今回はロードバイクで京都府北部の丹後半島を一周してきました。
「海の京都」と呼ばれる丹後地方には日本海に突き出すようにして丹後半島という半島があり、日本三景の一つである天橋立や伊根の舟屋といった海沿いの景観が有名です。最近はどちらかというと山の成分が多めのところを訪れていたので、気分転換として海の景色を見に行くことにしました。
【参考】ロードバイクで丹後半島を訪問するのは2回目となります。初訪問時2020年6月の記録はこちら。

早朝の天橋立
前回のライドでは宮津から京都丹後鉄道宮豊線に乗って西へ向かい、そこから時計回りに半島を一周して宮津に帰還しました。今回はその逆で、宮津を出発して反時計回りに半島を一周してから輪行で帰ってくる形としました。同じルートを再度走るより、異なる点を積極的に設けることで新規性をつくっていきたい。
あとはライドの時期が6月から3月に変わったことで、完全に春になる前の季節感を味わうこともやっていきます。



宮津市街を出発して早々に天橋立に到着。
車道を通って伊根の舟屋方面に行くのであれば県道2号から国道178号へと走る必要があり、市町村も宮津市~与謝野町~宮津市という風に切り替わります。しかし天橋立は歩行者と自転車は通行できる(府道天の橋立線)ため、この天橋立を通過することでショートカットすることが可能です。なんて素敵なんだ…。
時間帯がまだ早いので店も開いておらず、観光客もまばら。そのぶん観光地にも関わらず一帯は静けさが支配しており、ライドのスタートしては申し分ないだろう。





天橋立は全長約3.6kmの湾口砂州であり、簡単にいうと海流の流れによって砂が堆積してできた陸地です。
その中には約8000本の松が茂っており、海と砂浜、松の並木、そして山という大自然の要素を感じられるスポット。砂地の道はかなり走りやすく、途中にはトイレや休憩所があるので散策するにはちょうどいい感じ。地域の多くの方が朝から散歩されているのも納得がいきました。
しかし湾の形だけ切り取ると、京都北部の海沿いには他にも似たような地形がたくさんあるはず。天橋立だけこのような砂州が生まれたのは不思議です。



そのまま反対側へと到達し、朝日を横目に見ながら国道178号を北へと進んでいく。この道中に海が日本海に面している箇所があり、あまりの爽快感に停車してしばらく海を眺めていた。
透き通るような澄んだ色の空に青い海。寒くも暑くもない適度な気温。こういう道をロードバイクで走っているときにこそ自由を、そして幸せ感を感じられる。これは機材云々の話ではなく、いま自分が味わっている体験そのものの素晴らしさを強く感じました。こういう景色を自分は見に来たんだ。
なお丹後半島において海のすぐ脇が海になっている箇所はそう多くなく、道と海との間に陸地がある場合がほとんどです。そういう意味では、スタートして間もないタイミングで絶妙な場所に巡り合うことができた。
舟屋がある景色
国道178号から海沿いの道へと移り、大島の舟屋~伊根町日出の舟屋を経て町並みの中心部へ。丹後半島を代表する重要伝統的建造物群保存地区「舟屋」の景観が徐々に現れてくる。


舟屋とは海に面した1階を船の収納場所(ガレージ)、2階を倉庫として使用する伝統的な建物のこと。現代におけるマイカーのように、各ご家庭が船を所有していた時代の名残が今も残されています。なお当時の船は木造のため、海から完全に引き上げて乾燥させる必要があったことからこのような形式になったようです。
海からゼロ距離のところに家屋が建てられている様も見事なものだけど、そこに漁船がセットになっていることで海と人々との生活が密接に交わっていることが理解できる。






