【尾道 喫茶キツネ雨~因島 大山神社~穂満旅館】ロードバイクで夏の瀬戸内の島々を巡ってきた Part 1/2

今回は、梅雨の合間を縫って夏の瀬戸内海をロードバイクで走ってきました。

梅雨明けが発表されたとはいっても雨の日が続いており、梅雨前線が復活という珍事も発生する始末。なのでこの時期はロードバイクに乗れそうにないなと諦めていたのですが、予定していた週末になんと晴れ間が拝めそうということで予定通り行ってきました。

何週間も前にこの週末にどこかに行くことだけは決めておいたものの、いかんせん天気次第なのがロードバイク旅におけるマイナスポイント。そんな中で晴れを引き当てたのは運がいいというほかない。

もくじ

KUALIS×KUALISライド

今回一緒に走るのは私がフルオーダーチタンフレーム・KUALISを導入する際にとてもお世話になった方で、もちろんすでにKUALISにガンガン乗られて旅をされています。

私が納車したらどこか一緒に走りに行きましょうという話がずっと前にあって、なんとなく夏の瀬戸内海がいいよねという感じで自動的に行き先が決まりました。

尾道駅にて

尾道駅で輪行解除し、駅前の作業スペースで集合。瀬戸内というか、尾道に来るのも久しぶりだ。

そして感動のKUALISご対面。フルオーダーチタンフレームというだけでも珍しいのに、KUALISが同時に2台揃うことなんてレアすぎて天変地異が起きそう。

納車を祝ってもらったり、自分のバイクのこだわりポイントを話したりしながら出発。

尾道といえばラーメンでしょ、ということでまずは尾道ラーメンで昼食を。

身体に染み渡っていくような旨さがあって一瞬で完食。この尾道ラーメンによって身体が尾道を思い出したような気さえしてくる。


今回の行程は気温や湿度の高さを考慮して、1日に走る距離を少なめにした安全よりのプランとしました。集合したこの日は尾道からすぐ近くの因島まで走って一泊し、翌日にしまなみ海道周辺を走って終了という流れです。

雨雲の位置の関係で集合時間は昼前となったものの、このまま宿に直行してもすぐに着いてしまう。

昼食の次は尾道のカフェでまったりすることにしました。

訪れたのは、尾道本通り商店街の端っこの方にある喫茶キツネ雨

お知らせ - 喫茶定食キツネ雨

尾道では有名すぎるほど有名な喫茶店で、私自身もファンの一人。尾道を訪れるたびに必ず立ち寄るほど好きなところです。何よりも雰囲気がある外観や店内、静けさを大事にする経営方針、そして飲み物や軽食の味…。すべてが自分好みだ。

尾道に来たのならぜひ喫茶キツネ雨に行ってみてほしい。

現在は予約を受け付けておらず、店内に入るには当日訪れるしかありません。しかも席は1人 or 2人までとなっており、3人以上のグループの場合は分散して案内されるようです。席数も非常に限られているので、とにかく早めに訪れるのが吉かと。

もし満席だったらこんな暑い中外で待つのやだな…と思っていたら、運良くテーブル席が一つだけ空いてました。良かった…!

注文したのはこちら。

人気メニューのふかふか厚切りフレンチトースト + 牛乳屋さんのバニラアイス + アイスコーヒー。

見るからに美味しそうなフレンチトーストは24時間じっくり漬けこんだパンを弱火でじっくり焼いたもので、一言でいえば上品そのもの。その甘さは一口目で十二分に実感できるほどで、口の中の滞在時間に比例するように甘さが増していきます。食べているうちに自然と笑顔になってくる。

一緒に注文したアイスコーヒーはブラックで、フレンチトーストの甘さとの組み合わせがベスト。昼下がりの街角でこんなに優雅に喫茶をキメているなんて、もうこの時点で尾道に来て正解だった。

因島を走る

向島行渡船~因島

お腹がいっぱいになったところで、そろそろ尾道を離れて向島~因島へ。

尾道から向島へは「向島行渡船のりば」から向かうのがもっともスムーズで、乗り場も駅前からすぐそこなので分かりやすいです。

向島行渡船のりば
尾道駅前

集合時点ではまだ曇り空が見えていたけど、この時間になるともう辺りは狙ったように快晴に包まれていた。

完全に夏の空気になった駅前で移動して渡船のりばへと向かう。ここがいわばしまなみ海道の本州側の出発地点に位置することもあって、ここからライドが始まるというだけでテンションが上がってくる。

