【道東 根室~納沙布岬~北太平洋シーサイドライン~霧多布岬】「花咲ガニとラッコ」ロードバイクで北海道最果ての地を巡ってきた Part 2/3

北海道3日目の朝。

この日の行程は、今自分が泊まっている釧路から遥か東にある根室が出発点となります。根室からは日本本土の最東端に位置する納沙布岬を経由し、北太平洋シーサイドラインを走ってもう一つの岬である霧多布岬へ。霧多布岬から先の行程は正直不透明で、時間に応じて臨機応変に行動して釧路に戻ってくるという形です。

まとめると、今回の旅では釧路を拠点にしながら連泊することになりました。これは自分でも良い案だと思っていて、釧路周辺(周辺と言っても広範囲だが)には根室や阿寒湖、屈斜路湖、摩周湖等のスポットが点在しています。拠点を中心にして各地に移動すると荷物も少なくて済むし、選択肢としては十分アリかなと。

もくじ

根室から納沙布岬を目指す

そんなわけで朝4時に起床し、釧路発根室行きのJR花咲線の始発に乗るために釧路駅へ。輪行を活用する場合は1本逃すと次は数時間後とかなので、発車時刻をよく確認しておく必要があります。

早朝の釧路駅は人が少ない…かと思いきやそんなことはなく、根室のおそらく納沙布岬到達を目的としているであろう観光客が多かった印象。

電車は昨日に引き続き一両しかないものの、一両しかないことの良さを昨日よりも実感できました。なぜかと言うとJR花咲線は「誇張抜きに"何もない"区間」を走行している時間がとても長く、自分が最果てに向かうシチュエーションの中にいると思うと一両のみの車両がむしろ似合っている。

早朝の釧路駅(寒い)

終着駅である根室駅の一つ前、東根室駅は日本最東端の駅なのでみんな看板を撮影してました。

今日の行程をざっくりと言うなら「日本最東端の最果てを目指す」ということになるけど、今現在はまだ車窓からの景色しか見ていないので最果て感は薄い。ただその分、駅を降りて自走で納沙布岬へ向かう道中の景色が色濃く感じられ、ロードバイクに乗っている間の体験の密度を高くしてくれました。

何事もいきなりクライマックスが来ると面食らってしまうし、徐々に気分を盛り上げていくという意味でも輪行→自走の流れにして良かったと思います。

根室駅に到着して輪行解除。ここから今日のライドが始まる。

すでに述べたように、釧路を拠点にしているのでライド中に携行するものは日帰り専用で十分。宿泊セットやら飛行機輪行時の緩衝材やらを運ばなくていいので比較的軽くなり、ライドそのものが楽になっています。防寒装備もちゃんと持ち運んでいるけど、すでに気温はそこそこ高いので早速薄着になりました。

さて、根室半島(長さ約30km)の付け根付近に位置する根室駅から半島先端にある納沙布岬までのルートは大きく分けて2つ。根室湾を眺めながら半島の北側を走るか、それとも太平洋を眺めながら半島の南側を走るか。

別にどっちでもよかったものの、シンプルに左側通行で海を間近に見ながら走りたいという気持ちから時計回りのルートを選びました。なお北側でも南側でも道道35号が海沿いを通っているので、これをひたすら走っていれば結果的に根室半島を一周できます。

北方領土が近くにある関係上、こういう看板が多いです。
根室半島北側の風景

根室駅前を通り過ぎて市街地を抜け、民家の数が少なくなってきたと思ったら本格的に最果てへの道が始まる。

これまでの旅の中で北海道は平地と丘が組み合わさった独特の地形があると書いたけど、根室半島はそこに海の要素をプラスした平坦基調の道が多いです。具体的に言えば上の写真のような道がまさにそれで、視界の中に突出した建物や地形が一切登場しない。

