今冬はゆるキャン△11巻に登場した畑薙周辺を走るライドを計画してみたのですが、ライドだけだと味気ないと思ったので舞台訪問も兼ねて大井川周辺を散策してみました。
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大井川の上流へ
ゆるキャン△11巻では、10巻に引き続いて静岡県の一級河川・大井川周辺が数多く登場しています。特に後半部分では千頭から離れた下流域も出てくるので行動範囲が広くなっており、これらをただ回るだけでも面白いものがありました。
作中では夕方に一行が訪れた蓬莱橋。
今回は移動の都合上、静岡訪問の初っ端の日の出と同時に訪問することになりました。結局この翌日のライドでは時間管理がガバガバになってしまい、ライド終了から蓬莱橋まで移動していると完全に夜になってしまうので最初に訪れたというわけです。
冬らしい澄みわたった空が出迎えてくれ、今回の訪問がなんだか素敵なものになりそうな予感を感じさせる。空…というか自分は水色とか青色系統の色が好みなんですけど、冬の空って不純物があまり無いような気がします。夏場だとなんか空気中に靄がかかったような空になることが多くて、あれはあれで好きなものなんだけどどっちかというと冬の方が好き。
続く塩郷の吊橋では、これから徐々に山間部へ入っていくぞという地形的な遷移域に突入していきます。
蓬莱橋周辺ではあまり感じることができなかった「山」の存在を近くに感じつつも、下流域ならではの大きな川幅は依然としてそのまま。その川の真上に架かっている吊橋なのだから、上からの眺めは実に広々としていました。
これから上流側に向かうにつれて沢山の吊橋が登場する大井川流域ですが、場所によって吊橋の特徴が全く異なるのが面白い。上流と下流。山間部と平野部。それぞれの地形を最大限に味わえるような吊橋が各地にあるため、ただ単に吊橋を巡るだけでも楽しいのが大井川周辺の良いところでもあります。
舞台は千頭駅周辺へと移っていきます。
今回は、というより今回もなんですが、現地までの移動は車載を選びました。なんだかんだで車だと色々な融通が効くし、時間管理もしやすいので重宝しています。なでしこみたいに電車移動オンリーな旅も数年前まではやってましたが、時刻表とにらめっこするのがそんなに楽しくないので今では専ら車移動がメインになっています。
特に田舎だと電車の本数自体が非常に少ないため、1本乗り過ごしただけで予定が数時間単位で変わってしまったりするのがつらい。電車移動は楽だし、車窓からの眺めも素敵なので嫌いではないんですが…。
自分の旅のスタイルだと、電車移動はメインではなくてサブ的な立ち位置かなと思います。
ところで、千頭駅周辺の雰囲気はある意味で独特だと思いました。
千頭駅(1931年開業)といえば大井川鐵道の大井川本線と井川線における重要な駅であり、かつては千頭森林鉄道が運行していたことも含めて長い歴史を持っています。訪問した時期がいずれも冬というのもありますが、駅周辺の静けさの中で佇んでいるとその歴史を思わずにはいられません。軌道の運用開始、路線の引継や廃止、そして現在。物音一つしない駅前やプラットホームには当時と今が混ざりあったような雰囲気が漂っていて、それこそが自分が千頭駅に感じたものだと。
ハイシーズンにはSL目的や奥大井訪問の観光客で賑わう千頭駅も一つの側面だし、シーズンオフで閑散としているのもまた同じ千頭駅なわけです。一つの場所に留まって、こうして時間の流れや栄枯の移り変わりについて思いを馳せるのもまた面白い。
冬の寸又峡を歩く
千頭駅を後にして、次は車で寸又峡へ。
寸又峡といえばなんといっても「夢の吊橋」が有名で、季節を問わず多くの人が訪れる場所。前回の訪問では冬にも関わらず、夢の吊橋の順番待ちが1時間超えだったことが何より驚きでした。
今回の訪問で完全に予想外だったのは、とにかく人の気配がないこと。
一般の駐車場にまったく車がないのでそもそも営業していないのでは?と心配になりましたが、お店系については通常通り営業しているようです。それに、寸又峡に点在する宿にも宿泊客と思わしき車もそこそこあったことから観光地としても機能は問題ない様子。
言うなればただ単に日帰りでここに来ている人が極端に少ないだけという話になりますが、まだ早い時間とはいえここまで人が居ないとは思ってませんでした。でも利点もあって、自分目線からすればマイペースで散策ができるのが良いところですかね。夢の吊橋についても待ち時間ゼロで渡ることができたし、あれこれ考える前に現状を最大限に楽しむ方向でいきましょう。
余裕があれば、寸又峡からさらに奥地へと足を運んでみるという選択肢もあります。
たぶん登山装備が必要になると思うけど、例えば秋の紅葉の時期に観光ルートを外れてぶらぶらするのもいいかもしれません。少なくともこの上流にある千頭ダムまでは徒歩で行くことができるみたいですね。
夢の吊橋散策後は、前回と同様に飛龍橋を経由して寸又峡まで戻り、昼食や日帰り温泉を満喫してました。
個人的には、できる限り旅先での食事を楽しみたいと常々考えているため、ロードバイクの有無を問わず初日の朝食は抜くか、必要最低限に抑えることが多いです。朝早いとそもそも店が開いてないし、コンビニ飯でお腹を満たすのもなんか味気ない。で、朝食を少なめにしておくとお昼時にいい感じにお腹が空いてくれるので、昼食をより一層美味しく味わえるというわけです。
