美又温泉 旅館みくにや 美肌県しまねが誇る浜田市の「美人の湯」に泊まってきた

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今回は全国有数のうる肌湯である島根県の美又温泉、その一角にある旅館みくにやに泊まってきました。

島根県には温泉津や玉造などの有名な温泉地が位置している一方で、主に山間部を中心にひっそりと佇む小規模な温泉地が多数存在しています。美又温泉はそんな温泉の中の一箇所であり、訪れる人が少なく賑やかすぎない適度な静けさのなかで温泉を楽しむにはもってこいの場所。

小規模ということは各旅館に泊まる人も比較的少ないため、温泉そのものを一人だけで使える時間も自然と長くなる。従って、環境だけではなく温泉の効能そのものを重視している人にとっても小規模な温泉はおすすめできると思います。当然ながら日帰りよりも宿泊のほうがゆっくり温泉を堪能できるし、加えてぐっすり寝られる環境や美味しい食事がプラスされるのなら言うことはない。

旅館みくにやは美又温泉街のだいたい真ん中にある老舗旅館で、元気な女将さんとご主人で運営されています。特に女将さんの佇まいは元気溌剌という言葉がとても似合いました。

もくじ

外観

まずは外観から。

江津市中心部からいくつかの県道を移動してきた先、県道41号に面した川の近くに美又温泉はあります。県道からは温泉街全体を見渡すことができ、その中で旅館みくにやは非常に分かりやすく示されていました。

美又温泉の様子

石見地方特有の石州瓦の屋根に大きく「みくにや」と書かれているのが、旅館みくにやの建物。

旅館名を示すものって、一般的には建物の前に示されている看板くらいしかちょっと思いつかない。しかし旅館みくにやは建物の多くを占める屋根に旅館名を示してあって、温泉街に入る前から旅館名が認識できるというのは効果として大きいと感じました。

美又温泉の旅館

県道脇の川に架かっている橋を渡ると、いよいよ美又温泉の敷地に入ります。

日帰り温泉としては橋の目の前にある「美又温泉国民保養センター」か、もしくは温泉街の反対側にある「美又温泉会館」が有名なので、そこを目当てにしている日帰り温泉客が多いです。後述するように美又温泉は美肌の湯として全国屈指の知名度を誇っているため、体感的には女性客が多い印象でした。

温泉街の入口には案内図があり、美又温泉を構成する旅館が一覧できます。

山側にある背の高い建物が旅館みくにやの新館。遠くからでもよく見える。
旅館みくにやに到着。通りの川側にあるのが本館
本館の玄関にはのれんが掛かっている

国民保養センターから温泉会館までの道中がいわゆる表通りに相当し、この道の左右に建物が並んでいました。

こういう「両側を建物に挟まれたいい感じに狭い道」を歩いていると自然と視線が上に向いてくる中で、よく見ると頭上に黄色い屋根の渡り廊下が通っているのが分かると思います。渡り廊下には美又温泉の旅館名がずらっと記載されており、たぶん美又温泉を訪問した人の100%がこの風景を見るはず。

で、旅館みくにやはまさにこの渡り廊下が通っている建物です。さっきの県道からの景色に留まらず温泉街の中においても存在感があり、むかし日帰り温泉に訪れた際にも気になっていました。

向かって川側にあるのが昔ながらの本館で、渡り廊下を挟んで山側にあるビルみたいなのが後から増設した新館です。新館の中に向かうには一度本館に入ってから渡り廊下を経由して向かう以外に方法がないようで、宿泊客は全員が本館の玄関から中に入る形です。

表通りの反対側から建物を眺めた様子。本館の右側には洗濯機や乾燥機が置かれていたりして生活感がありました。

それにしても、美又温泉の中で本館と新館の2つの建物をもつ旅館は他にありません。両者を合わせるとかなりの人数が宿泊できそうですが、現在においては基本的には本館に宿泊することになるようです。この日は自分を含めて3組が宿泊しており、全員が本館泊でした。

ちなみに新館については朝食会場になっている2階部分を訪問したのみで、それ以外の詳細は不明です。

それでは本館玄関から館内へ。

本館の一部古い部分は明治時代から残っているそうで、各部を補修して今まで宿泊に供されています。その一方で玄関周りの格子や看板、のれん等には古い要素が残されており、ここだけ切り取っても歴史ある宿ということが分かりました。

館内散策

玄関~本館1階廊下

本館は大きく分けると1階に温泉や居間などがあり、客室はすべて2階にあります。

ただし共用部分であるトイレや洗面所は2階にも設けられているので、基本的には2階で過ごし、温泉に入るときだけ1階に下るような過ごし方となりました。

玄関の様子。

入って左側に靴箱、右側に受付があります。玄関土間は石やコンクリではなく、タイルカーペットが敷かれていました。雨の日は汚れやすいと思われるので通行するのを躊躇ってしまいそう。

