「夏目友人帳」人吉温泉 人吉旅館 昭和9年創業 球磨川沿いに建つ国登録有形文化財の老舗旅館に泊まってきた

今回は、熊本県人吉市にある人吉旅館に泊まってきました。

人吉温泉は人吉市の球磨川沿いに広がる温泉地で、その始まりは室町時代とされています。当時から戦前に至るまでには源泉の掘削が連続的に行われ現在は80以上の源泉を有しており、美人の湯として多くの人々から親しまれています。

そんな人吉市街の中心に位置し、町の名前を関する人吉旅館の創業は昭和9年(1934年)。鹿児島県の宮大工によって建てられ、昭和初期の数寄屋造りの特徴を色濃く残した宿として有名です。近代和風建築としての良質な造りが評価され、玄関棟・中央棟・東棟・西棟が国の登録有形文化財に指定されているほどの歴史があります。


しかし、令和2年(2020年)の熊本豪雨により1階天井までがすべて浸水する事態になってしまいました。人吉旅館は氾濫した球磨川に面していたために被害が大きく、公式サイトには被災当時の写真も残っていますが相当にひどいものです。

その後クラウドファンディングを経て復旧活動が進み、2021年10月1日から2階客室のみのプレオープンを経て、2022年5月1日から全面復旧営業再開。ちょうどその年の夏に球磨川ライドをした際に外観を眺める機会があって、泊まってみたいと思っていたときにここに泊まってみないかというお話が舞い込んできました。今回の宿泊は、そういった濃い背景があってのものです。

もくじ

外観

まずは外観から。

球磨川の南から人吉駅前まで続く県道188号、その途中にある人吉橋の上からは球磨川の雄大な流れを実感することができます。人吉旅館はその川のすぐ脇にあり、遠くからでもよく見えました。

人吉旅館の建物群 2023年10月再訪時
2023年10月再訪時
2023年10月再訪時
人吉旅館 正面外観 2023年10月再訪時
2023年10月再訪時
2023年10月再訪時

旅館の前の通りから見て、左側にあるのが平屋の温泉の建物です。玄関はその右側にあり、大きく「人吉旅館」と書かれた看板が目に入りました。

古風な外観に、荘厳さを思わせるような堂々とした玄関。道路と玄関の間にある砂利の部分は頻度高めで整地をされており、そこを突っ切って中に入るのが躊躇われるような感じでした。

この日は一日の半分くらいが雨だったこともあり、宮崎との県境から先ずっと雨の中を走ってきた身としては宿に到着したときの安心感はかなりのものでした。屋根のあるところで休めるだけでもありがたいです。
ただ、昔にはほぼ同じルートを通って人吉まで下りてきた人もいたはずだし、そういった人達と同じ体験ができたと思えばわりかし悪くない。

人吉旅館は高級旅館に分類される宿。しかしいざ目の前に立ってみると様々な「高さ」からくる威圧感がまるでなく、何者をも静かに迎えてくれるような、そういった温かさを感じました。

館内散策

玄関~1階廊下

というわけで、外にいても濡れるだけなので早速屋内へ。玄関に入るとすぐに係の方がやってきて、靴を靴箱に持っていってくれます。

前述の通り、復旧にあたって人吉旅館の1階部分は全体的に改修されているので造りが新しいです。

被災前の状況を知らないのでどのように変わったのかは分かりませんが、木々をふんだんに使用していてなおかつ雰囲気がとても明るい。玄関を入って客がまず目にするのがこの玄関ロビーであることを踏まえると、到着してすぐに精神的に落ち着けるような内装であると言えます。

到着時の天候が完全な雨だったのでなおさらそう思うのかもしれないけど、建物において木材が及ぼす影響は想像以上に大きいのではと思う。中に入った瞬間の温もりというか、この空間にずっといたいという気持ち。そういううまく言語化できない部分が木材には感じられる。

玄関

玄関を入って右側にまずフロントがあり、その奥が調理場や炊事場になっているようです。

玄関ロビー
焼酎などが販売されている売店
囲炉裏と自動販売機

そのまま左方向に進んでいくと売店があり、その奥に広めの玄関ロビーが広がっていました。

いかにもゆったりできそうな空間だと思った方は正解で、(当然だけど)空調が効いていて暖かいし、ソファも柔らかくて心地よさが半端ない。しかも玄関ロビー全体が中庭に面していて景色がよく、旅館に到着して早々に身体の力が抜けていくような感覚になる。

