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旅の記録とか、舞台訪問とか。(旧 OFFTAMA)

【法師温泉 長寿館】明治8年創業 秘湯の一軒宿に泊まる Part 1/2 (@群馬県みなかみ町)

いつか泊まってみたいと長年思っていた温泉旅館。夢が叶いました。

【訪問日:2020年11月27日~28日】

憧れの旅館

「誰もが知っている温泉宿」というものがある。

温泉が好きな人、旅館に泊まるのが好きな人にはもとより、観光雑誌や旅行記事にもよく登場することから旅関係の趣味を持たない人にも広く知られているような場所。そういうところにいつかは泊まってみたい…と考える人も当然多いわけですが、自分にはどこか遠い存在のように思えてなりませんでした。

そもそもが自分の好きな「鄙びた系」ではなく近代的な外観や内装をしていたり、値段が値段だったりして敬遠してしまったり。なので「そのうち機会があれば」ということで保留している宿が個人的には多いです。ですが、先送りにしていると未来永劫に泊まることがないまま終わってしまうような気がしたので、以降は保留せずに泊まりたくなったら泊まりにいくというスタイルで過ごすようにしました。

そう決めたのが2年ほど前のこと。

あれからずっと行きたいまま心の内に秘めていた宿に遂に泊まることができたので、今回ご紹介していきます。

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その宿の名は、法師温泉 長寿館

国民保養温泉地に指定されている温泉で、開湯は弘法大師(空海、774-835年)巡錫の折の発見と言われています。法師温泉という名もその背景から名付けられたものだそうですが、つまりは現時点で1,200年もの歴史を持つ温泉ということになります。

ところで、「温泉」と名が付いてはいるものの、温泉街が形成されているわけではなく、旅館としては長寿館のみが存在しています。このあたりも一般的な○○温泉とは異なる点で、法師温泉の名を冠する宿は一つしかないというのがどこか特別感を感じさせてなりません。

というわけで早速出発。

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赤城山の麓の高原を過ぎ、関越自動車道の月夜野ICを降りて西へ向かうにつれて次第に山間部へと道が続いていく。

やがて道は片側一車線から車がようやく1台通れるような狭路(県道17号)に変わり、この道で本当に合っているのだろうかと首を傾げたくなるような山道をひたすら上っていくと、突然視界が開けて堂々たる木造建築が目に入ってきました。

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法師温泉外観

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本館外観

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本館から渡り廊下を経た先にある法隆殿の外観

車を降りて建物に近づいていくにつれて、その存在感がさらに強くなってきます。これだけの山奥にあるとは思えないほど荘厳な雰囲気を感じさせつつも、全体としては侘び寂びを体現したような味わいが漂っている。

これが"あの"法師温泉か。

ずっと思い描いてきた光景が目の前に広がっていて興奮が止められない。そんな逸る気持ちを抑えつつ、まずは受付を済ませてお部屋に案内してもらうことにしました。

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玄関を入ってすぐ右手に帳場がある

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玄関左手奥には下駄箱がある

いきなり玄関の広さに圧倒されつつ、木の引き戸をガラガラと開けて屋内へ上がります。

玄関周辺には常に係の方が一人常駐しており、履物の管理や体温計測をご担当されているご様子でした。

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横方向・縦方向ともに申し分ない広さをもつ玄関の吹き抜け

玄関を入って目の前に飛び込んでくるのがこの吹き抜けで、玄関のすぐ真上にある2階部分をぶち抜くように大きな空間が確保されています。

やはり玄関というのは広ければ広いほど良いですね。

広いというのは精神的に安心する上で重要な要素を占めている気がするし、ここまで3次元的に広いと屋内に入ったという感じが全くしません。屋外から屋内へ入るとどうしても視界に入ってくる風景の奥行き感が制限されてしまうため、どことなく圧迫感を感じてしまうものですが…ここに限っては開放感そのものという感じ。

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で、この吹き抜け部分には神棚や達磨、それに歌人の書額が飾られています。

吹き抜け部分の中央には畳が敷かれていて、そこに座って視点を上の方に移して色々眺めているだけでも気分が落ち着ける。

玄関というと客人の往来が激しいところでもあり、落ち着くという感情とは無縁だと思っていたけど、これは一体どういうことなのだろうか。

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玄関の奥にある囲炉裏

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パチパチと薪がはぜる音が聞こえてくる

そんな落ち着ける理由の一つが、玄関の横にある囲炉裏だと気づくのに時間はかからなかった。

旅館の玄関横に囲炉裏とは、なんとも粋な造りじゃないですか。

今どき囲炉裏が現役で使われている旅館は、探してもあまり見つからないと思う。そもそも今日で囲炉裏の出番があるのは主に秋とか冬の寒い時期だけなので、宿のスペースの一部を常時それに充てるのはなかなか難しいのではと思います。自分もここに囲炉裏があるなんて、実際に見るまでは信じがたいほどでした。

