- Part 1:青森空港~三沢保養センター~館鼻岸壁朝市
- Part 2:蕪島~古遠部温泉
新むつ旅館を後にして、女将さんに教えていただいた蕪島に到着した。
蕪島は八戸市の鮫町にある島のことで、位置的には種差海岸の北端にあります。ここは全国でも有数のウミネコの一大繁殖地として知られており、そのため国の天然記念物に指定されているほどに貴重な場所。その名の通り昔は完全な離島になっていたようですが、今では陸続きになっているので歩いて向かうことが可能です。
ウミネコは毎年冬の終わり頃にこの蕪島に飛来してきて、ちょうど今の時期くらいには営巣に精を出している様子。6月くらいに孵ったヒナが夏に旅立っていくまでは、島全体を埋め尽くすほどのウミネコを間近で確認できるというわけです。
蕪島 ~国の天然記念物 指定100周年~ | VISIT HACHINOHE | VISITはちのへ観光物産サイト
ウミネコの島へ
蕪島の詳細な場所は知らなくても、海辺でめちゃくちゃウミネコが集まっているところがあったらそれが蕪島です。
もしかしたらあそこなんじゃないかと遠目からでも分かるくらいにウミネコが多くて、近くに寄っていくにつれてその数の多さに驚愕するほどでした。
蕪嶋神社は石段を上っていった先にありますが、その手前からもうそこら中でウミネコがくつろいでる。
ここの凄いところは、手が普通に届くレベルの目の前でウミネコを観察できること。繁殖地というと人間は離れたところから遠巻きに眺めるのが関の山かと思っていたものの、神社の境内のあちこちで営巣をしているので両者の境目がありません。ウミネコ側もそれは認識しているみたいで、手を出さずに見ている分には向こうもじっとしています。
例えば瀬戸内海の島とかだと、港にウミネコを模した風見鶏がずらっと並べられている風景がありますよね。ここではそれらが全て本物のウミネコで、しかも密集具合も群を抜いている。静かに座っているウミネコもいれば急降下してくるウミネコも居たりして、視界内が結構忙しいことになってました。
ここでの注意点としては「爆撃」を喰らわないようにすること。
いつどこから降ってくるか予想もつかないので、石段の下に置いている傘を差しての散策をおすすめします。
ウミネコと言うと、今までは船に乗っているときに周りを飛び回っているときくらいしかじっくりと眺める機会がありませんでした。
それが、ここではまるで一生分かと見間違うくらいにウミネコの楽園と化している。にゃーにゃーという鳴き声も可愛いし、静かな島がこの時期だけは賑やかになっているのが実にいい。
ウミネコは昔から魚のいる場所に集まる鳥で、よい漁場を知らせてくれることから幸運や富を運んでくれる神の使いとして漁師さんたちに大切にされてきたそうです。海に面している八戸にとってはウミネコはシンボルのような存在だし、この蕪島も含めてとても大切にされているのは納得と行ったところじゃないでしょうか。
ましてやここまでたくさんのウミネコを一度に見ることができたのだから、自分にもどこからか幸運が訪れそうな予感がしてきた。
輪行で平川へ
ウミネコに見送られながら蕪島を後にし、次の目的地である平川市の温泉に向かう。
ここでの移動方法は、おとなしく輪行にしました。距離的にも約100kmあって時間的に厳しいのと、これからの時間は走行ルート上にとんでもない豪雨がやってくるという予報を見たので速攻で走るのを断念。雨の中を走るのはかなり虚無な気分になるので、楽しい部分だけを味わいたい自分としては特に走る理由がないです。
案の定、鮫駅から輪行して数分後には横殴りの雨風が電車を襲ってくる始末でした。
新幹線に乗ろうとしていた八戸駅の手前では、風が強すぎる影響で電車が低速での走行をするなどなかなかの予想外の展開。それでも無事に新幹線の時間には間に合って、八戸→新青森駅と乗り継いで奥羽本線に乗り込みます。
降り立ったのは、弘前や大鰐温泉をさらに過ぎた先にある津軽湯の沢駅。
古遠部温泉への最寄り駅がここなので、ここで輪行を解除して自走で向かいます。天気予報によればこの時間でも弘前周辺は雨雲がかかっていたものの、風の影響で午前中には過ぎ去っていたみたいですね。
おかげでご覧の通りの快晴が広がっていて、八戸周辺の雨を無事回避してここまで来ることができました。
トド寝ができる温泉へ
ここ平川市の山間部は、まるで静けさが支配しているかのような神秘的な場所です。
津軽地方は大鰐温泉周辺を堺にして平野部と山間部が切り替わっていますが、ここはまさにその「山間部」の中心。このまま走っていけば坂梨峠を経て秋田県の鹿角市まで行くことができるということで、今後も走る機会があるのは間違いない。
実は、ここ周辺には温泉が複数あって、これから向かうことになる古遠部温泉もそのうちの一つです。東北って本当に至るところに温泉が湧き出ていて、しかも建物も鄙びた感じがするところが多いのが良い。
古遠部温泉に至る道は一応林道ということになっていますが、舗装されているので走りやすかったです。ただし道幅は完全に車一台分しかない上に見通しが悪いので、対向車にだけ注意。
そんなこんなで、その古遠部温泉に到着。
人の気配が全くない山間にいきなり建物が登場してくるので、所見だとなかなか驚くと思います。あと、温泉周辺では携帯の電波が完全に県外になるので、どこかに連絡する場合は事前にしておいたほうがいいかもしれません。
自分のドコモが圏外だったので、他のキャリアでもたぶん通じないかと。
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古遠部温泉の営業時間は8:30~20:00で、料金は¥320。
日帰り温泉だけでなく宿泊も対応しており、休館日はなくて年中無休とのことです。公式ホームページでは雪に埋もれている様子が写っていました。
泉質はナトリウム・カルシウムの塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉で、源泉温度は42.5℃。pHは6.28です。
この古遠部温泉の最大の特徴は、その湧出量。公式ホームページによれば毎分500Lと記載されており、源泉100%、しかも「加水なし、加温なし、循環なし、消毒剤なし」という自然の恵みそのものの温泉が、惜しげもなく湧き出しては掛け流されています。さっき屋外で見たお湯、まさにあれがドンドコ流れているというわけ。
その量を具体的に言うと、湯船のそばに桶を置いていたら溢れた湯によって桶が流されていくレベル。
湯船自体はそこまで広くなく一度に4人も入れば満員になってしまうくらいで、そこに毎分500Lもの湯が投入されているのだから浴槽の中だけではなく、掛け流された湯にも波が立っているという状況。この様子を見てこの温泉の貴重さがよく理解できました。
その湯量から浴室の床に寝転がって掛け流されてくるお湯を浴びてトドのようにごろごろと過ごす、いわゆる「トド寝」のメッカになっています。
人里離れた静かな山奥で、ただ温泉と自然を満喫する。古遠部温泉は、そういうのが好きな人にとっては天国とも言えるほど素敵な温泉でした。次は冬場にでも宿泊で訪れてみたい。
その後は予定通り、青森空港から帰路につきました。
たとえ1泊2日だけだったとしても、工夫次第でこれほど充実した週末を過ごすことができる。旅においてはあまり時間を気にしたくはないけど、時間は有限ではないのである程度は効率的に動く必要があるのは仕方ない。
そんなわけで、今回も自走と輪行をうまく組み合わせることによって天気と移動距離のいいとこ取りをしてみました。今まで行けなかった青森県の東部にも行けたことだし、また一つ、青森県の魅力を見つけることができたと思います。
おわり。
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