どの旅でもそうだと思うけど、ロードバイク旅の場合はやっぱり走り始める瞬間が好き。

しまなみ海道は船による移動が多くて、船を下りてからシームレスにライドがスタートするのが本当に良いと思う。通常なら駅なり空港なりから走り始めるところ、ここではそれが船。瀬戸内海っぽさを最大限に実感することができる。

待っていたら船がやってきたので、早速乗って向島へ向かう。

船の窓の奥にゆっくりと流れていく尾道の景色。ほどよい船の振動。そして照りつけるような日光の眩しさ。

ようやく自分はしまなみ海道に戻ってきた。

向島に到着。

乗り物に乗っている間は早く目的地に到着しないかなとよく思っている自分でも、うまく言えないけど瀬戸内の船はそういう気持ちにならない。

単に距離が短いというほかに、ダイレクトに外の環境を味わいながら移動できるというのが一番の理由です。外との仕切りが特にないので、瀬戸内の気候や風土を全身で感じつついつの間にか目的地に到着している。船の速さも景色を楽しみながらという意味では本当にちょうどよくて、もうずっとこのまま船にのって島々の周辺を遊覧したい気分。

というわけで、ここから宿に向けて走っていきます。

ルートは特別に決めておいたわけではなく、ブルーラインに沿って向島から因島へ順当に走っていきました。

今回のライドは凝った変則的なものというよりは、単純に趣味やバイクが同じな同行者と一緒に走るのが目的。なのでどこを走っても個人的には満足だし、そこには他の要素を含める必要がない。

自分のバイクのカラーリングには瀬戸内海の海の色を多少なりとも入れ込んでいるので、「海に合う」場所として瀬戸内海を選んで良かったと思います。

しまなみ海道はどこを撮っても絵になる中で、海沿いの風景は一発で瀬戸内だと分かるほどに特徴的。因島大橋から因島へ向かう道中ではそういう気分が強くなって、2人して大声出しながら感動してました。

大山神社

因島に渡ってからは県道366号から内陸の県道367号へ走り、因島水軍城を横目に見ながら島の南側へ。

ここで立ち寄ったのが大山神社という神社です。

旅先の神社ってその土地独自の景観を感じられることが多く、個人的に立ち寄る率が高いスポット。

大山神社は高台の上に建っており、島の内陸部=標高が高いという図式の通りの雰囲気がありました。

すでに結構な暑さだったからか、快晴の天気にも関わらず参拝者は皆無。というか自分達もあまりの暑さにへばっていたので、宿に到着する前にここで休むことに。

汗の量が尋常じゃなく、水を飲んだり塩分を補給したりしても体温の低下には繋がりません。先週のライドで暑さにはもう慣れたわwwとか余裕ぶっこいたいたのは一体何だったのか。

このまま暑い環境下で走ることを繰り返していけばいつかは慣れそうですが、慣れる前にもう夏が終わってそうな予感(毎年言ってる)。

ただ、大山神社には風鈴や水盆があったりと「涼」を感じられるのが嬉しかったです。特に風鈴については身体的にはまるで作用しないけど、精神的に何故か涼しくなれる気がする。これは何なんだろう。

今日の宿、穂満旅館

そんなこんなで身体の方がオーバーヒート気味になってしまい、そのまま宿にチェックインすることにしました。

宿でしばらくクールダウンをし、夕食までの比較的涼しい時間帯にこの辺りをぶらぶら散策するという方針です。

穂満旅館も久しぶり

泊まったのは、因島の宿では個人的におすすめできる穂満旅館という旅館。以前の宿泊記録についてはこちらにまとめています。

前回の宿泊時は「今度は友達と一緒に走りに来たときに泊まっていってよ!」とご主人に言われたので、今回のざっくりとした行程を考える際にそういえば…と思い出して宿泊先に勧めました。

相変わらずのインパクトありすぎる外観、ご主人の朗らかさ、この時代ではなかなか感じられないゆっくりとした時間の流れ。何もかもが前回宿泊時から変わっていなくて、帰ってきたという気持ちになる。

