- Part 1:修善寺~東伊豆~下田
- Part 2:下田~天城峠~修善寺
今回泊まったのは下田にある金谷旅館さん。
千人風呂と呼ばれる日本一の総檜大浴場と名高いお風呂が特徴です。
千人風呂:金谷旅館
伊豆といえば温泉の宝庫。今回の行程でも温泉を満喫したい!と決めており、有名な旅館であるここを選びました。
金谷旅館は1867(慶応3)年創業で、およそ150年続く老舗の湯宿です。昭和4年に建てられた本館と後に増築した客室棟と別館があります。
古い良き雰囲気を残しつつも、近代的な部分は取り入れている様子。
ちょうどいい感じの雰囲気の日本旅館でした。
宿泊はもちろんのこと、千人風呂を満喫できる日帰り湯プランもあります。
宿泊については、広さに応じて多彩なお部屋が準備されています。
- 橘:10帖+6帖
- 芙蓉:10帖+4.5帖
- 皐月/菊:8帖+6帖
- 松:14帖
- 竹:13.5帖
- 梅:10帖
- 桜/百合:8帖
- 藤/桐:7.5帖
- 萩:6帖
ご覧の通り部屋数としては多くはありません。
有名旅館ということもあり、宿泊するために一ヶ月前から予約しててやっとというところです。
今回、我々が宿泊した本館2階「松の間」は玄関から入って中央の欅の階段を上ったところにあり、上質な木材を使って昭和4年に建造されたもの。
天城産の杉の巨木や秋田産神代杉などが使われ、温かみがありながら格調高い空間になっています。
建造当時、これから外国人客が増えることを想定し、通常より4寸(約12cm)ほど高い襖や障子、一尺(約30cm)も高い天井など、先の時代を見越した仕様にしたそうです。
この旅館の造りだけでも満足度いっぱいですが、メインといえばやはり先程ちらっと触れた千人風呂です。
その名の通り千人が入れるようなとても広いお風呂で、長さ約15m、幅約5mあり、総檜で作られた日本一の大きさ。
実際に入ってみると想像以上に広く、また上も下も横もすべてが檜造りという異質さに驚きつつもその居心地の良さに感動しました。木材って肌に触れるとこんなにも気持ちがいいものなんだと。
風呂全体が湯気で白く曇っているのも素晴らしい。湯船が広い分、湯気が発生しやすいというわけです。
ほんの数m先でまったりしている人もうっすらとしか確認できないレベルなので、普通の大浴場に浸かっているのとは明らかに違う体験ができました。
夕食
お風呂の居心地が良すぎてのぼせるくらい(1時間位)満喫して部屋に帰ってきたところで、夕食の時間になりました。
金谷旅館の食事はすべて部屋食形式になっており、数寄屋造りの部屋の中でゆっくりと食事をとることができます。
完全に優勝できる内容だったのは予め分かっていたこと。やはりどの食材も美味しい。
魚が美味しいって実はすごく幸せなことなんじゃないかと改めて実感してます。
あと、よく考えたら今日って平日。
そんな日に快晴の伊豆を走って風景を楽しみ、それだけでも嬉しいのに温泉旅館に泊まってご馳走に舌鼓を打っている。QOLがモリモリ向上しているのが実感できる。
炊き込みご飯もしっかりおかわりして、最後まで夕食を楽しんだ後に就寝。
朝食
7時に起床して朝風呂に入り、そういえばまだ土曜日だったなと思いつつ朝食をいただくことにします。
旅館での夕食はワイワイ言いながら食べることが多いのに対して、朝食は一言でいうと静かだと思う。
もちろん眠気が取れていないからというのもあるけど、これから始まる一日、そしてライドそのものに対しての準備時間というか、気持ちを落ち着かせるための時間が朝なわけです。
その時間帯に食べる金谷旅館の朝食は、こうあってほしいというイメージの通りでした。胃に優しくそれでいて栄養たっぷり。汁物にはなんと伊勢海老も入ってたりして、今日も旅そのものを楽しんでいくぞという気持ちにさせてくれます。
旅館での一夜は驚くほど時間が立つのが早い。それほど時間密度が濃く充実してる。
金谷旅館さんには、短い間でしたがお世話になりました。次に下田に泊まる際もここに泊まりたいところです。
下田散策
前編で触れたとおり、今回は東伊豆と中伊豆を回るという方針なので、今日は下田を出発して中伊豆を走ることになります。
その前に昨日散策できなかった下田をポタることにしました。
まず訪れたのは、下田の南東に位置する爪木崎という場所。
ゆるキャン△では45話で登場しました。
作中ではめっちゃ風が強い描写があったものの、実は今日も昨日に引き続きほぼ無風。そして快晴。
朝一で訪れたこともあり人は皆無ということも含め、ゆっくり回ることができました。冬になったらここ一面に水仙が咲き誇るそうなので、また来月にでも訪れてみたいと思ってます。
その後は下田まで戻り、まどが浜海遊公園や犬走島を中心に回りました。犬走島周辺には神津島などへ向かうフェリーの発着場があるので交通量は多いものの、それ以外の場所はいたって静かです。
下田は港を中心にぐるっと湾を取り囲むようにこじんまりとまとまっているので、自転車でポタるにはちょうどいい感じの広さ。
天城越え