話によるとこの法師の囲炉裏は一年中使われているらしく、今回の滞在中の僅かな時間でさえも常にパチパチと薪が燃えているのを見ることができました。それに加え、沸騰した湯による蒸気で蓋がカタカタと鳴る音も聞こえてくるので、気になった人が次第に集まってくるのは当然のこと。

宿=個室というプライベート空間の中にあって、この一角は宿泊客同士でのコミュニケーションの場としても活用されているというわけです。

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この空間が好きすぎる

昔ながらの生活様式が今もそのまま残されていて、玄関周辺を見て回るだけでも満足できるレベル。ちなみに鉄瓶のお茶は湯が沸いていれば飲むことができるので、ふと時間を忘れてのんびりすることもできちゃいます。

歌人が泊まった部屋に、泊まる

と、ここまであれこれ写真を交えながら話してきたけど、まだ序盤も序盤なんですよね。

まだ部屋にも案内してもらってないし、玄関を含むちょっとした空間を見て回っただけ。それだけなのにもう宿の雰囲気に飲まれてしまっている自分がいる。法師温泉の奥深さをまだ味わい始めたばかりだというのに。

次は今回泊まった部屋について紹介していきます。

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法師温泉長寿館の構造

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温泉と部屋の紹介

この法師温泉の建物は、上記に示すようにいくつかの棟で構成されています。その内訳は以下のとおりです。

  • 本館…明治8年に建てられた棟で、長寿館で一番古い。国登録有形文化財指定の客室棟。(今回泊まったとこ)
  • 別館…法師川沿いに昭和15年に建てられた棟。国登録有形文化財指定の客室棟。
  • 薫山荘…昭和53年に建てられた木造2階建ての客室棟で、全室法師川を眺めることができる。
  • 法隆殿…平成元年に建てかえられた、木造2階の客室棟。

法師川の東側に位置するのが、先程入ってきた玄関を含む本館と法隆殿。そして本館から法師川を挟んで西に位置するのが別館と薫山荘です。それぞれの棟は渡り廊下で行き来する形になり、雨や雪の日でも大丈夫です。

これらは時代を経るごとに増築されていったものですが、一貫して全棟が木造という素晴らしさを持っています。今までに見てきた本館の良さとうまく溶け合っており、個人的には理想的な増築の仕方だなと感心するばかりでした。

やっぱり旅館といえば木造ですよね?

木の温もりは個人的に滞在する宿には欠かせないと思っていて、それで防音や室温が多少犠牲になろうが全く気になりません。特にこの法師温泉に限っては、山奥にある秘湯という鄙びたイメージが木造建築と非常によく合う。利便性よりも雰囲気をとる自分にとっては、この法師温泉の構造や造りが最高に性癖を煽ってきます。

いいね。こういうのが実にいい。

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緊急時避難経路と非常口

部屋は基本的に番号で管理されていて、例えば本館18番とか別館2番とかいうふうに呼ばれます。

…という情報を書いておいてから今回泊まった部屋について説明をしていくわけですが、実は今回の法師温泉滞在において狙っていた部屋がありました。

というのも、この法師温泉はかつての文豪や歌人が泊まった宿でもあるのです。なので、できることなら有名な文人墨客が泊まった部屋に自分も泊まってみたい、と考えるのは自然なことじゃないでしょうか。

参考までに、代表的な部屋番号とその部屋に泊まった人物を書いてみます。

  • 本館18番…文豪・川端康成が泊まった部屋。
  • 本館20番…歌人・与謝野晶子と与謝野鉄幹夫妻が泊まった部屋。(今回泊まったとこ)
  • 別館2番…映画「テルマエ・ロマエⅡ」の撮影に使われ、俳優・阿部寛も泊まった部屋。
  • 薫山荘31番…女優・夏目雅子が泊まった部屋。
  • 薫山荘34番…国鉄時代のフルムーンポスターの撮影で、女優・高峰三枝子が泊まった部屋。

