塩原元湯温泉 ゑびすや 明治17年創業 塩原温泉郷最古の湯治宿に泊まってきた

今回は、栃木県那須塩原市にある塩原元湯温泉 ゑびすやに泊まってきました。

栃木県には主に北部の山岳部に温泉が集まっており、那須塩原市における有名な温泉地・塩原温泉郷はそのうちの一つ。国道400号を箒川に沿って上っていくと大網温泉や福渡温泉など11箇所もの温泉が続々と登場してきます。塩原温泉郷は数多くの温泉が集まった場所であるため、その全容を知るには何度も足を運ぶことになるでしょう。

今回訪れた元湯温泉は「元湯」の名が示すように塩原温泉郷の中でも最古の歴史を持ち、国道から道を一本入って運転が困難になりそうなほど細い県道を走っていった一番奥にあります。

もくじ

塩原元湯温泉の歴史

元湯は平安時代の806年に発見され、古来から街道の宿場として栄えてきました。最盛期には「元湯千軒」と呼ばれるほど多くの建物が立ち並び、館内に展示されている古地図(後述)にもその様子が示されています。しかし江戸時代の1659年に大地震による山崩れが発生し一帯が壊滅、住民も移転したことによって温泉宿そのものがしばらく途絶えることになりました。

その後1884年(明治17年)から3軒の旅館が順次営業を始め再建が進み、現在に至っています。ゑびすやはこの3軒の旅館のうちの1軒であり、つまり激動の時代を経て令和まで営業を続けているということ。ゑびすやの温泉の一つである「梶原の湯」は山崩れを逃れて現存している塩原最古の湯で、滞在中はゑびすやが歩んできた歴史に思いを馳せる時間が多かったです。

外観

というわけでまずは外観から。

ゑびすや 全景

道路を順当に進んでいくとゑびすや、次いで元泉館が並んでいて、ゑびすやの方が手前にあります。元湯温泉周辺には箒川に注ぐ小さな渓流があり、ゑびすやはその脇に位置していました。周囲は完全に山の中なので他には何もなく、宿泊中に聞こえてくる音といえばこの渓流が流れる音だけ。余計な音が一切聞こえてこないため温泉そのものに集中することができるといえます。

建物としては正面に見える本館とその左右に黄土色のような色をした棟が接続されていて、現在も使用されているのは本館と「ゑびすや」の大きな看板がある左側の棟(別館)のみ。左右の棟はどちらも本館内部から向かうことができますが、右側の棟についてはそこへ向かう廊下が通れないようになっています。

玄関がある本館は階段を上ったところにある
基本的に宿泊者が泊まることになる棟
正面玄関

ゑびすやはネットから宿泊予約を行うことが可能で、宿泊プランのほとんどがこちらの別館に泊まるものです。後述しますが別館は比較的新しい造りをしており、一般的に宿泊者が泊まるのはこちらとなります。

それに対して本館の客室は「自炊部屋」という分類で、本館2階にある自炊室に近いため自炊をする人はこちらがおすすめとされているようでした。ただし食事については(食事付きを選択した場合)本館/自炊部屋で同じっぽいので、単純にどちらに泊まりたいかで選ぶことになります。今回は前情報なしでなんとなく後者の自炊部屋を選んだところ、この日本館に泊まったのが自分だけだったため静かに過ごすことができました。自炊部屋ってどこの旅館でも造りが古いところが多く、自分の趣味としてはそっちの方がいいので選択した感じ。

ゑびすやの温泉は24時間入ることができるため、深夜や早朝などには他の宿泊者が温泉に行くときの音が多少気になるかもしれません。そういう意味では泊まる人がたぶん少ないと思われる自炊部屋は静寂性の意味で穴場かも。

館内散策

本館1階 玄関~玄関ロビー

それでは階段を上がって館内へ。チェックインは15時から可能です。

玄関土間を上がった先のロビーは相当に広く、屋内に入った瞬間にその広さに驚きました。雪国の旅館なので玄関は二重扉、周辺には冬を乗り切るための設備や灯油などが常備されていて、これから本格的な冬を迎えることになるゑびすやの光景が確認できます。

玄関の左側には居間への入り口と帳場が、右側にはロビーとしての団らん用のソファや湯治用の売店が設けられていました。

帳場

帳場そのものはシンプルな構造をしているのに対し、帳場の前に示されている注文メニュー表の内容がすごく細かかいことに驚く。メニューの内容をざっと挙げてみると、温泉で作った湯豆腐、温泉しゃぶしゃぶ、温泉おかゆ、一品料理として生ゆば刺し、まいたけ天ぷら、冷奴等々。なおこのメニューは夕食の内容と一部重複しているものもあるため詳しくは旅館の方に聞いてみるのが良さげです。