陸地と海との境界は砂浜ではないものの高低差はそんなになく、走っていく中では「大地の上を滑るように」移動できるのが特徴の一つ。風景の中の主役はあくまで道そのもので、道を彩る付随要素として平原や空、海が一緒になっている。周りに人工的なものが少ないぶん、道の存在感が際立っているというか。

北海道はどこを走っても気持ちがいい中で、個人的には根室半島周辺が一際楽しかったです。

いやー…本当に走っていて快適そのもの。ここまでストレスフリーで走行できる環境にはそう出会えるものではない。

見渡す限りの平原、道と電柱がどこまでも続いていく風景、頭上を流れていく雲。語彙力がアレなので最果て感と形容するしかないものの、こういう何もない、けど寂しくはない道を自分は求めていた。100m、200mと進むにつれて心の中のわだかまりが晴れていくようだ。

納沙布岬までの道中では予想通りにバイクツーリングの人が多く、抜くときに手であいさつをしてくれたりもしれました。北海道はバイク乗りにとって聖地みたいな存在と聞いたことがあるけど、誰もがここを走りたくなる気持ちが自分も理解できました。

最果ての地・納沙布岬

そんな感じで根室駅から25kmほど走り、ついに根室半島の先端にある納沙布岬(のさっぷみさき)に到達。

ここは離島を除けば日本本土の最東端にあたる岬で、一般人が訪問可能な日本の一番東にあたります。今日の走行距離はまだ少ないものの、到達した場所が場所なのでついにここまで来たのかと感慨深くなる。ロードバイクでどこかの場所に到着したのなら安堵感がまず最初に来ますが、納沙布岬における感想は安堵感よりも、ここより先はもう日本ではないという寂しさの方が勝りました。

半島の先端ということで納沙布岬灯台が設置されているほか、望郷の岬公園や四島のかけはしといった北方領土関連の施設も多いです。

望郷の岬公園

岬周辺は望郷の岬公園として整備されており、公衆トイレや駐車場、飲食店、商店などが集まっていてドライブや観光に便利です。

北方領土返還記念のシンボル像である「四島のかけ橋」。近くに行くと巨大さが分かります。
北方館
返せ北方領土 納沙布岬の碑
海の向こうには歯舞群島が見える

到達した記念として、返せ北方領土の碑の前で記念撮影。ずっと訪問してみたかった場所にロードバイクで来ることができただけに感動もひとしおです。

今回納沙布岬を訪ねる上で最も重要な要素だったのが天気で、せっかく納沙布岬に来たのだから北方領土をこの目で見てみたいと思っていました。当然ながら天気がよくないと島を見ることは叶わず、ここまで快晴になってくれてありがとうというほかない。

納沙布岬から見えるのは北方領土の歯舞群島。その中でも貝殻島は岬から約4km、水晶島は約7kmと非常に近くにあり、肉眼でも問題なく見ることができました。ここまで晴れてくれるとは思っていなかっただけに嬉しさも増す。

公園からさらに東に進むと灯台がある

納沙布岬のどういう景観が最果て感を増幅させているのかをずっと考えていたけど、ここまでの道中から岬の先端に至るまでのすべての要素がそれだと思いました。

根室駅を降り立ってすぐに感じる気温の低さ、澄んだ空気。そして市街地を通って根室半島を走っていく中では民家の数もまばらになり、辺りには道と平原のみが存在するシンプルな景観に変化していく。そうして気がつけば半島の先端に至り、目の前にはもう陸地はなくて海のみが広がっている。さらに海の向こうの島々は日本ではなく外国。

海を隔てて遠くに島々が見える風景は全国各地で見られるのに対して、日本国外の風景が見えるというのはここにしかない要素だと思う。交通量が少ない納沙布岬周辺の空気感と、それに反比例するかのような青空。そういうのがごちゃまぜになって、今までの旅では感じたことがないような感傷の情に陥った。