自分は「古い建物が好き」なこともあり、法師温泉で一番の歴史を持つ本館の部屋に泊まりたいという理由から、今回は与謝野夫妻が泊まった本館20番の部屋を選びました。

当然ながら上に示した部屋は特に人気が高く、土日などの休日はまず取れないと思ったほうがいいです。たまたま都合がいい日に目当ての部屋が空いていたのはもう運がいいとしか思えません。平日に絞って探したのもどうやら功を奏したようですね。

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本館の廊下

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本館20番の部屋。一畳弱の踏み込みを経て鏡台の置かれた6畳間がある

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6畳間の真正面の押入には布団が入っている

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6畳間の次間の奥には10畳の本間。どちらも天井が非常に高くて開放感がある。天井の形は独特で、梁は荒削りの様相が見られる

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本間の右手は雪見障子、右手奥の白扉の中に浴衣一式。テレビが不思議なスペースに置いてあるのが面白い

本館20番の部屋は6畳+10畳の二間続きになっており、本館の中でもかなり広い部屋です。

2人で使うのがもったいないほどの広さがあって、明治8年(145年前←!?)に建てられたとのことですが経年劣化している様子は皆無。むしろ歴史の深さをそのまま凝縮したような、密度の濃さを如実に感じる場所という方が正確か。

ここにあの与謝野晶子・与謝野鉄幹夫妻が泊まり、そして月日を越えて自分も同じ部屋に泊まっている。なんとも不思議な気分だ。

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部屋の外には縁側?広縁?が設けられている。目の前に見えるのが法隆殿とそこに続く渡り廊下。

通常の旅館なら広縁がある空間にはテラスのようなスペースがあって、ここでくつろぐこともできます。

季節が季節だし、そして山の中での夕暮れ時というだけあってすでに冷え込みはかなりのものだけど、なぜだかいつまでもここに座っていたくなるような居心地の良さがあります。春先なんかだったら、ここで本を読むのもいいかもしれません。

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現役で使われている黒電話

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いつの時代のものなのか不明なほど古いエアコン。効きの悪さはご愛嬌。

単に構造的な意味だけでなく、この部屋を構成するあらゆる要素が部屋が経てきた年月の長さを物語っている。

内線は黒電話だし、ふと畳に横たわって天井や雪見障子を眺めたりしてもそう思う。もちろん補修は頻繁にやってはいると思うけど、年季が入ってる様子は直に伝わってきます。

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部屋に荷物を置いて放心状態になること5分間、やっと浴衣に着替えました。

ここでちょっと申し上げると、旅館に着いてこの浴衣に着替える瞬間が何よりも好き。

単に過ごしやすい服装になるというだけでなく、日中の散策が終わって、ここから旅館でのひとときが始まるという気持ちの切り替えにもなります。何よりも旅館と浴衣はセットなものだし、浴衣を来ている=宿に滞在している時間だけは平穏な時間を過ごしているという事実にほかなりません。なので、私は宿を去る直前まで浴衣でいるように心がけています。

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で、浴衣に着替えたところで本格的に法師温泉での滞在が始まるわけですが。

まずはお茶をすすりつつ、温泉の時間について確認することにしました。法師温泉の温泉は「法師乃湯」「玉城乃湯」「長寿乃湯」の3つがあり、いずれも今我々がいる本館内に位置しています。それぞれの入浴時間は上の写真の通りで、どれも時間によって男湯と女湯が切り替わるようになっています。法師乃湯に限っては普段は混浴で、20~22時の間だけ女性専用になる感じですね。

この図を見るに、長寿乃湯は今日の内しか入れないみたいなので、夕食(18時)までは館内を散策しつつ長寿乃湯と法師乃湯に入ることにし、それ以降については、玉城乃湯に入る以外は自由に温泉タイムを楽しむ方針にしました。

法師温泉を散策する

兎にも角にも、まずはこの情緒あふれる旅館内を散策してみることに。

ただし、別館や薫山荘などは完全な客室棟ですので、散策は棟の入り口までとしています。

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法隆殿へ続く渡り廊下

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渡り廊下の上から本館を眺める。一番右が今回泊まった20番の部屋

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レトロ感あふれる電話。現役で使えます。

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長寿館の歴史等についての展示

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与謝野晶子はこの宿に3泊し、翌日駕籠で三国峠に登った

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別館及び薫山荘へ続く渡り廊下の中にも展示がある

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渡り廊下の上から本館の客室と温泉を眺める。目の前の温泉が長寿乃湯

