【MICHE PRIMATO K12 SH 16-30T】シマノ12s互換のイタリア製ジュニアスプロケットを使ってみた話

今回はタイトルの通り、ENVE SESに取り付けているスプロケットを交換した話です。

もくじ

スプロケット交換に至った経緯

現状の構成

KUALIS納車と同時にコンポーネントとしてシマノの12s(12速)アルテグラを使用し始め、もう1年以上になります。ドライブトレインにおいて使用している組み合わせは以下の通り。

  • チェーンリング:FC-R8100(50-34T)
  • スプロケット:CS-R8100(11-30T)11-12-13-14-15-16-17-19-21-24-27-30

これらのうち、コンパクトクランクのチェーンリング(50-34T)については11s(11速)時代にも使っていたのでスッと決まったのですが、問題だったのがスプロケット。

納車当初から現在までシマノ12sスプロケットのラインナップは変わっておらず、アルテグラ/デュラエース問わずに11-30Tか11-34Tの2種類しかありません。激坂でもない限り34Tは使わないと思ったので11-30Tを選択し、今に至ります。

現状の問題点

しかし、実際に自分がこの組み合わせで使用していく中で危惧していたことが現実になってしまいました。何かというとスプロケットのギア間隔が大きい部分(ワイドレシオ)と自分の常用域が合致してしまっており、走っている最中にちょうどいいギアがない。

説明のために、現在のギアの組み合わせとギア比の関係を下に示します。

チェーンリングFC-R8100 50-34T / スプロケットCS-R8100 11-30Tの組み合わせ

11-30Tはロー側の30-27-24-21までが3T刻みであり、クロスレシオっぽくなるのは19Tあたりからとなっています(11-34Tでも同様の傾向)。従ってアウターを使った場合に1T刻みで気持ちよく変速しながら走れるのは、12sのうち半分よりトップ側(17-16-15-14-13-12-11)を使う場合に限られるということ。

これを自分に当てはめてみると、平地でアウター50Tを使った場合にリア24Tだと軽すぎて21Tだと若干重く感じました。しかもこれ平地の場合なので少しでも坂道になった場合はロー側に変速する形になり、「24-27-30のロー側ギアは間隔が広いためちょうどいいギアがなく、最終的に気持ち悪くなってインナーに落とす」というパターンが非常に多い。

逆にインナー34Tの場合は自分が気持ちよく走れると認識している15Tを中心にして、ロー側/トップ側の両方が1T刻みになっています。12sのうち半分よりトップ側がクロスレシオなので、フロントのチェーンリングの歯数を50Tから34Tに落とせば結果的に一定ケイデンスで走りやすいというわけ。


このときのギア比を確認した結果、自分の常用域はギア比2.13~2.43くらいです。アウター50Tを使うと常用域にくるギア比が1段で2.08から2.38まで上がってしまうため、ペダルの重さが一気に変わって走りにくいわけですね。

で、アウターでは一定ケイデンスで気持ちよく走れないのでインナーに落とすしかなく、ライド中のほとんどをインナーで過ごす事態になっています…。アウターに戻すのは下り坂でちょっと踏みたい気分になるときくらいしかないし、フロントダブルの意味があるのかこれは。

シマノ11sには14-28Tがあったけど…12sは?

ここでちょっと昔を思い出すと、上記と全く同じ思考になったのでシマノ11s時代はジュニアスプロケットの14-28Tを使っていました。自分の脚ではトップ側の11, 12, 13Tあたりは使用する機会がなく、それなら自分に合ったスプロケットに交換するのがベストという考えによるものです。

  • スプロケット:CS-R8000(14-28T)14-15-16-17-18-19-20-21-23-25-28

14-28Tは11sのうち8s(14-15-16-17-18-19-20-21)が1T刻みのクロスレシオ、残りも21-23-25が2T刻み、25-28が3T刻みという素晴らしい組み合わせ。

隣り合う歯数の差が小さければ小さいほどケイデンスの差も小さくなるため、1枚ずつ変速することで地形に応じた速度までスムーズに加速することができます。ロードバイク旅をしていく中では下り坂や上り坂、向かい風や追い風といった様々なシチュエーションがある中、1T刻みならどこかに存在するであろう「最適な歯数」を得ることができる。

