【白馬~糸魚川~入善町~富山】「舟川&松川の桜」ロードバイクで冠雪した北アルプスと満開の桜並木を巡ってきた

今回は、冬から春になるタイミングを見計らって北アルプス周辺を走ってきました。

本来は長野県だけで行程を完結させるつもりが、結果的には長野・新潟・富山の三県をまたがる充実したライドになったという話。

登山を趣味としている者にとって長野県はいわば聖地みたいなもので、ここで説明する必要はないくらいに北アルプスの名だたる名峰が連なっています。そんな長野県には岐阜県からだと簡単にアクセス可能で、気軽に3000m級の山々に登りに行けるのはQoLの向上に如実に繋がっていたり。アクティビティをやる環境としてはとても幸せです。

で、そんな北アルプスは自分の脚で登るのも楽しい一方で、松本市~安曇野市~白馬村あたりからの眺めがまたとてつもなく良い。特にこの時期だと、頂上付近が冠雪した北アルプスの景色を見ることができるんです。

冬が終わればこの眺めも終わりになってしまうということで、季節的には春になったばかりだけと「冬」を実感しに行ってきました。行程の後半における富山県では満開の桜の花見もできて、まさに冬と春を同時に満喫できたという形です。

もくじ

早朝の白馬から新潟へ

今回の行程は至極単純で、長野県の白馬村を出発して国道沿いに日本海へと北上し、糸魚川市に着いたら今度は西へと走って富山を目指します。糸魚川市から朝日町の間では、断崖絶壁で有名な北陸最大の難所・親不知子不知を通過しました。

富山県に入ってからは西へ向かいつつ、ちょうど見頃になっている桜並木を巡って最終的に富山駅にゴール。この日は北東の風がとんでもなく強いという予報を見ていたので、移動が楽になる進行方向を選ぶとしたらこれはベストかな。

風速6mとか7mとか逆風の中を走るのももちろん良い体験にはなるけど、趣味としてロードバイクに乗っている身からするとそんな苦労は最小限でいい。

白馬大橋からの眺め

そんなこんなで、早速出発。

早朝の白馬村は思った以上に寒く、標高の高さを甘く見ていました。でも次第に太陽が上ってくれば徐々に気温も上がってきて、白馬大橋に到着するくらいにはちょうどいい暖かさ。これも春という季節の恩恵か。

白馬大橋の上からの眺めは、もう100点満点。

バックの雲ひとつない青空に映えるような白さがそこにはあって、コントラスト的にも北アルプスの存在感を際立たせている。ただでさえ冬場は空気が澄んでいて美味しいのに、向こう側に見えるカッチリとした山々の景色がプラスされて最高すぎる。

今日の行程をまとめると、この長野県側から見た北アルプス(白馬三山)をちょうど山の反対側、富山県側からも眺めることになります。地図で見るとこれは一目瞭然で、富山県の朝日町や入善町はちょうど真反対に位置しています。分かりやすいね。

同じ北アルプスなのは北アルプスなんだけど、眺める視点が異なれば抱く感想も自然と変わってくる。これほど高い山を別の角度から見るのはあんまり経験がなくて、まだ走り始めて間もないのに興奮が止まらない。

長野県は県内のどこからでも高い山が見えるものの、国道148号沿いはその中でも群をぬいて景色が良いと思っています。

道のすぐ両側に高い山がそびえていて、その手前側には他に高いものがないので結果的に真正面にそれが見えることになる。何もかもが透き通るような綺麗さがあって、息を飲みました。

こういう道が無限に続く

一通り白馬の景色を満喫した後は、国道に合流して北上。

この国道148号は基本的に走りやすい道なんですが、長野県小谷村を超えて新潟県糸魚川市に向かうまでは割と地獄でした。トンネルや片洞門(洞門?)がとんでもなく多く、路肩も無いに等しいのでロードバイクで走るのはかなり怖いです。

ただでさえトンネル内は狭くて車との接触が恐ろしいのに、そのトンネルが長くて連続するとなれば恐怖も倍増するというもの。さっさと通過するに限るのでノンストップでした。

似たようなシチュエーションの道を挙げると、岐阜県から北上して富山県に向かう国道156号とか国道360号、国道41号とかと全く同じ。いずれも山が密集している日本の真ん中付近を南北に縦断する道なので、似たような状況になるのはある意味で当然なのかも。

遠くに霞んで見えるのは黒姫山

なんか精神的に満身創痍になりながら、無事に糸魚川に到着。完全な山間部から日本海を一望する海沿いへとやってきたということで、一段落です。

この日本海に注いでいる姫川という川、これは実はスタート地点である白馬からずっと流れてきた松川が名前を変えた存在です。国道148号を走っていく中ではこの姫川の存在がずっと傍にあって、つまりここが川の終点。