復興して間もないことから全体的に新築っぽい空気が漂っており、どこを歩いても、目に入ってくるのは組み立てられて比較的日が浅い木材の明るい色。旅館系でこういう風に「古いけど新しい」ところに泊まるのはあまり経験がない。
ここから人吉旅館の建物がまた新しい歴史を刻んでいくことを考慮すると、その最初期に訪問できたことは結構なレア感。今回泊まって良かった。

全体的に照明も多めに設置されているのでとても明るく、例えば温泉に入った後や出発前に寛ぐのにこれ以上の空間はありません。

で、人吉市・人吉旅館において忘れてはならないのが夏目友人帳という作品の存在。

夏目友人帳の舞台は明示されてはいないものの、作中に登場する風景はこの人吉・球磨地方のもの。自分も実際に球磨川周辺を走ることによって、あの作品特有の空気感を感じることができた気がします。

この人吉旅館は夏目友人帳ゆかりの宿としてファンの方を中心に人気を博していて、1階にはファンの一人である女将さんによってグッズや寄せ書きが置かれているという情報を知っていました。それが今まさに目の前にあるわけで、実物を見ることができて感動です。ニャンコ先生もちゃんといるし。

実は今回の宿泊時、宿泊客として日本人を見かけたのは我々のみ。つまり客のほとんどが外国人だったわけですが、ファンと思われる方がここで写真を撮られていました。日本の作品がこのように国境を超えている様子を見るとなんか嬉しい。

館内地図

そのまま奥へ進み、玄関ロビー周辺から客室ゾーンへ入る1階廊下へと移動。

2階への階段前には大きめの館内地図が掲示されていて、ここには登録有形文化財に登録された年とその場所が記載されています。これを見るとまず最初に登録されたのが西棟で、次いで中央棟、玄関棟、東棟の順番であった様子。
これを見ると客室はほぼ有形登録文化財に指定されていることが理解できるわけで、自分が泊まる部屋もそうだと思うと嬉しさが増す。

地図には東西それぞれの端に大宴会場と別の客室が位置しているのが分かりましたが、これらは当時からあったものなのか、最近になって増築されたものなのかは分かりませんでした。

色ガラスによる見事な絵

1階の客室は主に足腰が悪い方を対象にしているようで、廊下の段差にはスロープが設けられていました。

ここに至るまでの壁や天井の色はほぼ全てが木材の色そのままか、もしくは白色になっていて清潔感があります。館内を移動していく中では否応なしに建物を構成する色が目に入ってくるわけで、気持ちよく過ごす上でその配色はとても重要。その点でいくと、人吉旅館はどこを見ても清らかな印象を受けました。

この2階階段前から左方向に回り込むようにして廊下が続いていて、廊下の突き当りには温泉が配置されています。

人吉旅館を代表する、中庭の正面に面した廊下。

中庭の方の窓は全面的にガラス張りになっていて見通しが良いのと、中庭を回り込むようにして通っている廊下の配置によって「屋外」を強く意識させる造りになっています。

先程の館内図を見てもらうとよく分かるけど、人吉旅館における中庭はとても存在感が大きいです。

まず敷地内のほぼ中央に位置しているし、何より池もあって広いしで誰しもが気になるもの。しかし表通りから玄関を抜けていくまでには少し見えづらい角度なので、このように屋内にいながら中庭を一望できるのはよく考えられている。

そんな客室前の廊下を抜けると露天風呂があり、そこをさらに左に曲がって進んだ先が内湯(大浴場と家族風呂)です。ここの廊下には、今はもう見ることができない肥薩線の風景の写真が並んでいました。

ここまで館内を歩いてきた印象としては、廊下の幅が広々としていて非常に歩きやすいということ。

もちろん建物自体が広くて大きいというのもありますが、客室前の廊下なんかは体感的に普通の廊下の1.5倍くらいはあります。なので歩いている道中に狭さを感じるということがないし、バリアフリーにも適しているしで快適そのものでした。