ここだけ切り取ると「基本的な夕食の量が少ないので足りない人は補ってね」という風に見えるのですが、実際には夕食の量はかなり多いです。

売店にはペットボトルの飲み物、カップラーメン、菓子類等が販売されており必要になったときに購入することができます。

またボードゲームやカードの貸出も無料で行っていると書かれていて、湯治で何泊もするという場合に頼りになると思います。周囲は一応電波は繋がるものの、あえてアナログな手法で遊ぶのも一つの選択肢。

弘法の湯の湯口に取り付けられていた竹筒の展示。温泉の成分が白くなって付着している。

玄関奥に進んでいくと突如として温泉むすめの存在があって、名前は塩原八弥ちゃん。世の中には温泉むすめを目的に全国各地の温泉を訪ねる人も多いらしく、塩原温泉でもしっかりアピールされていました。ちなみに塩原温泉郷の各宿によって立ち姿のVer.が異なり、ゑびすやの場合は巫女服姿です。かわいい。

玄関奥には温泉や左の棟へと続く廊下と本館2階への階段があり、本日泊まるのは本館の客室なのでこのまま階段を上がっていく形になります。

本館2階 階段~廊下~自炊室

本館2階のエリアは自炊用で、一般的な宿泊棟と異なり自炊をするための設備が設けられています。

昔は温泉といえば何日も宿泊して病気や悪いところを治す「湯治」が普通で、従って自炊設備はどの宿にもあったはず。しかし現代において大部分の温泉客が泊まるのは1泊か2泊で、食事も宿が用意してくれるところがほとんどではないでしょうか。今ではめっきり見なくなった設備のように思えるものの、ゑびすやでは現役で使用されていました。

階段上がってすぐの窓の意匠
建物奥側にトイレと自炊室がある

途中で左にカーブした階段を上がって本館2階へと進むと玄関ロビーとの雰囲気に違いに驚く。まず壁の色がシンプルさが際立つ白色で、構造についても木製の柱がむき出しの状態です。これが良いとか悪いとかいう話ではなく、むしろ昔ながらの雰囲気をよく残してくれたという気持ちになりました。別館はこことは打って変わって近代的な内装をしており、古いほうが落ち着く自分としてはやっぱり自炊部屋を予約してよかったと思います。

動線は階段を上がって建物奥側と手前側に分かれていて、前者が本館のトイレと自炊室、後者が客室方面へと続いています。

廊下の奥は右側の棟へと続いているが、見ての通り通れなくなっている
左奥は本館2階の別の部屋へと続いているが、こちらも通れなくなっている

客室方面へ向かう廊下では、階段の脇に自炊用の冷蔵庫や食器類を乾かすスペース?が設けられていました。

この廊下は建物左右方向にも伸びているものの、現在では使用されているのが階段周辺の部屋のみであるため、客が立ち入ることができる部分は限定されています。

自炊室の様子

自炊室にはガスコンロ、水道、調理器具、食器類、ゴミ箱等が一通り揃っています。少なくとも煮る・茹でる・焼くといった基本的な料理は問題なく行えると思います。

実際にどこかの部屋の宿泊者の方がここで湯を沸かしているのを見かけたので、ちょっと小腹が空いたというときにささっと調理するのにも役立ちそうです。温泉に入りまくっているとなんだかんだでお腹が空くし、手段は多いに越したことはない。

本館2階 泊まった部屋

今回宿泊したのは本館2階にある3号室です。

本館2階の客室はこの3号室と隣の部屋の2部屋しかないため、本館に同時に宿泊できるのはおそらく2組までということになります。本館に本日泊まるのは私のみなのでこの本館2階は自分だけのスペース。宿泊者が集中している別館へ行くのは食事のときと温泉のときしかなく、至って快適でした。

部屋入口に掛かっている部屋番号の札は見るからに古く、「号」の感じが旧字体であることからも歴史を感じさせます。

泊まった部屋

3号室の広さは6畳+広縁っぽい窓際のスペースがあり、一人だと広く使うことができました。本館2階の雰囲気をそのまま延長したような感じで畳敷き&窓際のみ板張りと、落ち着いて過ごすことができる要素が詰まっています。

設備はテレビ、金庫、ポット、ファンヒーターがあり、エアコンがない代わりに暖房はファンヒーターが頑張ってくれたので問題ありません。あと布団については宿泊時にすでに敷かれていて、しかも敷布団には電気毛布が敷かれています。これのおかげで快適に眠れました。

