【海陽町~東洋町甲浦~室戸岬~喫茶店大菩薩峠】ロードバイクで静かな漁村集落を巡る秋の徳島~高知ライド Part 2/2

Part 1:阿南~椿泊の町並み~牟岐町出羽島
Part 2:海陽町~東洋町甲浦~室戸岬~喫茶店大菩薩峠

出羽島を後にして、引き続き海岸線を走っていく。

牟岐町から海陽町へ入り、日本初のDMV(道路と線路の両方を走れる車両)が運行している阿波海南駅を通過して徳島県から高知県へ移ってきました。なお道中の道の駅にはサイクルラックや空気入れが置いてあり、徳島県全体でサイクリストに優しい取り組みをされているようです。

道の駅の空気入れで空気圧調整
DMVが停車する阿波海南駅。本数は少ない。
DMVが運行する道路

四国は本州と比較して交通機関が充実しておらず、特に電車は本数が少ないので注意が必要です。仮にトラブルに見舞われて輪行で移動しようと思ってもどうすることもできないので、できる限りトラブルに合わないように自分で気をつけるのがベスト。

自分の場合はパンクしても復旧しやすいようにチューブレスではなくチューブドにしていたり、タイヤやチューブについては丈夫なものを選ぶようにしています。もちろん軽いものにすれば走りが軽快になるのは間違いないけど、少なくとも旅においては何かあったときに対処が容易なようにしておくのが良い。

そんな中で、工具類や空気入れが道の駅などに設置されているのはとてもありがたいです。それらを当てにしすぎるのもアレですが、ある分には積極的に活用していきたい。

もくじ

港町、甲浦を散策する

そんな感じで、高知県の県境にある東洋町に到着しました。

ここまでの道中ではすでに何度も海岸線が登場してきているものの、牟岐町から先は明確な「砂浜」が多く現れてきたのが印象的でした。

それもそのはずで、阿南市から牟岐町までは主だった道が内陸部を通っている(=海岸線が崖)のに対して、牟岐町から室戸岬までの区間は道が海に面していて道も平坦。地形的な特徴な色濃く現れており、平坦な部分には砂浜が広がっているので泳ぎやすいというわけです。

今回の訪問タイミングではサーフィンを楽しんでいる人が非常に多くて、道ですれ違う車もボードを乗せていることが多かった。サーフィンについてはよく知らないけど波が適度な強さでないといけないと思うので、台風が押し寄せる夏ではなく秋くらいがいいのかも。

そんな砂浜の近くにあるのが、予め立ち寄ることに決めていた東洋町甲浦(かんのうら)という場所でした。

甲浦の全景

甲浦は国道55号から内陸側に少し入ったところにあって、多くの港町がそうであるように湾の内側に集落が形成されています。自分と同じく阿波方面から来た場合は高知県の玄関口にあたり、江戸時代においては土佐藩にとっての重要な良港として栄えました。

国道を通って室戸岬方面に向かう人にとっては横目でチラ見する程度だと思うけど、こっちはロードバイクなので散策も容易。湾の表側に面した甲浦港側から入ってJA東洋支所方面に移動していきます。

熊野神社

集落の中心付近には小高い高台に熊野神社という神社が存在していて、そこの上から眺める町並みがまた美しい。前回の椿泊でも同じことを思いましたが、集落の中を通る道路を走るのと、徒歩でちょっと高い部分に上って周囲を眺めるのは自分の中でもうセットになっています。

同じレベルにある風景を楽しんだあとに、そこよりも一段上から俯瞰するように町並みを把握する。散策においては、この視点の違いを楽しんでいきたい。

漁船が横並びで停泊している風景
奥の陸橋が国道
ガードレールで布団を干している
今日は天気がいいのでよく乾きそう

集落の奥に進むにつれて漁船と集落の距離が近く、生活の場と漁が密接に繋がっていることを連想させる風景が広がっています。ある場面では道端のガードレールに普通に布団が干してあったりもして、ゆるい空気が漂っていることが実感できる。

ここで改めて愛車のKUALISの外観を確認してみると、この地味な見た目があらゆる風景にマッチしています。塗装していないチタンフレームの光沢は良い意味で目立つことがなく、背景が何であっても溶け込むような雰囲気に仕上がっていて本当に良い。パーツ類の色も黒色がメインなので、これもフレーム色に馴染んでいます。

