今回はタイトルの通り、機材を更新した話です。
交換の背景
KUALIS CYCLES TITANIUM ROADと同時期にカーボンホイールであるENVE SES 3.4を採用して以降、当初の目的通りに楽しく走ることができています。
特に自分のライドでは舗装路だけではなく軽く荒れた路面を走ることも少なくなく、まあ林道とか険道、酷道も普通に走っていれば当然という感じ。そんな中でENVEリムの堅牢さを自分は信頼しているので、大活躍してくれていると思っています。
ただ運用に際して当時から計画していたことがあり、それはハブをChris king(クリスキング)にすること。
今更言うことでもないですが、ロードバイクにおける回転体にはChris kingを使っておけば間違いないと言われています。
Chris kingのヘッドパーツやBB、ハブは耐久性が高くて回転性能が長持ちする点でバランスがとても良く、実際にクロモリバイクで採用していたChris kingのヘッドパーツ(No Thread Set)は最初から最後までガタが出ませんでした。あまりに気に入ったのでKUALISにも引き続き採用したくらい。
長く使い続けてほしいという理念のもとに設計され、自分のバイクを一段階"上"のレベルに押し上げてくれる存在。それがChris kingの製品じゃないかなと思います。
で、話は変わってオーダーフレームの話。
とにかく効率化やエアロ効果に重点を置いたプロ向けのロードバイクが多く発売されている昨今ですが、対称的に自分は気持ちのいい乗り心地や操作性などの「数値化できないもの」を求めてKUALISをオーダーしました。
趣味でロードバイクに乗っているのだから、自分が乗りたいバイクで楽しく走りたい。だから構成パーツも自分が満足するまで凝りたいという気持ちがあります。
頑丈さとメンテナンス性の良さを併せ持つChris kingに惹かれ、いつしかENVE SES 3.4に使用されていたDT SWISS 240SをChris kingに交換することを決めたのでした。
リムブレーキのChris kingハブ(R45)はもう生産終了しているため入手は困難ですが、中古品なら市場を探せば比較的見つけやすいと思います。
交換にあたっては当然ながらリムを流用するので、ホール数が合うものでなければなりません。今回はちょっと一ヶ月ほど探してみたところ、状態の良いフロント20H・リア24Hのハブを無事に発見できました。
価格も新品に比べれば半額以下となって、交換が低予算で可能ならばそれに越したことはない。ちなみに新品は今でも場所によっては購入可能であるものの、リアハブだけで10万円くらいします。
Circlesでの打ち合わせ
モノは揃ったので早速交換するかという段階で、悩んだのがどこに交換を依頼するのかということ。ホイールを組み替えるわけなのでそれなりの技量を持っているショップに頼みたいし、付け加えるとするならChris king製品に詳しいところがいい。
そういう背景のもと、今回は名古屋市中区にあるCirclesにお願いすることにしました。
調べた限りでは、比較的近場にあるショップだとこちらが一番頼りになるっぽいです。たまにSNSでもCirclesを訪問しましたという方が流れてきたりもして、以前から気になっていたところでした。
というわけで事前にメールでアポを取ってから訪問。
接してくれた方と色々お話をし、なんやかんやあってホイール組み換えの話はトントン拍子で進みました。あと、組み替えと同時にR45ハブのメンテナンスも行ってもらうことに。
ハブを交換するとスポーク長さが変わるのでスポークも全交換することになるのですが、せっかくなので自分のライドに合ったスポークを選定してもらいました。
組み換えはCirclesのホイール組み部門である"Gorilla Spun"が行われるということで、持参した現ホイールとR45ハブを預けてこの日は終了。後は完成するのを待つだけです。
CirclesはChris kingの製品の品揃えの良さや仕様の詳細な把握に加え、内部パーツ(スモールパーツ)の在庫もしっかり確保されています。
例えばハブ内部のOリングが損傷しているので交換したいとなった時、他ショップなら問屋経由でしか入手できないところがCirclesなら店内在庫がありました(まさに今回そうだった)。
長く使うのが前提=Chris king社が交換部品を提供しているとはいえ、じゃあ日本国内でそれらが入手しやすいかというのはまた別の話。その点では、Circlesの提案力・対応力の高さは今後のメンテナンス時に交換要のパーツが出てきた際にも頼りになるはず。
ENVE & Chris King R45
そういう過程のもと、完成したホイールはこちら。
素晴らしい…!
