TAMAISM

旅の記録、宿泊先や行程とか

【小伊津集落~木次】山陰の集落を巡る、皐月の出雲路ライド Part 1/2

お知らせ 2021.5.26に、当サイトのURLをwwwが付かないネイキッドドメイン形式(https://tamaism.com)に変更しました。しかし、検索結果にはwww有りのURLが未だに表示されるようで、そちらにアクセスしても404エラーが出て閲覧できません。
Google Search Consoleや内部リンクの修正はしたので、少しずつ検索に反映されるはずです。申し訳ございません。

山陰を走る

今回は島根県を走ってきました。

個人的に、島根県は西日本の中でも特にお気に入りの県になっています。ロードバイクで回るのにも適しているし、なんといっても自分が好きな風景、中でも鄙びた町並みが随所に散らばっているのがその理由の一つ。世俗から隔離されたようにひっそりと佇む温泉街も多く、今後も訪れる機会は多いと思います。

西日本の中でも比較的発展している山陽地方に対し、日本海に面した山陰側は良い意味で古い景色がそのまま残されている。そういう場所を巡るのが自分としては、山陰地方の天気がいいとなれば訪れない理由はない。

今回は今まで訪れたことのある地域をあえて外し、ロードバイクで回ってみたら面白そうなところを中心にあれこれ走ってきました。簡単に言うと、1泊2日の行程の中で1日目は主に日本海に面したところ、2日目は思いっきり山間部に舵を切った行程にしています。

社会人の週末ということであまり時間がとれませんが、それでも、旅をするのであれば可能な限り満足の行く行程にしたいというのは誰もが思っていること。時間の使い方は大事にしていきたい。

f:id:offtama:20210527175104j:plain

f:id:offtama:20210527175108j:plain

この日は雨から晴れになるタイミングが読みにくく、結局宍道湖のほとりからスタートとなりました。

しかも午前中はがっつり雨が降っていたのでそもそも屋外に出ることができず、晴れ間がやっと見えてきてからの出発。今日泊まることになる宿までの時間もあるので、予定していた散策ポイントを一部切り上げて回ることにしました。実は風も強くて、宍道湖の湖面が海みたいに波打っているのを横目に見ながら移動してました。

周りに遮るものがないのでこういうときはなかなか辛い。やっと宍道湖から日本海側に出たと思ったら今度はアップダウン地獄で、斜度もかなりあって足を削られる始末。二週間ぶりに運動したので仕方ないとはいえ、やはり何らかの形で運動を続けておかないと今回みたいなタイミングで地獄を見る羽目になります。

f:id:offtama:20210527175112j:plain
小伊津集落

f:id:offtama:20210527175117j:plain
高低差を生かした町並みがたまらない

f:id:offtama:20210527175131j:plain

そんなことを考えながら到着したのが、日本海に面した山の斜面に形成された小伊津集落です。

島根県は言うまでもなく日本海に面した県ですが、その海岸線のどれもが平坦というわけではありません。単純に海へ向かってなだらかな地形になっているところばかりではなく、特に宍道湖の北側は島根半島という山脈がそびえています。その山脈のすぐ北側が海になっているために、集落としてはめちゃくちゃ急な斜面にへばりつくように形成されているのがここ周辺の町並みの特徴かなと思います。

隣の町へ行くにも海岸線を伝っていくことができず、山脈の峠を超えていかなければ到達できない。さながら陸の孤島ともいえるような僻地なわけですが、その影響で唯一無二の景観がここには広がっていました。

f:id:offtama:20210527175122j:plain
ここに来ることが目的の一つでした

f:id:offtama:20210527175127j:plain
県道23号線の斜度がかなりエグい

f:id:offtama:20210527175136j:plain

小伊津集落は海に隣接している漁港を中心に栄えており、徐々に山側へ向かうにつれて建物の立地も厳しくなってきます。わずかな敷地を最大限に活用するために家屋に庭はなく、3階建ての家も珍しくありません。

