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旅の記録とか、舞台訪問とか。(旧 OFFTAMA)

【天野屋旅館】笠岡諸島・北木島の木造3階建て旅館に泊まる Part 1/2 (@岡山県笠岡市)

離島の宿に泊まるということ

今回の記事では、先日行った瀬戸内旅の中で最初に泊まった宿をご紹介します。

その宿の特徴の一つは木造3階建てで、現代ではめっきり数が少なくなった木造旅館の中でも更に希少なもの。でもこれだけだったら今までに何箇所も泊まってきたし、こんな風に特別感を出して書く必要も特に感じられない。肝心なのはもう一つの特徴の方。

この旅館がある場所、それは岡山県の北木島です。

北木島といえば瀬戸内海に浮かぶ笠岡諸島のうちの一つであり、そこへ向かうにはフェリー以外の選択肢はありません。同じような瀬戸内海の島々といえばしまなみ海道が有名ですが、あっちはある程度の規模の島だったら橋が繋がっているので、アクセスは比較的容易です。車でもバイクでも行けるし、自分がいつも乗っているようなロードバイクでも、もちろん行きやすい。

前回宿泊した因島の穂満旅館も、思い出せばそんな好立地の場所にありましたね。

完全に海に囲まれた離島にある、木造3階建て旅館…。

ほら、もう早速泊まりたくなってきた。自分でもこの文字列を見ただけでもうワクワクが止まらないし、今回の瀬戸内旅は半分以上、この旅館に泊まるために企画してました。

というわけで、今回はその天野屋旅館に泊まっていきます。

天野屋旅館 - 北木島の情報

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天野屋旅館 遠景

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望遠で拡大してみると、3階建てであることが分かる

旅館の前にはこじんまりとした港があって、ここには漁船が並んで停泊していました。

北木島には大浦港、楠港、金風呂港、豊浦港の4つの港があり、天野屋旅館はそのうちの一つである大浦港のすぐ近くに位置しています。他の港からはそこそこ距離があって歩くと遠いので、特に笠岡から北木島に向かう場合は、必ず船が寄ることになる大浦港から向かうのがおすすめです。

大浦港から道なりに沿って歩いていくと橋があり、橋の上から左方向(陸方向)を見ると天野屋旅館が見えます。他の建物より1階分高い様子は遠目からでもインパクト抜群で、3階建てという情報しか仕入れていなかった自分でも容易に見つけることができました。

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旅館の門。正面奥側が旅館の建物になっていて、手前の左右の建物がご主人達の住まいになっている。

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そのまま直進すると旅館に到着。

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天野屋旅館正面。下から見上げてみるとその高さに驚く

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正面玄関。玄関の右側が厨房への入り口。

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旅館の建物の前はかなり狭いが公道になっており、庭に植えられているヤシの木からの落葉を防ぐために覆いが設けられていた。

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旅館右側面

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旅館玄関前から港方面を眺める。ちなみに昔は手前の公道から先がすぐ海に面していて、その後埋め立てが続けられて今の陸地ができたらしいです。

まずは通常通り、外観から確認していく。

天野屋旅館は戦後すぐに建てられた旅館で、建てたのは現在のご主人の曾祖母の方。当初は3階でなく2階建てで、2回に分けて3階部分を建てたとのことです。

旅館の前の通りが狭いことや、旅館のすぐ前に建物があるために、その全容を見渡せるのは旅館の玄関口に立ってからとなります。その影響で、まるで目の前に迫ってくるかのような建物の巨大さがよく実感できるようになっている。

島の集落というものはスペースが非常に限られているために、狭い路地のような道の左右に建物が密集しているケースが多いのですが、天野屋旅館はそんな集落の一角のままに3階建てになっている、というのが正しい説明の仕方だと思います。旅館だから庭とかの面積が広くとってある…というようなわけではなく、あくまで島における一般的な家屋を延長したような、そんな素敵な建て方をされていました。

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遠景から旅館が建てられている場所を改めて確認してみると、とにかく海に近いというのがもう最高ですよね。内陸部にあるのではなくて、海のド真ん前に建てられていて威風堂々としている。島の旅館はやはりこうでなくては。

で、ここで厨房の奥からご主人が登場してご挨拶。ロードバイクは庭先に置かせていただきました。

こちらのご主人がまた良い方で、食事の際の運び方だとか、話し方だとかがとても優しい。自分が好きな"鄙びた系"の旅館を経営されている方は色んな方がいらっしゃるけども、愛想の良さではトップレベルだと思います。自分が同郷(岡山)ということであれこれお話もできたし、話しやすいのは非常に助かる。

天野屋旅館を散策する

無事に天野屋旅館に到着したということで、これで今日の行程も一段落したので急に力が抜けてきた。いや、旅において気を緩めるも何も最初から緩みっぱなしなんだけど、フェリーの時間が関係してくるのでまるっきり放心状態というわけにもいかない。ここに来るまでに笠岡港と真鍋島での散策を経てきているので、投宿した時点でやっと時間を気にしなくてすみました。