あるポイントの景色だけに着目しているとあまり気が付かないけど、ロードバイクでの移動だと地形的な移り変わりを認識しやすいと思う。特に川は分かりやすくて、10kmとか20kmとかを走っていくにつれて明確にその規模が変化してくる。

今回の姫川の場合は、行程の途中で川から海へと遷移していく過程を目の当たりにすることができました。有名なスポットという局所だけでなく、長い距離のスパンで移動そのものを楽しめるのがロードバイクによる移動の良さの一つ。

天下の険、親不知と子不知海岸を抜ける

距離的にはまだ全然走っていないので、そのまま国道148号から国道8号へと移って今度は西へ。日本海沿いへと移ったことで視界がだいぶ開けてきて、海の近く…というか海のスレッスレに通っている道を走っていくことになる。

あと国道8号は日本海側の町を繋いでいる大動脈みたいな道なので、交通量も一気に増えます。大きなトラックもバンバン通るし、そこに自転車として混じって走るのはかなりの緊張感がありました。

ただ、この国道8号が個人的には走っていてかなり気持ちよかった。

周りを見渡すと完全に山に囲まれた山域から離れ、視界の右半分に常に海が見えるというシチュエーションがとにかく良すぎる。しかも糸魚川~富山間は海岸線がグネっているわけでもなく結構平滑なので、視界の広さがより一層強調されて感じられる。

一言でいえば「開放感」ということになるけど、この春先の気温も相まって、走りそのものが快適でした。

日本海の圧倒的な広さを感じられる

この区間は海のすぐ近くから山が立ち上っていて、海と陸地の境界付近は例外なく断崖絶壁。道をつくる際に、その道幅を十分に確保するのがとても難しくなっています。

従ってトンネルや片洞門、あと切り立った箇所には橋梁が非常に多く、この要素だけ切り取ればさっき走ってきた白馬~糸魚川間と大きな差異はない。でもそれらを抜けた先の景色が明らかに異なっていて、地平線の奥の奥まで何にも見えないくらいに広い日本海が広がってるんです。これがもう好きすぎた。

場所によっては道の端に歩道が設けられているので、ちょっと時間を忘れて海を眺めたりもしていました。一般的な海だったら何かしらの島や漁船などが見えたりするところが、ここで見えるのは日本海と青空だけ。

洞門という閉塞空間を抜けた先の空間がこれなのだから、自然の巨大さを実感しないわけがない。

視界の中を構成する要素が極限までシンプルになっていて、これはこれで十分すぎるほど見ごたえがある。シンプルさがゆえに日本海の美しさも極まっているようで、ここには一般的にイメージするような日本海の荒々しさは微塵もない。

はっきりとは説明しづらいけど、ここは景色というよりは単純に「道」として優れていると感じました。

親不知駅
北陸自動車道が並走
道の駅の巨大亀

今までは存在を感じなかった北陸自動車道がここに来て登場してきて、国道は陸地なんだけど高速は海上…という珍しい光景に出会いました。山側に通すのは限度があるようで、道の方から無理やり海上に逃げてきた感がある。

その後は、道の駅 親不知ビアパークに立ち寄って小休止。

走りながらここの存在を知ったときは昼食にしようと思ったけど、まだ開店時間ではなかったのでやむなく出発しました。計画性のない旅は自由である一方で、こういう風に昼食難民になる可能性もあるから注意しないといけない。


そして、この先にあるのが親不知・子不知という名前のスポットです。

糸魚川~富山間の断崖絶壁感は今までの道中でも結構味わってきましたが、その中でも「天下の険」として知られているのがこの親不知・子不知海岸。かつては北陸道最大の難所で、その険しい道のりと荒波が旅人の行く手を阻んでいました。

今でこそ国道8号や北陸自動車道、そして鉄道も走っているので通行するのに支障はないものの、展望台をはじめとした海沿いからはその海岸線を眺めることができます。

親不知

展望台から見える親不知の様子がこちら。

親不知についてはこの展望台からの眺めが一番良いらしく、そう言われてみれば海と陸地のバランスがいい感じに整ってます。逆に言うとこれくらい開けているところがここにしかないわけで、地形としての険しさが感じられる。

ちなみに旧北陸道は眼下に見える波打ち際そのもので、歩いて通れるところはほとんど見られません。昔はここを歩いていたって本当なのか??にわかには信じがたい。。

この一角だけ見ても、ここに道を通そうと考えること自体に無理がありそうな気がしてくる。日本海側は太平洋側に比べると波風が激しいイメージだし、特に昔は通るのも命がけだったのだろう。

