TAMAISM

旅の記録、宿泊先や行程とか

ほりえや旅館 飯坂温泉の木造3階建て旅館に泊まってきた Part 1/3

歴史ある温泉街

今回は、先週に引き続いてFDAを利用した東北旅です。

FDAでは相変わらずの減便が続いており、特に東北地方に向かうには一日一便程度しかない状態。一泊二日という行程を踏まえると行き先が制限されることは間違いないものの、何もFDAが発着する空港周辺のみを旅するような行程にする必要はない。時間を有効に活用すれば、空港から遠く離れたところでも問題なく訪れることが可能です。

というわけで、今回はまずFDAで山形に飛び、そこから山形新幹線を使って福島県に投宿しに行きました。天気の方はなんか微妙だったのでロードバイクは持っていかず、久しぶりに身軽な装備での旅となります。

福島県には多数の温泉が存在していて、しかもその建物も古いところが多いというまさに自分好みな土地。しかも(しかもが多いが)ロードバイクで走りたいところも色々あるので、今後もじっくりと回っていきたい県ですね。

今回の宿泊地は、福島市街から少し北へ向かったところにある飯坂温泉というところで、その温泉街の中心に位置するほりえや旅館に泊まってきました。

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飯坂温泉駅前の風景

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駅前の十綱橋沿いには、高層な建物が立ち並んでいる

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飯坂温泉の歴史は古く、言い伝えによれば縄文時代にはすでに存在していたとされています。

そこから時代が下っていくにつれて徐々に温泉街としての形をなしていき、あの松尾芭蕉も「おくのほそ道」の中で飯坂を訪れています。比較的近年では正岡子規、与謝野晶子も訪れており、飯坂を詠んだ句碑が建てられています。

温泉の特徴としては、これは後で述べますが温度がめちゃくちゃ熱いこと。今回投宿したほりえや旅館のすぐそばにある共同浴場の「鯖湖湯」では、湯船の平均的な温度はなんと47℃と激熱です。しかも、飯坂温泉の共同浴場の中ではこれがぬるめに相当するというから驚くのも無理はない。

今回の訪問は初夏ですが、いや、たとえ冬場であっても相当に熱いレベルであるには変わりはないです。なので、これからの季節だとちょっときついかもしれません。

ほりえや旅館に泊まる

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ほりえや旅館 全景。右奥に見えるのが共同浴場の鯖湖湯。

飯坂温泉 ほりえや旅館

飯坂温泉駅前の通りを左へ進み、古い建物や足湯がある一角にほりえや旅館はあります。

まず目に入るのは、その特徴的な木造3階建ての風貌。

近年ではめっきり数が少なくなっている木造3階建ての旅館がここには残っていて、しかも温泉街の中心地を望めるところに佇んでいる。私は旅館の立地について考える機会は少ないですが、それでもほりえや旅館の立地は非常に印象的に思えました。

なぜかというと、この通りは人通りが多いこともあって、人々がほりえや旅館を目にする機会がとても多いからです。この辺りには宿が多いので必然的に宿泊者が集中するし、飯坂温泉に宿泊しない場合であっても、すぐそこに有名な鯖湖湯があるので観光客も多く通行する。

いわば、飯坂温泉におけるランドマーク的な存在感がある旅館、それがほりえや旅館なんじゃないかなと感じました。

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ほりえや旅館のすぐ前には鯖湖神社がある

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鯖湖湯も木造で雰囲気がいいです

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鯖湖神社を正面から

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というか、ほりえや旅館がある場所が飯坂温泉の発祥の地のようです。

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ほりえや旅館は交差点の隅に建っているのですが、遠目からでもわかりやすい

ここからは早速投宿していくんですけど、その前段階ですでに飯坂温泉の雰囲気が好きになってしまった。

温泉"街"といえばやはり移動は歩きになるわけで、町としての歩きやすさ、散策のしやすさは結構重要だったりします。歩きがメインなのに交通量がめっちゃ多いと次第に歩きたくなくなってくるし、なんかこう、歩いていて楽しいと思えるような要素があると嬉しい。

ほりえや旅館の周辺は、この点に関してはとても良くて、足湯もあれば神社もあるし、ちょっと一休みするようなベンチもあります。しかも町並み自体がこじんまりとしているので、自分からすると「歩くのが楽しくなってくる」町だ。

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玄関

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看板猫の風ちゃん

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で、満を持しての投宿です。

通常通り玄関から中に入っていく際に、玄関先で寝ている猫ちゃんを発見。

この子は、ほりえや旅館の看板猫の風ちゃんといって、屋根裏に住んでいた野良猫のうちの一匹とのことです。他の子と違って風ちゃんは里親が見つからなかったため、飼うことになったそう。

元野良猫ということもあって、なかなか撫でさせてもらえなかったり、思いっきり不審者を見るような目つきで見られたりと結構塩対応でした(かなしい)。リードを常に付けているので行動範囲としては玄関周辺のみとなりますが、猫的にはどうなんでしょうね。ストレス溜まったりしないのかな。

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玄関土間と1階部分。右奥の部屋がご家族の生活スペースになっている

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帳場には黒電話(現役)と、その横にもっと古い電話があって驚きました

そして、玄関から中に入った様子がこちら。

玄関土間には猫ちゃんグッズが置かれているほか、1階部分が右手方向に続いています。しかし、部屋としては右奥にあるところしかなく、客室はすべて2階より上に位置しているようでした。

あと、玄関正面には一応帳場もありますが、ここに人が常駐しているわけではなかったです。玄関をくぐると右奥の部屋からご主人が出てこられたので、そこで宿泊の際の手続きをしました。