あと全然関係ないんだけど、宿において受付を造るようになったのはどの時代からなのかが気になります。同じ木造建築でも帳場どころか客との応対スペースが何もない旅館もあるし、ちゃんと確保している宿もある。個人的な感覚だと昭和より新しい宿だと受付があるイメージ。

玄関右側の廊下。正面が厨房…かと思いきや普通の部屋のようです。

玄関を抜けると建物の横一直線に廊下が通っていて、2階への階段はその両方にあります。なので自分の部屋に近い方の階段を上ればよく、遠回りする必要はないので移動が便利です。

玄関から見ると正面に玄関ロビー、右側に仏間や倉庫?があり、左側に温泉とトイレがあります。

玄関ロビーについてはこんな感じで、テレビや扇風機、ストーブ、ウォーターサーバー等が置かれていました。ロビーというよりは居間のような安心感があります。

旅館に何を求めるのかは人それぞれである一方で、肩の力を抜いてくつろげる雰囲気はどの旅館でも結構大事。旅館みくにやはそれが顕著で、ここで目を閉じていると寝てしまいそうになるくらいでした。

たぶんだけど本館1階については宿泊客だけではなく、女将さんやご主人も普通に利用されているからこそこの独特な空気感を生んでいると思う。宿泊客のみが使うスペースだと使用感があんまりないので常に新しい感じになるし、両者の境界があいまいだからこその良さ。家族経営の宿の「緩さ」がそこかしこに感じられます。

温泉は廊下の手前側が男湯、奥側が女湯となっています。

温泉の前にあるトイレについては男女の別はなく、共同です(2階のトイレも同じ)。

本館2階~新館2階

続いては2階へ。

最初に2階の間取りについて説明しておくと、上記の通りです。

部屋名には草花の名前が主に平仮名で付けられており、どこか柔らかで優しい感じ。当時は小さい子にも読みやすいように平仮名にしたのかな、とか想像してみたり。

構造としては1階と同じく中央に廊下があり、部屋は廊下の左右に配置されている形です。向かって川側の部屋は廊下側に押入れがありますが、表通り側の部屋についてはスペースを確保しきれないので90°回転させたような格好です。

今回泊まったのは建物右端に位置する「朝顔」の部屋で、夕食は隣にある「夕顔」の部屋に用意されました。宿泊する部屋とは別の部屋が夕食会場になるのはどうやら共通らしく、他の2組は山ゆりとききょうに泊まり、夕食はすみれとたんぽぽで頂いていたようです。

2階への階段(玄関右側)
文字センスが完全に昭和
本館2階廊下

2階廊下はこんな感じで、床にはカーペットが敷いてあります。

建物の中央に廊下がある位置関係上、廊下に面した窓は少ないので比較的薄暗いです。まあ滞在中は温泉に入っているか部屋で寝ているかの二択なので、廊下の明るさは対して影響ありません。

洗面所

廊下の突き当り、建物左端に洗面所とトイレがあります。

洗面所には歯ブラシが常備されているので、こちらで予め準備する必要はありません。

部屋名については、分かりやすく示されています。

美又温泉の案内
美又温泉の案内

館内のポスターには「温泉総選挙 うる肌部門 第1位 島根県浜田市 美又温泉」と書かれていました。

どこかの専門家が決めたわけではなく、美又温泉を訪問した人の投票によって選ばれるのが温泉総選挙。従って、美又温泉は全国でもっとも多くの人からその効能を認められているということになります。これは素晴らしい。

1階への階段(玄関左側)

建物は長細い長方形をしていて突出している部分はなく、館内についても廊下から客室へのアクセスや、2箇所ある階段などシンプルで利用しやすいと思いました。

特に階段が二箇所にあるのは個人的に良いと思っていて、古い建物なので滞在中に自分が泊まっている部屋の前を通過する人数は少なければ少ないほど良い。それは自分も他人も同じことで、部屋から出てすぐ前にある階段で1階に降りてから温泉に向かえば2階の静けさを保つことができます。

平面図を見ても玄関を中心にしてある程度左右対称な構造になっており、比較的新しい建物に見られる「利便性」を考慮した造りをしている。昔の建物って階段が一箇所しかなかったり、複数あったとしてもめちゃくちゃ狭かったりするので、どこかのタイミングで大きく改装したのかもしれません。

渡り廊下を通って新館へ
渡り廊下からの眺め(温泉会館方面)
渡り廊下からの眺め(国民保養センター方面)
新館の朝食会場

本館2階にある扉からは渡り廊下を介して新館2階へ行くことができ、その先には広めの朝食会場があります。

朝食会場の奥には厨房があって、どうやら旅館みくにやの食事はここで作られている様子。宿泊前はてっきり玄関がある本館に厨房があると思っていたのが、実は新館の方にあったのでした。