玄関。正面が帳場。

穂満旅館は1階に玄関と帳場があり、正面の階段を上がっていくと周り廊下がある中庭に出ます。

上の写真に写っているのがその中庭で、アクセス不可な1階にある池や竹林を2階部分から見下ろせるという形。周り廊下も時間を忘れて過ごすには最適で、椅子や机が置いてあるので前回はここに座って寝てました。

いやほんと、自然に眠くなってくるほど居心地がいいのよ。

周り廊下の途中から左に逸れると建物奥側の客室フロアへと続いており、その手前に1階へ下る螺旋階段があります。

この階段の先に風呂場(岩風呂)があって、つまり宿泊時には自動的に階段を上り下りすることになる。横方向だけでなく上下方向への移動もあるので、館内を歩いているだけなのに探検しているような気分になれるのが穂満旅館の良いところ。

今回泊まった大広間

今回はなんと、前回訪問時に気になっていた玄関真上の大広間に泊まることができました。

穂満旅館は元々料亭だった建物が宿泊もできるようにと旅館になった歴史があり、この三間続きの大広間は宴会等に使用されていた場所。一番奥には金の屏風があったり火縄銃があったり、一部屋ごとに巨大なテレビがあったりと特殊すぎる内装でした。

で、ここに荷物を置いて出発する前に近場を歩くことに。

穂満旅館の近所は海沿いから通りを一本入ったところに位置し、実に落ち着いた街並みが広がっているためです。別にロードバイクで走ってきたからといって、必ずしもロードバイクに乗らなければいけないわけじゃない。街並みの散策には徒歩が一番だ。

玄関扉にはネコ注意の張り紙が
ネコ達

早速大通りへ繰り出そうと玄関扉に手をかけたところ、「扉を開けっ放しにしておくとネコが入ってきます」との注意書きが。

この近辺にネコおるんか?と思っていたのですが、探すまでもなく穂満旅館真正面の飲食店の前にいました。しかも黒猫ばかりで、暑いからなのか横になっている子が多いです。

黒いから余計に暑そう。毛皮着てるし。

いずれのネコも“さくらねこ”なので地域猫のようです。

特段警戒心が強くないみたいで、結構近寄っても大丈夫でした。ネコチャンネコチャン。

島といえば海沿い、海沿いといえば猫…じゃないですけど、この通りの周辺には猫が多かったです。通りは道幅がかなり細いので交通量はとても少なく、猫達にとっても安全に行動できるのでたむろしている様子。

旅先で出会う猫は癒やしそのものなので、全く想像してない場所で出会ったりすると嬉しさが増す。猫の存在は平和そのものだと思います。

通りの様子はこんな感じ。

古き良き商店街という雰囲気で、道の両側に立ち並ぶ民家に混じって商店がいくつか存在しています。観光的な部分は少ないけど、その土地の生活の一部を垣間見るような体験ができるので好き。

生活道路周辺の街並みって単に島を巡るだけではまず見つけることができないスポットだと思うし、自分も前回ここに一泊することで初めて歩くことができました。

そんな中で訪れたのは、穂満旅館からほど近いところにある吉徳屋酒店という酒屋。

こちらにはビールや日本酒等多種多様なお酒が揃っているので、穂満旅館に泊まる際に酒を確保するのにちょうどいいです。すぐ近くにコンビニがあるのでそこで買うこともできるけど、個人的にはこういう誰も知らないようなお店で買う方が好み。ご主人にこのあたりのお酒のことを聞いたりして、最終的に日本酒を買いました。

ちょっと気になったのが、レジ横のダンボールの上で猫が寝ていたこと。

ダンボールが入口の正面に位置しているので店内に入る前に猫の存在に気づき、起こさないように静かに入店したりしていました。ここまで安心しきっているのに実は酒屋の猫ではなく、近所の猫だそうです。よく遊びに来るとのこと。

いや、ここまで寛いでいる様子を見たら普通はここの猫だと思うじゃん。何もかも平和すぎる。

因島を始めとする瀬戸内海の島々では、時間がとてもゆっくり流れている。その平和感がこうした生活の端々にも見ることができてほっこりした気持ちになれました。

因島の端っこへ

酒を確保して旅館に戻り、気がつけば夕食の時間まであと1.5時間ほど。

そろそろ気温も収まってくるだろうということで、身軽になって今いるところから県道366号をぐるっと回って旅館に戻ってくる形です。別に遠くまで行く必要は今回はなくて、近所をぶらぶらするだけ。でもこういうことこそ自分がやりたかったことでもある。