脚への負担を増やして微妙に合わないギアで回し続けるという選択肢もありますが、そうすると膝や身体に悪影響を及ぼしかねないので避けたいところです。1T刻みはケイデンスの差が小さいので脚への疲労も軽減でき、14-28Tは個人的にはこれしかないというスプロケットでした。

考えられる改善案

現状の問題点から考えられることは、

  • 自分の脚力及びロードバイクの用途(のんびり旅)だと、重いギアを使うことがない。
  • 使っていないギアは取り除いて、常用域のギアをクロスレシオにする方が効率的。

ということで、まあ考え方そのものは11s時代と同じです。ロードバイクの使い方が11sでも12sでも同じなので、ドライブトレインの選び方も変わらない。

じゃあ12sでもジュニアスプロケットを使えばいいじゃん!という流れになるものの、すでに述べたようにシマノ純正のスプロケットでは選択肢が少なく、実現できません。しかしそれでも諦めきれずに他社製品を探してみた結果、シマノ12sに互換性のあるMICHEというスプロケットを見つけたのでした。

購入したもの:イタリア MICHE PRIMATO K12 SH 16-30T

MICHE PRIMATO K12 SHのラインナップ

MICHEはイタリアのメーカーであり、カタログを見るとスプロケットだけではなくチェーンやペダル、ハブ、ホイール等も扱っていて幅広い分野の部品メーカーっぽいです。

PRIMATO K12 SH

で、今回見つけたシマノ12s互換「MICHE PRIMATO K12 SH」シリーズのラインナップは以下の4通り。

  • SH 11-30:11-12-13-14-15-16-17-19-21-24-27-30
  • SH 11-34:11-12-13-14-15-17-19-21-24-27-30-34
  • SH 14-30:14-15-16-17-18-19-20-21-23-25-27-30
  • SH 16-30:16-17-18-19-20-21-22-23-24-25-27-30

これらのうち11-30Tと11-34Tはシマノ純正品と同じギア構成ですが、14-30Tと16-30Tはまさに自分が求めていたもの。トップ側の重いギアを廃して全体をクロスレシオ化していて14-30Tはトップ14Tから21Tまで、そして16-30Tはなんとトップ16Tから25Tまでが1T刻みという神仕様。

チェーンリングFC-R8100 50-34T / スプロケットMICHE PRIMATO K12 SH 14-30Tの組み合わせ
チェーンリングFC-R8100 50-34T / スプロケットMICHE PRIMATO K12 SH 16-30Tの組み合わせ

どちらも使い勝手が良さそうですが、今回は自分の常用域であるギア比2.13~2.43を補完したいという思いで16-30Tを選びました。

フロント50-34Tを使うならリア24Tと21Tの間を埋める必要があり、16-30Tは中間の23T、22Tがあるので理想通りです。対して14-30Tの方は23Tのみが存在している状態で、どちらかというと16-30Tの方が自分に合っている様子でした。

仕様、注意書きの確認及び外観

購入する前に製品仕様を一通り確認しました。

各ギアが1枚ずつバラバラになる構造である上、各ギアの間には必ずスペーサーが入ります。シマノのスプロケットは軽量化のために何枚かのギアがブロックになっているので、それとは対照的な造りです。

スクロールできます
項目 CS-R8100PRIMATO K12 SH
重量291g (11-30T)
345g (11-34T)
390g (16-30T)
トップ側素材SteelOpaque chromed steel
ロー側素材AluminumAL 7075 T6 / HT "Hard Treatment"

材質と重量は上記の通りです。

今使っている11-30Tと比較すると100g近い増加になるものの、同じシマノの11-34Tが345gであることを踏まえると妥当な値かなと思います。何しろトップ16Tなので全体的にギアが一回り大きいです。


マニュアル中の注意点は下記くらいで、11sハブに取り付ける設計になっているようです。

Primato K12 SH cassette is designed and manufactured for compatibility with “HG road 11” freehub body profile. Make sure your wheels and hubs have “HG road 11” freehub body profile.