しばらく佇んでいると、まだ昼前だと言うのにお腹が空いてきたので早めの昼食をとることに決定。

この時期の根室は花咲ガニというカニが旬であるということを予め聞いていたため、昼食はどこかで花咲ガニを食べる予定だったのが思いのほか早くやってきた形です。なお花咲ガニは北海道の根室周辺でしか水揚げされないカニであり、その漁期は7~9月のみ。つまりこのタイミングがギリギリでしたが運良くありつけました。

訪れたのはこの納沙布岬で60年以上営業しているという「レストハウス 請望苑」で、看板に大きく花咲ガニがアピールされていて興味を惹かれたのでここに決めました。

花咲ガニラーメン。まるで花が咲いたように鮮やかな色になっている。
花咲ガニの身がこんなにたくさん!

注文したのは、花咲ガニの半身が贅沢に入っている花咲ガニラーメンです。

手順としてはまずラーメンの方を完食し、その後に花咲ガニをゆっくりと頂くという流れ。ラーメンの上にカニが乗っかっている点からも分かる通りにスープから感じられる海の要素がとにかく濃く、うまく言葉にはできないけど「潮」の味がすごい。カニだけではなく海藻もたっぷり入っていて、一口すする度に感動してました。

カニの方は自分でキッチンバサミ等を使って捌くこともできますが、今回は女将さんの提案によって慣れてない自分の代わりに女将さんにやっていただきました。自分でやるのは大変なので助かりました。。
味についてはカニの身の美味しさに加えてスープがしっかり染み込んでおり、その旨さも加わっているので非常に美味しいです。なんならここに白米をプラスして雑炊にでもしたいくらい。他のカニに比べると身に油分?が多いのか、少なくとも薄味ではなかった感じかな。

ラーメンを食べながら女将さんとお話したところ、最近はずっと暑くて納沙布岬周辺は霧が立ち込めており、ここまで晴れるのは珍しいとのこと。重ね重ねになるけど、今日この日に根室を訪れることができたのは運が良すぎる。

満足のいく昼食の後は、公園から先に向かって納沙布岬灯台へ。正真正銘、ここが本当に日本最東端になります。

灯台の大きさは全国各地でかなり異なりますが、遠方からでもしっかり見える必要があるところとそうでないところがあるのだろうか?納沙布岬灯台は比較的こじんまりとした大きさで、高さについてもかなり控えめでした。

灯台の前には「北海道灯台発祥の地」という碑があり、これによると北海道で一番最初に造られた灯台がこの納沙布岬灯台のようです(初点灯が1872年)。

灯台奥に広がる海原にはさっきと同じように北方領土が見えますが、異なる点としてタンカーのような中型の船舶が運行していました。

遠くから見る限りだと日本の船舶と思われ、つまりあの場所までが日本の海域ということになります。北方領土はもう目と鼻の先のようにすぐそこにあるのに、あそこから向こうはもう別の国。距離が近いだけにもどかしさも増してしまっている。

公園に比べると灯台周辺は人も少なく、今日に限らず昨日も明日もそんなにシチュエーションとしては変わらないんだろうなと思いつつ時間は過ぎていく。場所だけ切り取れば風光明媚な部分が目立つものの、根室市や北方領土に関連する歴史を紐解くと生半に喜ぶのはちょっと違うような感覚になりました。

とはいえ、これほど天気がいい中での訪問となったのは間違いのない事実。自宅から遠く離れた遠方の地を旅するのが好きな自分だけど、納沙布岬の最果て感は「遠方」の極地みたいなもの。ここまで来ることができて本当に良かった。

ちなみに、望郷の岬公園の近くには花咲ガニをイメージした公衆トイレが設けられています。正面から見るとまさにカニの顔そのもので、せっかくなので利用しておきました。ウォシュレット付きで清潔そのものだったのでおすすめしておきます。