あとは、「チタンフレーム」というレトロな要素が自分の旅の中で訪れる場所に似合っていることも理由の一つかな。金属フレームは最新のロードバイクのトレンドとは一切無縁であって、逆に言うと陳腐化することがない。風景もレトロだし愛車もレトロ。カーボンバイクでなくKUALISを愛車に選んで良かった。

高知県の海。

同じ海でも、場所によって色が全く異なっているのも素敵だ。湾の内側は青色に加えて緑がかったような要素を含んでいるのに対して、湾の外側は深みを感じさせる青一色。

「高知県の海を訪ねる」という行動そのものは同じでも、訪れる場所によって受ける印象はまるで違う。なので一箇所だけでなく、次々とポイントを巡るように回っていく行程が自分には合っている。

室戸岬への道中、そして宿泊

以上、宿までの道中で行きたいところはすべて回ったので、宿に向けてひたすら国道を走って室戸岬を目指しました。

波の勢いが凄い
このアングルが好き

東洋町から室戸岬までの道のりの何が良いって、余計なものが何もないということ。

この区間の売りは岸に押し寄せる高知の荒波なんですが、ロードバイクで目的地に向かうまでに必要になる「道」と、風景の大部分を構成する「海」以外の要素が限りなく排除されている。一般的な海沿いの道だと家屋だったり店だったり、視界の中にそういう別の要素が入り込んでしまう。

ここではそういうことがないので、風の強さや波の強さを純度100%で満喫することができます。言い換えれば自然の地形がそのまま残されていることになって、そういう場所を走っていくのがたまらなく気持ちいい。補給地点は皆無ですが、その分「果てに向かっている」という体験もできます。

なおこの辺りになると砂浜はもう影も形もなく、代わりに登場するのがゴツゴツした岩場。こんなところでサーフィンをすると生命が危ないのでサーファーの姿はありません。波の強さも半端ではなく、例えば瀬戸内海の穏やかな海とは正反対であることが理解できます。

室戸山 明星院 最御崎寺
室戸岬灯台
個人的に大好きな室戸スカイラインからの眺め
室戸岬
展望だから見た室戸岬周辺
船が見える

無事に室戸岬に到着した後はちょっと寄り道して、高台の灯台や寺に参拝したりしました。

特に室戸岬から室戸岬灯台へ向かう室戸スカイラインからの風景は個人的なお気に入りで、最初の訪問時に抱いた感動は忘れることができない。海抜からの高さはそこそこあって疲れるけど、ここはぜひとも訪問する価値ありです。おすすめ。

また、室戸岬は関西方面から四国の南へ船が向かう際に必ず通ることになるため、ここにいると大きな船が遠方を静かに進んでいく様子がよく見えました。あらゆる船の航路がここに集中しているので、当然と言えば当然かも。

この後は今日の宿である岬観光ホテルに投宿し、室戸岬での一夜をまったり過ごしました。宿泊記録については別記事でまとめています。

噂の喫茶店「大菩薩峠」でランチ

岬観光ホテルの宿泊から一夜あけ、今日はもう帰るだけ。移動には半分輪行を使用しましたが、そのまま直帰する前にある店で休憩することにしました。実は昨日のライド途中でその店の前を通過したものの、まだ開店時間には遠かったので今日行くことに決めていたんです。

訪れたのは、阿南市にある中世の古城のような外観が有名な大菩薩峠という喫茶店。徳島県を訪問するならぜひここで食事を取りたいとずっと計画していて、やっと行くことができました。

大菩薩峠 - 新野/喫茶店 - 食べログ

大菩薩峠の外観。2階が喫茶店になっている
建物右側を坂道を上っていくと駐車場がある。見た目は完全に城。
建物前にある駐車場はそこそこ広いです

※喫茶店です。

大菩薩峠という喫茶店らしからぬ名前もさることながら、驚きべきはその外観。重厚感あふれるレンガ造りのどっしりとした建物にはびっしりと蔦が巻き付いていて、喫茶店とかいう以前にここに入っていいものなのか判断に迷うレベルでした。ただしその知名度は抜群で、四国だけではなく全国的にも有名なお店です。

しかもこの建物、外観から内装に至るまでのすべてがオーナーである島利喜太さんの手造りというから驚くのも無理はない。さらにレンガそのものも買ってきたものではなくオーナー自ら焼いたもので、これだけの建物を建造するのにいったいどれくらいの労力がかかったのか…。

