瀬見温泉 喜至楼 山形県最古の木造旅館に泊まってきた

今回は、山形県最上町にある瀬見温泉 喜至楼に泊まってきました。

今回の山形旅ではとにかく温泉地を回って身体を温めるのが目的で、その際に泊まった喜至楼が本当に素敵だったのでご紹介します。

もくじ

瀬見温泉街の様子

山形県の北東部を流れる小国川、そしてこの川の近くを走る国道47号線の側にはいくつかの温泉街が形成されており、ふと川の向こうに視点を移してみればいくつかの旅館が立ち並んでいるのが見えたりします。

そもそも山形県といえば温泉で有名な県であって、特に温泉が恋しくなる秋口には訪問先として真っ先に挙がるような存在。しかも自分が好きな「静か」な雰囲気の宿が多いとなればもう行くしかない。

瀬見温泉はJR瀬見温泉駅近くの左岸に開けた一角にあり、まさに今述べたような静かな佇まいの温泉街が広がっていました。

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瀬見温泉

この瀬見温泉、伝説によればかの有名な武蔵坊弁慶による発見とされているそうです。言い伝えでは源義経の子供、亀若丸の産湯を探していた際に、湯気が出ている小国川沿いの岩を長刀で割って温泉を発見したとのこと。

今回泊まった喜至楼は、そんな瀬見温泉の中でもひときわ目を引く古びた建物が特徴です。

外観~泊まった部屋

まずは外観から。

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喜至楼遠景。木造3階建ての構造が特徴的である。
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喜至楼 本館前の風景

喜至楼の外観はこんな感じで、このインパクトはたぶん一度見たら忘れないと思う。

遠景からでもよく分かるほど"巨大"な木造建築の存在感は、正面玄関前に立ってみると押しつぶされそうなほどでした。縦方向に大きいだけでなく横方向にも広すぎて、もうそのスケール感に唖然とするばかり。

館内にある地図の表記に従えば、左手に見えるのが「本館千人風呂」で、右手に見えるのが「本館」です。本館千人風呂は1階部分が温泉、2階と3階部分が客室で、そして4階部分が会議室になっているようです。

本館については1階は居間や茶の間がメインで、2階が客室になっています。

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国際観光 喜至楼と看板がある部屋が今日泊まる部屋です。

今回宿泊するのは、実はこの本館千人風呂の2階端の部屋なんです。

実際に自分が一夜を過ごす宿が旅館の奥まったところではなく、こうして外からでも分かるというのが実にいい。

外観を確認したところで早速館内へ…と思ったところ、目の前にある玄関は実は宿泊者用のものではなく、日帰り客用の玄関になっていました。なので、宿泊者は裏手にある別館から入る形になります。

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本館玄関。「ご宿泊の受付は別館で行っております」の案内がある。
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別館全景。玄関左手に見える円筒形の部分が食堂。

別館(館内地図上の表記は「摩天楼」)にやってきました。

外観を確認したかぎりでは、別館は本館よりは年代が新しそうな感じがします。実際に本館玄関とその周辺建物は、山形県内に現存する最古の旅館建築物と言われていて、特に本館玄関はなんと明治元年に作られたものだそう。

宿泊棟の別館は一部が大正時代の建築で、通常の(別館の)客室は昭和後半に建築された建物と公式サイトには書いてある。つまりここに泊まるだけで明治・大正・昭和の時代を一度に満喫できる構造になっているわけです。

まずは別館の受付でチェックインを済ませ、お部屋に案内していただきました。

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本館千人風呂2階の101号室が今回のお部屋。ちなみに広さは8畳あって、本館千人風呂の中では一番広い部屋となる。
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部屋に入った時点ですでにお布団が敷かれており、寝る準備はもう完璧。

部屋の設備としてはテレビやポット+お茶、浴衣など一通りは揃っていて、特に憂いはありません。

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もちろん暖房も完備されています。

お部屋にはエアコンがないので暖房はこのファンヒーターでまかなうことになりますが、個人的にはエアコンよりもファンヒーターのほうが好き。直に熱を出してくれるので暖まりやすいというのが主な理由です。

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荷物をおいて浴衣に着替える

部屋の内装には木彫りの装飾が施されており、採光にも凝っていることが分かります。

特に部屋の入り口の真上には観音開き式の障子が設けられていて、夏なんかだとあそこを開けっ放しにするのかもしれません。さらに床の間にはガラスで透かしをいれた装飾があって非常にお洒落。


そんなこんなで、ここからが喜至楼での滞在の始まり。

温泉宿に泊まったのだからやはり温泉♨が気になるところですが、本旅館の目玉である「ローマ式千人風呂」は現在女性専用となっているとのことでした。千人風呂は時間によって女性専用(~19:00)と男性専用(19:00~22:00)が切り替わるようになっており、それ以降は混浴となります。