ところで。

上に載せた玄関の写真、なんかキャラクターが写ってると気づいた方は鋭い。

そう、この飯坂温泉は世間一般的な温泉街としての側面の他に、もう一つの「顔」があるんです。

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壁を埋め尽くすほどの「温泉むすめ」の展示物

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何も知らずにここを訪れた場合はびっくりすると思う

それが、全国各地の温泉を擬人化した温泉むすめの存在。

以前有馬温泉を訪れたときにちらっと見たことはあったのですが、どうやら2016年から各地の温泉が次々に"擬人化"されており、グッズ化もめちゃくちゃ盛んに行われてるんです。しかも単に擬人化しただけに留まらなくて、ボイスもちゃんとついているという本格っぷり。

で、こういうのが好きな方はグッズや展示を目当てに旅行をし、宿泊やグッズ購入で地方にお金を落としてくれるという流れです。いわば、温泉地と旅行者でWin-WInな関係が得られて両方ハッピーになれる、という素晴らしい取り組みだと思いました。

onsen-musume.jp

こういうのって、素敵ですよね。

ただでさえ今では国内旅行をする人が少なくなっており、特に若い人はそれが顕著。コロナ渦で地方の経済は甚大な打撃を受けているということもあるので、いかにして旅行をしてもらうかが重要になってくるのは明白じゃないですか。それを「温泉のキャラクター化」という点に目をつけて、しかも何回も足を運んでくれるように工夫がされている。

金を持っている層に来てもらうのはやはり効果的だし、単純にキャラが可愛い(重要)のは良いと感じました。自分も、今度からは温泉地を調べるときに温泉むすめの存在を留意するようにしようかな。

で、この飯坂温泉のキャラクターは飯坂真尋という名前です。説明を読むと姉御肌で、運動神経が良くて頭もいい万能キャラっぽい。

飯坂真尋 | 温泉むすめ公式サイト

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帳場横にはなぜかガルパンの展示が…

ご主人に話を伺ったところ、こうした「町おこし」関連で、全国で同じような取り組みをされている自治体とのつながりは深いとのことでした。それは単純な経営サイドだけの話というわけでもなくて、そういうファンの方からもグッズをいただくことが多いらしいです。

上に示した玄関横の展示スペースのグッズもそうだし、帳場横には茨城県大洗町のガルパンの展示もあったりして、いずれもほりえや旅館に宿泊したファンからの寄贈によるもの。これを交流という面でみると、同じ目的かつ同じ趣向な人同士が簡単に繋がれている。本当にいい時代になったものだ。

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ほりえや旅館の目の前にある土産物屋の展示

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鯖湖神社の絵馬

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そんな飯坂温泉の町並みには至るところに"飯坂真尋ちゃん"が溢れていて、おそらくどこに泊まっても、どこを訪れてもこんな感じだと思います。

ほりえや旅館のご主人がまず熱心な方だし、観光地の売り方としては今後はこういう方向が主流になっていくのかもしれません。

投宿

えーと、どこまで話しましたっけ。

そう、帳場で記帳していたら玄関横に大きな展示スペースを見つけて驚いた…と。温泉むすめの存在感の大きさに驚いたと。そこまででしたね。つまり今自分はまだ1階にいるわけだ。

回りを見渡してみましょう。

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創業当時のほりえや旅館

ほりえや旅館の創業は、なんと明治15年。

明治15年というと1882年なので、今からおよそ140年前からすでにあったということになります。2階へ続く階段の横にはその当時の写真が飾ってあって、昔からずっと3階建てだったことがわかりました。見たところ、2階と3階は回り廊下になっていて、その廊下の内側に客室がある構造になっていたようです。

翻って現在では、3階部分は当時と同じように回り廊下になっているものの、2階の回り廊下は2階の客室を拡充する際に消滅しています。でも、その名残ともいえる部分が今でも残っていて、それもまた面白いものでした。これについてはPart 2で書きます。

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2階への階段

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2階部分

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3階廊下。通りに面している

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今回泊まった3階の「壱番」の客室

1階から2階、そして2階から3階へと階段を上り、今回泊まることになる客室へ。

泊まったのは3階へ続く階段を上がってすぐのところにある「壱番」の客室で、ほりえや旅館の最上階に位置する眺めがよいところでした。

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客室の様子

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ここにも真尋ちゃんおる

客室の様子はこんな感じで、広さはなんと12畳もあって快適そのもの。むしろ一人で使って良いんですか感が先行してしまう。

ほりえや旅館は、その外観から推察したよりも意外にも客室数が少なく、後から散策した結果では2階に3部屋、3階に2部屋しかありませんでした。その分一部屋あたりの広さはかなりのもので、泊まる側としては心地よく過ごせる感じ。

ちなみに、廊下との仕切りは障子戸のみで、鍵はないシンプルな造りです。

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3階廊下からの眺め。障子戸を開ければすぐにこれが味わえる。

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そして、なんといっても素晴らしいのがその眺め。

さっき参拝した鯖湖神社も含め、大通りの様子がよく見えます。特に夕方以降になるとお隣の鯖湖湯に入りに来る人が多く、ここからその景色を見ながらお茶を飲むのが結構快感でした。

木造3階建て旅館の3階に泊まり、そこからの景色を楽しむ。3階建ての旅館がまず絶対数的に少ないわけだし、そこに泊まる機会があったのなら、ぜひとも2階ではなく3階に泊まりたいと考えるのが普通の流れだ。今回は意図せずして3階をあてがっていただき、本当に感謝しかないです。

で、兎にも角にも飯坂温泉での滞在がスタートした。次回は、ほりえや旅館の館内をちょっと散策してみることにします。

つづく。