【インプレッション】フルオーダーチタンバイク KUALIS CYCLES Ti 納車後の感想

昨年2022年に納車したフルオーダーチタンバイク KUALIS CYCLES Ti(リムブレーキ)について、それなりに乗ったので感想を書きます。

KUALIS Ti 全体像
もくじ

KUALISというバイク

自分のロードバイクの使い方

まず、感想を書くにあたっては前提条件が必要になるので、それについて。

私がロードバイクに乗る理由は至極単純で、「旅に使うため」です。レース等の時間を競うような使い方をしたことはこれまでに一度もなく、これからもありません。単純にそういう用途に興味がないので。

あとロードバイク単体で乗ることも滅多になくて、99%くらいはフレームバッグやサドルバッグを装着したバイクパッキング状態で用いています。特にサドルバッグの中にはミラーレス一眼の交換用レンズ(重い)を入れているため、一般的な軽量バイクパッキングよりも重量があります。

そういうシチュエーションで、この趣味を始めてからは日本の山あり谷ありな地形を一度の旅で約100km/日くらいの距離で乗ってきました。比較対象は同じく金属フレームであるクロモリで、こちらは最初に乗っていたものです。

評価する上で一番重要なのは、KUALISはオーダーフレームであるということ。

KUALIS CYCLESの西川さんの技量も伴って、オーダーする人の要望によってKUALISの特性はかなり変化します。クイックでレスポンスが早い乗り心地が好きならそういうフレームになるし、自分のようにロングライドを快適に…という目的なら、それに見合ったものを西川さんが製作してくれます。

なので、一概にKUALISはこういうものであるという風に書くつもりはないです。

素材としてのチタン

続いては「チタン」という素材について。

素材チタン
Ti-3Al-2.5V
クロモリ
Cr-Mo
アルミ
Al 6061
密度 g/cm34.57.82.7
引張強度 MPa660930310
ヤング率 GPa11021071
加工性良くない良い良い
価格高価安価安価
耐食性非常に良い良くない良い

KUALISが採用しているチタン材:エアロスペースグレード 3Al-2.5V CWSRを例にすると、重量面だけで言えば大きなメリットは特にありません(実際に、自分のKUALISのフレーム重量は1470g)。同じく金属フレームの代表格であるクロモリよりは軽いけど、アルミよりは重いです。

しかし強度に目を向けてみると、チタンはクロモリの約70%の引張強度を持っていることが分かります。それでいて比重はクロモリの約60%と比較的軽く、従ってチタンはクロモリやアルミと比較した場合に比較的軽量で高強度ということが言えます。

強度が高いので、材料を少なく抑えたとしても必要な強さを確保することができ、結果的にチタンパイプの太さはアルミとクロモリの中間くらいになっています。なのでクロモリフレームとまではいきませんが、チタンフレームは比較的ほっそりとした外観をしています。

材質のしての利点は他にも高い耐食性が挙げられ、これは自分がチタンフレームを選択した理由の一つでもあります。納車から約1年経過した現在でも見た目が全く変化していません。
逆にクロモリフレームは(使い方にもよるけど)納車後半年くらいですでに端部が錆びていたので、環境や天候に強いのはチタンの大きな利点です。

これだけ見るとチタンはメリットが多そうに見える一方で、デメリットとなっているのは加工性と価格

金属としての価格に加えてパイプとして加工するのが非常に大変で、そこに溶接の手間も加わって結果的にフレームとして高価格化に繋がっています。チタンフレームの価格は約25~60万くらいと、普通にそこそこのグレードのカーボンフレームのそれと同等くらい。

従って、金額・強度・重量のトレードオフの面からフレーム素材としては主流にはなっていません。あくまで、趣味でロードバイクに乗っている自分みたいな人が選択するフレームという位置づけです。

KUALISの乗り心地

ここからは、自分が納車から今までに行った旅を通じてKUALISに感じたことを書きます。

まず最初に思ったこととしては、バイクを前に進めるために必要な力がかなり減少しバイクに乗っているとき・乗り終わったときの疲労が少なくなったということ。踏込む力をかけなくても勝手に前に進んでくれるので、自分としては単純に脚を回すだけでいい。平坦な道の速度維持はもちろんのこと、ヒルクライムが相当楽になりました。

ペダルを踏んだときにフレームに伝わるパワーがダイレクトに推進力に変換されるようなイメージで、踏み込む→フレーム内部でのパワー伝達を経て出力、というワンクッションがありません。入力から出力までのラグがクロモリに比べて明らかに減りました。

これまでのライドを通じて思ったこととして、クロモリ特有のしなやかな走行性に軽快さをプラスしたのがチタンであるという感じがします。クロモリはよくバネ感があると形容されるけど、チタンはそのバネ定数が大きくなったような感触。実にキビキビと走ってくれます。

山がとても楽

日本ってとにかく山岳地帯が多くて、何もない平地が何十kmも続くところなんて北海道くらいしかないです。どこへ行こうが坂道が登場してきます。

しかも自分が行くような場所は(なぜか)丘とか山がメインを占めており、斜度4~10%くらいの坂道を上ったり下ったりするのが行程の大半。そんな中でKUALISは脚への負担が少なく、特に斜度5, 6%くらいなら脚を回してるだけで自分が知らないうちに勝手に上ってます。

ただダイレクト感が増しつつも、その上で脚へかかる負担は少ないのが不思議なところ。
ダイレクト感があるということは脚への反作用も大きいということだけど、それを感じません。一体どういう魔法なのだろうか?