千人風呂以外にもお風呂は2箇所あって、そっちはいつでも入れる様子でした。なので、最初は館内散策をしながらそれらの温泉に入りにいき、千人風呂は夕食(18:30)の後に入ることにしました。

館内散策

まずは一通り、館内を散策してみることに。

自分が今居るのは本館千人風呂なので、ここから始めていきます。

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館内地図。これがあると散策がすごく便利になる。
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本館千人風呂2階廊下
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本館千人風呂3階へ続く階段から2階廊下を眺める。3階より上は使用されていない様子。
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本館千人風呂と本館の棟の継ぎ目には美しい装飾は施されていて、一見するだと棟が別だと気づかない。
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本館千人風呂の洗面台
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本館廊下

館内地図をざっと見渡してみると、外観から推し量る以上に広い建物だということが分かります。

本館千人風呂に関しては2階部分のみが使用されているようで、3階以降については電気すら灯っていませんでした。さらに本館2階部分には12畳や15畳の部屋もあるようですが、こちらの客室は全体的に使っていないようです。

従って、現時点で泊まれるのは別館と本館千人風呂2階部分のみということになります。

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本館自炊場
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本館はもともと湯治場として使われていたようで、その際に必要になる自炊場所も設けられています。

湯治をする際には一般的に素泊まりがメインで、食事については宿泊者が自分で用意するのが基本という認識です。まあ湯治は1ヶ月間とか長い期間ずっと滞在するため、全ての日を食事付きにするととんでもない金額になるので自炊が基本かと。

今ではもっぱら1泊2日等の短い期間で利用する人がほとんどらしいですが、それでもガスコンロや電子レンジなどがありました。

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本館2階の廊下
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本館千人風呂から本館へは廊下で繋がっており、特に意識することなく行き来が可能です。

廊下の左右に客室が並んでいる様子も非常に良い。見たところ1段高いところに障子があるので比較的格式が高い部屋なのかもしれません。

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本館玄関
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階段を降りて本館の玄関にやってきました。

上述の通りここは日帰り客専用の玄関となっていて、玄関の前の広いスペースには休憩用の椅子が並んでいます。玄関の手前部分には客室と同様に木彫りの装飾があり、照明の幽玄さも相まってどことなく幻想的な雰囲気を醸し出していました。

本館千人風呂1階には文字とおり千人風呂や他の温泉がありますが、そっちは後に回して先に別館内を歩いてみます。

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本館と別館は階段で繋がっており、その間には厨房がある。

別館に到着。

喜至楼は山の斜面に建てられているため、川に近い方にある本館と山に近い別館では高低差があります。別館の1階部分が本館の2階部分に相当するので、移動は基本的に階段がメインです。

そういえば予約するときに「階段が多いのはちょっと…という場合は別館の客室をご用意します」みたいな記載がありましたが、別館の場合は縦方向の移動がそれほどありません。逆に本館に宿泊する場合だと階段ばっかり行き来することになります。

別館の1階部分は食事する部屋で占められていて、夕食は別館に移動してから頂く形になります。これはコロナの影響は関係ないと思うけど、1人であっても個室を準備してくれるので落ち着いて食事ができました。

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客や仲居さんの歩行によって廊下に跡がついている。歴史の重さを感じる。
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別館の木の床はどこもピカピカに磨きあがっており、そこへ宿泊客や仲居さん達による歩行の影響が加わったことで、動線上に沿って床が変色しているのが確認できました。

こういうのって実に素敵。

ただ単に建物が古かったり木造で風情があるというだけでももちろん良いけど、こういう風に何も言われなくても旅館の歴史を如実に感じられるのはある意味で嬉しい。

この廊下の上を今までに数え切れないほど人が通ったんだということが実感できるし、ここを自分が歩くことによって旅館の歴史の一部になることができる。こういう発見もあるから館内の散策は面白い。

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別館の廊下には旅館の歴史の一部が展示されている。
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歌舞伎の「元禄花見踊」。この旅館で上映されたものか?
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周辺で出土した石器
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この別館の廊下が別の意味で凄かった。

冬の生活道具や石器類、山形の伝統こけしなどの展示品がずらりと並んでいて、さながら博物館のような様相をしています。さらには昔の旅館の状況を忍ばせるような写真も展示されており、この一角を眺めているだけで満足できるレベル。

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別館1階ロビー。受付や2階へ続く階段、朝食用の部屋への入口がある。
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別館受付
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別館玄関。自転車は中に入れさせていただきました。

廊下の先には別館のロビーがあって、受付や休憩スペースがあります。

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別館2階はすべて客室になっていて、造りとしては本館よりは新しい感じがします。