公共施設のトイレって市町村によって清潔度が全く異なると思っていて、何気なく入ったトイレが綺麗だとシンプルに嬉しい。これもまた旅の良い思い出になるような気がする。

納沙布岬ではとにかく初めて見るものが多すぎて、予定よりも散策に時間を多く費やしました。訪れた先の天気が良ければ自然と散策したくなってくるし、これはある意味で当然なこと。自分の行程で予定はあってないようなものなので、気分次第で行動している面はあります。

今後は思いっきり寒い季節に訪問して、より増幅した最果て感を楽しむのもアリかもしれない。

北太平洋シーサイドラインをゆく

最初の目的地である納沙布岬を後にして、次の目的地はここから約90km離れた浜中町の霧多布岬です。

堅実に行くなら、道路事情が良くて交通量が多い(=万が一何かあったときでも安心)国道を走るのがベスト。しかし今回は個人的に走りたいと思っていた北太平洋シーサイドライン(道道142号)という道が途中にあり、そこを経由して霧多布岬まで走ることにしました。

北太平洋シーサイドラインは北海道の太平洋岸、具体的には十勝の広尾町から根室市の納沙布岬までを結ぶ全長321kmの道路のことを言い、その中でも今回走る浜中町周辺の海岸線沿いの区間は「岬の花の霧街道」とネーミングされています。

「北海道らしい雄大な景色の中を通るこの道は起伏が多く、沿岸風景は変化に富んでいて飽きることはない」という前情報を見て、これはもう走るしかないと思ったのが大きな理由。飽きっぽい自分にとってこれほど魅力的な言葉もない。

たまに線路に出会う
浜松海岸の風力発電施設

まずは道道35号を西へ向かって根室半島を一周し、根室市街に帰還。その後は道道142号を南下して花咲港(東和田)、西和田、落石方面へと舵を切りました。このルートは国道沿いとは異なり道の沿線をJR花咲線が通っているので、たまに線路に遭遇したりもします。

で、このルートを走り始めてすぐに感じたのが交通量の少なさ。釧路と根室の間の移動ルートは電車もしくは国道が一般的のようで、南側にあるこちらの道は車に遭遇することがそんなにありません。根室から霧多布岬まで移動していく中で車の多さが気になったことは結局一度もなく、快適に走れました。

自分的にロードバイク中に感じるストレスの一番の原因が向かい風で、二番目が交通量の多さ。せっかく色々と「広さ」を実感できる北海道を走っているのだから、本州と同じような道路事情を味わうのは勘弁願いたいところ。そういう意味でも、あえて人の気配がない道を選ぶのはおすすめできます。

ただ後述するように備えは必要になるので、そこだけ注意ですかね。

初田牛駅跡

落石から初田牛駅跡までの区間は道の両側に森林が広がる山の中を西へひた走り、初田牛駅跡から先は南(海側)へと進路が変わります。初田牛駅を境界にして明確に道の様相が山から海沿いへと切り替わるので、要はここからが本番。同時に今まで道と並行して走っていた線路からは遠く離れる形となり、なんだか寂しい気持ちになる。

なおこの初田牛駅はJR花咲線の駅として活用されていたものの、2019年のダイヤ改正時に廃止されました。理由は利用者減少によるらしいけど、駅前にはもう人家は残っていません。駅の北へ向かえば広大な牧場が広がっているようで、昔はもっとこの辺りにも農家が多かったんだろうか。


気を取り直して、ここから北太平洋シーサイドラインの核心部を走っていく。

この日は南西からの風が非常に強く、今までは何だかんだで林の中を走っていたりしていたので風の影響を受けることはそんなにありませんでした。しかしここから先は遮るものが何もなく、吹き付ける風との戦いも視野に入ってくる。

あとは…この道中には店や自動販売機が一切ありません。確か50kmくらい前に自動販売機で水分を調達しておいたものの、今現在はボトルの水と合わせても残量が非常に心もとない。このまま進んで大丈夫だろうか?まあ進むしかないんだが。。

