TAMAISM

旅の記録、宿泊先や行程とか

四万温泉 積善館本館 元禄七年創業の温泉旅館に泊まってきた Part 1/2

異世界のような旅館

今回は、まるで千と千尋の世界に登場するような古い旅館に泊まってきました。

群馬県にある四万温泉 積善館は昭和29年(1954年)に青森県の酸ヶ湯温泉、栃木県の日光湯元温泉と共に国民保養温泉地の第1号に指定されているほど有名な温泉旅館で、今も多くの人に愛されています。

国民保養温泉地に選ばれるということはつまり、

  • 温泉の効能が顕著
  • 湧出量が豊富
  • 付近の景観が優れ、環境がよいこと

といった部分が優れており、温泉そのものに加えて景観の良さが評価された温泉地ということ。そういった背景から、温泉で療養するのが目的の際にはまさに最適なところです。

四万温泉 積善館(せきぜんかん)【公式】|群馬県の温泉旅館

それだけでも十二分に魅力あふれるところなのですが、自分の場合は積善館の本館が日本最古の木造湯宿建築という点について以前から特に興味があり、今回の投宿に至りました。宿泊プランや温泉の詳細については上記の公式サイトに詳しく載っているので、宿泊の際には一度確認してみるのがおすすめです。

なお、積善館には四万川から近い順に本館(湯治棟)、山荘(旅館棟)、佳松亭(旅館棟)という3つの建物があり、今回宿泊したのは本館です。これらはエレベータや通路で繋がっているため、内部で行き来することができます。

本館は昔ながらの湯治場の雰囲気を楽しむことをコンセプトにされているようで、布団の上げ下ろしをセルフサービスでやるなど、最低限のサービスに留めているのもポイントの一つ。湯治といえば自分でなんでもやるのが主流だし、そういうのが好きな人にとっては本館がよさげ。

ちなみに、本館における客室は「本館」と「壱番館」に分かれていて、今回宿泊したのは本館の方です。この辺りの詳細も公式サイトに載っています。

f:id:offtama:20210803200920j:plain
夏の空

積善館へ向かう道中の道ではあまりにも夏っぽい景色が見れたので、せっかくなので写真を撮りました。

ここまで明確に積乱雲が形よく見れるのは、シーズン中でもかなり珍しい気がする。この日の投宿を歓迎してくれているかのような天気で幸先がいいな。

f:id:offtama:20210803201247j:plain
佳松亭の入り口

f:id:offtama:20210803201242j:plain
館内を歩いていく道中では山荘の屋根が見える

で、車で積善館に到着した場合はまず佳松亭の駐車場に車を置き、そこから佳松亭→山荘→本館の順に館内を歩いて本館の帳場で受付を行いました。ちょうど今は本館の駐車場で工事を行っているらしく、変則的にこのような形でのチェックインとなりました。※6月28日~9月30日の期間は本館の駐車場は利用できないようです。

そして、無事に受付を済ませたら後はもう完全に自由。さっきも書いたけど本館はセルフサービスなので、泊まる部屋へは自分たちだけで向かうことになるし、指定されているのは食事の時間だけなので何をするにもフリーダムです。

というわけで、積善館本館での一夜が始まりました。まずは外観から確認していきます。

f:id:offtama:20210803201039j:plain
積善館本館の入り口。四万川にかかる朱い橋の向こうに建物が見えるのが素敵すぎる。

f:id:offtama:20210803201159j:plain
右側の建物の1階部分に「元禄の湯」がある

f:id:offtama:20210803201204j:plain
向かって左側が本館の客室

積善館の外観の最大の特徴は、やはりこの「橋の向こうに建物が見える」風景。

四万川の上にかかっている朱い橋の奥に本館の建物が現れてくる風景は、ここから先が文字通り別世界であるかのような印象を受けます。というか「川」という時点でこちら側と向こう側を隔てているような気がするし、そこを渡って本館に入るというのがもう良すぎる。

f:id:offtama:20210803200947j:plain

橋を渡ってすぐ右に建っている一際古い見た目の建物は、昔は従業員の寮として利用されていたものですが、今では特に使われていないようです。

説明書きによれば本館の建築年代は少なくとも1800年より前らしく、多少は姿が変わっているものの建物自体は現在でも残っています。そこに宿泊できるというのだから興奮するのも無理はない。