客室の窓際からは玄関前を一望することができます。

前の道路の向こう側にはさっき見た渓流が流れており、部屋にいるときに聞こえてくるのは渓流の音のみ。ただし寝る際に支障が出るほど近くにあるわけではなく、大自然の中に自分がいる実感を得られるという利点しかありませんでした。素敵だね。

アメニティとして浴衣、タオル、バスタオル、歯ブラシがあります。

ゑびすやの館内図(本館用)

置いてあった館内図を確認してみたところ、どうやら本館2階には客室が9つもあるようです。

特にトイレの左側には客室が3つ連続しているようですが、使われなくなった理由は本館の造りがもともと古く、修繕が大変だからなのかもしれません。

机の上の冊子類には宿の案内のほか、注文できる飲み物類の詳細が記載されています。夕食の時に役立つはずなので一度目を通しておくのがいいかも。

それにしても日本酒が有名な地域だけあって地酒の種類が本当に豊富です。純米吟醸・純米大吟醸・特別本醸造・特別純米酒・特別純米大吟醸が一式揃っているほか、それらを常温、ぬる燗、熱燗のいずれもで満喫できるというから最高というほかない。おすすめの飲み方も載っているのでとても親切でした。

別館 廊下

本館を後にして、続いてはメインの宿泊棟である別館へ向かいました。

魚が美味しいよという掲示

階段を降りて右側に向かうと廊下の途中に厨房があり、宿の方々は普段こちらにいらっしゃるようでした。その厨房を過ぎた先にはゑびすやの歴史を物語る展示があって、一番上に示したのがゑびすやが営業をはじめた頃に販売を行っていた胃腸病の薬の販売許可証です。これは梶原の湯を煮詰めて作られる薬で、販売許可証は大正時代のもの。昔から効果の高さが証明されていたというわけです。

2枚目と3枚目は江戸時代初期の1659年(万治2年)に作成された元湯周辺の古地図で、今とは比べ物にならないくらい多くの建物が元湯に集まっていたことが理解できました。今のように写真で残すことができない時代、書物でしか当時のことは分からないけどこうして地図が残っているのはとても貴重だ。

洗面所
温泉の成分?

展示の先の廊下には本館から別館へと移り変わる扉があって、その手前にはタイル張りの洗面所がありました。

この周辺は温泉のパワーを感じさせる要素が現れており、温泉成分の析出によって蛇口付近や扉の上部分が変色しています。これから入る温泉の強さが入る前から理解できたような気がして早速入りに行きたくなってきた。

温泉への階段

別館に入ると左手に地下1階への階段があり、ここを下ると温泉への入り口と男女のトイレがあります。階段の下には「ゆ」の暖簾上が掛かっているので分かりやすいです。

外観から確認したときに見えた1階部分がこの地下1階に相当しており、本館部分は道路から階段を上がったところに位置しているので別館と高低差がある形となっています。

大広間への入り口

階段の奥の大広間は夕食と朝食会場として使われています。

別館の廊下

別館の客室は1階と2階にそれぞれいくつかあって、廊下や洗面所といった共用部分は上の写真の通り。全体的に明るい配色が目立ち、本館2階と比較すると雰囲気が全く異なっています。

別館に泊まった場合は温泉がとても近いところにあるので、入りに行こうと思い立った瞬間に行けるのが何よりの利点ですね。特に冬場だと廊下は冷え切っていて出歩くのも億劫になるし、客室と温泉との距離が近いに越したことはない。特に理由がなければ施設や設備も新しめなこっちを選択するのが一般的だと思います。

別館を訪れた際には看板猫のましゅまるちゃんが窓から外を眺めてました。

ましゅまるちゃんは神出鬼没ですが、ここはすぐ側の台から外を確認できるので気に入っているのかもしれません。昔から館内のパトロールは猫の仕事の一つだし、別館なら遭遇率が高いのかも。

ゑびすやの看板猫 ましゅまるちゃん

これまでの写真にもちょくちょく登場してましたが、ゑびすやには実は看板猫のましゅまるちゃん(毛が長い品種の白猫、オス)がいて、館内を自由気ままに歩き回っています。玄関ロビーにはソファなど寛げるものが多いほか、水場などが設けてあるのでよく見かけました。

傍目で観察しているとたまに寄ってきてくれたり撫でさせてくれたり、宿泊客に対して友好的でこっちも嬉しくなってくる。

ましゅまるちゃんは毛が長く、綺麗な毛並みな上にモッフモフして温かそうで羨ましい。

ゑびすやに看板猫がいるということは全く知らなかったけど、たまたま泊まった旅館に実は猫がいたというケースの幸福度はかなりのものだと思う。予め猫がいるのを知っていて、宿泊の目的の一つに猫に会うことが含まれている場合はここまでの感動はない。予想外の出来事なだけに嬉しさも増します。