せっかく旅をしているのだから、現地のものをいただきたいというのは自然な流れというもの。今回食べた渓流そばはまさにそんな方針通りの「現地感」で、渓流で採れたヤマメと山菜が入っていてもう最高。おすすめです。
奥大井湖上駅
寸又峡を思う存分散策したところで、時刻は夕方に差し掛かっています。
明日はロードバイクに乗って畑薙を目指すことになるわけですが、この寒い中で車中泊をするのは流石に躊躇われるレベル。今回は普通に宿を予約しておいたため、夕方以降も有意義に時間を使えることになります。冬場の夕方は一瞬で暗くなるし、日帰りだったらそろそろ帰る準備をするところ、1泊するだけで忙しなさから開放されて精神的な余裕も出てきます。
旅先で時間を気にしすぎるとあまり良い気分になれないこともあって、自分の中では旅=宿泊とセットというイメージがやはり強い。
川根本町観光協会で情報収集(主に道路の凍結情報)やゆるキャン△についての話をし、適当に車を走らせて長島ダムへ到着。明日はここからスタートする形になるので、下見というわけでもありませんが一応確認も兼ねて訪問しました。
そのまま奥大井湖上駅まで移動し、山の向こう側に消える太陽を横目に見ながら駅舎へと向かう。ここまで来ておいてなんですが、ここを今日のうちに訪れたいという明確な目的はなく、なんとなく夕方の時間帯に来ると良さげな感じがしたから来ました。
自分の行動原理にはおいてはこういうことがよくあって、目的もないのにあちこちぶらぶらすることが多いです。でもそれが結果的に素晴らしい風景に出会うきっかけになることもあるし、予め調べて行ってないから心象的にも予想できなくてなんか充実感がある。
夕方の奥大井湖上駅は当然人影もなく、駅の立地も合わさって最果て感が際立っていた。何度も書いているけど冬は日が落ちるのが早く、この時間になると出歩いている人もほとんどいない。その分、自分一人の時間を大切にできるし、だから自分は冬の散策が好きなのかもしれない。
民宿奥大井
今日の宿は奥泉駅にほど近い民宿 奥大井です。
奥大井の宿といえば千頭駅周辺か寸又峡あたりを選ぶ人が大部分な一方で、わざわざこういう宿を選んでしまうあたり自分は自分なんだなと思ってしまう。
民宿と名が付いている通り、構造としては完全に民家な奥大井さん。
旅館とはまた違った安心感はどこか実家にいるようで、部屋にいるだけですぐに眠気が襲ってくるほどでした。今日は別に大した運動はしておらず、本番は明日だというのに完全に身体が休みモードに入ってしまっている。これが居心地の良さなのか。
夕食については予想を完全に上回ってくるほどの豪華さで、当然のようにご飯を何杯もおかわりしてしまう。
山間部に位置しているだけあって、献立は山菜や川魚が中心でした。個人的には野菜の天ぷらが特に美味しく、これだけで炊き込みご飯の茶碗が一瞬で空になるレベル。一つの料理がドンとあるよりは、こういうふうに品数が多いと色々な料理が味わえてお得感がある。
また、ここ周辺は川根茶が有名なこともあってとにかくお茶の美味しさを全面的に推していた。女将さんのご家族はこのお茶を毎日飲んでいるおかげで長生きしてるんやよーというお話も伺えたりして、お茶とともに生活している感が強く感じられる。そういえば宿の近くにも茶畑があったな…。
夕食が済んだらお風呂に入って寝るだけ。
寝る際は自分で布団を準備する形式で、通常通りこたつを横にどけてから布団を敷いてみました。ただ、寝始めて1時間もすると寒すぎてなかなか寝付けないことに気づき、最終的にはこたつに布団を直付けしてこたつ布団スタイルで寝てました。これについては自分でもいい判断をしたと思う。おかげで朝までぐっすり。
で、翌朝。
窓の外はマイナス何度かになっているみたいだが、布団の中はこたつのおかげでいたって快適そのもの。起きるときにファンヒーターをつけて再度布団に潜り込み、部屋が十分温まってから布団を片付ける。まさに民宿ならではの朝の過ごし方で、堅苦しいものはなにもない。実に自由な朝だ。
朝食がこれまた絶品で、ライド前だというのにご飯をおかわりする手が止まらなくなってしまう。
普段は少食なのに、旅先で急に胃が大きくなったかのような錯覚を覚えるのは一体なぜなのか未だに分からない。それほど旅先でとる食事がどれも美味しいからなのか、逆に普段の食事が…おっとこれ以上はやめておこう。
とにかく、冬の一夜を静かに、でも食事は豪勢にいきたいという人には奥大井さんをおすすめしたいです。
ライド
肝心のライドの記録については別記事でまとめました。
おわりに
こうして写真で振り返ってみると、このときは確かめっちゃ寒かったんだよなとか、この食事が本当に美味しかったとかの感想がすぐに思い出せるのがいいですね。自分の場合は構図とか全く考えずに気ままに撮っているので、なおさら写真を見た際に記憶が蘇ってきやすいような気もしてくる。
根を詰めずに気の向くままに行動する。そんな旅を今後もやっていきたいです。
おしまい。
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