f:id:offtama:20210803201057j:plain
四万温泉街から積善館方面へ向かう曲がり角

f:id:offtama:20210803201044j:plain
茶屋「薬膳や向新」

f:id:offtama:20210803201101j:plain
緑が多い

f:id:offtama:20210803201106j:plain
曲がり角から橋とは反対方向を見る。他の温泉宿の建物が並んでいる

橋の手前右側にある建物は茶屋「薬膳や向新」といって、主に薬膳料理を提供するお店です。

昔はこちらも旅館の建物として使われていたそうで、今ではお店(兼、従業員の寮)として生まれ変わったもの。旅館に早めに到着した場合は、こちらでゆっくりするのもいいかもしれません。

f:id:offtama:20210803201142j:plain
橋の上から見た四万川の上流側の流れ。向こうに見える古い橋は従業員が行き来に使っているが、一般客は通行不可。

f:id:offtama:20210803201150j:plain
橋の上から見た四万川の下流側の流れ

f:id:offtama:20210803201146j:plain

f:id:offtama:20210803201052j:plain

f:id:offtama:20210803201111j:plain
2つの橋をセットで

まだ橋すら渡っていないというのに、そこから見える景色に感動してしまって全く前に進まない。川と木造旅館というだけでも相性がいいのに、そこに映えるような色の橋が加わることによって景観にアクセントを生んでいる。他の旅館の宿泊客もこの景色を見にたくさん訪れていたし、四万温泉といえばこの眺め、というイメージが強いです。

で、橋の上から景色を眺めていて気づいたことが一つ。

橋は何も一つだけではなく、もう一つありました。朱い橋の上流側にはもうひとつ屋根付きの木造橋があって、こちらは従業員専用の橋のようです。

川の両岸に背の高い木造旅館が建っていて、そこを繋ぐこれまた木造の橋。建物には蔦が生い茂っていて年代を感じさせつつ、それを絶妙なアングルで見ることができる。どこを切り取っても絵になる眺めだ。

f:id:offtama:20210803201116j:plain
本館の建物。正面から右側は外から見ても年代が古いことがわかる(従業員の寮になっている)

f:id:offtama:20210803201208j:plain
本館正面玄関

f:id:offtama:20210803201121j:plain
正面玄関前から元禄の湯方面を見る。やはり木造3階建てのインパクトは大きい。

f:id:offtama:20210803201134j:plain

f:id:offtama:20210803201130j:plain
玄関前から向かって左側は、1階から3階まで客室になっている。

そのまま橋を渡り、積善館本館へと(やっと)到着。

見上げるような高さの建物は木造3階建てで、その迫力を表すのに言葉は不要。特に玄関前の広場から見ると、背後の橋以外の3方向を取り囲むように建物がそびえています。

その建物群の年代は、さっき橋の上からチラ見した通り微妙に異なっているのがいいですね。同じ年代の建物がズラッと並んでいるのもいいけど、玄関から見て正面と右側の建物は古め、左側の客室部分はサッシがあったりと比較的新しめ。右側についても1階部分は温泉なのでそれ相応の壁になっているし、そこから上は完全に木造です。

時代を経るにつれて改装されたところもあり、建物の所々に積善館の歴史を感じられるのが個人的にはグッときました。

f:id:offtama:20210803201035j:plain
客室部分の1階には本館駐車場へ繋がる道がある。今は工事期間中なので通行不可。

なお、本館駐車場はちょうど客室部分の裏手にあるようです。

実は、当初は工事中なことを知らずにナビに従って車のまま玄関前の広場まで来てしまい、係の方のお話に従って佳松亭まで向かうことになりました。このわずかなスペースで切り返しをするのはなかなか難儀で(しかも後続車来てるし)、結構怖い思いをしたのは秘密。でも、同じように広場前まで来ている車は結構いました。

f:id:offtama:20210803201125j:plain

また、正面玄関の左横には2階へ通じる木製の外階段がありました。

こちらも橋同様に従業員専用のようで、2階にも階段へ繋がるような通路はなかったです。

本館の客室へ

外観の確認はこれくらいにして、玄関から中に入って今日泊まる部屋へと向かいました。

f:id:offtama:20210803201216j:plain
本館玄関。正面が2階への階段で、右奥が帳場。昔使われていた電話室も残っている。

f:id:offtama:20210803201221j:plain

f:id:offtama:20210803201212j:plain
玄関入って左方向に進むと資料室や壱番館の客室、元禄の湯がある

f:id:offtama:20210803201013j:plain
帳場横には温泉の案内があります

f:id:offtama:20210803201009j:plain
昔の宿泊料や絵の展示

f:id:offtama:20210803201225j:plain
元禄の湯の前。左奥が玄関前の広場。

ここで驚いたのが、館内は基本的に土足のまま歩いてよいこと。

客室入ってすぐのところで履き物を履き替える形になっており、玄関から帳場での受付、それに部屋への移動は滞りなく行うことができます。旅館で土足OKというのはなかなかお目にかかったことがないので、これも経営方針によるものでしょうか。