北太平洋シーサイドライン
大パノラマの絶景を満喫

少し林の中を走った後は海岸線に到達し、そこからはうねりを伴いながら道は続いていきます。

北太平洋シーサイドラインの様相を言葉で言い表すとするなら、北海道ならではの丘の多さに代表される「陸地」の美しさに加えて、岬や岩などの「海」の美しさを併せ持つ道。海岸線にしてはとてもアップダウンが多いものの、ここではむしろその起伏の頻度が心地よく感じられる。

道がとにかく3次元的に通っているのでカーブの先の景色に予想がつきにくく、先に進むのがどんどん楽しくなってくるような感じ。海沿いの風景だったらこういうのだろうな…と頭の中で予想を立ててから走っていると、あまりの景観の変化に度肝を抜かれるはず。

北太平洋シーサイドラインを走っていく中では風力発電の風車や牧場、集落、神社、切り立った崖、岬、砂浜、高台とそこから眺める大海原…という風に、様々な景観に出会うことができる。

あくまで自然が作り上げた景観を中心としつつも、たまに一軒家や小さな集落に遭遇するので別の意味で最果て感を感じました。集落の方は基本的に広い敷地内で昆布?を干す作業をされていたりして、同じ海沿いでも午前中に通った根室半島とは明らかに雰囲気が異なる。

上っては下り、右へカーブしたと思ったら今度は左へカーブする道。特に道を下ると別の集落に入ったりして、繰り返しになるけど得られる風景に良い意味で一貫性がなくて楽しさしかない。

北海道はどちらかと言うと単調な直線道路が多いと思っていましたが、道のうねりだけを切り取るとまるで本州のよう。ただし風景そのものは北海道らしさが前面に押し出されていて、予想を裏切られて良い気分だ。

求めていた自動販売機

絶景をよそにして、実は走りながら自動販売機をずっと探してました。

走り始めは気温が涼しかったものの、今は日が上って結構暑いため水分がないと露骨に辛い。もう数十kmは補給がない状態なので手持ちの水分を少しずつ飲みながら走るしかなく、流石にここいらで新しく水分を得られないと走行そのものに支障が出てしまう。

そんな中で、とある民家の前にやっと自動販売機を発見しました!!

砂漠の中でオアシスを発見したような気分になったのは言うまでもないものの、こういうことがあるので北海道の道を走るときにはちゃんと予め準備しておいたほうがいいです。流石にちょっと走れば店やコンビニがあるだろうという考えは、北海道では通じません。

マジで風が強いんですが…と思いながらも遠くに霧多布岬を見つけ、安堵する。
前方からの容赦ない風

水分補給をした後は相変わらず強風に脚を削られつつ南下し、浜中町の霧多布市街に到着。

ここに到着した時点で日没の時間を考慮して後の行程を決め、霧多布岬を散策した後は道道808号を進んで茶内駅をゴール地点としました。どっちみち輪行を使わないと釧路に戻るのが深夜になってしまうし、この状況下ではこうするのがベスト。あと輪行を使うにしても電車の本数が少なく、考えることは色々あります。

というわけで、目的地である霧多布岬に早速向かうことに。

夕焼けの霧多布岬へ

今までの限界ライドから一変し、霧多布中心部はコンビニや店がたくさんあるので補給には困りません。さらには宿泊施設やキャンプ場まであり、車やバイクだとなおさら選択肢が広がりそうです。

霧多布大橋
霧多布大橋から霧多布岬方面を見る
セイコーマートで補給

霧多布岬が位置する霧多布半島は太平洋に突き出した形となっており、半島へは霧多布大橋という橋を渡ることになります。陸地として繋がっていない以上は半島ではなく島なのでは?と思ったけど、数十年前まではちゃんと繋がってたみたいですね。

ここまでの道中で色々消耗したので、途中のセイコーマートで焼き鳥とアイスを購入しました。セイコーマートって揚げ物系の品揃えがとにかく優れているので立ち寄るには便利です。

