【南大隅~開聞岳~指宿の菜の花畑~弥次ヶ湯温泉】ロードバイクで日本本土最南端の地を目指してきた Part 2/2

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もくじ

山川・根占フェリーへの乗船

佐多岬ライドを終え、私が今いるのは佐多岬半島の南大隅町・根占港。

鹿児島県の南部は鹿児島湾を挟んで佐多岬半島と薩摩半島が南北に伸びていて、それぞれをフェリーで渡れるようになっています。北の方だと桜島から鹿児島へ渡る短距離フェリーがあり、今回乗るのは南の方。いずれにしても同じ県内をフェリーで移動できるというのは、離島以外だと案外珍しいのではないだろうか。

というわけで早速フェリー乗り場へ。

根占港

便数については写真の通り一日4本運航されていて、トラブルなく11:00の便に乗れたので当初の目的通りといえます。一本遅らせて14:30の便に乗ってしまうと指宿に到着するのが夕方近くになってしまい、散策が十分にとれないところでした。

運賃については、自転車込みで片道1,300円。これが車やバイクだと結構な金額になってしまうので、毎回思うけど自転車移動はかなりお得です。

待合室
港には漁船が停泊している

乗船前にどこかで昼食をと考えていたものの、この時間では近隣の店がまだ営業していなかったので指宿に到着してからとることに決定。一応近くにある「なんたん市場」という道の駅的な施設でお弁当などは販売しているようです。

しばらく待っていると山川港からやってきたフェリーが接岸の準備に入っていました。

フェリーはこんな感じで、船の両側にそれぞれランプウェイが設けられている形式。瀬戸内海などでよく見る短距離向きのフェリーです。

車両甲板の雰囲気が好き
出港

出港の時間になり、あとは指宿まで50分ほどの気ままな船旅。南大隅から指宿を陸路で向かうとなるとどれくらい時間がかかるか分からないものの、ここに海路を運行してくれてありがたいというほかない。

朝方は気温が冷え込んでいたのに対して、昼になるとかなり暖かくなってきていたので船内ではなくデッキに座って過ごしていました。日が当たるところにいるとむしろ暑さを感じるくらいで、海風の冷たさが心地よく感じられる。

霞んで見えるのが佐多岬方面

あまりに天候がいいので、気を抜くと寝てしまいそうになる。

寒い冬にわざわざ寒い土地に行って寒さを倍増させるのものいいけど、今回のように温暖な土地(九州)でまったりするのもいいと思います。あと鹿児島県や熊本県には温泉が数多く存在しているので、温泉が好きという人でも冬の九州は楽しめるはずです。たとえ完全な冬だったとしても、過ごしやすい環境で温泉に行けるのはこの地域の良さですね。


ちょっと考えてみると、今回も特に予定を決めずに宿だけ確保し、夕方になるまで適当に各地を巡るという普段通りのライドをしている。2023年ももう終わろうとしている中で「走る道を明確に決めない」という方針はあまり変えたことがなく、たぶん来年も再来年も同じような旅をしているんだろうな。

行き先はまだしも、走る道まで事前に決めてしまうと視野が狭くなってしまう。予定を大きく外れない程度に自由に走るのが自分には合っていると思います。

山川港に到着

正午前に、指宿のやや南側に位置する山川港に到着しました。ここからは薩摩半島を走っていくことになります。

指宿の菜の花畑を巡る

山川港からのルートをしばし考えた結果、まずは西へ進んで開聞岳周辺の丘陵地帯を走って菜の花畑を眺めることに決定。そこからは北へ進路を取り、池田湖を通って指宿へと向かいます。

指宿で温泉に入るのはライドが終わった後にしたかったので、その前に各地を回るという形にしました。ライドの途中で温泉を挟んでしまうと「せっかく温泉に入ったのにまた汗をかく」ことになってあまり意味がないし、自分は日帰りの場合はライド後、宿泊の場合は温泉宿をとるという風にしています。

開聞岳が見える

なんとなくで走る道を選び、西へ。

佐多岬半島はアップダウン多めの山岳地形だったのに対し、薩摩半島は全体的に緩い丘が多いなだらかな地形が中心です。大きく上ったり下ったりする箇所が少ないのでとても走りやすかった。

周辺には丘を利用した広大な畑が多く、右を見ても左を見ても畑が広がっています。さらには視界が開けているため見通しがよく、基本的にどこにいても開聞岳が視認できるのが特徴の一つ。指宿のシンボルとも言える存在がいつでも見えるのはテンション上がってくる。

そんな薩摩半島にはJR九州の指宿枕崎線という路線が通っており、自分が向かったのはその中でも観光客に人気な西大山駅という駅です。ここはJR最南端の駅であって、日本本土最南端に到達した後は、せっかくだからJRの最南端にも足を伸ばしておこうと計画していました。

駅の近くには幸せの黄色いポストがある

西大山駅に到着。

無人駅なので特に何があるというわけでもないけど、ここに到着できたときは一人で感動してました。日本全国に血管のように張り巡らされているJRの路線、その中において一番端に位置するという事実だけで、何か感じるものがあります。