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本館ロビー

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玄関周辺の構造。右へ進めば温泉があり、左へ進めば客室へと続いている

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階段を上がった先が本館及び法隆殿の客室

法師温泉の中は、どこを歩いても静けさを感じてならない。

人の往来の有無に関わらず、建物自体がしんと静まりかえっているかのような落ち着きがある。だから散策を続けるにつれて次第に自分の世界に徐々に入っていっているのが実感できるし、ふと立ち止まって外の風景を眺めたりするだけで心が休まってくる。

ここには日常生活の雑念もなければ喧騒もない。あるのはただ鄙びた空間だけ。

温泉に入らずとも、好きな人からしてみればこの建物の中に居るだけで満足できると思います。

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とはいえ、いい加減に寒くなってきたので温泉に入りに行くことにしました。

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最初に入りに行ったのは、時間帯的に男湯に切り替わったばかりの長寿乃湯。空間こそ他の温泉と比較するとこじんまりとしているものの、この時間に入りに来ている人が皆無だったこともあってのんびり浸かることができました。

湯船の構造としては湯底に玉石が敷き詰められていて、湯はその底から沸いている足下湧出形式です。温泉というと注ぎ口から湯が注がれているのをイメージしていましたが、僅かな泡とともに湧き出てくる湯を感じながらの入浴は非常に新鮮でした。温度も個人的にはちょうどよく、若干ぬるめなので長い時間入っていられます。

建物も当然のようにすべて木造で、特に湯船周辺は木材が一段と古くて歴史を感じることができました。温泉の温かさのみならず、落ち着ける空間の良さがプラスされて気持ちよさが倍増するという幸せっぷり。特に今日一発目の温泉ということもあり、冷えていた身体が一気にぽかぽかになる快感は堪えられません。

これで身体が温まったため、少し屋外も散策してみることにしました。

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下駄に履き替えて、本館周辺をぶらぶら歩いてみる。

やはり玄関の雰囲気の良さが群を抜いて好きだ。温泉旅館ではなかなか見られないほど横に長い引き戸もそうだし、何よりも玄関の前の道が土というのが木造と相性がいい。例えば建物自体は木造なんだけど、周囲の町並みから浮いている(それはそれでいいけど)というところも多い一方で、ここは山奥という立地を最大限に活かしているように思える。

山間の谷間を流れる川のほとりに建物があって、そこに至るまでの道も狭い山道で…という風に、思い返してみれば法師温泉に到着する道のりも含めてすべてが旅館の良さを引き立てている。建物だけ、温泉だけ優れているということではないわけです。

ああ、なんか納得できた。

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先程入っていた長寿乃湯を眺める

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川を挟んで別館を望む

気がつけば一組、また一組と、平日にも関わらず続々と宿泊客が旅館に到着しているようです。それに伴って、部屋の明かりも徐々に灯ってくる。つまり、温泉旅館の夜はこれから始まるというわけか。

さて、もう少しで夕食なわけですが、その前に法師温泉の目玉である法師乃湯に入ってきました。

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(法師温泉facebookより引用)

法師乃湯は長寿館として営業を始めたときにはすでに存在していた湯で、つまり本館と同じく100年以上の歴史があります。

純度100%の源泉が玉石の間から湧き出てきているのは長寿乃湯と同様なのですが、特筆すべきはその広さ。4分割されている浴槽はそれぞれがとてつもない面積があり、さらに中央横に渡された丸太に頭を乗せて浸かることができるようになっています。洗い場などはないのでかけ湯をして入るだけというシンプルさ故に、温泉そのものに集中することができるのがGood。

ふと上を見上げてみれば、貫禄のある湯屋が目に入ってくる。鹿鳴館風のアーチ形状の窓から漏れてくる光は穏やかで、湯船の中で横になっているだけで煩雑な日常がかき消されていくようだ。一緒に入っている人は誰しもが目を閉じているが、自分と同じように様々な疲れを癒やしているのだろう。

相変わらず温度は適温以外の何物でもないので、気をつけていないとのぼせてしまうくらいに快適です。心を無にしてじっくり浸かってみるのがおすすめ。

あ、この法師乃湯はすでに述べたとおり、基本的に混浴です。一応女性専用の時間帯も設けてありますが、気にならない人は普通に混浴でも入ってくるので目のやり場にちょっと困りました。年齢?そんなことは気にするな。

そんな感じで十二分に身体も心もリフレッシュできたところで、気がつけばもう夕食の時間。

というわけで、Part 2は夕食から始まります。ではまた。