今回は、茨城県北茨城市の平潟港沿いにある砥上屋旅館に泊まってきました。
砥上屋旅館の創業は明治40年(1907年)で、建物自体についても120年ほど経っているという長い歴史があります。過去には有名な横山大観や、著名な小説家も泊まりに来たとのこと。
最も大きな特徴は木造3階建てという自分が好きな建物構造にあり、しかもなんと現在でも3階に宿泊できるというから興奮するのも無理はない。
旅館は太平洋沿岸部、茨城県と福島県のほぼ県境にある平潟港のほとりに位置していて、すぐ近くの国道6号を少し北へ進むだけでもう福島県でした。すぐそばに漁港があることから海の幸が有名で、冬の時期は茨城県の名物であるあんこう鍋を堪能することもできます。
また平潟港周辺は平潟港温泉という温泉地帯になっており、砥上屋旅館もそのうちの一軒。つまり冬の時期は温泉×鍋という黄金パターンを形成することができるというわけで、あんこう鍋のシーズンが終わる前にささっと泊まってきました。
なお、砥上屋旅館は現在では1日1組(週末は2組)方式を採用されているので、滞在中は静かに過ごせると思います。
外観
まずは外観から。
茨城県の太平洋側を南北に縦断する国道6号から道を一本入り、海沿いへと下っていった先が平潟港です。砥上屋旅館はその平潟港を真正面に見据える場所に建っていて、遠目からでもよく分かりました。
平潟港周辺で一際古い建物で、しかも木造3階建てという稀有な構造は存在感が突出している。表通りから見える部分は重厚長大などっしり感があって、壁の色は黒くなっています。
自分がこの砥上屋旅館を見て最初に思ったこととしては、この土地に根付いたような強固さがあるということ。
木道3階建て建物は幅や高さが大きく、これならどんな災害にも耐えてくれそうな頼もしさがある。現に東日本大震災のときには旅館周辺にも地震被害があったものの、砥上屋旅館は被災を免れています(津波については建物の寸前で収まったとのこと)。
2階及び3階には雨戸用の戸袋が設けられており、ガラス戸を通して部屋内部の障子戸が見えていました。現代の建物はこんな風に表通りから中が見えるようにはなっていないだけに、古い建物ということがよく理解できる。
いずれの階にも転落防止用の欄干が備え付けられているようで、2階の障子戸は一般的なものなのに対し、3階の障子戸は部屋の中から外の景色が見えるように一部がガラス製になっています。
旅館周辺からは海へとすぐに向かうことができ、海の近くには神社やお堂もあったりします。
旅館の裏手側に繋がる坂道がすぐ近くにあり、ここを上ると3階部分の裏側が見えました。ただし旅館の背後や側面には別の高い建物がそびえているので、展望があるのはあくまで海側のみのようです。
旅館正面に戻り、改めて玄関前から上を見上げてみる。
さっきは海に面した側がガラス戸になっていると書きましたが、近くでみるとなおさら見通しがいいことが分かります。旅館の全てが隠すことなくすべてさらけ出されているような感じで、ここまで建物内部がよく見えるのは珍しい。
茨城県を代表する冬の味覚といえば高級魚・あんこうであって、今更ここで説明する必要はないレベル。
玄関の左側にはあんこうの絵が掲げられており、何も言われなくてもここであんこうが食べられるということが分かりました。こういうシンプルな看板はいいですね。
館内散策
玄関~1階
次は早速館内へ。
砥上屋旅館の構造をざっくり説明すると、以下の通りです。
- 1階:玄関や厨房、居間がある。
- 2階:男女別のトイレと男湯がある。海側の客室を食事場所に割り当てている。
- 3階:客室フロア。ウォシュレット付きのトイレあり。建物奥側にも客室があって、それ以外は物置になっている。
現在では宿泊客が泊まることができるのは3階のみで、3階に2部屋あるうちのどちらかになるみたいです。2階の客室も一応稼働状態にはあるものの、宿泊用ではなく食事会場として使用されていました。あと、2階には客室のほかに温泉があります。
トイレについては2階と3階にそれぞれあるので、トイレを使うために2階に降りる必要はありません。
玄関の様子。