特徴的な外観をしている石田造船の工場

大山神社を通り過ぎて島の北に向かい、海にたどり着いたら今度は東へ。

途中の海沿いではいくつかの造船工場を見ることができ、そういえば瀬戸内海は造船が盛んだったなと思い出す。瀬戸内を走っていく上では造船工場は欠かすことができない存在で、一度もクレーンや建屋を見ずにライドを終えることは100%ないです。

大きい工場もあれば小さい工場もあるし、停泊している船の大きさや種類も千差万別。一つして同じものがない、というのも瀬戸内の魅力の一つだと思う。場所によって景観が様変わりするので飽きることがありません。

地蔵鼻周辺の高台

最終的にはちょっとした高台から大小数々の島々を眺められる場所(無名)に遭遇し、お互い喜びに包まれたりしてました。

旅館周辺の港町の雰囲気、海を一望できる神社、造船工場、そして目の前に広がる島々。極めつけは適度な気温の中で鳴き始めたセミの存在を感じながら、夕方に差し掛かろうとしてる島の端っこを走っている。すべての要素が愛おしくて、夏ライドはやはりこうでなくっちゃと思わざるをえない。

旅先で有名どころだけ巡って終わりではなく、自分から観光チックでないところに飛び込んでいくと思いもよらない景色に出会えたりするのが面白いと思っています。特に自分の場合はそういう場所の方が好きで、いつの間にか散策の方がメインになっていたり。

ひとしきり夕方の瀬戸内海を眺めた後、車一台分の幅しかないトンネルを通ったり、穴場中の穴場みたいな海水浴場でまったりした後に宿に帰還。

普段の旅だったら旅館に到着したら外に出ることはあまりないものの、夏場は行動時間が広がるので夕食前に軽く出かけるのもいいかもしれない。特に夏の夕方ってなんとも言えない情緒深さがあって、いつまでも佇んでいたくなる。

穂満旅館の夜

旅館に戻った後はまず風呂に入って汗を流しました。

そういえば、今回の穂満旅館はほぼ満室でした。

これについては完全に予想外。今どきタウンページくらいにしか情報が掲載されていないような旅館なのに、他の宿泊者はどこから情報を仕入れたのか不明すぎる。

夜の穂満旅館の様子は上の写真の通りで、特に中庭周辺の明かりが幻想的になっています。

屋外に直結しているので天気によっては寛げない場合もある中で、若干の蒸し暑さを感じながらこの雰囲気に浸るのはたまらない。個人的には配膳用エレベーター前の椅子がおすすめです。あそこに座ると身体中から力が抜けてしまうので。

夕食
回鍋肉?

待ちに待った夕食の時間。今日一日お疲れさまでした。

大した距離は走っていないのにも関わらず、暑さの影響で疲労がとんでもないことになってました。風呂に入ったときの脱力感がすごかったし、部屋に戻って布団に横になったらそのまま寝そうになってしまった。

暑さに慣れないうちの夏場のライドはこれくらいの距離に収めておくのがいいのかも。

本当に大広間が広すぎる件について

夕食をいただいた後は特にやることもなく、明日の予定をざっくりと計画した後に就寝。

寝る時になると大広間の広さがよく実感できて、シチュエーションとして修学旅行のときみたい。

計画と言ってもきっちりしたものではなく、午前中の涼しい時間帯に走るのが一番いいので大体この時間までにここに到着しておこうという程度の話になりました。天気の方も最初は曇りだけど、次第に晴れてくれるみたいなので安心です。

翌朝は早朝に起きて朝食をいただき、ささっと準備をした後に出発。ご主人に挨拶をして、ここはまた泊まりに来たいと強く感じました。

Part 2に続きます。


本ブログ、tamaism.com にお越しいただきありがとうございます。主にロードバイク旅の行程や鄙びた旅館への宿泊記録を書いています。「役に立った」と思われましたら、ブックマーク・シェアをしていただければ嬉しいです。

過去に泊まった旅館の記事はこちらからどうぞ。

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