Primato K12 SH カセットは、「HGロード11」フリーハブボディ プロファイルとの互換性を考慮して設計および製造されています。 ホイールとハブが「HGロード 11」フリーハブボディ プロファイルを備えていることを確認してください。

MANUAL OF MAINTENANCE AND USE

ただこれは、11sのホイールやハブを所持している自分のようなユーザーにとってはかなりフレンドリーな仕様。シマノも11sから12sに移行するにあたってホイールをそのまま使えるように配慮しているので、それと合わせた感じです。

説明は以上で、製品の実物を示します。

ちゃんと届くのか不安だったけど無事に届きました。「MADE IN ITALY」の製品を見るのは初めてかもしれない。

輸入品なのでまず最初にどこか破損していないか現物確認したところ、特に問題なし。GRXのスプロケットみたいにロー側2枚だけ材質がアルミになっており、ここだけ色が違うので分かりやすいですね。肝心の耐摩耗性については使ってからでないと判断できませんが…。

セッティング

スプロケットの取り付け

モノが届いたところで、早速ENVEホイールに取り付け。

取り付けに関してはシマノのスプロケットと大差ありません。私のENVE SESのハブはCHRIS KING R45(11s)で、取り付けはスムーズに済みました。【追記】ラストの16Tについてはハブのスプラインではなく17Tの凹みに合わせて取り付ける形式で、場所を間違うと正しく固定されないので注意(おそらく14-30Tでも同じ)。

スプロケットを取り付けた状態

ホイールに付けた状態だとなおさらデカく感じるなこれ。

11-30Tだと稜線部分の傾斜が急なのに対し、こちらはほとんどが1T刻みなのでとても緩やかです。

トップ16Tでも問題なし

ホイールをフレームにセットしました。

私のKUALISはオーダー時に「ジュニアスプロケットをセットする可能性がある」と伝えていたためエンド部のラグが広く、トップ16Tでも取付け時や変速時に干渉しません。ただし一般的なロードバイクのフレームでは16Tはもちろんのこと、たとえ14Tだったとしても干渉する可能性が高いと思われます。

おそらくジュニアスプロケットを一度は検討したものの導入できない、という人の一番の理由はこれで、フレームが対応していないと難しい。ある意味仕方ないですね。

リアディレイラーの調整

取り付け後、ガイドプーリー位置を微妙に動かすために変速調整をしました。このとき驚きだったのは、トップ16TでもリアディレイラーRD-R8150は普通に動作するという点。仕様上だとトップスプロケットの最大歯数は14Tなんですけど、なんと16Tでも動きます。

ただ「動く」というだけで実は目に見えない部分で負荷がかかっている可能性もあって、MICHEはどういう根拠でトップ16Tの製品化にゴーサインを出したのかは不明でした。まあ「Cassette sprockets for Shimano 12x transmissions.」って謳ってるくらいだからその辺りの検証は済んでると思いたい。

実走行結果

新スプロケットの試運転として、下記のライドを行いました。

  • 約100km、獲得標高1,090m、行程の半分が向かい風5m/s

試運転を通じて感じたことを箇条書きで示します。

メリット
  • 何よりも常用域で1T刻みなのでものすごく走りやすくなった。風による速度の減少/増加時、坂道の連続時、渋滞時など細かい速度調整が必要なときにも一定のケイデンスで走れる。
  • メインでアウターを使うという本来の使い方ができているほか、インナーに落とすのは斜度4%以上の坂道くらいに限定されるので2x12sのすべてを無駄なく使用できる。
  • 常用域がスプロケットのほぼ中央に来るため、チェーンラインを良好に保つことができる。
デメリット
  • 下りのときに重いギアが足らなくなるときがある。しかし自分の脚ではそれほど問題にならない。具体例を挙げると斜度-3%のときに50-16Tで回して43km/h程度と必要十分であり、これ以上の斜度の場合だと何もしなくても速度は出る。
  • 変速の調整が少し難しく、アウター/インナー問わずに30Tに入れるときに若干もたつく。変速の滑らかさについてはシマノ純正の方が上。

一応デメリットもありますが変速のもたつきについてはそんなに気にならず、それよりもケイデンスを一定に保てるメリットの方が大きいです。

まとめ

  • 自分のようなホビーライダーにとっては、使用しない無駄なギアが付いている製品よりもジュニアスプロケットの方が向いている。
  • 今後、シマノから純正の14-34Tとかが発売されたらそれに乗り換える可能性が高いが、現状だとMICHEのこの製品はスプロケット選びの選択肢の一つになり得る。

与えられた選択肢の中で「自分に」フィットするために試行錯誤するのが趣味の醍醐味の一つ。MICHE PRIMATO K12 SHは自分の用途に合致した製品であって、導入してみて本当によかったです。使用時間が長くなれば他の点についても見えてくると思うので、しばらくは様子を見るつもりです。

おしまい。


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