玄関を上がってすぐ左側に厨房が、右側に小部屋があります。短めの廊下を歩いていくと正面に居間があり、ご主人や女将さんは普段こちらにいらっしゃるようでした。
玄関土間の左側には靴箱に加えて、幟や提灯など多くのものが置かれています。
1階には特に共用の施設がないので、客は基本的に1階を素通りする形になります。玄関から階段までの距離はとても近く、客の動線としては非常に分かりやすい。
階段の右側には女湯と書かれた浴場への入口があったものの、こちらは現在使われているのかは不明です。今回使ったのは2階にある男湯の方で、単に自分一人だけだったから女湯は稼働しなかっただけかも。
階段については、黒光りしていないところがないくらいに経年によって磨き上げられていました。
木造の建物は古ければ古いほど味が出てくるものだと思っていて、玄関の廊下やこの階段もまた昔からずっと使われ続けているもの。自分も階段の上を歩いた無数の宿泊客の一人になると思うと、なんか嬉しくなります。
2階 廊下
続いては2階へ。
2階以上の階の廊下と客室の配置について説明すると、建物の向かって右側と、それから玄関に対して垂直方向に廊下が通っています。建物の中央付近でそれらが交わっていて、例えるならL字に廊下が走っている形です。
海側の展望を良くしようとすると、海に面した外周部分に廊下を通せない(廊下ではなく客室を海に面するようにする)ことになる。なので廊下が建物真ん中にあるのは予め分かっていて、それに接続する廊下は右側サイドに面していました。
階段を上がると正面に温泉があり、これは旅館の外観を確認したときに見た建物の左端に相当します(「砥上屋」の看板より左側の部分)。温泉の真下に位置する1階部分と同じく、ここは3階建ての大枠よりもはみ出しているので後から増築されたようです。
廊下はちょうど振り返った背後側に続き、廊下の左右に客室が配置されているという形。2階の廊下の板はそのまま1階の天井部分に相当するらしく、これは階段を上がりきったくらいのところから眺めてみるとよく分かりました。
客室への襖戸については一般的な白色ではなく、はっと目が覚めるような赤色。赤色の襖戸ってなんか珍しい気がする。
階段上から右側の壁には、花?葉?の形をあしらった窓があります。
砥上屋旅館の中にはこのような窓がいくつか存在しており、これも個人的には珍しく感じました。この向こう側は客室のようですが、物置になっているので詳細は不明です。
途中にある食事会場を通り過ぎ、3階に上がるために廊下を進んでいくと左側へ曲がる箇所がありました。先程書いたL字の廊下というのがここのことを指していて、曲がった先が建物の右側に相当しています。
曲がり角には本棚があるので、滞在中は本棚の本を読んでみるのもいいかもしれません。
建物の右側の廊下へと移ってきた先には、2階と3階を繋ぐ階段があります。
階段は1階のものとは異なり、背面に板がないシンプルな形状。しかも手前側と奥側の2箇所あって、なぜ2箇所あるのかは最初はよく分かりませんでしたが、奥側については3階の山側(建物奥側)に泊まっている人が2階のトイレに行きたくなった場合に降りやすいようにと、利便性を考えて造られたと予想します。
あとちょっと気になったのが、手前側の階段の下の廊下に穴が空いているということ。
今でこそゴザで塞がれているものの、手すりの配置などからここに1階への階段があったことは明白。なので当初は1階から3階までこの階段で上り下りができたところを、何らかの理由で塞いだ、もしくは1階居間横の階段を後から増設したものと考えられます。
これまで歩いてきた通り、1階⇔2階と2階⇔3階への移動は、現在ではそれぞれ別々の場所にある階段を使用する形。動線を変更した詳細は不明だけど、妄想として自分であれこれ考えてみるのは面白い。
手前側の階段を通り過ぎ、さらに奥へと進むと洗面所と男女別のトイレがあります。
2つの階段の間には客室への入口がありましたが、いずれも物置になっているようでした。
洗面所の様子はこんな感じで、洗い場が2箇所あるので3階の洗面所と比べると広いです。
洗面所の前(3階への階段下)からは3階の様子をある程度確認することができて、3階の天井には明り取り用の窓が空いているのが見えました。
