います。ちなみに御殿湯の温度は他の温泉と比べると熱めでした。

温泉の種類が多いのと、あと宿泊者は一番人気な蔵湯浴司にこぞって入りに行くため一つの温泉が混みにくいのが最大の特徴です。実際に私は一つの温泉につき数回入りに行きましたが、他の客と一緒になることがありませんでした。

大湯

「大湯 金泉堂」はかつて伊達藩主の御殿湯として使われた広い温泉で、今でこそ不忘閣専用の温泉となっていますが2006年までは一帯の共同浴場として使用されていたそうです。

その後は老朽化のため一旦閉鎖し、2008年に今の形として復活しました。

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大湯
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大湯は湯船がなんとでできており、しかも建築当時から一度も変わっていないという由緒ある代物。伝統工法で復元された浴室の建物と合わさってとても心が落ち着きました。

中は灯りがわずかに灯っている程度でそれほど明るくないのですがこれが逆に良くて、天井の灯りに照らされた湯気を眺めながら入っていると時間を忘れるほどです。実質的にこの広すぎる温泉を独占状態で入ることができたので、夕食後等の遅い時間は狙い目かもしれません。

亥之輔の湯

続いて入りに行ったのは、貸切湯の「亥之輔の湯」。

本館1階から御殿湯や大湯へ向かう廊下の途中にあって、靴を履き替えて短めの通路を渡り、背の低い戸を開けた先にあるのがこの温泉です。すぐ上を本館から青根御殿へ繋がる廊下が走っているのですが、外から見ただけではここに温泉があるなんて全く分かりませんでした。

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亥之輔の湯
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亥之輔の湯からは本館が見える

湯船は定員2名ほどとこじんまりとしていて、その分秘密基地のような居心地の良さを感じます。

木の板で区切られてはいますが半露天風呂のような位置づけなので、外気温をそのままに感じる点も特徴。特にこの時期だと冬の寒さが直に伝わってくるため、温泉の温かさがより強調されていました。

蔵湯浴司

最後に入ったのが、貸切湯の「蔵湯浴司」です。

ここは不忘閣の中で最も人気がある温泉で、空いている時間を探すのが難しいくらいにいつも誰かしらが入っているところ。チェックインの際もまず最初に蔵湯浴司の入り方を説明されるほどなので、もし空いているときがあれば迷わず入っておくのがおすすめです。

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帳場横の貸切札
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蔵湯浴司の入り口に貸切札を置く

入り方は至って簡単で、空いていれば帳場の横に「貸切札」が置かれているのでそれを取って温泉の入り口に向かい、そこにある台に貸切札を置くだけ。入り終わったら帳場横に貸切札を戻すという流れになっています。

一度に入れる時間は30分。何しろ雰囲気が良すぎるので長湯をしたくなってしまうところですが時間には注意が必要です。

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蔵湯浴司までの道中には、登録有形文化財に指定されている蔵が並んでいる。
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この道は夜の時間帯になるとライトアップされます。
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突き当りの蔵が蔵湯浴司の入り口

下駄に履き替えて温泉までの通路を歩いていく途中にあるのは、有形登録文化財の蔵。しかも一つではなく複数の蔵がずらっと並んでいて迫力がありました。

突き当りまで歩いていくと蔵湯浴司の入り口があって、ここの見た目ももちろん蔵そのもの。引き戸も完全に蔵独特の戸なので結構重いです。

というか、ここだけ切り取ると温泉の入り口だとはにわかに信じがたいレベル。蔵の中に温泉を作ろうと最初に考えた人の頭の中を見てみたい。

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蔵湯浴司の内部。
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大きめの湯船が一つというシンプルさだがかなり広く、これを貸切で使えるのが本当に素晴らしい。
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そしてこれが蔵湯浴司の内部なんですが…いや、なんでここが一番人気なのかがひと目で理解できた。美しすぎる

蔵の内部がまるごと浴室になっていて、中には脱衣用の籠が数個と広い檜風呂が一つだけ。上を見上げれば交互に組まれた木材がほのかに照らされていて、通常の温泉ではなかなか見られない横方向・上下方向の広さが開放感で溢れている。

入り口からだけでは蔵全体の広さが分かりづらい通路から、一歩中に入った途端に空間的な広がりを一気に味わえるのがまず素敵な要素の一つ。それでいて内部は4~5人が優に入れそうな余裕のある湯船だけで、その存在感を際立てせています。

