- Part 1:青森空港~三沢保養センター~館鼻岸壁朝市
- Part 2:蕪島~古遠部温泉
前回青森県を訪れたのは、4月の終わり頃。あのときは弘前市を中心に花見と宿泊メインで散策をして、帰り際には次に青森を訪れるのは夏頃かなとか言ってましたけど、その遥か手前で再度青森を訪問することになりました。
「なりました」というのは、単純にこの週末は東北の天気が良さそうだったから。青森県は飛行機一本で来ることができるので、自分からしたら感覚的には遠くの地というよりも近所に近いです。
旅というのは移動手段や行程が複雑になって初めてあれこれ考えなければならない程度と思っていて、寝ている間に到着できる地は最も行きやすい場所といえます。なので、このときもノータイムで青森に行くことを決めました。
2週間ぶりの青森
2週間前と異なるのはその目的。
目的が違えば自然に目的地も変わってくる。同じ青森県内といっても、目的一つで旅の行程が全く異なるのだから面白い。これからも、すでに訪れた地であっても状況に応じて自分なりの目的を設定して再訪していきたいと思っている。
今回の目的は、いつか行きたいと思っていた八戸市の新むつ旅館に泊まること。1泊2日の行程で宿泊に重きを置くということで、初日である今日はここ青森空港から八戸市街まで移動しなければならない。
距離的には約120kmと近いので、そのまま自走で向かいました。
青森県は結構な回数訪問してますが、実は青森空港から東へ行くのはこれが初めてとなります。
名前でいうと今までは「津軽地方」がほとんどで、たまに下北半島や深浦方面へ向かったのが数回くらい。なので、十和田八幡平国立公園という山脈を堺にした東側に行くのは、今回が初体験というわけです。どんな風景が待っているのか楽しみだ。
青森空港からまっすぐ八戸に向かうなら、そのまま八甲田山方面へ走れば十和田市経由でだいたい一直線に行くことができます。
しかし獲得標高的にはなかなかエグいことになり、この時期にあの辺りを走ってもそれほど良い景色が得られそうになったので、今回は海沿いの国道4号を東に向かい、野辺地から先は青い森鉄道の線路沿いに南下していくルートにしました。
これが結構な当たりルートで、交通量は多いけどかなり走りやすかったです。特に野辺地から先はあえて県道を走ったのが功を奏して、それほど車通りが多くない道路が延々と続くという幸せな道でした(上の写真)。
ただ、この日は風がかなり強かったのが厄介。西や南西からの風が風速5~6メートルくらいあったので、俯瞰的に見れば東方面に向かう自分としては行程中の半分ほどは風が役に立ってくれました。あとの半分は地獄でしたけど。
八戸には早い時間に着いておきたかったのと、散策は三沢市に入ってからにしたいかなと考えていたので道の駅おがわら湖まではノンストップで走り、ここでお昼休憩にすることに。
新鮮なしらうおを使った丼をいただいていると、青森といえばやっぱり海の幸だよなと思います。運動したすぐ後でも問題なく胃の中に消えているあたり美味しさが際立っているし、おかずだけでなくご飯もアツアツで無限におかわりできるレベル。
ここに限らず、道の駅ってライド中の休憩地点としてちょうどいいです。
食堂が併設されているケースが多くて、その土地の名産品を使った料理を楽しめる。しかもトイレや洗面所もきれいなところが多く、居心地が良くてついつい長居してしまったり。
三沢保養センターで汗を流す
お腹も膨れたところで、再度ロードバイクを走らせて八戸へ再度向かいます。ただこのまま直行すればあと30km程度で到着してしまうので、ここで別の意味で休憩することにしました。
その休憩場所とは、三沢市にある三沢保養センターというところ。名前からはちょっと分かりづらいけど、要は温泉♨です。青森県は銭湯ですら温泉が湧いているので全国的に見ても珍しいと言えます。
ロードバイクで走っていると、時間を問わずに汗を流してさっぱりしたいという欲求が常に沸き起こってくるというもので、実はロードバイクと温泉は相性がいいと思ってます。真夏だったら走ったそばから汗をかくのでちょっと厳しいかもしれんけど、それ以外の比較的寒い季節だったら積極的に行程に加えていきたいな。
東北には鄙びた温泉が本当に多く、いわゆる温泉旅館以外にも日帰り専用の温泉がそこかしこに存在しているのが嬉しい。
そのどれもが古くて侘び寂び要素に満ちていて、昭和の名残ともいえる雰囲気が漂っている。そんな温泉地は常日頃からマップ上に控えているので、そのときの旅の目的に応じて組み込んだりしてます。
三沢保養センター - 【三沢市観光協会】 青森県三沢市観光ガイド 来て!みさわ
三沢保養センターの営業時間は6:00~21:00で、料金は¥300。
利用されているのは99.9%が地元の方といったところで、こういう風にその土地に古くから存在している温泉は朝早くから夜遅くまで営業しているのが助かります。旅の道中でふらっと立ち寄ることもできるし、なんなら宿に泊まって夕食後に入りに行く、ということも比較的やりやすい。
お湯の方は、かなり熱めでした。
泉温は43℃でpH値は7.8。傍から眺めてみても長湯をしている人は少なく、浴槽のすぐ脇に寝転んで昼寝をしている人もいるくらい。実にフリーダムだ。
湯船そのものはそこそこの広さですが、浴室全体の広さがかなりありました。天井の高さも相当あって、さながらちょっとした体育館の中にいるみたいで開放感があります。なので、熱めの湯で温まって、身体を冷ます意味で浴槽の縁に座って天を仰ぐ、ということを何回かやってました。