家と家とが極限まで密接していて、まるで寄り添うかのように街全体がこじんまりとまとまっている様は非常に見ごたえがありました。町というのは一つの共同体という意味だけど、ここまで一体感が強調されている様子はなかなか拝めるものではない。県道に面した高台からはそんな集落が一望できて、いつまでもここから眺めていたくなってくる。

f:id:offtama:20210527175141j:plain

f:id:offtama:20210527175146j:plain

f:id:offtama:20210527175150j:plain

f:id:offtama:20210527175154j:plain

さて、ここから先の散策ではロードバイクの機動力が実に活躍してくれた。

県道23号から集落へ続く道は完全に車一台分しかなく、観光的な意味で車を走らせるのはかなり無謀です。集落内のカーブも急だし、そもそも道によっては車は通れないという道も多い。かといって車を降りて徒歩で散策をするにも、車の置き場所だったりを気にしないといけないので難しい面があります。

そんな中で、ロードバイクは非常に頼りになる存在となる。斜度に目をつぶれば比較的どんな道でも走れる上に、「押し歩きができる」というのがいいですよね。狭い道でも歩きに切り替えることができて、たまに広い平地が現れれば乗って走ればいい。下り坂なら放っておいても前に進むから体力的にも楽だ。

完全に人力はちょっと体力的に無理、という場合でも、最近よく見かけるEバイクだと電動でアシストしてくれるので、散策も捗るんじゃないかなと思います。旅のお供に自転車というのは、結構アリなんじゃないかと思ってならない。

f:id:offtama:20210527175200j:plain

f:id:offtama:20210527175205j:plain

f:id:offtama:20210527175209j:plain

海まで下ってくると、この漁村の生活の様子がよく伝わってくる。

漁港の事務所には人が詰めていて、今まさに漁をしているであろう漁船の帰りを待っているのかもしれない。山側を振り返ってみれば、すぐそこの家では戸が開けっ放しになっていて、中では何か作業をしている。立地が立地なので主な産業としては漁業ということになると思いますが、「町全体が海とともにある」ということが、誰に言われるともなく感じられた。

これだけの複雑な地形の中で、ここには確かに人の営みがある。自分の旅の目的がまさにそれを見るためであることを考えると、いきなり初っ端の訪問地でこの風景を見ることができて感無量というほかないです。

f:id:offtama:20210527175214j:plain

f:id:offtama:20210527175219j:plain

最後は、集落の上部に位置する神社で涼んでから町並みを後にしました。

木次の町を目指す

小伊津集落を離れ、時間的にもう一箇所くらいは散策してから今日の宿泊地に向かおうかなと考えていたものの、あまり余裕がないのでこのまま宿に直行することに。

この日に泊まることになる天野館での散策もしっかりやりたいし、日が落ちて暗くなってから到着するのは避けたいところ。まあ、今回は午前中の雨が長引いたということで、回る予定だったところは次回に繰り越し。でも、これも悪い意味でとらえる必要はまったくなくて、むしろ次の楽しみが増えたと考えています。

一度の旅で、隅から隅まで巡る必要はない。あまり先送りにしていると、将来的には見れなくなる風景も出てくる懸念も一応ある。でも、特に焦って散策するのはまた違うんじゃないかなと思っていて。

f:id:offtama:20210527175224j:plain

f:id:offtama:20210527175228j:plain

f:id:offtama:20210527175232j:plain

で、宍道湖の河口から、そこに流れ込む斐伊川の上流に向かってロードバイクを走らせる。目指す木次の町はこの先だ。

この辺りも風がアホみたいに強くて、日本で風が強いのは春だけじゃなかったのか…と絶望しながら走ってました。風速5メートル以上になるともうやる気が出ない。

f:id:offtama:20210527175235j:plain

f:id:offtama:20210527175239j:plain

f:id:offtama:20210527175244j:plain
まさに今自分が島根を走っているという実感

f:id:offtama:20210527175248j:plain

斐伊川のほとりを走る県道26号を逆上っていくにつれて、徐々に視界に入ってくる景色が平野から山に切り替わってくる。

思えば、スタートは完全に山の中だったのが、そこから海→山→平野ときてまた山になっていく。島根県は比較的狭い地域内で地形が次々と変化していくのが面白くて、それはつまり文化的な切り替わりポイントが多いということ。平野部は人が住みやすいので家屋や田園が多いし、逆に山側に行けばそれと真逆で、町というよりは集落という風な家々の集まりがぽつぽつと出現してくる。