その後は国道8号の途中に位置する天嶮トンネルを横目に、海側へと続いている親不知コミュニティロードへ。ここはかつて旧国道として利用されていた道を、遊歩道として整備したところです。

コミュニティロード周辺は「道」の開拓の歴史がまるごと詰まっており、波打ち際の旧北陸道、この旧国道、そして後に造られた現在の国道8号、そして北陸自動車道と、海から内陸部にいくにつれて新しくなる4本の道が通っていました。

ロードバイクで旅をしていると常々感じることとして、ロードバイクは道のあるところしか走ることができない。つまり先人の開拓の歴史があってこそ今の自分が便利に通ることができているわけで、それを忘れてはいけないと思います。

親不知レンガトンネル

コミュニティロードの途中で、またしても寄り道。途中にある階段をしばらく下っていくと、大正時代に竣工された親不知レンガトンネルがあります。

周囲を見渡してもおよそ線路が通っているような地形ではなく、まさかこんな場所に断崖をぶち抜いた鉄道トンネルが存在していたなんて…と驚きました。車が通れるような平坦な道を造るのも困難なのに、直線上にトンネルを掘る苦労は想像するだけでも大変。

ただ物資の輸送という観点から見れば、道も鉄道網もなくてはならないもの。産業や経済の発展のためには必要不可欠で、その結果として生まれた道を実際に走ることで、少しは歴史を勉強できたような気がする。

今回の旅は白馬と富山がメインで、その間の区間は素通りする予定だった。でも訪れてみて初めて存在を知ったものもあって、ロードバイク旅はこれだから面白い。

閉塞感のある区間がとても長くて精神的にやられる

その後もトンネル+洞門地獄は続き、大型車両が横をバンバン通る中を割と必死に走って富山県にイン。道そのものは適度にアップダウンもあって楽しいものの、いかんせん国道に見合った交通量の多さが自分にとっては怖かった。

なかなかハードな行程だったけど、ひとまず危険なゾーンはこれで終了。ここからゴール地点となる富山まではグッと視界が開けるので、さっきまでが嘘みたいにのびのびと走れました。

富山の桜を巡って

白馬から糸魚川を経由して富山県朝日町に入った時点で、ここまでの思い出としてはトンネルの存在が80%以上を占めている。なんせ走ってきた道はずっとトンネルがセットになっていたし、やっとその区間が終わったといっても、すぐには気持ちを切り替えられそうにない。

ではどうするか。

そういう精神状態になるのは走り始める前に予め予想していたので、「富山県に入ったら花見をする」と決めていました。道の存在に注目した後は、今度は打って変わって色鮮やかな春らしさを全身で実感していこう。

自分の性格として、似たようなシチュエーションや風景が連続するとどうしても飽きてしまう。ましてや今回の場合は精神的にも若干消耗があるので、それを回復させるにはやはり桜が一番だという結論になりました。

訪れたのは、朝日町の舟川という川沿いに広がる桜並木(通称:舟川べり桜並木)です。

富山県内でも屈指の桜スポットとして知られており、雪の残る北アルプスをバックにして桜並木が広がっているのがまず良すぎる。

あの山々は今日の最初に眺めた白馬三山で、こうして朝とは逆の方向から見ることができてほんと感無量。移動してきた感をここまで感じられるのも、なかなかない。以前富山を走ったときはかなり遠くに北アルプスが見ていたのが、今回は少し近くに見えます。

さらに美しいのが、桜並木に加えてチューリップや菜の花の畑があるということ。以上の要素を合わせて「あさひ舟川の春の四重奏」と呼ばれており、冬が終わったことを告げる朝日町の春の風物詩がここなんです。

基本的に桜以外の植物の開花はちょっとラグがあり、例年なかなか四重奏にはならないっぽいものの、それでも十分すぎるほどの絶景を満喫することができました。

このあたりはこれから次第に咲いてくるみたい
菜の花

いやー…本当に綺麗過ぎる。

なんか自分の中では春=桜という固定観念が染み付いていて、4月になったら花見に行くことしか考えてなかった。でも春は他の花にとってももちろん盛りの時期で、それをすっかり忘れてしまっていた。

桜の色に加えて様々な色の花が一緒になることで、こんなにも視界の中が賑やかになる。桜並木だけでも当然ながら見応えがあるけど、色彩の幅が増えるだけでここまで存在が映えるなんて思ってなかったです。