2階廊下

1階の散策はこれくらいにして、続いては今回泊まることになる2階へ。

2階の構造は1階とほぼ同一で、特に中央棟と西棟は1階・2階で目立った違いは見られません。

浸水の高さ

こちらの階段もまた広くて上り下りがしやすい中で、壁には先の洪水で浸水した高さが記録されていました。その高さは自分が階段の踊り場に立ってなお上方にあり、とんでもないところまで水が押し寄せてきたことが理解できます。こんなところにまで…。

てっきり浸水といっても1階で腰に浸かるくらいだと勝手に想像していたのが、予想を遥かに超える高さで驚きました。そりゃ女将さんも絶望するわと。

なおこの浸水によって1階の天井付近までがまず押し流され、次いで水が引いた後の湿気などによって2階客室の畳がすべてダメになってしまったようです。従って2階も間接的な損傷が大きく、畳は一式すべて張り替えをしています。

階段踊り場からの眺め

1階と同様に、2階の中庭前の廊下もまた雰囲気がとても良い。

窓から入ってくる自然光と灯りとのバランスが良いというか、木材による廊下の外観を前面に押し出しているので余計な配線が見えないようになっています。廊下自体も長くて迫力があるし、泊まっている部屋から温泉に行くまでには必ずこの廊下を通ることになって、なおさら好きになりました。

1階とは異なる意匠の窓
反対側の階段(露天風呂前に出る)
大宴会場前の廊下

そのまま廊下を歩いていき、折り返して反対方面へ。

露天風呂や温泉と対角にあたる部分に大宴会場(2階、夕食時)や宴会場(1階、朝食時)があるため、食事のときは西側、温泉は東側という風に明確に配置が決められているのも分かりやすいポイントです。

泊まった部屋

そんなこんなで館内を散策し、今日泊まる部屋に戻ってきました。

我々が泊まったのは西棟2階に位置する「蓬莱」の部屋で、昭和28年頃に有形登録文化財に指定されたところです。広さは踏込2畳の奥に8畳の部屋があり、さらに窓側に広縁付き。踏込の脇にトイレ、広縁に洗面所がそれぞれ付いているので、館内での滞在は部屋の中で完結できます。

部屋に入るとまず机と椅子が置いてあって、その向こう側にはなんと巨大なベッドが2つ。ベッドの向かい側には服を入れる棚、エアコン、テレビなどが置かれています。なおベッドを置く部分は強度の面から板張りで、畳が敷かれているのは残り半分(4畳)でした。

まさかの和室でベッド…!

初めての経験すぎると思っていたけど、客層を考えればこれもある意味で当然なこと。このベッドはホテルのベッドよりも格段に寝やすくて、本当にフカフカだったので安眠できました。

広縁には机と椅子が置かれており、洗面所には歯ブラシやタオル、コップが一式揃っていて充実感が凄い。その他にも金庫、冷蔵庫と、滞在中に必要になるものはすべて揃っていて万全すぎる。

球磨川に面している窓は二重窓になっていて、寒い時期でも暖房の効きに影響しないように工夫がされていました。

球磨川の展望についてはご覧の通りで、川の流れもはっきりと見えます。

今回2階の客室で良かったと思ったのがこのことで、防波堤があるので1階の客室からは球磨川の様子がよく見えません。せっかく人吉(=球磨川)を代表する旅館に泊まっているのだから、宿泊中はその存在を実感したいもの。これについては運が良かったです。

浴衣、タオルは一式揃っています。
客室内にあった1階平面図を確認したところ、各部屋の設備はそんなに差異はないようです。
2階平面図

部屋に飾られている壺がなんかもう高そうなやつだし、エアコンも一般的なものより大きくて性能が良さそう。設備が非常に充実しているので憂う点はありません。


私は一般的に客が宿に求めるのは「快適性」だと思っていて、例えば滞在中にストレスが溜まったりするような機会はないに越したことはありません。特に温泉旅館では一般的な宿に加えて温泉に複数回入るという行動がプラスされるため、温泉に入った後でもまったりできることが重要になってきます。

そういう視点で見てみると、まずエアコンの温度管理が完璧すぎるので季節を問わずに気持ちよく過ごすことができる。加えて広縁があるので景色もいいし、洗面所やトイレが必要になれば室内にあるので人目を気にしなくて良い。そして夕食~温泉を経て就寝の時間になれば、快眠できるベッドでぐっすりと眠れる…。