それでも大正~昭和時代に建てられたものなので個人的には十分すぎるほど居心地がいい。客室と同じようにファンヒーターが随所に設置されているのが印象的でした。

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ここで早速、一回目の温泉に入ることにしました。

温泉は本館千人風呂の1階に「千人風呂」と「あたたまり湯」があり、それに対して別館2階には「オランダ風呂」があります。オランダ風呂は宿泊者専用のお風呂になっていて、構造としてはタイル張りの銭湯のような雰囲気。それも湯船の端が曲線状になっていてなかなか温泉旅館では珍しいような見た目をしています。

名前の由来は、このお風呂ができた当時は高い建物がなく見晴らしが良かったことから来ているようでした。ヨーロッパの温泉は、浴室からすぐに外に出れるような見晴らしの良い立地条件だからとのことです。

お湯の温度は個人的にちょうどいい感じで、熱すぎず温すぎずの湯加減が非常に心地よい。泉質はナトリウム、カルシウム、塩化物・硫酸塩温泉で、源泉温度は67.3℃ですが、湯船の上部から水が常に供給されているのでそれで温度調節をしています。

夕食

温泉から出た後は館内の散策を再開し、たまには玄関の椅子に座ってのんびりしたりもしてました。

その後は夕食の時間になったため、別館の部屋に向かいます。

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夕食の内容
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馬刺し
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鮎の塩焼きと田楽。鮎の田楽は初めていただいたが味付けが絶妙過ぎる。
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蟹のダシが効きまくっている汁物。ご飯と一緒にいただくと堪らない。
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これ一枚でご飯1杯消費する勢いだった山形牛のしゃぶしゃぶ

献立については、もう豪華すぎて形容する言葉が見つからない。山間部に位置する地域ならではの山の幸に加え、山形牛のしゃぶしゃぶが食欲をそそってくる。

温泉旅館での夕食は、こんな風に自分の世界に浸りながら一人で感動するのが自分には合っているような気がします。特に鄙びた温泉だとこの孤独感ですら愛おしく思えてくる。

ローマ式千人風呂へ

何から何まで美味しかった夕食のおかげで満腹状態になったところで、気がつけば例のローマ式千人風呂が女性専用から男性専用に切り替わる時間になっていました。

今日のところはこのお風呂にどっぷり使ってから眠りにつくことにします。

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自分の部屋を出て階段を降りればすぐに千人風呂に入りに行ける
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波打った形状が特徴的な洗面台
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タイル張りの構造が性癖を撫でてくる

自分が宿泊している101号室の真下に温泉があるため、「あ、温泉行きたいな」と思えばすぐに行くことができるのが素敵。逆に別館に泊まっていると結構な距離を歩いてこないといけないので、これは本館に泊まる利点の一つだと感じました。

曲がり角を曲がるとまず洗面台があり、これの左右に「あたたまり湯」があります。

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あたたまり湯の様子

あたたまり湯は非常にこじんまりとしていながらも、空間的に広いので窮屈感は全くありません。

お湯の温度はオランダ風呂よりは熱めで、まったり長く浸かるというよりはさっと温まりたい人向けかもしれない。あと宿泊者の方はみんな有名な千人風呂の方に行ってしまうので、こっちの方には案外入っている人が少なくて穴場でした。

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千人風呂入り口
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千人風呂脱衣所
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ローマ式千人風呂

こちらが喜至楼の看板風呂でもあるローマ式千人風呂です。

さっきのオランダ風呂とはまた異なる「ローマ式」の温泉が、想像以上にローマ式だった。

ローマ式がどんなものなのかさっぱり分かってないけど、なんとなくローマっぽい感じがする。ローマの風景の中とかに水が湧き出る泉のイメージで存在しているような円形の湯船が自分の目の前にある。しかもそこに満たされているのは温泉。

この喜至楼に到着してから幾度となく目にしてきた日本旅館の風景の中にあって、ここだけまるで異世界の空間を持ってきたような異質感を感じつつも、全体の雰囲気が剥離していない。どうしてこんなにも調和した構造を造れてしまうのかと、この旅館を建築した人に尊敬の念まで浮かんでくるような素晴らしい眺めだ。


湯船に身を沈めてみると、改めてこの千人風呂の広さが理解できた。頭上のはるか上に天井があり、さらに湯船自体も抜群に広い。屋内でありながら屋外にいるかのような開放感があって、温泉そのものによる気持ちよさに加えて精神的にも充足感を感じられました。

構造としては真ん中の柱の下から湯が出てきており、水面より上の部分から水が湧く仕組みになっています。これもローマっぽい感じがするし、温泉というよりは神殿のような壮大さがある。

おすすめとしては、男性専用に切り替わってすぐの時間帯に入りに来ると誰もいなかったです。夕食の時間が18:15とか18:30開始なので、まだほとんどの宿泊客は夕食をいただいている時間のようです。
狙ったわけではないけど、これのおかげでのんびり入れました。

