【道東 女満別~斜里~知床峠~天に続く道~釧路】「羅臼岳と国後島」ロードバイクで北海道最果ての地を巡ってきた Part 1/3

今回は、ちょっとロードバイクで北海道の道東を走ってきました。

季節的にもう夏が過ぎ去ろうとしているのは理解しているものの、まだまだ本州では暑い日が続いています。先週はとても暑い場所に出かけていたこともあり、二週続けて暑い思いをするのは避けたい。そう思って計画していたのが、日本の中でも一足早く秋の到来を実感できる北海道を走るライドでした。

北海道は日本において最も北に位置していることから一年を通して涼しい気候を得られるのが特徴で、すでに最高気温が30℃台ではなく20℃台になっているのも行き先をここに決めた理由の一つ。近年の日本って夏の時期に運動するのが危険に思えるくらいに暑いので、運動に適している秋の季節をできるかぎり長く味わいたい。

行き先については、北海道の中でもアクセスが困難と思われる道東を選びました。

これは前々から行きたいと思っていた場所がいずれも道東にあるという単純な理由によるもので、特に深い意味はないです。行程は3泊4日とし、空港から各地、それからスポットからスポットへの移動時間等を含めて自分にしてはしっかり検討してからの出発。北海道はとにかく広いため、無計画で向かうと痛い目を見ると思います。


ロードバイクで巡っていくのは、いずれも北海道の大自然を全身で味わえるような場所ばかり。もっと言うとそこに「日本の最果て」という要素が加わり、言葉に言い表せないような雄大なライドができました。というわけで早速出発。

もくじ

女満別から斜里へ

今回の旅の起点/終点は女満別空港にとりました。大きな流れとしては女満別空港を出発して北海道の右上(羅臼)と右下(根室)に向かい、最終日に再び女満別空港に戻ってくる形です。

新千歳空港を経由する案とかも含めて行程は10パターン以上検討したけど、限られた時間の中で費用を抑えつつ回るのはこれがベスト。ちなみに中部地方から北海道に行く場合、新千歳発着の便数は多いのに対してそれ以外は途端に便数が減ります。

上空から見た屈斜路湖
畑が広がる北海道特有の風景

16時過ぎに問題なく女満別空港に到着。しかし平日なのにかなりの人の多さで、世間的には休日とそう変わりない。

空港から外に出た瞬間に冷やっとした空気を感じ、ここはもう本州ではなく北海道だということに気がつく。これが本州だったら日没間際の時間帯でも気温の高さを実感するものの、女満別ではそういうことはなかった。自分が求めていた環境がここにはある。


建物外のサイクルステーションで準備を済ませ、ここから今日の宿がある斜里に向けて移動を開始しました。

当初の予定では網走まで自走して夕食を終えてから輪行で斜里に向かうつもりが、どうせなら斜里まで自走していけば時間短縮になると考えてそうすることに決定。風は少々強いものの、女満別から斜里までは約60km程度なので普通に走っていく気になれます。

宿の最寄りのセイコーマートで買い出し

しかし、このルート選択が結構裏目に出る羽目に。

地図上で見る限り、国道240号沿いに網走まで走ってから海沿いの国道244号を走ればスムーズに斜里まで行くことができます。ただ自分は道中をショートカットする目的で内陸部の道(呼人~天に続く道)を通ってしまい、アップダウンがめちゃくちゃ多くて街灯が一切無い上に、北海道特有の段差や陥没が非常に多い路面だったのでとても怖かった。

フロントライトで照らしている部分以外は、冗談抜きで一寸先は闇状態。日が落ちるのが早くなっているのと北海道の道路事情を忘れていた影響でなんか初日から限界ライドをしてしまった。次第に民家の数が増え始め、斜里の町に到着したときは心から安堵しました。

今回宿泊したのは、国道334号沿いにあるHOTEL BOTHです。

HOTEL BOTH 公式サイト

館内はとてもきれいなので一泊料金がそこそこ控えめながらも快適に過ごすことができ、特に食事については高い評価を得ている様子。道東は宿の数自体が比較的限られているのですが、個人的にここに決めてよかったと思っています。