建物の外周部分に面しているような廊下ではなく、建物の内側に通っている廊下だと採光をどうするかという問題が生じます。外周だったら側面の窓からいくらでも自然光が入ってくるけど、窓の大きさや配置に制限がある建物内側だとそうはいかない。少しでも採光箇所を増やすために、天井に窓を設けているようです。
2階 食事場所
階段を上がってからの廊下の右側、つまり海側には客室が2部屋あって、これらは食事会場として使用されていました。
食事場所の内装は上の写真の通り。
一般的には、テレビや冷蔵庫などがある方の部屋で食事をすることになるようですが、足腰が悪いので椅子のほうがいいという場合はもう一つの部屋を使うことになる様子です。
和風建築といえば、昔から座敷机(座卓)に座布団という組み合わせがオーソドックス。しかし今日の宿泊施設ではこれオンリーというのはなかなか難しくて、楽に座りたいという人のために配慮がなされているのは素晴らしいと感じました。
あと、これらの部屋には建物の外側に欄干が設けられています。しかも欄干の部分は畳の部分から高低差があるような構造で、昔の客はあそこに座って海を眺めていたんだろうか。
3階 廊下
最後は、今回泊まる部屋がある3階です。
階段を上がった先は2階と同じ方向に廊下が伸びており、2階では階段と階段との間に客室への入口があったのが、3階では壁になっています。ただし同じ位置に客室があるのは間違いなくて、単純に部屋に入る入口が2階とは異なるというだけです。
建物奥側へと進んでみると、2階ではトイレがあった位置に別の客室が2部屋ありました。
3階奥側の客室(竹の間と梅の間)の内部。
稼働こそしていないようですが、中は綺麗になっていて今すぐにでも泊まれそうなくらいでした。中では布団を干されていて、なんかレアな場面を見てしまった気分。
建物海側へと戻り、廊下を進んでいくと今回泊まる部屋に到着します。
この廊下の左右は2階と同様に客室が配置されていて、同じく赤色の襖戸になっています。廊下の幅は2階と比較すると細いものの、これは2階の同じ位置には階段があるけど、3階にはないので細くても問題ないからです。
廊下の突き当りには個室のトイレが1箇所あり、ここはウォシュレット付きなので現代人には嬉しい。洗面所も一緒にあるので、宿泊する場合は基本的にここを使えばいいかなと思います。
泊まった部屋と隣の部屋
今回泊まったのは、階段を上がって奥側にある「朝霧の間」です。
広さはなんと10畳もあって、さらに広縁付き。設備としてはエアコン、冷蔵庫、テレビ、ドライヤー、内線、鏡があって、季節を問わずに快適に過ごすことができます。
個人的には、この部屋に泊まれたことが何よりも嬉しかった。
まず木造3階建ての旅館の3階に泊まることができるというのが、現代においては相当にレアなこと。加えて海沿いに位置する旅館ということで、3階という高所からは海への眺めが抜群です。しかもその眺めを単純に部屋から味わうのではなく、広縁という寛ぎスペースから堪能する…。
10畳という一人泊には十分すぎるほどの広さも相まって、何もかもが最高でした。座ってちょっと横を見たら海が見えるなんて至高すぎる。
昔ながらの建物なので天井は比較的低く、広縁部分を除けばかなりシンプルな内装でした。
部屋の右側には床の間のようなスペースもあって、掛け軸や日本人形、あと絵画も展示されています。こじんまりとした座卓も含めて、物が多すぎず少なすぎずのちょうどいい感じの占有率。
実際にこの部屋に入って畳に座ったときには、居心地の良さを全身で感じることができました。自分としても、部屋の広さや物の多さはこれくらいが一番快適なんだと思います。
なんというか、建物としての古さに加えて「宿」として愛されてきた歴史が砥上屋旅館には詰まっている。うまく言葉にはできないけど、客が泊まってきた年月の積み重ねがこの落ち着いた雰囲気だったり、自然と眠くなるような心地よさを生んでいるんだろう。
肝心の広縁からの眺めはこちら。
