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旅の記録、宿泊先や行程とか

霊泉寺温泉 松屋旅館 山間の静かで家庭的な旅館に泊まってきた

霊泉寺温泉を再訪

今回は、長野県上田市にある霊泉寺温泉の松屋旅館に泊まってきました。

上田市には別所温泉や鹿教湯温泉などの有名な温泉地に隠れるように霊泉寺温泉という温泉街が存在していて、以前一度訪れてからその魅力に取りつかれてしまった場所の一つ。全体的に観光地という雰囲気がまるでなく、入りに来ている方もほとんどが地元の方という隠れスポットのような位置づけでした。

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霊泉寺温泉街。左にあるのが共同浴場。

自分としては宿泊するならこういう場所の方が好きで、日頃の喧騒から離れてゆったりと時間を過ごすにはこれ以上ないと言えます。

霊泉寺温泉には旅館が4軒あって、前回泊まったのは温泉街の一番手前にある遊楽でした。今回は逆に、温泉街の一番奥にある松屋旅館に泊まってきたのでその様子をつらつら書くことにします。

旅館案内 | 信州上田 霊泉寺温泉

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松屋旅館 外観

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建物側面。正面玄関がある棟だけでなく、奥に2つほど別の棟が繋がっている。

国道254号から脇道へ逸れ、川沿いに道を遡っていった先にある霊泉寺。

その奥には細い道の両脇に建物が並んだ一帯があり、このこじんまりとした温泉街が霊泉寺温泉です。温泉街の奥には共同浴場があって、松屋旅館はその更に奥側にありました。

建物としては、正面に見える横長の棟の向こう側にさらに棟が2つ繋がっています。

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主に利用することになるのはこの正面の棟で、1階が帳場や厨房、旅館の方の居間で2階が宿泊者のスペースという分かりやすい造り。なお、旅館ではなく家としての玄関は右側に進んでいった先にありました。

あと全然関係ないんですが、こうやって旅館の前をうろうろしていても観光客の人影がまったく見えない。

そもそも旅館の数が少ないので理解できる点ではあるけど、ここまで地元の方のみの温泉街はなかなかないとさえ思ってしまう。すぐ近くに別の大きな温泉街があるのが理由の一つなんでしょうか。

館内散策

それでは早速館内へ。

チェックインは15時から可能です。

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玄関

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玄関が建物の一番左端にあるので、玄関を入った後の動線は当然ながら右方向へと続いています。玄関土間は玄関入り口から段を2つ上ったところに広がっていて、土間の左側に靴箱。この「段を上る」というのが個人的には珍しくて、昔ながらの雰囲気を感じました。

この日の宿泊者は自分を含めて3組で、一日の最大宿泊数もおそらくそれくらいだと思いますが、それと比較すると玄関部分はかなり広いと感じました。もっとも、今ではもう利用していない客室は多い様子だったのでその名残かもしれません。

玄関の奥には帳場があり、その左側に本棚があります。

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右側の廊下を進んでいくと居間や厨房がある。客室へは左側の階段を上る。

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改めて思ったこととして、旅館の玄関って旅館の中でも客が居るときと居ないときの差が激しいところだと思う。

客が居ないときは上の写真みたいに静まり返っていて、玄関戸から入ってくる柔らかい日光が玄関周辺を照らしている。でも客が訪問してきたとき、逆に日が明けて客が去っていくときは途端に人通りが生まれ、客と旅館サイドで会話もしたりして賑やかになる。その差がなんかいいというか。

玄関は外側と館内を隔てる特別なところなわけですが、宿泊施設…特に旅館はそんなに人の出入りが頻繁にあるわけではない。だからなおさらそれが際立つのかもしれません。たぶん。

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階段を上がって2階へ

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2階廊下

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階段部分の窓ガラスの木枠が古めかしくて良い

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階段を上がった先はこんな感じで、廊下を挟んで建物正面側に客室が並んでいます。壁については塗装されているものの、柱や天井は木がそのまま使われていて昔のまま。新しすぎない構造が好きになりました。

廊下を建物奥側に進むと別の階段を経て温泉へ、手前に向かうと曲がり角の先に洗面所やトイレがあります。基本的に現在ではこの2階部分の客室しか使用されていないようなので、もっとも人の通行があるのがこの廊下部分だと思います。

ちょっと気になった点としては、先程歩いてきた1階の広々とした玄関とは対象的な「狭さ」を感じること。階段や廊下は幅が人一人分しかなく、向こうから人が歩いてきた場合はすれ違いが難しくなりそうです。

しかし、これが窮屈に感じるのかというとそうでもない。むしろ壁や天井を近くに感じられる分、旅館の中を歩いて移動している感が強まっていて良いと思いました。個人的に、館内が適度に狭いのは逆に心地よい。

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今回泊まった5号室

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部屋からの眺め

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布団が入っている押し入れは広縁にありました。なんか珍しい。