HOTEL BOTHは内装やカラーリング(明るい色合い)が落ち着ける感じで優れており、家具類もなんかこだわっているのが見て取れます。

宿の構成は敷地の中心にある建物のほかにバンガローもあり、宿泊形式は男女混合ドミトリー(2段ベッド式)や個室が揃っています。共用スペースにはシャワールームやトイレ、コインランドリーがあり、長く滞在する上でも憂うことはありません。実際、羅臼岳周辺の散策の拠点として連泊する人も多いそうです。

揚げ鶏ガーリックマヨ定食

食事については朝食付きプランが用意されているほか、夕食は館内にある飲食店:知床ごはん"tomoni"でいただくこともできます(別料金)。今回はラストオーダー前に宿に到着できたため、そのまま暖かい食事をとることができました。これは嬉しい。

当初の予定通り輪行で斜里まで移動していたらラストオーダーの時間に間に合わず、近くのセイコーマートで何かしら調達することになってました。気分次第で自走と輪行を切り替えるとたまには良いことがある…のかも。

お腹を満たしたら、特にやることもないのでいそいそとドミトリーに入って寝ました。

男女混合ドミトリータイプの様子は上記の通りで、上下ともにセミダブルベッドが置かれているので狭さは特に感じません。それぞれの入口は施錠可能なので例えばシャワーを浴びに行くときも安心だし、HOTEL BOTHは「高級感のあるゲストハウス」という感じです。

早朝の知床半島から知床峠へ

で、翌朝。

翌朝というよりは深夜なんですが、この日は午前3時に起床しました。あんまり寝られていないけど仕方ない。

実はこの日の行程は斜里の北東にある知床峠を目指すことになっていて、知床峠に到達した後はUターンして斜里まで戻ってくるという流れ。しかし肝心の知床峠周辺の天気予報を確認したところ、快晴が拝めそうなのが「6時~8時」か「13時~15時」くらいとのことでした。

元々の予定は朝ゆっくり起床して朝食を取り、12時くらいに知床峠周辺に到着してから斜里に戻って釧路に移動するというプラン。しかしこれだと天気的に満足できない可能性が高く、また「13時~15時」を目安に行動すると釧路に着くのが夜遅くなってしまう。

電車の時間を含めて寝る前に色々考えた結果、「6時~8時」に知床峠に到着するようにすればいいじゃない!という結論になったので今朝は午前3時に置きました。そういうわけです。

眠たい目をこすりつつ階下に移動し、投宿前にセイコーマートで買っておいたものを食べながら準備をする。あまりにも突発的な予定変更だけど、なぜかこれがうまくいくという予感がしていた。

外に出てみると、漆黒の空には一面の星空が広がっている。少なくとも今現在は晴れているということで、この晴れが持続しているうちに知床峠まで向かいたい。そう考えながらの出発となりました。

海の上に見えるのは漁船の灯り
徐々に明るくなっていく様子が好き

斜里から知床峠までの道中は海沿いに面した国道334号をひたすら直進する形になり、途中で迷子になったりする心配はありません。途中の景色をじっくり眺めるのは帰路でやるとして、今は先を急ぐことに。

街頭がほぼ存在しない環境なのも起因して、走っていく中では空の明るさが刻々と変わっていく様子を眺めることができました。最初は文字通り何も見えないほどの暗闇だったのが、次第に空の色が黒から紺色、青色、水色と変化していく。ロードバイクに乗っていると時間の流れがゆっくりに感じられるけど、この早朝の時間帯だとそれがより顕著だと思う。

さらに空と海との境界付近の色は微妙にオレンジがかっており、この様子だと知床半島の反対側(東側)はおそらく晴れなんだろう。自分が今いるのは知床半島の西側なので、太陽を直に拝めるのは知床峠にさしかかった辺りになる。風景的なクライマックスもたっぷりの陽光も、どちらも得られるのは本日の核心部に到達してからなのは明確。これほど先がワクワクする状況もなかなかない。