館内フォントの良さ

これについては、自分が館内を散策する途中でふと感じたことです。

古びた宿の散策中には結構色んな出来事や発見があるのですが、喜至楼の場合は館内案内のフォントがとにかく好きになりました。多分普通の人は気にせず素通りするんだろうなとは思うものの、自分でも驚くくらいに惹かれたのを覚えています。

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旧字体や文字の大小のバランスが良すぎる
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どれをとっても同じようなものがなく、それでいて旅館の雰囲気には合っているのが個人的に好き。

力強い筆の文字もあれば、繊細な太さの注意書きもある。いずれも手作業によるもので味を感じるし、昔の職人さんによるものなのだろうなとしみじみしてしまう。

宿の構造的な面に加えて、その建物の歴史を物語るような一面がそこかしこにあるというのが喜至楼の魅力の一つだと思います。

例えば宿を近代化する過程でこういうのはなくなってしまいがちだけど、令和の時代まで昔のままで維持されている企業努力に感服せざるをえません。

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温泉街の夜は明るい
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千人風呂に入った後は、浴衣のままで外で出たりして気温の低さを味わったりしてました。

普通なら寒くてずっと屋内にこもりっぱなしのところ、温泉に入った後だと身体が火照っているので外のひんやりとした空気が気持ちよく感じる。しばらくは外を歩き、また温泉に入りに行ったりしたあとに布団に入りました。

翌朝

で、次の日の朝。

掛け布団の上に毛布をかけるという、いつもはやらない寝方だったけど至って快眠できました。やはり旅館で迎える朝は普段とは違って目覚めがいい。

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おはようございました
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瀬見温泉の朝
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この日の最低気温は前日比マイナス9℃というとんでもない落差(起きた時点で気温マイナス1℃)で、その影響なのか周辺は濃い霧で覆われてます。

今日は晴れるとの予報だけど、もう少し気温が上がらないと青空は拝めそうにない様子。なお結果的には晴れました。

のろのろと布団から這い出して、まずは千人風呂とあたたまり湯に使って眠気を取る。朝イチで温泉に入りに行けるのは宿泊者の特権ですね。

しかも朝の気温が低ければ低いほど温泉の気持ちよさも増すというもので、冷えた身体が温泉によって温まっていく過程の快感はなかなか味わえるものではない。

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朝食の内容
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朝食は落ち着いた献立で、それでいて鮎が出たのは嬉しかった。

味噌汁や湯豆腐を口に運びながら、昨日から過ごしてきたこの喜至楼について考えてみた。本館千人風呂や本館、そして別館。温泉や夕食のこと。散策のこと。それぞれを思い返す度に楽しい思いでいっぱいになってくるし、チェックアウトはまだなのに早くも再訪したくなる。

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最後は名残惜しさを感じつつ、別館と本館の前で記念撮影をして今日の目的地に向けて出発した。

この日は同じく山形県にある肘折温泉まで走って、温泉に入ってまったりしてました。その様子についてはライド記事の方にまとめます。

おわりに

宿泊する宿を決める基準は人それぞれだと思う。

料理だったり立地だったり、はたまたサービスの中身だったり。自分の場合はまず第一に「鄙びているかどうか」が条件に挙がるわけですが、この喜至楼は単に鄙びているに留まらないほど素敵な温泉旅館でした。

部屋も温泉も良いし、料理ももちろん満足のいく内容で自然と笑顔になってくる。そして何よりも散策しているだけで心が落ち着いてくる雰囲気の良さは、この旅館が明治から現代まで続いている理由の一つだと思います。

おしまい。


本ブログ、tamaism.com にお越しいただきありがとうございます。主にロードバイク旅の行程や鄙びた旅館への宿泊記録を書いています。「役に立った」と思われましたら、ブックマーク・シェアをしていただければ嬉しいです。

過去に泊まった旅館の記事はこちらからどうぞ。

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コメント

コメント一覧 (2件)

  • 長野の観光地インスタで小谷村の山田旅館を知り、それで検索したところ こちらのブログにたどり着き、
    そういえば、山形の銀山温泉はあるかなと探り、いままで知らなかった喜至楼につながりました。木造三階建という宿に憧れていますが、あまりお高いのは無理と。自転車で各地を訪れて宿の細部を取材、個人的には押し入れに貼られた明治の新聞や、館内の案内看板のフォント、とても共感できました。たまたま見つけたブログにコメントを書く気持ち、あまりないことです。また他の記事も読みます。

  • 気になっていた宿でしたが、本ブログを拝見し宿泊を決意しました
    動線上の床変色の話は、そのお宿もさることながら、それに気づかれる感性、それを言語化された文章力に感動してしまいました

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