霧多布半島の上の景色
きりたっぷ岬キャンプ場

道道1039号(1000番台の道なんて初めて見た)を進んで坂道を上ると、そこはもう霧多布半島の上。実は霧多布半島の中で海抜が低いのはほんの一部分だけで、残りは基本的に海抜40~60m程度の台地になっています。なんか一気に視線が高くなって新鮮な感じ。

坂道の上は十字路になっていて、これを左に曲がって突き当りまで進むと霧多布岬があります。岬までの道中には広いススキ野があり、ここだけ見ると季節は完全に秋ですね。

さっきまで暑いと思っていた気温は徐々に涼しく感じられるほどに落ち着き、立ち止まるとちょうどいい風が頬を撫でていく。今日という日が終わろうとしている前に岬に到達できて何よりだ。

霧多布岬駐車場

そのまま半島の上を滑るように走っていき、霧多布岬駐車場に到着しました。ここ先の岬までの区間は遊歩道が整備されているので徒歩移動となります。

クライマックスに向けて歩いていく前に、霧多布岬について説明。

霧多布岬(きりたっぷみさき)は正式名称を湯沸岬(とうふつみさき)といい、霧多布半島の東端に位置する岬です。太平洋に突き出ていることから周辺は波が激しいものの、ときには近くに野生のラッコが出没することもあるというロマンある場所。その名が示す通りに5月~夏頃までは霧が発生しやすく、その影響で視界が悪くなる場合もあります。夏場に訪問する場合は霧が晴れるのを待つくらいの余裕を持つといいかも。

納沙布岬に引き続いて自分が霧多布岬を訪問した理由は「端っこの方の景色が好きだから」というシンプルなもの。半島しかり岬しかり、こういう端に位置する場所を訪問するのが自分は好きだ。

遊歩道を歩いて霧多布岬へ

それでは遊歩道を歩いて霧多布岬へGO。

駐車場から少し歩くと「厚岸霧多布昆布森国定公園 霧多布岬」の碑があって、ここが国定公園であることを示すものです。碑の奥の柵の向こう側には草原が広がり、季節によっては一面の花畑が楽しめるみたい。

ふと振り返ってみると、霧多布半島の北側の断崖絶壁が目に入ってきました。

海面までの距離は50mほどもあって、それが手前から奥までずっと続いている様子が実にダイナミック。先ほど書いた通りに、半島全体が台地になっているのがこの写真だと分かりやすいと思います。

最初の目的地の納沙布岬や北方領土もそうだったけど、北海道の岬や島って割りと平坦な地形が多い気がする。北海道特有の何か理由があるのだろうか。

その先にあるのが湯沸岬灯台という灯台です。海に囲まれた島国の日本では岬や島に建つ灯台は欠かすことができない存在であって、それはここ霧多布岬でも同じ。

一般的な灯台は全体的に白い色をしているのに対して、湯沸岬灯台は2階部分が目が覚めるような赤色をしていました。これによって遠くからでも視認性がよく、しかも今日の空はどこまでも抜けていきそうになるくらいの青空。灯台の景観を楽しむにあたってこれ以上のシチュエーションはないだろう。

遊歩道は灯台を回り込むようにして先へと続いています。この辺りの地形は以前訪問した積丹半島に似ているように思えました。

正真正銘の霧多布岬の先端
奥の岩には海鳥がたくさん

遊歩道は次第に下り坂へと変わり、しばらく歩いていくとついに霧多布岬に到達。

半島の突端に存在している人工物は簡素な遊歩道のみで、あとは360°すべてが自然の産物。ここに佇んでいると人間が発する音は何も聞こえず、ただ波の押し寄せる音のみが響いてくる。岬から岬へと走ってきた一日を終えるには最高の場所だ。