早起きは三文の徳というけど、今のシチュエーションはまさにそれだ。

ウトロの漁港を眼下に見る
当たり前のように道端にいるシカ
ヒグマ怖い

海沿いをひたすら走って、知床半島の西側の拠点である町・ウトロに到着。後はここから15kmほどヒルクライムをすれば目的地の知床峠に着きます。

海から山に入った途端に存在を意識するようになったのが、知床を代表する野生動物の存在。目の前の道路を横断しているシカ(エゾシカ)は対して珍しくもなくて平和ですが、たまにニュースにもなっている知床のヒグマがとにかく怖かった。

北海道の中でも知床は特にヒグマ遭遇率が高いとされており、しかも早朝や夕方はその確率がさらに上がります。つまり自分が走っている道路のすぐ脇に、もしかしたらヒグマがいるかもしれない。道路脇には「ヒグマ生息地 近づかない!食べ物を与えない!」という看板もあるくらいで、正直気が気じゃなかった。

ウトロ~知床峠の区間は斜度が終始5~8%程度で、きつい上りではなくゆっくりと標高を上げていくような感じです。ヒルクライムにしてはかなり楽な部類に入り、そのぶん周りの景色に目を向ける余裕も出てくる。

国道334号の交通量はこの早朝でも皆無ではありませんが、たまに遭遇する車のおかげでヒグマの恐怖が多少薄れた感はあります。ただそれ以外のタイミングは周囲が完全に無音になり、雰囲気の良さと安心感をちょうどいいバランスで得られたかと。

直線区間が終わって道が大きくカーブし始めたら、知床峠はもうすぐそこ。ようやく路面に日光が当たるようになって、気分的にも夜から朝になれました。

いつの間にか道の左右から木々がなくなって背の低い植物ばかりになり、視界が途端に開けてくる。ヒルクライムは道中の山の中から頂上周辺へと切り替わるポイントが個人的に好きで、地形や植生が明確に変わったのが視認できます。

で、あるカーブを曲がるといきなり目の前には羅臼岳の姿が。今見えているのは羅臼岳の南西側なのでまだ全体が影に包まれているものの、今までの道中では見られなかった巨大な山容の迫力がヤバい。

同じポイントから西を見ると、視界の下の方にさっき上ってきたワインディング・ロードが見えます。

こうして見ると国道334号周辺の地形は至極なだらかであり、その中でも傾斜が緩いとこを縫うようにして道が通っているのが一目瞭然でした。まあ山の中の道ってそういうものなんだけど、俯瞰で見ることによってそれを深く理解できるというか。

逆に言うと、ここまで視界が開けていることによって初めてダイナミックな風景を眺めることができている。本州の切り立った山々の中の道とは対称的に、北海道の広さを彷彿とさせるような広がりが感じられます。

知床峠に到着

そして…早起きしてしてから数時間後、ついに知床峠に到着!

改めて知床峠の説明をすると、知床半島に位置する斜里町ウトロと羅臼町を結ぶ国道334号の峠のことを言います。標高は738mあり、知床横断道路の最高地点にあるため展望は抜群。北海道道東の北東の最果てにあることから、ツーリング目的でも人気な場所です。
走行にあたっての注意点はさっきも書いた通りにヒグマが出没するのと、知床横断道路自体が冬季閉鎖されるので開通期間が比較的短いということかな。

知床峠に到着してまず思ったことは、とにかく空気が澄んでいるという点。

知床はアイヌ語で「地の果て」を意味する単語・シリエトクに由来しており、その名の通り断崖が続く海岸や深い森、羅臼岳をはじめとした山々などがそのまま残されています。ユネスコの世界自然遺産にも登録されたほどの豊かな自然の中で深呼吸してみると、その旨さに感動しました。