目の前に広がる平潟港はもちろんのこと、窓から見える範囲に高い建物がないので180°すべてに対して非常に展望が開けていました。しかもこの日は空が落ちてくるような快晴で、雲ひとつない青空が目に眩しい。
天気が良いのなら、日中だけではなく宿に着いてからもそれを実感したいというのは誰もが思うこと。部屋の一面がこれだけダイレクトに外に繋がっていることになって、正直、この眺めを満喫できるだけでも泊まってよかったと思っています。
今自分が泊まっている朝霧の間の隣には8畳の夕凪の間があり、1日1組ではなく2組になる週末においては、こちらにも泊まることができるようです。
というか、まず「朝霧(朝の山で見られる現象)」に対しての「夕凪(夕方の海で見られる現象)」という、複数の要素で対比になっているネーミングセンスが抜群すぎる。
今まで泊まってきたような旅館だと、植物や花の名前が部屋の名前になっていることが多かったのが、ここでは自然現象の名前という着眼点の良さ。さらに現在泊まることができるのはこの2部屋のみなわけで、この名前の付け方には震えました。
夕凪の間は床の間が豪華で、そこに展示されているものの印象からきらびやかな感じを受けます。
設備については差はなく、広縁があるというのも全く同じ。単純に部屋の広さが異なるだけなので、どっちに泊まることになっても満足度は変わらないかと。
ちなみに、これらの部屋の間は壁で封鎖されています。おそらく昔は単純に襖戸で区切られているだけだったのが、プライバシーの観点で後から壁を設けたっぽい。
この後はちょっと外に出て海沿いの風景を見に行き、部屋に戻ってからはふと畳に寝転んでみた。
かなりの交通量を誇る国道に対して、港周辺の交通量はかなり少ないです。従って滞在中に車の音が気になることはなく、聞こえてくる音といえば海の音と漁船の音がほとんど。海沿いに泊まっているのを実感できる要素がここには満ち溢れていて、視覚だけでなく聴覚でも可能なのがいいですね。
思えば海沿いの景観を大事にしている宿は数あれど、漁港を一望できるようなところにある宿って案外ない気がする。広縁に座って海を眺める贅沢な時間をしばらく過ごしていました。
温泉
続いては温泉へ。
砥上屋旅館のお風呂は平潟港温泉といって、この一帯に広がる温泉です。これは予約した段階では全く知らず、到着してから温泉があることを知りました。
温泉の特徴は以下の通り。
- 泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物泉(高張性-弱アルカリ性-高温泉)
- 源泉名:五浦元湯温泉2号泉
- 泉温:63.0℃
- 湧出量:450リットル/min
- pH値:8.0
- 知覚的試験:無色、透明、硫化水素臭、強い塩味
- 効能:急性疾患、結核、悪性腫瘍、心臓病、神経痛、関節痛など
温泉は22時まで入ることができて、今回は夕食前と夕食後の2回入りました。
湯船は木製でできているので身体への親和性がよく、じっくり浸かって疲れを癒やすにはちょうどいいくらいの広さ。
温度が高いのでとても身体が温まるほか、上がった後も熱が持続するような感じの温泉でした。寒さがこたえる冬場だと特にこれは嬉しい要素で、お風呂から部屋に戻るまでに熱が引いてしまわないのは良いです。
特徴に「強い塩味」を書いた通り、ちょっと舐めてみたらかなりの塩辛さを感じる。最初は海水の影響でこうなっているのかと思ったけどそうではなく、あくまで温泉の成分で塩辛くなっているようです。なんか不思議だ。
夕食~翌朝
温泉から上がって部屋で寝転んでいると、夕食の時間(今回は18時)になりました。夕食ができると女将さんが部屋まで呼びに来てくれるので、それまで待っているだけでOK。
砥上屋旅館の夕食は当然ながら魚介類が中心で、冬場はあんこう鍋プランを選ぶことができます。
あんこう鍋のシーズンは茨城県の各地で微妙に異なるものの、砥上屋旅館ではゴールデンウィーク前?くらいまでは注文できるとのことでした。今回は電話予約時にあんこう鍋OKですか?と質問し、OKをもらえたのでそのプランで予約しています。
夕食の内容は刺し身の盛り合わせや煮物、焼き魚、それからあんこうの身を固めて輪切りにした料理(名前分からん)のフルコースがずらり。