大菩薩峠を一言で言い表すなら「セルフビルドのレンガ造りな喫茶店」ということになって、文字から伝わってくるインパクトがものすごい。

※喫茶店です。(2回目)

店内に入る前に、まずは右側にある背の高い建物を散策することにしました。スロープを上って門?のような部分をくぐると、カーブの先に広い中庭があります。車で訪問した際にはここにも止めることができて、上を見ても下を見ても一面のレンガ。ちょっとやそっとではびくともしない安定感があって心強い。

あと、建物の材料としてレンガはとてもロマンがありますね。レンガの耐用年数はかなりのものだし、もちろん見た目の良さも際立っている。そこに蔦という植物の存在が合わさって、ずっとずっと昔からこの地に根付いていることを物語っています。レンガは一つ一つ色味が微妙に異なっている点も、構造部材として一様ではない感が強まって個人的に好き。

ここが喫茶店だということは十二分に理解しているものの、ただ歩いているだけでもまるで散策しているような感覚になるのが不思議だ。

高台からの眺め
中には苔むしているところも

いやー…凄いわ。どこを切り取っても絵になりすぎる。

ここの写真を見せて「中世ヨーロッパに行ってきました」と言っても信じてもらえそう。到着して店内に直行するだけなのはもったいないので、時間が許すなら奥の方も歩いてみるのがおすすめです。

一通り周りを見学した後、お腹の空きがマッハになったので中へ。

建物正面の階段は2箇所あり、店内に入るには右側の階段を上る。
中庭からの道
玄関入り口

大菩薩峠の玄関入り口には建物正面の階段を上る以外にも、中庭の駐車場から窓付きの通路を歩いていくことで到達できます。

後者の通路は、時間帯によっては日光による明暗が幻想的でした。古びたレンガ×木材×植物×日陰という組み合わせが自分の琴線に触れすぎる。

店内も基本的にレンガ造りになっていますが、各所に木材で形作られたカウンター、調度品、机や窓があって見事な調和でした。季節によらず温かみを感じることができる雰囲気だと思います。

店内の構造はまず入って正面にカウンター席と厨房があり、動線としては左に続いていました。この空間にはテーブル席がいくつかあって、そこから壁を挟んで窓側に2人掛けの小さめなスペースが複数あります。人数に応じた席に案内されるため、例えば大人数の場合は店内の奥側になるのかな。

今回は一人での訪問だったので、自然光が差し込む窓側の席での食事となりました。なお特徴的な丸窓は、農作業に用いる大八車の写真を再利用しています。

窓側の席
メニューが凝っている

メニューはこんな感じで、チキンカツ定食やカレー類、サンドイッチ類、ピザなどなど…。軽食から比較的重めの定食まで一通り揃っています(飲み物は裏面に記載)。メニューが扇子に書かれているのもお洒落で、閉じればコンパクトになるのもよく考えられている。

それにしても、喫茶店の定食って定食屋の定食とはまた違った魅力があると思います。味付けが自分好みだし量もちょうどいい感じだしで、散策中にちょっと寄るのに便利じゃないかな。お腹が空いているけど、美味しいコーヒーと一緒に居心地の良いところで食事したいというシチュエーションで頼りになってくれます。

味覚的にも色彩的にも優れているハンバーグ定食
焼きたてのハンバーグの美味しさといったら…。

今回は、定番メニューのハンバーグ定食を注文しました。洋食のハンバーグに加えて、和食のご飯と味噌汁、そして漬物が付いてくるあたりが魅力的すぎる。

で、案の定ハンバーグにかかっているソースの味が絶妙で、決して濃い味ではないのに白米の消費を促進させてくる。一緒になっている目玉焼きとセットで食べると、もう自然と笑顔になるレベルでした。近所にこんな素敵な喫茶店があったら週二で通うわ。間違いなく。

食後のホットコーヒーは定食を食べたときの衝動を抑えてくれて、店内の静かな雰囲気に浸りながら過ごす時間は最高だ。徳島県で喫茶を味わうなら、この大菩薩峠で決まりです。


以上、こんな感じで今回の一泊二日の徳島~高知旅の行程は終了しました。たった二日間なのにこんなに濃い旅になるとは自分自身思っていなかっただけに、その満足度の高さに驚いています。

時間に限りがある社会人の休日は、工夫次第でいくらでも充実させることができる。四国にはまだまだ行きたいところが多いので、タイミングを見計らって再訪したいと思っています。

おしまい。

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