海側の舟屋と山側の主屋に挟まれた小道を通り、伊根の舟屋に到着。
近くには舟屋を改装した宿泊施設やカフェ、遊覧船乗り場、飲食店などがあり、ここを起点にして散策をするといいと思います。伊根の舟屋の中心部にある伊根浦公園では、朝早いにも関わらず外国人観光客の姿が比較的多く見られました。
こういうところを訪れるたびに思うこととして、ロードバイクというか自転車の機動性の高さは散策に向いている。なんせ道がとても細いため自動車だと通行することすら困難で、駐車する場所もなかなかない。しかし徒歩オンリーだと移動距離が長くて疲れるしで、自転車は両方の良いとこ取りをした本当に便利な乗り物だと思います。









伊根の舟屋付近では写真撮影する人が多かったのに対して、少し西へ向かったところでは何をするわけでもなく座り込んでただ海を眺めている人がいました。
自分もそれを真似してみたところ、これが想像以上に心を落ち着かせてくれる。自分の目の前には静かに打ち寄せる波、そして遠くに見えるのはこちら側にやってくる小さな船。そして頭上を見上げればさんさんと降り注ぐ陽光がまぶしく、世界はこんなに美しさで溢れているのかと感動していた。
自分が住んでいるところのすぐ近くにこういうスポットがあったら毎日でも通うだろうな。特に目的を持たなくとも、大きな海をぼんやりと見つめているだけでリラックスできそうだ。



その後はロードバイクを走らせ、観光客があまりいない県道622号方面(伊根岬)を向かってみる。こちらは舟屋というよりは地元の方が多く住んでおられる一帯ですが、マップを見る限りは多くの宿泊施設があるみたいです。
とある宿泊施設の前では、泊まっていた観光客がちょうど建物から出てくる様子が見えました。中心部に比べると喧騒もなおさら皆無で、落ち着いて過ごせそう。



そういえば港町なのに猫に遭遇しないな…と思っていたところ、三毛猫がダッシュで駆けていく場面に遭遇。これは運がいいのかもしれない。
丹後半島北部の海岸エリアへ
さて、伊根の舟屋を散策できたことでライドは後半戦へ突入。あとは交通量が多い道を避けつつ、半島の南から北、そして西へと走っていくことにしました。






まずは山道の新井崎街道を通って新井崎方面へ向かい、さらに津母、野室、本庄浜と徹底して国道を避けるルートを選択。その後は国道178号を通りますが、トンネルではなく長延を通る山岳方面へ向かいました。
道中は交通量が非常に少なく、丹後半島を走る観光客のほとんどは伊根の舟屋が目的だということを再認識。海と集落がセットになった風景が多くて心が休まる。


前回訪問時に感動した蒲入展望所とカマヤ海岸では、進行方向側に日本海の荒波が見えてくるのが印象的でした。落ちたら簡単に天国へ行けそうなほど高低差があって、岩ばかりの崖に道が通っているのは見事というほかない。
伊根の舟屋周辺の穏やかな海とは正反対の、日本海から吹き付けてくる風の影響をダイレクトに受けた地形に目を奪われる。というか風の強さについては数千年前ではなく今日この日も感じており、ちょうどカマヤ海岸から先のライド後半戦では追い風になってくれました。







時期は3月ということで新緑にはまだ早く、海の濃い青に比べて丘や山などの陸地の緑色はまだ控えめ。


袖志浜、中浜、丹後松島、立岩などを眺めながらロードバイクを走らせていく。
丹後を一周していく中では視界に入ってくる陸地と海の割合や海面からの高さが連続的に変化しており、どこを切り取っても同じような場所がありません。そのため飽きやすい性格の自分でも飽きることがなく、もっと先へと進んでみようと思えるほど魅力的なところです。しばらく何もない区間があったと思ったら次第に集落や市街地に入っていったり、かと思ったら田園風景があったり。「半島」というカテゴリには入っているものの、土地として単純に広いため様々な風景に出会えるというわけです。
ちなみにこの日は天気が良かったせいか、自分以外にもロードバイク乗りの姿を結構見かけました。自分のような趣味で乗っている人以外にもレースの練習をしているチームっぽい一団がいたりして、確かにトレーニングにはベストな場所かもしれないな。