浴室全体はエアコンが稼働しているため寒さについては問題なく、ただ温泉だけに集中できる空間。

温泉って有名所でも大抵の場合は他の宿泊客と一緒に入るもので、他の人が気になる…という方もいると思います。でもここにはそんな心配はなくて、「貸切湯なのにこれだけ贅沢な空間を満喫できる」という良さがある。

ここは一度と言わず、二度三度と入りたくなる温泉でした。

夕食~翌朝

夕食及び朝食は、本館2階にある個室でいただく形になります。

歴史のある本館が今も利用されているというだけで素敵なのに、まさにその場所で食事ができるというのだから感慨深い。

なお、個室は完全な和室なので部屋との区切りは襖戸になっていますが、今回の宿泊時はグループを一部屋置きに配置されていたので他の声などは気になりませんでした。

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夕食の献立
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夕食の形式は会席料理で、料理は一度に全部出しではなく順次出されてきます。

このメニューで固定されているわけではなく、月替りでメニューが変わるとのことなので驚き。今回は2月に宿泊したこともあり、節分をイメージした内容が見られました。

温かい料理は温かい状態で運ばれてくるため非常に美味しく、使用されている素材はいずれも宮城県のものばかり。普段は食事の味に頓着しない自分ですが、この価格帯の旅館では個人的にはかなり良いと感じました。

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食前酒のいちごワインから始まり、先付け、吸い物、お造り、手打ちそば、炊合せ、焼き物(特に美味しかった)、仙台黒毛和牛鍋、揚げ物、茶碗蒸し、酢の物ときてご飯はもちろん宮城産のひとめぼれ。

味の凄さだけでなくボリュームもかなりあって、終わり頃にご飯を食べている段階でもうお腹いっぱいになってしまう始末。旅先で満腹になるのはやはり気持ちがいい。

また、夕食時に注文できる地酒は何種類かあって、今回は大崎市新澤醸造店の「伯楽星」という地酒を注文。これが個人的にとても飲みやすく、料理が豪勢なものだからなおさら合う。とてもいい時間が過ごせました。

食後は何度か温泉に入りに行き、部屋に戻って就寝。

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夕食の時間帯に布団が敷かれる

余談ですが、寝るときに使った枕の高さが記憶にある中で最も低いんじゃないかと思えるくらいに低かったです。

高さは5cmくらいで、枕というよりはクッショに近いような印象。これが実に寝やすくて助かりました。


翌朝。

朝風呂のため最初に温泉に入りに行って、その後は客室に戻って二度寝してました。特に大湯については男性が翌日朝8:00までとなるので、思い残すことのないように朝食までに入っておくのがおすすめ。

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朝食の献立
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湯豆腐

朝食はこんな感じで、旅館ならではの胃に優しい内容でした。

おわりに

冬の温泉は寒さと湯の温度差のおかげで気持ちよさが倍増するものですが、冬はそれ以外にも適度な静けさのおかげで、他の季節よりは精神的に落ち着きやすい時期でもあります。

不忘閣は温泉単独の良さはもちろんのこと、古びた本館の良さや貸切湯の豊富さが光っていてまさに時間を忘れることができる宿。それでいて普段過ごすことになる客室は近代的で、一夜を過ごす上で憂いがない。どこか懐かしさを感じる廊下や部屋に、身体だけでなく心も癒やされて良い時間が過ごせたと思います。

全体を通して古いところと新しいところを見事に調和させており、その人気のほどが理解できたような気がしました。

おしまい。

湯元 不忘閣

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コメント

コメント一覧 (3件)

  • はじめまして。最近こちらを知りまして参考にさせていただいています。いきなりですがレンズは何を使ってますか?自分はα6400なんですけどどうしても広角が弱くて先だって7Ⅳ頼みました😃レンズ何使ったらいいか教えて頂けるとありがたいです。

  • ダメんずさん
    コメントありがとうございます。
    レンズは建物メインの場合はSEL1635GM、ズームが必要な場合はSEL24105Gを使っています。

  • ありがとうございます。フルサイズは連休高いですね💦ちなみにここは先月泊まったばかりなんですが新湯は普通に貸し切りだったんですが今は使えないんですか?ここはお風呂が楽しくてまたすぐ行こうと思ってます😃

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