駅の周辺に整備された花壇、周りに高い建物がない中で真正面にそびえる開聞岳(薩摩富士)の存在感の大きさ。駅の周辺は静かな佇まいが続いており、良い時間が過ごせました。

枚聞神社
日本最古の井戸、玉乃井

その後は元旦の準備をされている枚聞神社を参拝したり、日本最古の井戸である玉乃井を訪れたりしながら北へ。このあたりは正月になるとかなりの混雑が予想されるものの、年末の今はまだそういう空気はありません。いわば大きなイベント前の静けさのみがここにはあり、そういう中であちこちを走るのは気持ちがいいです。

そして玉乃井近辺から徐々に姿を見せてくる場所、それがこの時期の指宿を代表する菜の花畑です。

菜の花の季節と聞いて一般的に想像するのは「春」なのに対し、ここ指宿では12月中旬から菜の花が咲くというから驚くほかない。

一面の菜の花

菜の花畑の様子はこんな感じで、その鮮やかな黄色は風景の中で特別際立って見えます。しかも黄色は「幸運」や「金運」という意味があるため、今回の訪問によって2024年を迎える前に運気を上げることができた…のかも。

繰り返しになりますが、この冬の時期において菜の花の黄色は本当に目立ちます。遠くからでも一発で目視できるので非常に分かりやすく、近くまで行ってみると幸せ感に包まれることができる。今は確かに冬なんだけど、まるで冬ではないような温かな体験ができるのが特に嬉しかったです。

池田湖畔の池田湖パラダイス近く

そのまま県道28号を直進して池田湖畔に至り、池田湖パラダイスと呼ばれるスポットの近くまで来ました。池田湖はいわゆるカルデラ湖に分類され、近くの開聞岳とともに薩摩半島の火山活動により形成されたものとなります。熊本県の阿蘇山といい開聞岳といい、九州と火山の存在は切っても切り離せません。

ここまで薩摩半島を巡ってきた中で感じたこととして、短距離で景色が目まぐるしく変わっていくので飽きにくいことが挙げられます。最初はフェリーで半島に到着してから丘陵地帯を走り、開聞岳を横目に見ながら池田湖畔に到着。半島という海が近い地形の中に湖があることに驚きながら走っていると指宿市街に着き、一日の終りには温泉に入る…。

視界に入ってくる情報と体験できるアクティビティがともに多彩で、個人的にもここまで変化に富んだ一日になるとは思ってませんでした。

池田湖畔にも大きな葉の花畑が整備されていて見ごたえがあります。

特に菜の花と湖という組み合わせはここにしかなく、個人的に菜の花を見るならここがベストポイント。昼以降は風がさらに強くなってライド自体は難儀したものの、気温は暖かいので過ごしやすかったです。菜の花を見ながらゆっくりと歩いていると心が休まってくる。

昼食

観光客はここを訪れてから池田湖パラダイスで昼食をとる人が多そうだったので、自分もそれにならって遅めの昼食にしました。

選んだのは、鹿児島県ならではの豚の角煮を用いた角煮丼。口の中でとろけるような食感の角煮はもちろん美味しく、角煮一切れに対してご飯一杯は余裕で消費できそうなくらいでした。その土地ならでの食事を堪能するのは、旅の醍醐味の一つだと思います。

指宿の銭湯にて

昼食をとったところで、今回の旅もすでに終わりが近づいている。今日はこのまま指宿まで移動して一泊し、明日は始発で帰路につくことになります。

ところで指宿といえばなんといっても温泉が有名で、源泉の数が全国2位を誇る鹿児島県の中でも指宿は話題に取り上げられることが比較的多いように感じる。なので宿泊地には温泉宿を選択して温泉と食事をダブルで満喫したい…というのがいつもの思考なのですが、今回はちょっと志向を変えてみました。

具体的に言うと温泉については宿泊施設ではなく銭湯に行く形にし、宿泊自体は安く済ませるという形。実は以前から訪れてみたい銭湯が指宿にはあり、銭湯を主題にしつつ宿泊はおまけで考えた結果がこれというわけです。今日のライドはこれで終了なので、後のことを何も考えずに気楽に入れる点も考慮に入れました。

最初に訪れた銭湯は弥次ヶ湯温泉といい、銭湯と聞いてまず思い浮かぶように町の中に溶け込むようにして佇んでいます。

指宿市街でも菜の花は見られる
弥次ヶ湯温泉

明治25年創業、今年で創業132年(!)を迎える老舗の弥次ヶ湯温泉に到着。

銭湯にしてはなんか建物が大きくないか?と思いましたが、左側の家屋は休憩所になっているようです。銭湯そのものは右側の建物(創業当時からある「弥次ヶ湯」)と、それから中央の2階建ての家屋の1階部分(後から作られた「大黒湯」)にそれぞれ2箇所あります。

受付(基本的に無人)
昔の注意書き

まずは受付を済ませる必要があるけど、受付の時点でもう雰囲気が良すぎる。

入浴料金は大人350円で、訪れた人が現金もしくは入浴券を箱の中に入れる簡素な形式です。今回は350円ちょうどの金額を持っていなかったため、「只今自宅におります 御用の方は柱の電話で呼び出して下さい」の指示に従って女将さんを呼びました。