知床峠から北方領土を眺める

ロードバイクから降りると一気に寒さが襲いかかってきたので、サドルバッグの中からジレを引っ張り出しました。

知床峠は海沿いからの気温差が大きいほか、海沿いは晴れていても峠はガスっている…というケースも多いみたいです。夏場であっても防寒装備は必須ですね。

羅臼岳の大きさがすごい

ひとしきり到達に感謝した後、峠の北側にそびえる羅臼岳の雄姿を眺めに行きました。ハイマツ帯の向こう側には徐々にせり上がるようにして山塊が持ち上がっており、視界の中のスケール感がものすごい。

羅臼岳は知床半島の火山群の最高峰であり、その標高は1,661m。知床半島だけではなく北海道を代表する山岳の一つでもあって、日本百名山に選定されています。完全に自力で峠まで到達し、この快晴のもとで眺める羅臼岳の山容はもう素晴らしいの一言。本当にここまで来れてよかった。この景色をこそ見たかったんだよ。

ちなみに羅臼岳の頂上には登山で到達できるみたいですが、ヒグマの本拠地みたいな森の中を通ることになるので難易度は高めかもしれないです。

知床峠の西側には石積みの低い段差が設けられていて、その奥には羅臼町側の景色が広がっていました。

段差には「北方領土 我が国固有の領土です」の看板があって、そういえば今回の道東ライドは北方領土の島々を見に行くライドでもあったことを思い出す。道東と北方領土は切っても切り離せない関係にあり、天気が良ければ視認できます。

知床峠には大きな駐車場が設けられているので駐車するには困りませんが、施設はトイレしかありません。その駐車場もまだ朝早いということで止まっている台数は少なく、静かな朝の時間を満喫できたと思います。知床横断道路の開通シーズンがまもなく終わる(~10月上旬)タイミングだったのも良かったかも。

頭上を見上げれば秋晴れの青空、周囲を見渡せば360°大自然が広がる知床のど真ん中。これ以上何を望むというのか。繰り返しになるけど、早起きして出発して正解だった。

さて、時間にはまだまだ余裕があるので、知床峠から羅臼町方面にちょっと足を伸ばしてみることにしました。

国後島が見える

羅臼町の町並みの奥・根室海峡の先に見えるのは、北方領土の国後島。

知床半島よりも広い面積を持つ国後島ですが、ここからだと少し遠いのでその広さを実感するには至りませんでした。ただ天気が良くないとこの距離で国後島を視認できないため、今回はとても運がいいです。

羅臼町から上ってきた場合はこの景色が見える

何度も道を往復したりして、心ゆくまでこの景色を堪能する。

知床峠周辺、特に羅臼町側は頂上付近に曲がりくねった道が形成されているため、カーブの向こう側に羅臼岳が見えるシチュエーションが割りとよく見られます。がっつり上る区間を終えた後に絶景を拝むことができるあたり、知床峠ヒルクライムの達成感は群を抜いていると思う。

その後は車で上ってきた人たちと写真を撮りあったりし、そろそろ下ることにしました。

斜里への帰還

ウトロまでの区間は上り100%だったので、逆方向からの道のりはその真反対。一度もペダルを回すことなく海沿いまで下ることが可能です。

下りでもガンガンに漕いでスピードを出す人もいる一方で、自分としては適度なスピードで周囲の環境に目を向けながらゆっくり下っていきたい派。

上っているときにも立ち止まったこの俯瞰風景。ここで画面奥(西側)の空を見ると、雲が徐々にこちら側にやってきているのが分かると思います。

今回自分が早起きして知床峠まで急いでいた理由がまさにこれで、日が出てくるにつれて西側から曇ってくるという予報になっていました。案の定予報の通りになった形ですが、だからこそ自分の直感を信じた甲斐があったというもの。

本日の核心部へはすでに到達しているため、ここからの行程が精神的に一気に楽になりました。

ウトロの漁港からは漁船が出港している
上り区間の入り口にある看板

ウトロへ向けて下っていく道中では、ウトロ側から上ってくる車やバイクと遭遇することが多かったです。宿泊場所やアクセスの良さを考慮すると羅臼町側よりはウトロ側の交通量が多いのは予想していたため、ようやく知床半島の「朝」が始まった感がある。