昨日今日と海を見なかったときはないくらい青い海を満喫したところで、今回はこれで海を眺めるのは終わり。
下田からはひたすら北の山岳地帯に向かうことになるため、風景が一気に変わります。
このギャップが素晴らしい。
海を見たければ海沿いを走るもよし、逆に田園風景を眺めながら走りたいのなら内陸を走るコースもある。伊豆は本当に道に富んでいる場所だと感じます。
これから向かうことになる「天城峠」は伊豆半島のだいたい真ん中に位置しており、下田からだと国道414号を北へ向かえば到着します。
峠の名の通り急激な坂が待ち構えていることはなんとなく予想していて、下田から天城峠まではほとんど上りでした。まずひとつ目の峠である河津峠(河津桜で有名な河津町付近)を超えると、河津七滝を経て天城峠までひたすら上りがつづきます。
斜度が若干増したあたりで登場するのがこの河津七滝ループ橋です。
この場所はもともとつづら折れの道が走っていて、地震の影響で道路が寸断されてからこのループ橋が生まれたそうです。ゆるキャン△作中では下りで通過していたこの道、自転車で走るとかなり迫力があって面白い。
すぐ横を車が通っていくので個人的にはかなり怖い思いをした一方で、このような道を初めて自転車で通ったので新鮮な気持ちになりました。今度走るときは下りで使ってみたいところ。
天城峠に到着。
天城峠といえば川端康成の「伊豆の踊子」で知られる有名な峠です。厳密に言うと写真に写っている場所が天城峠ではなく、ここから旧道を上ったところにある旧天城トンネル(天城山隧道)がある場所が天城峠です。
現在では国道414号沿いに新天城トンネルがつくられており、普通にここを通るだけで天城越えは達成できます。ここから修善寺までは下りオンリーとなり、あとはもうのんびり下るだけという状況でした。
しかし、せっかくここまで来たのだから旧道も行ってみたい。
とりあえず旧道にアタックしてみる。
下田側は一応舗装されていますが、枝が散らばっており25cで走るのはちょっと大変そう。もちろん交通量は皆無なので雰囲気は非常に良いです。
旧道とか廃墟とかって個人的にはかなり好きで、今はもう使われていないというのがエモい。この道も今こそ閑散としてますが、以前は車がひっきりなしに通ってたんだろうなとか考えながら走ると不思議な気分になります。
伊豆市側はダートなもののかなり整備されており、25cでも普通に突っ込んでいけるくらいでした。
むしろハイキングで訪れるとちょうどいい感じかもしれません。実際、徒歩で訪れている方がほとんどでした。
天城トンネルは1905年に完成し、これで北伊豆と南伊豆の距離は一挙に短縮、難所の天城越えは解消したとのこと。
暗いトンネルに入ると、冷たい雫がぽたぽた落ちていた。南伊豆への出口が前方に小さく明るんでいた。
小説の描写通り、トンネルの中はほんのりと明るく、遥か向こうに下田側の入り口が見えています。小説のままの風景が目の前に広がっているというのは、大きな浪漫を感じてやみません。
他に誰も居ないところで風景を楽しみながらまったりするのが楽しみである中で、ここでは特別な雰囲気を味わうことができました。
天城越えを成し得たところで、新天城トンネルから先を下っていきます。
途中の道の駅天城越えでは、これまたゆるキャン△に登場したわさびソフトをいただきました。注文するとその場でわさびをすりおろしてくれます。ソフトクリームの甘みとわさびのツーンとした感じ、食べてみるとその相性の良さに驚くばかり。
美味しいもの食べたのでヒルクライムの疲れもどこかへ行き、あとはもう修善寺に下るだけ。
上った分、下りはとっても楽。紅葉に色づくR414をダウンヒルするのはたまらなく気持ちいい。
最後はこの二日間の余韻を感じつつ走るためにも、この道のゆるさは大変助かりました。やはり旅の終わりは静かに迎えたい。
修善寺に無事帰還したあとは、そのまま大瀬崎へ移動して夕日を眺めることに。
訪問した時間帯が完璧すぎて、夕日が最も綺麗に見える時間に訪問できたといっても過言ではないくらい。
夕日がゆっくりと海の彼方に消えるのを目線で追いかけながら、ふと遠くに見える富士山を眺めてみる。
そういえばゆるキャン△に登場する場所は山梨で、どこからでも富士山が見える。去年の冬に山梨を走っていたときもそう感じたし、今この瞬間も富士山の存在感を実感してる。
富士山を眺めてたらまた冬の山梨を走りたくなってきた一方で、やっぱり自分はゆるキャン△が好きなんだと思わずにはいられない。
静岡に来たらやっぱりこれ!ということで夕食はあの有名なさわやかでげんこつハンバーグを食べ、帰路に着きました。
おわりに
ゆるキャン△の最新刊は伊豆が舞台なのか、じゃあ走りに行くかとトントン拍子で行程が決まった今回のライド。伊豆の風景や食、そして何より道の素晴らしさを最大限に楽しめたと思います。
伊豆は今度冬に訪れる予定で、その時は今回行けなかった西伊豆スカイラインもセットで走れるように行程を組みたいです。
おしまい。
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