この女将さんがまたご親切な方で、弥次ヶ湯温泉の歴史を詳しく説明していただいたほか、他の人がいなかったら写真撮っていいよ^^とまで仰っていただけました。ここまで歴史ある銭湯は全国的にも珍しく、あちこちから弥次ヶ湯温泉を求めて銭湯好きがやってくるようです。

大黒湯の入り口
大黒湯の様子。左の壁の向こう側が女湯。

まずは比較的ぬるいとされる「大黒湯」の方へ。

ドアを開けるとまず脱衣所、そこから仕切りなしで浴室へと繋がっています。浴室は湯船が一つのみというシンプルさで、備え付けのシャンプー・リンス等はもちろんシャワーもありません。手前脱衣所の棚には常連さんのお風呂セットがずらっと並んでおり、ここに通っている人がどれほど多いのかを想像させるものでした。また男女の浴室を仕切っている壁の株に湯桶があって、ここでかけ湯をする形です。

身体を洗ってから早速入ってみるとしっかりと身体が温まる熱さがあり、確かに後述する弥次ヶ湯に比べると若干ぬるめ。弥次ヶ湯が熱すぎるという方はこっちで長湯をするといいと思います。

弥次ヶ湯へ
脱衣所

大黒湯で一通り身体を温めた後は右隣の「弥次ヶ湯」へ向かいますが、男性の方については浴室同士が隣り合っているために一旦着替える必要がなく、なんとそのまま全裸で行き来が可能です。これは便利!

弥次ヶ湯

弥次ヶ湯の方は浴室の周囲が竹で囲まれているのが特徴。

屋外からのドアは向かって右側の壁にあり、手前側が男湯、竹を挟んで向こう側が女湯です。従って女湯の方が脱衣所までの廊下が少し長めになっているようです。

湯には鉄分が多く、湯の花が多いので湯口にネットがかけられている。もちろん源泉かけ流し。

男湯については脱衣所と浴室との間が白い壁で仕切られていることや、適度な高低差、そして建物内部の色彩のバランスなどが個人的にかなり好き。色彩が目に優しい色ばかりというか、歴史ある温泉の雰囲気に影響を与えていません。

あとは、大黒湯も弥次ヶ湯も浴室床の石の感触がいいですね。上を歩いていて安心感があるし、ちょっとやそっとのことでは劣化しそうにない。

沈没

弥次ヶ湯の温度はかなり熱く、自分にとっては長湯はちょっと厳しそうでした。しかしじっくりと浸かっていると今日の疲れが霧散していくようでとても気持ちがよく、なんだかやみつきになりそうな気分です。

思い返してみれば今日は佐多岬までピストンしてそこそこの距離を上っていて、ライド終わりに銭湯に行くのは汗を流す意味でとても有意義なもの。その湯が熱めとなれば疲れもとれるし、何よりも湯上がりの体調がよくなるしで一石二鳥だ。

しばらくは弥次ヶ湯と大黒湯を往復して温度の違いを楽しみ、年末の夕方の時間帯を満喫してました。

湯から上がった後は玄関前の自動販売機で冷たい飲み物を買い、ベンチに座ってクールダウン。いや、このときの飲み物の美味しさは本当に堪えられない。

休憩しているうちに弥次ヶ湯温泉には地元の方と思われる人が次々と入りに来ていて、ここが多くの人に愛されている銭湯だということを再認識できました。


続いて向かったのは、弥次ヶ湯温泉からほど近いところにある村之湯温泉という銭湯です。

入浴料金は同じく350円。正面の民家に料金箱があるのでそこで支払う形です。

浴室については大黒湯と同じく脱衣所からそのまま浴室へ繋がっており、湯船は手前(かなり熱い)と奥(普通)の2箇所。訪問当時はトド寝をしている方がいたりしてかなりフリーダムだったほか、地元の方と「手前の湯船は地元民でも熱いよ!」とお話をしたり、鹿児島に帰省したばかりという方に鹿児島の温泉について教えていただいたりと、とても良い時間を過ごしました。

宿泊施設の温泉とは異なり、銭湯は地元の方と一緒に入るケースが非常に多いです。その場所にはその場所の良さがあるように、他では得られない体験を今後もしていきたい。

この日の宿
早朝の指宿駅

2箇所連続で銭湯に入った後はこの日の宿に泊まり、翌日は予定通りに帰路につきました。

2023年最後の旅は冬らしく温泉で〆となって、自分の旅のスタイルも特に変わらなかったなという感じです。その時期に応じたスポットを選び、時間に余裕を持って渋滞や混雑とは無縁なライドを実践する。その上で密度の濃い日程を送ることができれば御の字というわけで、今回もまさにそれでした。

おしまい。


本ブログ、tamaism.com にお越しいただきありがとうございます。主にロードバイク旅の行程や鄙びた旅館への宿泊記録を書いています。「役に立った」と思われましたら、ブックマーク・シェアをしていただければ嬉しいです。

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