こういうのが実に好き。

同じ距離を走るにしても、まるっきり同じような風景が連続していくのと、そうでないのとでは受ける印象が全く異なってくる。単に長距離を走るだけのライドならそれでいいかもしれないけど、自分がやっているのは「旅」であって、ライド全振りではない。なので、これほど魅力的な風景に多く出会うことができるのは願ったり叶ったりだ。

で、島根県といえば石州瓦が有名です。

視界の端を流れていく家屋の屋根はどれも独特の赤褐色で彩られており、5月に入って芽吹いてきた新緑や、水を張って田植えをしている田園風景と非常に相性がいい。旅をしながら季節の移り変わりを感じられるだけも楽しいのに、どこか日本の原風景のような、静かに佇んでいる光景が味わえるとなれば風の強さなんて気にしていられない。自然とペダルにかかる力も増してくるというものだ。

木次へ

その後は次第に標高を上げつつ、お、なんか近代的な建物が多くなってきたなと思ったら木次に到着してました。

f:id:offtama:20210527175254j:plain

f:id:offtama:20210527175259j:plain

f:id:offtama:20210527175303j:plain

f:id:offtama:20210527175308j:plain
木次の町並み

木次は雲南市に中心部に位置していて、近くを高速道路が走っていたり、木次線という電車が走っていたりと栄えているところです。

木次線といえば「奥出雲おろち号」というトロッコ列車が走っていることで有名なのですが、最近のニュースによると車両の老朽化によって2023年度で終了する方向で話が進んでいるらしいです。というか木次線自体が本数が少ないので、三江線みたいに廃止にならないだろうかとちょっと心配。

今回の行程でも気分次第では輪行で木次線に乗ろうかと考えていたものの、時刻表を見て諦めました。普通にロードバイクで走ったほうが早いです。

さて、木次に到着した勢いのままに、今日泊まる天野館にチェックインしました。宿泊記録については別記事でまとめています。

チェックインをしたらもう買い出し以外で天野館から出るつもりはなかったのですが、ご主人から近くの河川敷がいいところだという情報をいただいたので、ちょっと向かってみることにしました。

f:id:offtama:20210527175312j:plain
まさかの沈下橋登場

f:id:offtama:20210527175316j:plain

f:id:offtama:20210527175324j:plain

f:id:offtama:20210527175329j:plain
桜並木。春にはここが桜の花びらでいっぱいになる。

f:id:offtama:20210527175334j:plain
すでに葉桜になっているが、余韻を楽しんだ

いいねえ…。

旅先で味わう旅情というか、その町独特の空気で溢れている。

この河川敷は地域の方の散歩スポット等になっているようで、犬の散歩をしている人や、家族で遊びに来ている人たちも見かけました。町には憩いの場というものがあるもので、この木次にとってはここがそのうちのひとつ。すでに日も落ちかかっている時間帯で、それを静かに眺めながら座っているとなんともいえない思いになります。

f:id:offtama:20210527175338j:plain
木次駅前

f:id:offtama:20210527175343j:plain
天野館へ戻る

ひとしきり孤独感を味わった後、買い出しを済ませて天野館に帰還。

その土地にしかない風景や町並み、それらは人の生活と密接に関わっていて、人の生活とともに存在してきたもの。この日は町の成り立ちについて色々考えてみながら走ってきて、そして明治時代から続く旅館に泊まっている。自分が好きな旅の仕方が実行できていると思うし、これからも多分こういう旅しかしないと思う。

そんなわけで、行程としては短いですが良い一日になりました。

Part 2へ続く。