温泉から上がった後は放心状態で自販機の飲み物を買い、椅子に座りながら辺りを見渡してみる。
こうしている間にも次から次へと地元の方が入りに来ていて、そこには建物の古い新しいは関係ない。でも、その外観や内装のボロさが温泉としての「味」を増幅させていて、お湯の効能以外にも精神的な意味で満足することができた。現代に疲れた身への癒やしとしては、これ以上のところはないと思う。
三沢保養センターを後にした私は、再度爆風と格闘しながら無事に八戸市街へ到着。中心部の散策はそこそこに、この日の宿である新むつ旅館を目指しました。
新むつ旅館の宿泊記録は、別記事でまとめています。
早起きして朝市へ向かう
翌日は少々早めの時間に起床した。
八戸では、昨晩の夕食時に女将さんから伺った館鼻岸壁朝市なるものが日曜日に開催されているとのことで、それを見に行くことにしたからです。
この朝市、開催時刻が「夜明けから午前9時ごろまで」というアバウトっぷりなんですが、要はかなり早い時間でないとやっていないということ。
旅館で朝食をいただいた後だと間に合わないことが確定しているので、朝食前にささっと行ってみることにしました。
新むつ旅館から館鼻岸壁までは、ほんの1.5kmほど。
眠たい目をこすりつつ会場に到着してみると、その規模に異変を覚えた。岸壁といえば漁船が停泊している場所なんですが、どうやらそのほとんどのスペースをこの朝市が占めているらしい。
一体どれほどの規模なのかと気になってバイパスに上がってみたところ、目に飛び込んできた風景が上の写真です。
これには本当に度肝を抜かれた。
まさに巨大という言葉が似合う朝市の長さは約800mで、お店の数はなんと300件以上というから驚くのも無理はない。毎週日曜日の早朝にだけ出現するこの朝市は、東北地方だけでなく全国でも最大級と言われています。
こうして眼下に広がる場所に立っているとその大きさがよくわかる。
海沿いに広がる岸壁はものすごく広くて、停泊している漁船の数を見ればそれが分かると思います。そこの端から端までずっと店が続いていて、遠目から見ただけでもとんでもない数の人が集まっていることが人目で理解できました。
このような海の最寄りでやっている朝市で一体何を売っているのかというと、大多数の人が地元の海産物だと思うんじゃないでしょうか。自分がそれまでに想像していた朝市は「八戸といえば海の幸が有名だし、やっぱりそれを目当てに来ている人が多いんだろうな」というものでしたが、これもまたいい意味で裏切られましてね。
館鼻岸壁朝市で売っているものは、一言でいうとカオスです。
魚介類などの海産物もあれば山の幸もあるし、野菜、花、果物、骨董品などに加えてうどんやそば、ラーメン、パン、コーヒー店や焼き鳥、スイーツ、揚げ物などなど。朝市というよりは祭りの縁日に市場要素が追加されましたという雰囲気で、実際にその場で食べるものを買っている人のほうが遥かに多かった。
なんていうかあれですね、八戸での朝食に困ったら、とりあえずここに来ればいいと思います。むしろ何を食べようか迷ってしまうくらいだし、歩き回っているうちにお腹も空いてくるのでちょうどいい。
自分も一箇所だけテイクアウトしてみることにしました。
流石にこの後に旅館での朝食が控えているので多くは食べられないけど、この場所で何も食べないで帰るのはあまりにももったいない。
選んだのはしおてばと呼ばれる手羽先。
屋台の中で現在進行系で揚げられている手羽先が気になったのでちょっと眺めていたのですが、常に行列ができていて人気店のようです。
今回は、そのしおてばを3つ購入。
一つ¥70なので3つ買っても合計で¥210。なにこれ安すぎる。
それでいて味は抜群で、揚げたてなこともあって非常にジューシーでした。その名の通り味付けは塩のみとなっていて、シンプルな分だけに肉本来の旨味が引き出されているような印象です。これは…ちょっとビールが欲しくなる味だ。
その後は各屋台から漂ってくる美味そうな匂い達に後ろ髪を引かれつつ、来た道を戻って新むつ旅館に帰還。
次回八戸を訪問するときは宿の朝食抜きにして、この館鼻岸壁朝市でがっつり食べるような行程にしたい。当然ながら土曜日に宿泊する場合に限られますが、あの迫力と品揃えの豊富さはまた味わってみたくなる。
女将さんと朝市のカオスっぷりに驚いたという話をしつつ朝食をいただき、そのままあっという間に時間は過ぎ去ってしまって旅館を後にしました。新むつ旅館は、ぜひともまた再訪したい。必ず。
この後はすぐに輪行で津軽に移動しようかと予定していたのですが、またしても女将さんにおすすめスポットを教えていただいたので、先にそちらに行ってみることにしました。
こうしてみると、結局自分の旅はかなり臨機応変に対応できるのが強みだと思います。元々ガチガチに行程を固めていないこともあって、いきなり降って湧いたような未知の場所にもスムーズに行くことができる。
地元の方がおすすめしているのならそこは間違いなく魅力的なところだし、予め決めておいた予定に固執しすぎることはない。旅の方針は人によって色々あるとは思うけど、自分は行程がふわふわ浮きっぱなしの方が好きだったりします。
というわけで、Part 2に続きます。
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