温泉

一通り館内を歩き回ったところでかなり寒くなってきたので早速温泉に入りに行きました。

ゑびすやの温泉は弘法の湯(男女)と梶原の湯(混浴)の2種類があり、梶原の湯については混浴という扱いですが湯船そのものは男湯の方にあります。女湯の浴室にある内扉を通って男湯に入ることになり、女性専用時間というのも特に設けられていないため、女性の方は人が少ないタイミングを見計らう等の工夫が必要になります。

弘法の湯の特徴は以下の通りで、日本でも希少な間欠泉の温泉です。

  1. 泉温:52.8℃(使用位置42~44℃、あつ湯)
  2. 泉質:含硫黄-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩温泉(硫化水素型)
  3. 湧出量:14.6 リットル/分(掘削自噴→間欠泉)
  4. pH値:6.9
  5. 特徴:灰白色に混濁し、塩味、苦味、弱硫化水素臭を有する

塩原温泉郷最古の湯・梶原の湯の特徴は以下の通りで、特徴こそ似ているものの弘法の湯とは温泉の種類が異なっています。

  1. 泉温:40.8℃(使用位置38~39℃、ぬる湯)
  2. 泉質:含硫黄-ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉(硫化水素型)
  3. 湧出量:17.4 リットル/分(動力揚湯)
  4. pH値:6.5
  5. 特徴:灰白色に混濁し、塩味、苦味、弱硫化水素臭を有する

ゑびすやのこれらの温泉は掃除の時間を除けば24時間入ることができ、今の時間は温泉に入れないからちょっと時間をつぶすか…といった「間」を設ける必要がありません。

いつ温泉に入りに行きたくなるかなんてそのときの体調や気温・気分などによって変化するし、一度行きたくなったらそのまま温泉に浸からないと身体的な満足感が得られないのは目に見えている。そういうときにラグなく入れるというのは温泉宿として最も快適だと思います。

温泉入り口
脱衣所
浴室の様子。色が違うのがよく分かる
右側が弘法の湯
左側が梶原の湯

各温泉の外観は上の写真の通り。同じ濁っている湯でも弘法の湯は若干緑がかっているのに対し、梶原の湯は白濁していて差異があります。またどちらも湯船の縁の付近に温泉の析出物が白く堆積していて、特に弘法の湯はその量が半端ではない。加えて硫黄の匂いが強く、とにかく身体に良さそうなことが実感できます。

弘法の湯は確かに熱めで長湯は難しそうな感想を当初は抱いたものの、浴室そのものが換気のため外気と直結していてかなり寒いため、その体感差で熱めな温度がかなり気持ちよく感じました。じっくり浸かっていると身体の芯から温まる印象の湯です。たまに半身浴状態になって浴室の寒さを肌で感じるのも悪くない。

梶原の湯の方は源泉がとめどなく掛け流されていて、温度はぬるいため文字通り無限に入っていられるような身体との親和性があります。しまいにはなんか身体が湯に溶け出しているかのような一体感を感じ、そのくらい無意識のうちに長湯ができました。注意点としては湯船が比較的狭く、3人も入ればいっぱいになってしまいます。

間欠泉が開き弘法の湯に温泉が注がれる

弘法の湯も梶原の湯と同じく源泉かけ流しですが、異なるのはその流れ方にあります。

梶原の湯は一般的な「源泉かけ流し」で湯が連続的に流れ出ているのに対して、弘法の湯は5~6分に1度、間欠泉が開いて湯船に温泉がドバドバ注がれる形です。このときの湧出量は最初はちょろちょろだったのが、次第にかなりの勢いになってました。たぶん湯船の奥の方で浸かっているとダイレクトに熱さを感じると思います。

温泉が持つ大自然の不思議さを視覚的に体感できると同時に、梶原の湯に浸かっているときには自分が今何分くらい温泉に入っているのかの目安になるのも便利でした。塩原温泉郷最古の湯に、日本でも珍しい間欠泉の温泉。ゑびすやでは非常に特徴的な温泉のその両方を一度に味わうことができてお得だ。

梶原の湯の飲泉所
梶原の湯は思いのほかスッと飲めます

梶原の湯については温泉の入口で飲むことも可能で、ここもまた源泉かけ流しなので新鮮な湯をそのまま飲めるというわけです。梶原の湯の飲泉は便秘、胃腸病、肝臓病、糖尿病、痛風などに効果があるようで、毎食後と就寝前に飲むと効果が高いと書いてありました。