今回泊まったのは、廊下を手前に歩いていった突き当たりにある5号室。広さは8畳で、位置的には玄関の真上にあたります。

すでに敷かれている布団、炬燵完備、広縁のようなスペースがあったりと、部屋でくつろぐにあたって憂うことはなにもない。やっぱり冬においては炬燵の有無はかなり重要で、炬燵に入ってぬくぬくしながらテレビとか見たりするのが一番快適です。

これはどうやってもエアコンにはない要素だし、個人的には冬の旅館には炬燵があってほしい。

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炬燵たまんねぇ…。

客室備え付けの電話は使い方が分からない人もいそうな黒電話だったり、部屋には外鍵がなかったり(内側からかけられる鍵はある)とレトロな要素もしっかりあります。また部屋の目の前には共同浴場があって、旅館からすぐに入りに行けるのもいいですね。

温泉

部屋で少しまったりした後、浴衣に着替えて温泉へ。

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3階廊下

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脱衣所

温泉は客室がある2階からさらに上に上がった3階、それも別棟にあります。別棟にもいくつか客室がありますが、すでに述べた通り別棟は温泉のみが使用されている様子。

3階廊下の手前側が男湯、突き当りが女湯になっています。

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温泉の様子

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霊泉寺温泉の温泉はカルシウム・ナトリウムー硫酸塩温泉(低張性弱アルカリ性温泉)で、源泉の温度は38.5℃。色はほぼ無色透明でした。100%源泉かけ流しなので湯船には常に源泉が注がれていて、あふれた湯が結構な勢いで流れていっています。なお入れる時間は22時までで、朝は6時から。

霊泉寺温泉ならではの熱くもなく、ぬるくもない絶妙な温度が最高に気持ちよく、普通に浸かっているだけでも冗談抜きに上がるタイミングを見失ってしまう。実際に入るまでは冬なのでちょっと熱めの方がいいかなと思ってましたが、長く入れるという意味ではまさに狙ったような温度だと思います。

例えば温度が熱い湯だと夏場などは長湯が難しいし、逆に冷泉でぬるすぎれば冬場は厳しい。霊泉寺温泉の温泉はその中間的な温度になっていてどの季節でも違和感なく入れるため、強いて言えばシーズンは一年中といったところでしょうか。

また、この棟自体が霊泉寺温泉の中で一番高いため、浴室からの眺めが際立って良いのも特徴の一つ。温泉街の散策時や客室とは一味違った景色を見ることができて、霊泉寺温泉街が山の中にあるということが実感しやすかった。

宿泊人数は多いとは言えないので、温泉に入りに行くタイミングを選べば結構な時間を独占状態で過ごすことができます。今回はチェックインした後にすぐに入りに行ったので、夕食までほとんど一人だけで温泉に入ってました。

夕食~翌朝

温泉の後はお待ちかねの夕食の時間。

夕食は部屋食で、部屋で待っていれば持ってきてくれます。

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夕食の内容

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夕食の献立は一言でいうと豪華で、汁物は鯉こくでさらに鯉の洗い、塩焼き、天ぷら、鍋などなど。あと小鉢や茶碗蒸しにはきのこが入っており、山々に囲まれた立地を活かした料理ばかりでご飯が進みました。

こういう土地に来て肉だの刺し身だのを求める人もいないと思うし、ただ一時の滞在とはいえその土地の食を満喫できるのは満足度が高い。きっちりご飯のおかわりもして、最後まで夕食を楽しみました。

夕食後は、再度温泉に入るなどしてから就寝。


久しぶりの霊泉寺温泉再訪となったわけだけど、温泉街にはやっぱり何もない(店が一軒もない)し夜は物音がまったくしない。物音に至っては本当に温泉街なのか?と思うくらいに静まり返っていて、静かな環境が好きな自分でもなかなか出会ったことのない静寂が広がっている。

だが、何もないからこそ価値があると思う。この独特の雰囲気は年月が過ぎても変わらないでいてほしい。

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朝食の内容

翌日。

朝起きて顔を洗いに行こうすると戸の前に替えのポットとお茶が置いてあり、女将さんの心遣いに感謝した。

朝食前、朝食後とまた温泉に入りに行き、温泉の影響で朝食で膨れたお腹が若干減っているのが分かる。もう運動しなくても温泉に入りまくっていれば身体には良いんじゃないかと思えてくるレベル。

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夜の間に雪が降ったらしい

こんな感じで、松屋旅館での一夜は終了。

昨日の天気とは打って変わり、わずかに残雪が残る道を上田方面に走って帰路につきました。

おわりに

霊泉寺温泉 松屋旅館は静かな山の中の温泉街の端に位置していて、入りやすい温度の温泉と展望が特徴の旅館。

料理も美味しくて雰囲気もよく、一泊と言わずに二泊くらいはしたくなってくるほど落ち着けました。ご高齢の女将さんもとても優しくて、私がチェックイン後に散策に出かけようとしたときは「サンダル貸しましょうか?」と言ってくださったり、チェックアウト時にはおみやげ(りんご)を頂いたりと思い出に残りました。

毎年欠かさず泊まりに来る人も多いという旅館、その魅力が自分も理解できたような気がします。

おしまい。

旅館案内 | 信州上田 霊泉寺温泉