最後に立ち寄った琴引浜。
見渡す限りの砂浜と打ち寄せる波の様子が気持ちいい。もう少しすれば大勢の海水浴客で賑わうこの砂浜も、まだ水温が低い今の時期は数えるほどしかいません。でも砂の上に座り込んでうとうとするにはいい環境で、ライドのことを忘れてのんびりしていました。
改めて時刻を確認してみると今は昼過ぎ。ここから輪行で帰路につくとして網野駅の手前(網野町網野)でランチをとる予定でしたが、ランチを食べていると電車の時間を一本後にずらす必要があることに気がつく。この便に乗らないと宮津へ到着するのが2時間後になってしまうため、ランチは宮津でとることにしました。普段は時間に縛られないライドを重視しているとはいえ、電車の時間はさすがに無視できない。




というわけで、予定通り網野駅で電車に無事乗れました。
網野から宮津までの区間(京丹後市街地)は完全に内陸となるため、風景としては田畑や里山がメインになります。これからの時期は田んぼに水が張るし、自分が好きな水田の景色がそこかしこで見られそうだ。
宮津のソウルフード
帰りの電車の中で色々調べた結果、ライド後の食事に選んだのは宮津のご当地グルメとして有名なカレー焼きそば。その名の通り、焼きそばにカレーのルーをかけた料理です。
一般的なうどんではなく焼きそばとカレーとの組み合わせは個人的に初めてということで、宮津を起点とした日帰り旅の最後にふさわしい。よく考えればカレーも焼きそばも単品で十分美味しい料理であって、それらを合体させることでもっと美味しくなるのは、確かに納得できる。





宮津に帰ってきたのでお店へ早速向かう。
宮津カレー焼きそばの店は市街地にたくさんあるみたいですが、宮津に到着した時間帯が微妙だったため開いている店は多くありませんでした。今回は市街地の西側の「絵梨奈」という、店名というよりは人名みたいなお店を選択。



店内の様子はこんな感じで、ノスタルジックな喫茶店という感じです。すでに夕方に差し掛かりつつあるなか、お客さんは自分以外にもう一組。そして後からさらに一組がやってきました。
この絵梨奈はメニューの数がとてつもなく多く、ご飯物、麺類、定食だけでも各10個以上あります。定食については野菜炒め、ミンチカツ、とり唐揚げ、とり塩炒め、とりタレ炒め、チキンカツ、ポーク炒め、ポーク味噌炒め…等々。さらに夜になると飲み屋へチェンジするらしく、飲み用のメニューも豊富に取り揃えていました。こんな店が近所あったらいいな。


注文したカレー焼きそばが到着。
宮津のカレー焼きそばは汁気が少ない「ドライ」と汁気多めの「ウェット」の2種類から選択でき、ウェットの場合は食べ進めている途中にライス(別売り170円)を投入するのが美味しい食べ方のようです。どちらを選ぶかは完全に個人の好みだけど、今回はスパイス感が若干マイルドというウェットにしました。
肝心の味については、予想外に焼きそばとカレーの相性がいいということ。カレーって風味が結構強くて、カレーに何を混ぜても普通はカレーの味になってしまうじゃないですか。でも焼きそばだとカレーの汁の中に確かに焼きそばの味が感じられ、麺がカレーのパワーに負けていない。また焼きそばはうどんよりも麺が柔らかくて細いためすすりやすく、通常のカレーよりも汁がサラサラでご飯との組み合わせが重すぎない。総じて、運動の後にサッと食べるのに適した料理だと感じました。
やはり遠方に行くのであれば現地のグルメを楽しむのが吉。今回は丹後半島のライドということで海鮮をまず思いつくところ、宮津という視点からカレー焼きそばを選択したのは良い判断でした。
お腹が膨れて満腹感を得られたところで、春前の丹後半島ライドは無事に終了。若狭湾周辺の海岸線は自分の好きな要素が多く、今後も機を見て訪れていきたい。
おしまい。
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