まるでこの世の楽園みたいな風景がずっと繋がっていて、しばらく放心状態になってました。

舟川べりの桜並木は今回の旅でぜひとも訪問したいと思っていて、でも休日だしめちゃくちゃ混んでるんだろうな…と思ってました。でも実際には予想していたほどの混み具合ではなく、自分としてもゆっくりと余裕を持って歩けたというのが正直なところ。

桜並木の横の道ではシートを広げてお弁当を食べている方も多く、純粋に桜の景色を楽しんでいて実に平和な空気が流れている。

この景色を語るのに、言葉は特に必要ないだろう。幸せってこういうことを言うんだと思う。

柔らかな日差しのなか、青空の下で桜並木を歩く。
こういうシチュエーションにおいては「適度に」人が多いのが個人的にはマストだと思っていて、人が少なすぎてもダメだし多すぎてもダメ。ちょっと説明しづらいけど、人が多くて気分が盛り下がらない程度にはお祭り気分であってほしい。

賑わいを感じるにはある程度の人の出があってこそだし、そういう意味では今回の訪問時は一番良かった。

その後は富山市方面へ向かうために、国道8号をひたすら走って南西へ。

道中に寄り道をしないのであれば国道を走るのが移動速度的には最適だし、この日は風向きと移動方向が合致するようにルートを選んだので、追い風が頼もしく感じました。これで仮に逆方向に行くとしたら、あまりの風の強さに心が折れていたと思う。

国道8号の近くには特に高い山がないけど、さっきよりは遠くに山々が見えるというのが地形の違いを感じられて良かったです。


で、富山市街に入ってからはその都会っぷりに驚くばかり。富山ってこんなにも高い建物が多かったのか。しばらく来ていなかったから忘れていた。

そんな気持ちを抱きつつ、富山市役所の目の前にある松川べりの桜並木を眺めに行きました。さっき訪れた舟川のように川の近くには桜並木があることが多くて、ここの松川もロケーションとしては同じです。

ただし、駅前にあることから訪問のしやすさはかなりのもの。駅前周辺には市街地の移動に便利な路面電車も通っており、そのせいか花見客の密度はかなり高く、しかも日本人よりも外国人のほうがはるかに多くて驚きました。雰囲気だけ見れば、コロナ前に完全に戻ったみたい。

岐阜より栄えている富山市街

松川べりの桜並木の特徴としては、真ん中を流れる松川を遊覧船に乗って移動できること。

川べりを歩くだけでも桜は見れるけど、遊覧船に乗ることでまた異なる視点から桜を眺めることができます。しかも桜は川の両岸から覆い被さるようにして生えているので、遊覧船の上からは頭上一面が桜の天井になっている様子を味わえるというわけ。

富山の近代的な町並みと、近くにある富山城址の歴史的な景観。それらを繋ぐようにして桜並木は続いており、全体を見た時の美しさが半端ではない。

強風のために散った桜吹雪が松川に降り注ぎ、川の流れにそって花びらが静かに流れていく。川の両側が近代的すぎない石造りになっているのもプラスに働いて、情緒を強く感じられる風景が目の前にありました。

同じ桜並木という分類でも、場所によって雰囲気や賑やかさ、そしてもちろんそれを見て感じる事柄も異なってくる。同じ富山県の中でシチュエーションに大きな変化がある桜スポットを連続で訪れたことで、「やっぱり桜は何度見ても良いな」って思いました。

桜そのものは近所でも見られるけど、長野県から新潟県、そして富山県と移動を続けてきてのこれなので感動も大きい。何か一つでも目的があると、ロードバイクの移動はなおさら楽しくなるもの。今回このルートを走ることに決めて良かった。

電車に乗る前に食べた富山ブラック

そんなこんなで、今回の花見ライドは無事に終了。

最後は、なんかこってりしたものを食べたくなったので「大喜」の富山ブラックを食べてから帰りました。もちろん白米も一緒に注文して、久しぶりに味わう塩辛さをおかずに塩分補給したのは言うまでもない。

おわりに

当初は北アルプスを訪問するだけだったのが、どうせなら一緒に花見もやればお得じゃん!!となって気がつけば花見ライドへと変貌してました。

久しく訪れていなかった富山県ですが、改めて見てみると富山県って何でも揃っていると思う。山岳地帯と平地を併せ持っているし、食べ物も美味しいし中心部に行けば色んなお店もある。登山を含め、これからも訪問する機会は多そうな予感がします。

おしまい。


本ブログ、tamaism.com にお越しいただきありがとうございます。主にロードバイク旅の行程や鄙びた旅館への宿泊記録を書いています。「役に立った」と思われましたら、ブックマーク・シェアをしていただければ嬉しいです。

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