自分もそれに倣って飲んでみたところ、形容し難いが温泉の味…というか硫黄の味がします。うまく言葉にできないけどまさに薬を飲んでいるような感覚。これを煮詰めて薬を作っていたという話に強く納得できました。

この時間帯になるともう辺りは真っ暗。ふと思い立って宿の玄関前に出てみても何もいません。すでに日帰り温泉の時間は終了して今日ここにいるのは宿泊客のみ。他のことは何も考えずに温泉に入って時間を過ごすのにこれ以上の環境はない。

ただ単純に屋外に出るだけだったら寒くて仕方ないですが、温泉に入って火照った後だと結構心地良いです。あと冬の季節は身体がすぐに冷えるため、他の季節に温泉を訪れたときにありがちな「せっかくだから温泉には何度も入りたいけど身体が熱いままだから難しい」という悩みが全くありません。

夕食~翌朝

夕食の時間は18:40頃、朝食は8:00頃で固定されています。用意ができたら係の人が部屋まで知らせに来てくれるのでそれに従って大広間へ。

温泉に何度も入っていると当然のようにお腹が空くわけですが、ゑびすやの食事は温泉による体力の低下を一気に回復させてくれる内容でした。

夕食の内容

ゑびすやの夕食は質・量ともに大満足できる内容で、あまりにも豪華すぎるので最初唖然としてました。

内容は梶原の湯を使用したしゃぶしゃぶ、イワナの塩焼き、プレミアムヤシオマスの刺し身、天ぷら、煮物、湯葉、酢の物など。いずれの品も丁寧に調理されている上に、そもそも素材の時点で美味しさが極まっているようなものなので食の進みが早いです。温泉は歴史ある効能の高さが素敵で、食事も品数多め・種類多めで完璧すぎて涙が出てくる。栃木県の自然そのものをあるがまま享受できて幸せでした。

チェックインのときに追加でイワナの骨酒を予め注文しておいたため、それと一緒に数々の料理を楽しみました。食後は満腹になって、これが幸せな苦しさなのかと実感。

夕食後は再度温泉に入りに行ったところ、夕食を食べてすぐに温泉に来る人は少ないのか1時間ほど独泉状態でした。結局この日はもう一度入りに行き、眠くなったところで就寝。自分に合った柔らかめの布団+電気毛布のおかげでスヤスヤでした。


翌朝は自然に目が覚め、そのまま朝風呂に入りに行って温泉に浸かっているとようやく身体が覚醒し始めた。朝は夜よりも気温が冷え込んでいる分、弘法の湯の熱さがより快適に感じられたような気がします。

朝食会場の大広間
名物の温泉おかゆ
朝食の内容
モッチモチの温泉おかゆ
昨日注文しておいた湯豆腐

朝食の内容もまた美味しい上に品数が多くて、朝からばっちり栄養補給ができると同時に元気が湧いてきます。身体が喜ぶような食事は1日のはじまりとして最適。今日も頑張れるという気分になる。

ゑびすやの朝食は何といっても温泉おかゆが有名で、その名の通り梶原の湯で炊いた効能たっぷりの一品です。温泉の効果なのか米が予想の倍くらいモチモチしていて、お腹に優しい、でも食欲がマッハになるという特別感。たっぷりの豚汁や温泉を使った湯豆腐など各種のおかずにもマッチするのでおかわりが止まりません。

宿泊する前までは温泉はあくまで温泉として満喫できると思っていたのが、実際にはこんな形で温泉が夕食や朝食に関わっていると知って驚きました。身体の外と中から温泉の効能が浸透していっているという新感覚。今回は一泊だけだったけど、これを続けていたら間違いなく健康になれるわ。

最後は二度寝をしたりして、ゑびすやでの滞在を最大限に堪能してからの出発となりました。楽しかった!

おわりに

塩原元湯温泉ゑびすやは歴史と効能あふれる2種類の温泉を持ち、あつ湯・ぬる湯という意味でも味わいが異なる温泉を一度に楽しめる宿です。弘法の湯と梶原の湯を交互に入るのもよし、ひたすら梶原の湯で長湯をするもよしで、温泉という要素一つとっても良さに溢れているのを感じられるはず。

それに加えて食事はとても美味しく、係の方は親切でこちらまで笑顔になれる接客が素敵です。看板猫の存在も忘れてはならず、ゑびすやで滞在した二日間が一瞬で過ぎ去りました。次は季節を変えて、栃木県の山々の別の面を眺めながら宿泊したいと考えています。

おしまい。


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