そういう根本的な部分の土台がまず確かにあって、忘れてはならないのが付加事項としての泉室が良い人吉温泉の湯と、美味しい食事の存在。こうして各要素を一つ一つ列挙してみると、人吉旅館は滞在の最初から最後まで快適性を重要視しているということがよく分かりました。

温泉

続いては温泉へ。

人吉旅館の温泉は内湯と露天風呂の2箇所があり、内湯については大浴場と家族風呂に分かれています。いずれについても源泉かけ流しで、弱アルカリ性であることから皮膚の角質を柔らかくして肌に潤いを与える「美人の湯」として親しまれています。

  1. 泉質:ナトリウム-炭酸水素・塩化物泉(低調整・弱アルカリ性・高温泉)
  2. 泉温:源泉54.6℃
  3. 効能:神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、冷え性等

詳細はこちら▶人吉旅館 温泉

内湯入り口
横にある休憩所。自動販売機もある。

温度としては熱めですが、そのぶん雨による身体の冷えが綺麗さっぱりなくなるような気持ちよさがありました。

やはり温泉の気持ちよさはそのときの状況に大きく左右されて、今回の場合は「雨ライドをした後」というシチュエーション。普段とはまた異なる状況下で入る熱い湯は心地よさが倍増され、温泉に浸かっているうちになんかむしろ雨に打たれてよかったなと思えてくるレベル。

あと、内湯の湯船(深さ80cm)の中にはなんと木製のベンチが備え付けられています。

一般的なお風呂って湯船にお湯が注がれているだけですが、ここでは温泉の時間をより一層堪能するために座ることに特化した感じになっている。よく考えてみれば温泉って座った状態で長時間じっとしていることがほとんどだし、それを少しでも楽にしようとする試みがあったとしてもおかしくはなかった。これは個人的に盲点でした。

夕食~翌朝

熱めの温泉で寛いだ後は部屋に戻り、放心状態になってベッドで休む。なんか今日はいつもより疲れが感じられる気がした。これは夕食でしっかり栄養と気力を補給したい…と思っていたら夕食の時間になりました。

夕食は2階の大宴会場でいただく形となっていて、これはどの部屋でも同じなようです。

大宴会場の様子
正面の舞台
我々のテーブル

大宴会場の様子はこんな感じで、各部屋ごとにテーブルが衝立で仕切られています。

こういう形式だと、個人的には他の部屋の宿泊客の様子が見えるので割りと良いと思いました。(ちなみに今日の宿泊客がほぼ外国人で占められているというのはこのときに知った)

夕食の内容は以下の通りです(お品書きの原文ママ)。

  • 前菜 海老芝煮 山雲丹豆腐 水菜のからし和え むかごカステラ 数の子 黒豆
  • 造里 山女洗い あしらい一式
  • 温物 海老芋饅頭鳴門餡掛け
  • 焼物 山女塩焼き
  • 凌ぎ 茶碗蒸し
  • 揚物 穴子と旬の野菜のあおさ揚げ
  • 鍋物 球磨の黒豚ロース茶しゃぶ たもぎ茸 季節の野菜
  • 御飯 地鶏と茸と薄揚げの釜めし つぼん汁 香の物
  • 甘味 洋梨のソルベと球磨栗のモンブラン最中仕立て

全体をざっと見渡してみると、熊本県・人吉の地のものを多く使用した郷土感あふれる料理が多いのが分かりました。魚についてはすぐそこに流れている球磨川でとれたヤマメだし、肉についてはこれまた有名な黒豚。

野菜については言わずもがなで、どの品も丁寧に調理されているので素材の良さを堪能できます。なんという幸せ感。

煙が出る
初めて見る「たもぎ茸(タモギタケ)」も入っている豚しゃぶ

料理は出来上がり次第順次運ばれてくる形で、つまり出来立てを味わうことができました。

鍋物については形が特徴的なタジン鍋を用いて蒸し焼きにする調理方法をとっており、驚いたのはそのタジン鍋に蒸気機関車の絵が描かれていること。火が通ってくると上の方から蒸気が抜けてきて、さながら蒸気機関車が走っているような図式になります。なにこれお洒落すぎる。