夕食の時間は、いつものように18時にお願いしました。一通り館内の案内や風呂トイレの場所を説明いただき、あと今日は自分ひとりの貸切状態なので、好きに見て回っていいですよとのお言葉もいただいてしまった。毎回思うことだけど、なんと運がいいことか。ご主人にも感謝だ。

というわけで、ここから天野屋旅館の中を順次散策していきます。

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玄関。正面右側が2階への階段で、正面左側がお風呂。左へ進むとロビーがある。

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玄関左側。合宿にも使われる旅館なので靴箱がとても大きい。

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玄関右側。玄関土間を経て隣に厨房に通じている。

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玄関に飾ってあった、天野屋旅館の建造当時の様子。建物のすぐ前まで海が来ていることが分かる。

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ロビー。ちなみにロビーの奥の部屋が旅館内におけるご主人達の居室になっているらしく、テレビの音が聞こえてきました。

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玄関内側から屋外を眺める。この明暗の差が好き。

1階部分は玄関や厨房になっていて、客室はすべて2階にあります。

玄関の奥側がお風呂と、それに2階へ続く階段になっていて、左右にはそれぞれ厨房とロビーがありました。厨房では現在進行系で今夜いただくことになる夕食を作っている様子で、数時間後の食事風景を妄想しながら自然と笑顔になってしまう。

ところで、やたら靴箱が大きいと思ったら、どうやら天野屋旅館は合宿などにも使われるようで、大人数を泊めるためみたいです。それ以外にも3階の大広間では宴会をされており、あの広さを考えたらこれくらいは収容できないといけないんだろうなと思いました。3階についてはPart 2で述べたいと思います。

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2階へ

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2階を上がってすぐもロビーになっている

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ロビー横の洗面台

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ロビー奥から階段方面を見る

2階にやってきました。

階段をあがってすぐの廊下はロビーを兼ねていて、椅子や机、それに笠岡諸島周辺の観光雑誌などが並べられています。客室が集まっているフロアにあるスペースなことから、想像するまでもなく宿泊客同士の憩いの場や談話室のような使い方をするようです。すぐ横には洗面所もあって、顔を洗ったりするのはここでやりました。

客室については、階段を上がって右手側に3部屋、左手側に3部屋あります。今回泊まったのは左手側の手前の2部屋で、これらは二間続きで繋がっていました。

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今回泊まった「1号室」(と隣の2号室)

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1号室(6畳)の様子

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窓側には広縁もあって広く感じられます

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広縁

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2号室(6畳)。1号室の隣にあって、二間続きになっている。廊下(ロビー)からの出入りも可能。

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2号室の奥からロビー方面を見る

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2号室から1号室を見る

そして、今回泊まった1号室と2号室はこんな感じ。

この部屋に限らず、廊下と部屋との境界は襖になっていて、鍵の類いも特にありません。昔ながらの旅館形式がそのまま受け継がれており、変に新しくなっていない部分に好感を持ちました。

1号室の方にはテレビや床の間、机がある一方で、2号室の方は完全に寝る部屋になっていて非常にシンプルでした。ただ、特徴的だったのはどの部屋にも広縁があることですね。

天野屋旅館ではその広さに関わらず、客室はすべて海側に面しています(ここ重要)。その部屋配置を最大限に活かして、客室から海を眺めて感傷に浸ってほしい…。この旅館を建てられた当時には、そんな思いがあったのかもしれません。今では前述の通り旅館の前の海岸が埋め立てられていて、その上に別の建物が経っています。なので、当時と比較すると展望は一段下がっているかもしれませんが、自分が泊まった1号室からは今も海が見えました。

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2号室の隣の3号室。広さは10畳。

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2号室の広縁の上の仕切りから、3号室の広縁を眺めてみる

すぐお隣には3号室もあって、ここが天野屋旅館の一番左端の部屋になります。

ここは10畳の広さがあるので、どちらかというと複数人向けの部屋っぽいです。

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さて、階段を上がって左方向に位置している部屋は以上となり、今度は階段の右側の部屋へ。

まず最初には洗面所とトイレがあって、2階のトイレとしてはここだけとなります。3階には3階でまた別のトイレがあるので、大人数の場合でも問題なさそう。あと、トイレの周辺には押入れが多く、基本的に布団が収められていました。

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階段上がって右側の部屋は5, 6, 7号室となっている(4号室は忌み番で存在しない)。広さはいずれも6畳。

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ほどよい広さです

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5号室の広縁

そのまま廊下を直進すると、6畳の客室が3部屋ありました。

広さを考慮すると一人客用な気もしますが、どの部屋にも設けられている広縁がここにももちろんあって、そこでくつろぐことを考えると二人でも全く問題なさそうでした。入り口を入って両側が壁になっているので圧迫感がちょっと心配かなと思っていたものの、広縁の存在がそれを見事に打ち消しています。

海方向に見通しがいいので、部屋自体の狭さがあまり気にならないんですよね。実にうまくできている。

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という感じで、2階までの散策はこれで終了。

Part 2に続きます。