玄関内部の床は石畳になっていて足裏の感触がよく、そのまま旅館の木の床にダイレクトで移行するので気持ちよさが持続する感じ。冬場とかだと靴を履き替えるだけでも寒さを感じるだろうし、この取組みはありがたい。

f:id:offtama:20210803201018j:plain
2階へ

f:id:offtama:20210803201005j:plain
今回泊まった「桐の間」へは一度2階へ上がり、また1階へ下る必要がある

f:id:offtama:20210803201001j:plain

f:id:offtama:20210803200924j:plain
桐の間の様子

f:id:offtama:20210803200929j:plain

f:id:offtama:20210803200956j:plain

さて、今回泊まったのは本館1階にある「桐の間」というところで、場所的には先ほど外から見た客室部分の1階にあたります。

この部屋に行くには玄関から階段で2階へ上がった後、再度階段を下って1階へ行く必要がありました。この階段以外で館内からこの部屋に行くことはできず、また、1階にある本館の客室はここだけ(壱番館除く)という独立した部屋になっています。というか、他の客室が番号で分けられているのに対し、この桐の間だけ名前付きなんですよね。一体どういうことなのか。

設備としてはテレビや冷蔵庫、金庫や洗面所があるほか、ポットももちろんあります。ですが、この桐の間の最大の特徴はその立地にありました。

f:id:offtama:20210803200933j:plain

f:id:offtama:20210803200951j:plain

f:id:offtama:20210803200943j:plain
5秒くらいで外に出られます

なんと客室に別途玄関が設けられており、そこで履き物を履き替えれば部屋から5秒くらいで屋外へ出ることが可能。つまり正面玄関まで戻る必要がなく、直に外へ出かけることができるんです。

これがもう本当に便利で、特に夜景を撮影しに行くときに重宝しました。

前にも書きましたが、積善館の橋は四万温泉で最大の撮影スポットといっても過言ではありません。他の宿の宿泊料も含めて人がひっきりなしに往来していて、なかなか自分たちが撮影するタイミングを掴みづらいです。しかもこの日は旅館に到着したと同時に大雨が降ってきて、それ移行も断続的に降ってくるという天候。正面玄関周辺でずっと待機するのは面倒ですし、もうこの部屋をあてがってくれた積善館の方に感謝してもしきれない。本当にありがとうございました。

予約の際にはこちらの人数が2人なので「本館 2名までご宿泊できるお部屋」で予約したまでで、当然ながらどの部屋に泊まるかなんて当日まで知らない。蓋を開けてみればこれほど素敵な部屋(2人とも写真撮るタイプだったので尚更)だったのは運がいい。

f:id:offtama:20210803201229j:plain
正面玄関前から桐の間を見る

そういえば外観を眺めているときに、なんか1階にも別に玄関があるなーとは思ってましたが…まさかここに泊まることになるとは。

f:id:offtama:20210803200938j:plain
桐の間は四万川に面していて、川の音がよく聞こえます。

f:id:offtama:20210803201234j:plain
広縁からの眺め

f:id:offtama:20210803201238j:plain
朱い橋をこのアングルで眺められるのは、本館に宿泊した人の特権。

あとは、四万川沿いにある部屋なので単純に眺めがいいことですかね。

四万川まではそこそこ高低差があるので迫力もあって、たぶん本館の客室の中では朱い橋に一番近いんじゃないか?ってくらいに間近で橋を見られるのも好きなポイント。逆に言うと本館に宿泊しないとこの景色は見れないわけで、景色的な意味でも本館はいいところです。

f:id:offtama:20210803201022j:plain
部屋にあった案内は、絵といいフォントといい非常に見やすいです。

f:id:offtama:20210803201026j:plain

f:id:offtama:20210803201031j:plain

その後は部屋に戻ってお茶を飲み、温泉の案内などをめくりつつ予定を決めました。

早い時間にチェックインしたのでまだ時間にはかなり余裕があります。2人とも散策が好きということでまずは各自で館内を散策し、その後は合流して温泉に入りに行くという行程にしました。

こういうのがあるので、旅館に着くのはできるだけ早いほうがいいと思ってます。割と遅い時間に着いてしまうとすぐに夕食の時間になってしまうし、外も暗くなってしまって散策どころではありません。今回はチェックイン開始時間(14時)と同時に旅館に到着するように時間を調整したので、これがうまくハマってくれました。

というわけで、Part 2は館内散策から始まります。