ところで、今回の行程では知床半島を訪問した後、釧路や根室方面へ向かうのには電車を活用しました。道のりとしては斜里を起点にして知床峠を往復し、輪行で一気に釧路までワープする流れです。

別の案として、知床峠から羅臼町側に下って標津町を経由する海沿いルートももちろん検討していました。ただこちらのルートは同じような景色が数十kmも続くことが予想され、自分の性格的に途中で飽きそうだったので変更した経緯があります。

何度かブログ内で触れているように、私は同じ状況がずっと続くと走るのが次第に面倒になる。それよりはシンプルに自分が満足できるような行程にする方が有意義と考えてこの行程にしました。他の地域だったら地形や道がそこそこ変化に富んでいるかもしれないけど、北海道は広いので行程を吟味する必要があります。

このあたりの話はロードバイクで走るのが好きなのか、それともロードバイクを移動手段とみなすのかで大きく変わる。どちらかと言われれば自分は明らかに後者だし、走るルートは自分で決めればいい。

幌別橋の近くにはカラスが多かった
道の駅うとろ・シリエトク

そんなことを考えながら、ウトロの中心部へ帰還。

ウトロには宿泊施設が充実しているほか、道の駅やセブンイレブン、セイコーマート、飲食店、温泉など一通り揃っているので立ち寄りに便利です。ロードバイクだと特に補給ができるかが非常に重要で、セイコーマートは北海道にしかないこともあって立ち寄り率が高め。

というか、セイコーマートは全国展開してほしいんだよな。あのクオリティを北海道でしか味わえないのはとても恋しい。

斜里からウトロまでの区間は終始こんな感じで、アップダウンのない平坦な道がずっと続きます。

行きでは暗すぎて何も見えなかったので、帰り道でオシンコシンの滝に寄り道。

オシンコシンの滝は知床最大の規模を誇る滝であり、その落差は80m。滝は上から下まで一貫して岩肌を伝って流れているようで、複雑な岩の形状に伴って水の流れも独特になっているのが分かります。ちなみに滝のすぐ近くまで遊歩道が通っているため、その迫力を間近で眺めることができました。

直近で雨がそんなに降っていないためか、流量は控えめ。これが新緑の季節になると雪解け水によって水量が大幅に増加するみたいです。知床半島には海上からでしか見えないような滝も存在している中で、オシンコシンの滝はアクセスしやすいので個人的におすすめ。

こんな風に往路の道のりを振り返りつつ斜里を目指し、続いては天に続く道の起点に寄ってみることにしました。

たまに巨大な農作業車に遭遇してビビる
天に続く道。どこまでも真っ直ぐな道が遥か先まで伸びている。

天に続く道は斜里町内を東西に通る約28kmの長い直線ルートの愛称で、その名の通りにまるで空に続いているかのような真っ直ぐ感から名付けられました。

西側の起点は昨日の夜間に通り、そして今こうして西側の起点に到達したという流れ。こうしてみると北海道ならではの「丘」をぶち抜くようにして、視線の遥か向こうまで道が伸びているのが理解できます。こういう風に地形の広さを感じられるのも北海道の良さの一つですね。

思うに、ただ単純に平坦な場所の直線ルートだったらここまで有名にはなっていないと思う。アップダウンのある地形といが重要なポイントで、起伏があることによって風景の中にとてつもない奥行きを生んでいるような気がする。高低差がないと奥行きってあまり感じられないし、ここは本当に唯一無二の風景だ。

釧路湿原と釧路の夜

そんなこんなで、無事に斜里まで戻ってきました。

予定よりも一本早い電車に乗れるということで、セイコーマートで昼食を調達してから知床斜里駅へ。斜里駅近くにはタイミング的に食事を取れる店が営業していなかったものの、こういう時にこそセイコーマートは頼りになる存在。美味しくて温かい食事を安価でゲットできるわけで、個人的には毎日寄りたい気分です。