最初は高台にいたのが徐々に標高を下げていき、岬の先端に至る頃には海への距離がそこそこ近くなっているのも良いですね。まるでそのまま海に吸い込まれていきそうなほどに魅力的な空気で溢れている。海ってとにかく広すぎてスケール感がたまにバグりそうになりますが、手前の陸地に立っているとその途方もなさが実感しやすいです。

北太平洋シーサイドラインが見える

「終点」まで到達したので引き返して海の向こう側を眺めていると、さっき強風の中を走った北太平洋シーサイドラインの道筋が見えました。こうして遠くからだと起伏の多さが分かりやすい。

思うに、ただ単に道を走っているだけでは自分がどんな地形の上にいるのか、立地的な特徴は何なのかの全容を掴みにくい。ちょっと視点を変えてその道を遠くから見ることができれば、景色を別の角度から楽しめると思っています。

今回の場合でいうと北太平洋シーサイドラインは海岸線をずっと通る道で、今こうして対岸から俯瞰することによって全体のスケール感をより深く理解できた。もちろんこういうのができるかどうかは行程によるものの、予定しない形で体験できるとなおさら嬉しいです。

で、そろそろ帰路につこうかと思っていたタイミングで観光客の皆さんが色めき立っていることに気がつく。聞けばなんと野生のラッコが泳いでいるとのことで、早速自分も見に行くことに。

最大限ズームした状態
2頭のラッコが泳いでいる光景に出くわすという奇跡

!!!

いた!ラッコいた!!

あまりに遠かったのでうまく写真を撮れなかったものの、確かに眼下には2頭のラッコがお腹を見せながらプカプカと泳いでいるのが見える。遊歩道入口の看板にもラッコの存在は示されていた中で、まさか運良く出会えるなんて…。

霧多布岬周辺では最近になってラッコのベビーラッシュが起きているらしく、徐々に生息数が増加しているとのことです。これからも日本の海域で元気に育っていってほしい。

霧多布岬展望台

ラッコを見送った後は霧多布岬の西側にある霧多布岬展望台へ向かい、岬周辺を別角度から眺めてみる。

すでに日が傾き始めてから時間が建っており、もうすぐで浜中町には夜がやってくる。空の割合がとても多いこの場所にいると空模様の変化が如実に感じられ、薄い青色から濃い青色へと変化していくのが分かりました。

この時間になるといつもの旅だったらもう投宿しているので、夕焼けの空を拝む機会はそんなにない。でも季節が移り変わって日が落ちるのが早くなったのと、今日は日帰りライドだということ。これらの要素が組み合わさって今この情景を生んでいる。たまにはこういう行程もいいな。

釧路への帰還

以上で今日行きたかった場所を全部巡ることができたため、道道808号を通って茶内方面へ。内陸部の方はアップダウンが少なくて走りやすかったです。

浜中町はハーゲンダッツの生まれ故郷らしい

浜中町の中心部に到着。

輪行で釧路に帰る前にどこかで夕食にしようと思っていたものの、日曜日ということもあって店はおろかAコープすらも閉まっている状態。結局いつものようにセイコーマートで軽く食べ、茶内駅へ向かうことに。

二度見せざるをえなかった店
茶内駅前ストリート
茶内駅

浜中町は「ルパン三世」の生みの親であるモンキー・パンチ先生の故郷であり、町の至る所にはルパン関連の看板や展示が見られました。自分が駅で輪行準備をしている最中にもファンと思われる方々が写真を撮りにきたりしていて、長く愛され続けている作品だと分かります。

そんなこんなで、最後は予定通りの電車に乗って釧路へ帰還しました。納沙布岬から霧多布岬までの道中では一体どうなるかと心配したものの、無事に帰ってくることができて何より。臨機応援に対応するのにも限度がある中で、常に何かしらの制限時間に間に合うように行動できるようにしておきたい。

今回の北海道旅も、気がつけばもう終盤。Part 3へ続きます。


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