ENVEリムにChris king R45ハブという質実剛健なホイール構成。これは旅バイクにおける最適解の一つではないだろうか。
ホイールの仕様としては下記の通りです。
- Rim: ENVE SES 3.4
- Hub: CHRIS KING R45
- Spoke: DT SWISS Champion #14 (2.0mm)
- Front: 20H, 0クロス(ラジアル組み)
- Rear: 24H, 2クロス(イタリアン)
- Nipple: ENVE Internal Nipple
20H/24Hということもあってホイールの組み方は変更してませんが、スポークはSAPIM CX-RAYから DT SWISS Championに変更しました。
Circles曰くChampionはDT SWISSスポークの中でも最もスタンダードであって、万能かつ強度や精度に優れたスポークとのこと。舗装路を走るスピード重視のライドならエアロスポークのCX-RAYが向いているのに対して、自分のように色んな道を走る旅バイクだとラウンドスポーク(円形断面)のこっちの方がおすすめっぽいです。
スポーク自体の価格は手頃で採用に踏み切りやすかったので、ホイールに詳しいプロの言葉を重視することにしました。あと用途を伝えるのみでスポークテンションも完全にお任せにしたけど、こういうのは餅は餅屋。まあ自分が知らなさすぎるというのもあるが…。
ちょっと乗ってみた感じでは、やっぱりChris kingハブならではのラチェット音がいいですね。音がDT 240Sと明らかに違うので分かりやすく、確かに噂に聞いていた通りの"Angry bee sound"だ。
音の大きさについてはグリスアップ直後なのでまだ安定していない感じで、乗っていくうちに落ち着いてくるはず。乗り心地などについては、今後の旅で検証していく予定です。
TPUチューブ
今回から、常用するチューブをブチルチューブからRidenowのTPUチューブに変えました。
RidenowのTPUチューブは16g, 24g, 36g, 45gがあって、リムブレーキで普段使いするなら36gが良いと思ったのでこれを採用。
今回っていうか、実は2ヶ月前から試験的に使っていました。印象としては以下のような感じ。
- 漕ぎ出しの軽さや加速時の応答の早さなど、確かにホイールの回転が軽くなったような感覚がある。
- 今まで使っていたContinentalのRace28と比較して、路面の振動は拾いやすくなった。なので暫定的に空気圧を0.5barほど下げた。
- インストールは普通のブチルチューブと大して変わらないので楽。
TPUチューブは最近になって注目を浴びてきた感がある一方で、製品によっては一本数千円くらいするので採用するにはハードルが高いです。その点、Ridenowはアリエクで買うと一本1,200円くらいだったのでまあ安めかなと。
一番気になっていたのが「カーボンホイール+リムブレーキの組み合わせで問題ないのか」という点ですが、今までと全く同じようにブレーキングをしていて懸念点は見つかりません。導入してから本格的にダウンヒルをしたのが三瓶山からの下りくらいしかないものの、今のところは問題ないという認識です。
手組ホイールの良さ
重量的、空力的に優れている完組ホイールが世の中にたくさん存在する一方で、ホイールを「道具」として使用していくのであれば、性能だけではなく運用のことにも目を向ける必要がある。
具体的に言うとまず壊れにくさはどうか、次に壊れた場合に修理が楽かということ。これは別にホイールに限った話ではなく、日常や仕事においても各人が考えられている事項だと思います。
趣味でロードバイクに乗るということは何もかも自分の金で購入しなくてはならず、もしものときに原状復帰できない道具を使い続けるのは富豪以外には現実的ではない。
上記の視点で今回組んだ手組ホイールを見てみると、まずリムやスポークは高強度で一定以上の壊れにくさがあります。
さらにスポークに関してはおそらくどこでも手に入るような汎用性があって、価格も安価。ハブについても長く使う前提の製品である上、交換用のスモールパーツも揃っている。従って万が一の場合にも修理が楽という強みがある。
自分で考えた方針に従って、「自分のための」道具類を揃えていく。趣味ってこういうことを考えている時間が一番楽しいような気がするな。
おしまい。
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