ちなみに番号もちゃんと国鉄8620形蒸気機関車の"58654"号機になっていて、これはかつて人吉を走っていたSL人吉のもの。誕生から100年を迎え、国内で最も古い現役SLとして人気を博していたものの、肥薩線が不通となってからは鹿児島線(鳥栖~熊本)に区間を変更して運行を再開しています。

ただこの列車は1年後の2024年3月をもって運転終了となるとのことで、それを思うとしみじみとした夕食になりました。


夕食の途中には人吉旅館の女将さんが各テーブルを回って挨拶をされていて、被災から復旧したことや、今回の滞在を楽しんでいってほしいという言葉をいただきました。

こういう丁寧な対応をされると、また再訪したくなる。建物といい滞在中の対応といい、印象に残ることが多いのは良い宿の特徴ですね。

どの品もとても満足のいくものであった中で、一際インパクトがあったのがデザートのモンブラン最中仕立て。

これは上に見えている状態から自分でプレスして食べる形式で、口の中に一気に甘さが押し寄せてくるのがたまらない。ここまで伝統的な日本料理…という品を続けて味わってきて最後にこれだったので、より一層甘さが際立っていました。当然ながら女子に絶大な人気を誇っているらしく、SNSではとても有名とのこと。

美味しい料理を作るというしっかりとした下地がある中で、形にとらわれないユニークな料理づくりをされているのが良いと思いました。


夕食後は最後温泉に行き、夜景を楽しんだ後は自室へ戻って就寝。2人とも疲れていたので早目の時間に寝ました。

ベッドが快適だったおかげで眠りもよく、温泉の気持ちよさもプラスされて翌朝には疲れがしっかり取れてました。

宿での滞在時間は寝る時間を除くと8時間程度しかないものの、滞在中の過ごし方次第ではそれが長くなったり、短くなったりします。早い話が体感時間のことで、退屈だったら時間の進みは遅く感じられ、その逆なら翌朝まであっという間。これはどこの宿に泊まっても変わりません。

人吉旅館での一夜は本当にあっという間で、気がついたら朝になってました。旅館で体験するすべての出来事が快く思えたし、体感時間が短く感じるのも至極納得。


朝食は1階の宴会場でいただくことになり、こちらも夕食と同様に各テーブルが仕切られています。

オレンジジュースや牛乳といった飲み物や、納豆・生卵などは中央のテーブルから各自で取ってくる形式。他にも女将さんが作られたキムチもあって、ご飯のおかずになるものがとにかく多すぎる。これは嬉しい悲鳴だ。

鮎の開き
豆乳?の豆腐

朝食で驚いたこととして、アジの開き…かと思いきや鮎の開きが出たこと。鮎の開きなんて初めて見た。

これにしっかりと火を通して白米でいただくと、もうご飯何倍でも食べられるくらいに美味しいです。他にも大きい卵焼きや野菜の和え物、豆乳の豆腐などどれもボリュームたっぷりで、ご飯を3回おかわりしました。これはもう仕方ない。

夕食に引き続いて朝食にも球磨川を感じさせる料理(鮎)があり、その立地だけでなく料理も含めて球磨川と一体となって営業を続けている旅館。それが人吉旅館なんじゃないかと思います。

最後の最後まで堪能して、昨日とは打って変わって青空が広がる人吉市街を眺めながら旅館を後にしました。

おわりに

人吉旅館は球磨川のほとりにあって、あの豪雨災害から復旧した有形登録文化財の旅館です。

清流である球磨川、そして名湯と名高い人吉温泉の両方を種々の形で内包した雰囲気の良い旅館であり、かつ滞在中に不便を感じることが一度もないほどの快適な館内。建物自体にも心落ち着く意匠が多く、これからも球磨川とともにこの地で栄えていってほしいと心から思える旅館でした。

女将さんや係の方にも優しくしてもらったし、また宿泊したい限りです。

おしまい。


本ブログ、tamaism.com にお越しいただきありがとうございます。主にロードバイク旅の行程や鄙びた旅館への宿泊記録を書いています。「役に立った」と思われましたら、ブックマーク・シェアをしていただければ嬉しいです。

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