すぐそこでとれた新鮮そのものな海の幸が美味しくないわけがなく、調理のレベルの高さも相まってとても美味しいです。
海の近くを訪問したのなら魚介類を食べたくなるのは自然の成り行きだし、それを最大限に満喫できるのは体験として嬉しい。一口食べるごとに、思わず目を閉じて天を仰いでしまうくらいでした。
そして、茨城県を象徴するあんこう鍋の全容はこちら。
茨城県の中でも北茨城のあんこう鍋は本場として有名で、さらに平潟港の郷土料理である「どぶ汁」は、そのオレンジ色の汁が特徴の一つ。一般的なあんこう鍋は味噌味や醤油味が主流なんですけど、砥上屋旅館のあんこう鍋はそのどちらでもありません。
どぶ汁はまず最初に生のあん肝に火を通して刻みながらオレンジ色になるまで溶かし、これに身や野菜を加えて鍋にします。あんこうに含まれる水分が溶け出してこれらの具と混ざり合うことで、結果的に濁ったオレンジ色になるというわけ。
元々あんこうは「食べられないところがない」と言われるほどに無駄がない魚ではあるものの、どぶ汁にすることで要素や成分がより一層凝縮されることになる。なんと贅沢なことだ。
その美味しさは…ちょっと自分の語彙力では表現できそうにないです。
ただ一つ言えるのは、鍋としてのコクや旨味がとにかく濃いということ。
あんこうの身は柔らかくも弾力があって、口の中で骨から身を引き剥がして食べると美味しさが倍増する。身だけではなくあんこうの味が野菜にも浸透しており、食べる度に幸福度が上昇していくのが理解できるほどでした。
料理を食べ終えると、最後はご飯を投入してあんこう鍋の汁を使った雑炊にしてくれました。出汁がしみた熱々のご飯を食べていると、しみじみとした気持ちになってくる。
最初はここまで海鮮を堪能できるとは思っていなかっただけに、いざ実際に食してみたときの良さが強く印象に残る気がします。
自分は、少なくとも宿に関してはあまり下調べをしない派。まあそもそも自分が泊まるような宿は情報がないというのもあるけど、旅が前もって知った情報を確認するだけの作業になるのはなるべく避けたい。
砥上屋旅館に到着してから知った漁港の近さ、部屋からの眺め、3階建ての建物の古さ、そしてあんこう鍋の味の濃さ。すべてが現地でしか味わえないものだ。
これからも、できる限りはこの方針で旅をしていきたい。
夕食後に部屋に戻ると、布団が敷かれていました。
この後は再度温泉に入りに行き、そのまま就寝。旅館の夜は特にすることもないので、早い時間に寝るのが自分に合っている。余計な音が聞こえてこない素晴らしい環境で、至って熟睡できました。
で、翌朝。
この日は早朝に漁船が出港する音で目が覚め、二度寝をしていたらいつの間にか朝日の時間。せっかくなので、広縁から朝日を拝むことに。
方角的にかなりギリギリなものの、広縁から朝日は見えます。こうやって朝が始まっていく様子を眺めていると、今日一日もまた素敵なものになりそうな予感がしてくる。
そのままカーテンを開けっ放しにして、布団にくるまってゴロゴロしてたら周囲が明るくなってきました。今日も天気が良さそうだ。
朝食の内容はこんな感じで、旅館らしくシンプルな献立かな?と思っていたら焼き魚に煮付けと、夕食に続いて朝食でも魚を味わうことができました。朝食に手を抜いていないのは好感が持てます。
そんなこんなで、砥上屋旅館での一夜は終了。女将さんにご挨拶をし、朝日に包まれる平潟港を後にしました。
おわりに
砥上屋旅館は建物自体の貴重さに加えて、ここにしかない展望と美味しい海鮮料理がおすすめの旅館です。
部屋は居心地が良くて精神的に安心できたし、温泉に入ってから夕食、そして就寝までの一連の流れがあまりにも完成されすぎていた。天候にも恵まれて良い景色も見れて、お腹いっぱいの状態で木造旅館で眠ることの幸せさを再認識できたような気がします。
歴史を感じる鄙びた隠れ家的な宿ですが、喧騒から離れて過ごすひとときは何物にも代えがたい体験となりました。ここはぜひともまた宿泊したいです。
おしまい。
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