で、朝食の際に必ず渡り廊下を通ることになる、というのがなんか素敵だ。

宿泊施設に宿泊したら、後はもう食事や風呂、就寝、起床、チェックアウトに至るまで「屋内」で物事が完結するのが一般的。逆に言うと外の様子を窺い知る機会が客室からの眺めくらいしかなく、自分から進んで外に出ようとしない限りは体験として存在しません。

でも、ここでは翌朝になれば自動的に屋外を経由することになる。

この時期だったら朝から蒸し暑いなとか、この時間からもうセミが鳴いているとか。冬だったらその寒さによって布団に舞い戻りたくなるだろうし、早く日が昇ってくれないかなと思うこともあるだろう。外に出ることによって五感から得られる情報は、季節や天気次第で様々に存在しています。

泊まっている土地の夕方から夜、そして朝にかけての雰囲気を楽しめるのが宿泊の良さだと自分は思っているので、とにかく滞在中に「外」を感じられるという点が良い。そう思いました。

泊まった部屋

泊まった部屋は「朝顔」の客室で、広さは8畳。店員は4名のところを一人で使えるのでかなり広々としています。

なお横に位置する部屋「夕顔」が夕食の会場になっていて、考えようによっては日中でも二間続きで使えるということになります。しかしこっちは一人なので一部屋で十分なほか、基本的に夕顔の部屋は宿泊には供していないようでした。

部屋の設備はエアコン、テレビ、ポット等があります。浴衣やタオル、バスタオルもちゃんとあるので問題ありません。

泊まった部屋
部屋からは表通りが見下ろせる
隣の部屋
こちらは川に面した広縁がある

古い木造旅館らしく廊下と客室との境界は障子戸で、鍵がないので例えば温泉に行っている時などには注意する必要があります。一応部屋の中に「貴重品袋」なるものがあり、これに貴重品を入れてフロントに預けることもできるようです。

あと間取りを見てもらうとよく分かりますが、今回泊まった部屋はどの部屋とも隣り合っていません。なので滞在中は比較的静かに過ごすことができ(といっても障子戸なのでよく聞こえますが)、夜中も寝やすかったと思います。

温泉

部屋に居てもやることがないので早速温泉へ。

美又温泉はお湯そのものに大きな特徴があり、pHがとても高いアルカリ性の温泉なのでヌルヌル感が強く、湯に入った後は肌がすべすべになると評判です。温泉の効能は身体の表面から内部に至るまで様々ですが、美又温泉は表面的な"皮膚の潤い"にとても効くということ。

さらに言うと美又温泉には古い角質を剥がして新しい細胞と入れ替わる「角化」現象を促進させるメタケイ酸が豊富に含まれているため、pHとの相乗効果でより保湿力の高い肌になれるという仕組みです。

  1. 泉質:アルカリ性単純温泉(低張性アルカリ性高温泉)
  2. 泉温:46.2℃
  3. 知覚的試験:無色透明、無味無臭
  4. pH:9.8
  5. 効能:神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、疲労回復、健康増進等
  6. メタケイ酸濃度:81.9mg/kg

ちなみに「美人の湯」「美肌の湯」は全国各地に存在する中で、pHとメタケイ酸濃度が両方高いのは美又温泉のみ。他の温泉(斐乃上温泉や嬉野温泉等)はどちらかが高くてどちらかが低いので、美又温泉は総合的な美肌効果で日本一になっているというわけです。

脱衣所と浴室はこんな感じで、浴室の広さは3人くらいが一度に入れる程度の広さ。

しかし洗い場の数が1箇所しかないこともあって、同じ日に泊まった人と同じタイミングになるとちょっと狭く感じるかもしれません。夕食の後など、空いているタイミングを狙って入りに行くほうがいいです。

温度については自分的には高めですが、最初に入ったのがチェックイン可能時間である15:00になってすぐで、湯を張って時間が経っていないので比較的ぬるめで入りやすかったです。次に入りに行ったのが夕食の後で、今度はしっかり熱くなっていました。

透明の温泉とタイル張りの湯船が美しい
静かに湯が供給されている
沈没

ひとしきり身体を洗って湯船に入ってみると、以前入ったときに感動したままのヌルヌル・とろとろ感が全身に感じられて心地いい。石鹸はさっき流したはずなのに、まるで石鹸のぬるみがまだ残っているのかと錯覚するほどのぬめりがあります。

ちなみに温泉はかけ流しなので、前の人が直前に入っていなければ湯船は湯で溢れている状態。自分が入ると同時に余分な湯が一気に外に流れ出ていって、これほどまでに贅沢な湯の使い方をしていることに感謝してしまう。