バイクに搭載している荷物の重さに関係なくバイクの方から助けてくれるので、乗っている人間のパワーが少なくて済むんですよね。おかげでどんな地形においても体力を温存できて、一日を通して最初から最後まで満足の行くライドができます。

西川さんの言葉を借りるなら「走行時の安定感と乗り心地の良さ、ある程度の軽快感を出」しているのが自分のKUALISであって、これには非常に満足しています。自分はロードバイクを移動手段として使っているので、単純に道具として便利になって嬉しい限り。

KUALISの外観

メーカーが販売しているものを含めて、ほとんどのチタンフレームは塗装をしていません。その金属感むき出しの鈍い輝きが特徴的です。

この輝きはクロモリやアルミにはない明確なポイントで、自分もこれを味わいたいがために無塗装でオーダーしました。何度見ても飽きない美しさがあります…前にも書いたけど、これだけで酒が飲めるレベル。

あとは腐食に強くて基本的に錆びないのと、「ある日突然走らなくなった…」という材料としての劣化がなく、結果的に長く楽しめる。

チタンフレームは素材そのままの美しい外観に加えて「変わらない」「劣化しない」というのが個人的に感じている乗り心地以外のメリット。なので、個人的には一つのフレームに長く乗りたい・長く使いたいという方に向いていると思います。掃除も楽だし。

好みの面でいうと、KUALISの比較的細い円形パイプもスマートな印象でかなり好きです。逆にカーボンフレームみたいに楕円形だったり、太すぎたりするのはちょっと…。

旅バイクとしてのKUALIS

これは単に用途別の話。

何よりも速く走ることを目的とするレースとは違って、旅のように「色んな場所に走りにいった先で色んな体験をする」という用途なら、どちらかというと金属フレームが向いていると思います。

もちろん走行性能だけ見ればカーボンフレームに勝るものはないけど、カーボンフレームは他の材質に比べて、取扱いに特に気を使うという注意点がある。

カーボンって衝撃が加わるとクラックが入ってそこから割れてしまう恐れがあるので、旅の道中の心配事として「どこかにぶつけたりしないか」という事項が常に付きまとうことになる。万が一旅先で落車でもしようものなら顔面蒼白になって、その後の旅が憂鬱なものに変わってしまうのは想像に難くない。

自分はそういう不安を抱えたまま走りたくないので、強度が高くて丈夫で、ちょっとの傷くらいなら何ともない金属フレームの方が安心できます。

そこに走りやすさと軽快さがあるならフレームとしてマイナスな点はないし、自分としても良い選択だったかと。

おわりに

旅をしていく中では自分のバイクを視界に入れる機会が多くて、バイクと風景を一緒に写真に納める場合は特にその存在感を実感したくなるもの。

ただあまりにも目立ちすぎるのではなく、自分の旅にスッと寄り添うような自然な存在感のバイクを求めていた。

KUALISの金属感は景色の中で目立たないのが良い

町の中ではストップ&ゴーも多く、自分の行程は散策メインなので押し歩きをすることも多々あって、要はずっとバイクの上に跨っているわけではない。

私はバイクの走行性能「だけ」を見ているのではなく、あくまで自分にとっては旅の道中の要素の一つとしてロードバイクという存在がある。その中では、派手な見た目や高級感があって乗るのにワンテンポいるようなバイクは自分には合っていないと思ってます。

様々な場所に出かけていって気軽に乗れるバイクが好みな自分には、KUALISは乗っていてそこまで気取らない、というか見た目が地味なところがとても気に入っています。チタン特有の鈍い輝きはどんな風景にも、どんな場面にもマッチしてくれる。


チタンフレームはあくまでチタンとしての素材に魅力を感じた人が手を出す代物で、メインストリームの中でフレームを選ぶときに選択肢には挙がりにくい存在。性能というよりも、各人の感覚的な好みで選ぶ人が大多数じゃないかな。

ただ、KUALISというオーダーフレームになると乗り心地はもちろんのこと、自分の思う理想を形にできるのが一番のメリットです。チタンの外観や耐食性に惹かれたので次は走行性能を具体化したい…という人は、一度相談してみるのがおすすめ。
色々なメーカーがある中で、このKUALISを選択して本当に良かったと心から思います。

フレーム製作の際の溶接精度に関しては、数あるビルダーの中でもKUALISはトップレベル(だと自分は思っている)。
チタンフレームでたまに話題になる、経年劣化によるクラック(割れ)の心配は、今のところしていません。どれくらいで生じるものなのかはっきり分からないし、まあ使っていくうちにその辺は分かってくるでしょという軽い気持ちでいます。

これからもよろしくね。


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