しかし、道東に電車が通っていてくれて本当にありがたい。行程を考えると、電車がなかったらだいぶ疲れる旅になっていたと思います。

北海道感あふれる昼食
知床斜里駅
釧路湿原近く

知床斜里駅から釧路駅に向かう電車は一両しかなく、その電車が大パノラマの風景の中をのんびり走っていく様子は旅情を感じる。山間にある森林の間や平原の端っこ、川の近くなどを旅するにはむしろこの規模感の方が向いているのかもしれない。

なお途中駅の川湯温泉や摩周では、観光客と思われる人たちが次々と下車していきました。電車による移動の中では異なる旅程の人間が一同に介する形となって、目的地へ到着した人間から順に降りていく。車による移動とは異なり、公共交通機関の旅には公共交通機関の良さがあると思います。

自分はというと、このまま釧路まで一気に行っても時間が余るので途中下車することに決定。釧路市街の北部に位置する釧路湿原周辺を散策してから市街地へ向かいます。

釧路湿原駅で降り、まずは駅の近くにある細岡展望台へ。

釧路湿原は一般的に立ち入ることができない代わりに数多くの展望台があり、当然ながら展望台によって見られる風景は千差万別。その中でもこの細岡展望台はアクセスがよく、湿原の中を流れる川や遠景も含めて眺めがとても良かったです。

ここまで広大な湿原を見るのは個人的に初めてな上、ボランティアの方が設置してくれている双眼鏡からは釧路ならではのタンチョウ(だと思う)やシカを視認することもできた。まだ北海道に来て2日目だというのに、何もかもが広すぎて圧倒されるばかりだ。

並のレンズでは遠くまで見えないほど広いです

あと、釧路湿原の周辺は適度な未舗装路(グラベル)が数多く存在しています。25Cでも走れなくはない程度の砂利具合だったので、そのまま走って釧路市街を目指しました。

というか、北海道はむしろ幹線道路を外れると未舗装路になっている率が比較的高いと思う。本州とは道路事情が明確に異なっているだけに、北海道でこそやるべきアクティビティも多そうです。

釧路の夜

その後は無事に釧路に到着し、夕食に適している時間になったので夜の繁華街へGO。その日の夜に何を食べようか考えるのは旅の楽しみの一つでもあります。

今回はやっぱり釧路に泊まるのだから釧路の名物を頂きたいと思い、例のローカルソウルフード・スパカツを食べるためにレストラン泉屋 総本店というお店を訪問しました。

多彩な洋食料理を提供するレストラン泉屋は釧路市民に愛される昔ながらの洋食店であって、ランチはもちろんディナーも盛大な賑わいを見せています。自分が訪店した時点では約10人待ちの状態でしたが、思いのほか回転率が良かったので割と早めに順番が回ってきました。

席に付き、注文したのはもちろんレストラン泉屋の看板メニューであるスパカツ。他のメニューも充実しているので、目的に応じて色んなものを選べるのは素敵だ。

レストラン泉屋
メニューはとても多い
スパカツ。これが食べたかった。

待つこと数分後。ミートソーススパゲティの上にカツレツが乗っかった料理、通称スパカツが運ばれてきました。まず驚いたのがそのボリュームで、スパゲティだけでも相当な量がある上に、上のカツレツも結構なサイズ。全体的に想像の1.5倍くらいはあります。

鉄板の上に盛られているのは、寒い釧路の夜においても冷めないうちにアツアツの状態で食べられるようにと考案された経緯によるものだそうです。現に釧路の夜は体感的に少し寒いくらいで、この温かさが実に嬉しい。

このスパカツ、外観だけ見ると重たくて腹に溜まる料理だと思われがちですが、実際にはそんなことはなかったです。シンプルかつボリュームがすごいものの味はあっさりとしていて食べやすく、気がついたら結構な量を食べていたという感じ。

周りのお客さんも案の定みんなスパカツを注文しており、釧路の夕食の選択肢としてスパカツは挙がりやすいと思いました。

夕食後は宿に戻り、翌日の行程に備えて早めに就寝。

Part 2に続きます。


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