夏場に熱い湯に入るのは避けたい場合もあると思うけど、疲労回復にはなんだかんだである程度熱い湯の方が合っていると思ってます。今回の場合だと島根県まで移動してきた移動疲れがあったものの、それが解消してくれました。

お湯から出た後も身体の表面に熱が残っているような感覚があり、確かに保湿力があるのは間違いない。肌が乾燥しがちな冬の時期だと効能をもっと強く実感できるかもしれません。

部屋に戻ってきた後は、畳の上に寝転がって昼寝タイム。

時間はすでに夕方に差し掛かっており、窓の外から聞こえてくるのはセミの鳴き声。日中は暑すぎてセミも静かになっていたのが、気温が落ち着いてきて活発になっているようです。それに加えて表通りには温泉会館まで日帰り温泉に向かう客の話し声もあったりして、山間部の夕方を平和的に迎えられているのが良い。

旅先で時間をどう使うのかは人によって異なり、それは宿泊先においても同様。

こんな風に何をすることもなく横になって夕食の時間を待っているのが自分的には好きで、温泉旅館に泊まっているのなら温泉、食事、あとは睡眠ができればそれでOK。難しく考える必要はどこにもない。

夕食~翌朝

寝落ちしそうになっているともう夕食の時間になりました。ただ夕食の用意が終わると女将さんが呼びに来てくれるので、正直それまで寝ていても問題ないと思います。

で、旅館みくにやの夕食がまた豪華そのものでした。

何しろ事前情報が全くない中での訪問となったのでどういう料理が出るのかも不明だったものの、一言で言えば予想以上。料理のバリエーションも広く、お腹いっぱいになれました。

夕食の内容

夕食の内容は酢の物、煮魚、玉子豆腐、刺し身、天ぷら、焼肉、ご飯とお吸い物、デザートです。天ぷらやお吸い物はでき次第持ってこられるので温かいまま食べることができるほか、どの品も新鮮な素材を使っていて美味しすぎる。

温泉に何度も浸かっていると日常と比べて食欲が旺盛になるので、体感的には普段よりも多い量を食べることができるのが温泉旅館の良さの一つだと思います。そんな中で旅館みくにやの食事は満腹感が得られ、じゃあお腹も膨れたのでまた温泉に行くか…という気分になれる。

おそらくこの温泉→食事→温泉という流れは湯治が主流だった時代から変わっていなくて、なんというか身体が持つ発汗機能とか胃腸の機能を十二分に働かせているという実感が湧く。美又温泉の効能の高さも相まって、やはり温泉旅館に泊まることは健康に良い。

夕食後はちょっと美又温泉街をぶらぶらした後、再度温泉に入ってから就寝。他の2組は夕食の時間を遅めにしていたようで、結局同じタイミングで温泉に入ることはありませんでした。

なお美又温泉の夜の静けさはかなりものがあり、なんせ周りにある建物のほとんどが宿で民家はほぼありません。県道41号についても山間部の県道なので交通量が少なく、余計な音がしない環境下で安眠できました。

で、翌朝。

朝起きてまず温泉に入りに行き、布団で二度寝していたら朝食の時間です。

朝食の内容

朝食の内容はこんな感じで、特に素朴な味わいの和え物と干物は白米の組み合わせは腹に優しい。こういうのがいいんだよという理想の朝食です。

この日は特に急ぐ用事もないので、布団にまた潜り込んでチェックアウトの時間まで寝ていました。旅先では常に時間に余裕を持ちたいと思っているけど、旅館みくにやでは自分の一番やりたかった時間の使い方ができたと思います。

チェックイン可能時間に投宿し、チェックアウト時間まで宿に滞在する。今後も宿そのものを満喫するために、できる限り滞在時間を伸ばす方向で行程を組みたいと思っています。

おわりに

美又温泉は美肌効果が高い至高の温泉ですが、どうせなら日帰りではなく一泊して温泉プラスαの要素を楽しむのがおすすめ。

肌の健康には表面的なものではなくストレスの程度も影響を与えるし、そうなれば心身ともにゆったりできる環境で過ごすのが結果的に美肌に直結する。旅館みくにやの温泉の良さは説明するまでもなく、それに加えて予想以上に美味しい夕食の効果もあって良い時間が過ごせました。

寒い季節になれば料理の方も冬仕様になると思われるので、また時期を変えて訪問することを考えています。

おしまい。


本ブログ、tamaism.com にお越しいただきありがとうございます。主にロードバイク旅の行程や鄙びた旅館への宿泊記録を書いています。「役に立った」と思われましたら、ブックマーク・シェアをしていただければ嬉しいです。

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