【鳥取 旧国鉄倉吉線廃線跡~三朝温泉~伯耆大山ヒルクライム】ロードバイクで初夏の山陰地方を巡ってきた

今回は、ちょっとロードバイクで鳥取県を走ってきました。

今までに鄙びた宿関係で島根県を訪問する機会は多かったものの、その手前にある鳥取県は意外にも訪問回数が少なかったというのが事実。しかし今回、縁あって鳥取県の三朝温泉に一泊する機会があり、その際にロードバイクで近辺を散策する方針にしました。

行程としては至極単純で、初日は鳥取県のほぼ真ん中にある三朝温泉周辺をぶらぶらしてから宿である桶屋旅館に一泊。翌日は中国地方唯一の日本百名山である、鳥取県西部の大山をヒルクライムするという流れです。

大山については前回のライドで冠雪した状態を遠目から眺めたものの、遠目からではなくおもっきり近くまで上ってみたいと思っていました。さらに当時とは季節が移り変わっているので、雰囲気や空気の違いを体感するのが目的です。

というわけで出発。

もくじ

旧国鉄倉吉線の廃線跡

初日は鳥取県まで移動するだけで時間がかかり、宿のチェックイン時間を考慮するとロードバイクで走れるのは40~50km程度という状況でした。

もちろん到着時間を遅くすればもっと散策できるけど、自分としては宿で過ごす時間も大切にしたい。考えた結果、大山の東の山麓にある旧国鉄倉吉線の線路を巡ってみることに。

旧国鉄倉吉線は倉吉駅(現存)から関金町の山守駅までを結んでいた約20kmの路線のことを言い、昭和60年(1985年)3月にその役目を終えて廃線となりました。しかし廃線から約40年経過した現在でも線路やホームの保存状態がよく、遊歩道みたいになっているので誰でもアクセスすることが可能です。

廃線跡としては屈指の知名度を誇っている路線で、名前は知らなくても後述の写真を見たら一発で分かると思います。

ホームが残る旧泰久寺駅

さっき遊歩道と書きましたが、実際は線路がそのまま残っているので特に歩きやすいわけではありません。上の写真みたいにロードバイクを同伴するのはかなり難しくて、枕木(段差)の間隔が狭いので車輪はここでは分が悪い。

それにしても、廃線跡に線路がそのまま残っているのはどういう背景があるんだろうか。

普通は事業が撤退するとなったら色んなものを撤去すると思っていたけど、調べてみたら他の場所は鳥取県が買い取って自動車道等に整備されたのに対して、線路が現存する区間は特に活用予定がなかったので当時のまま残っているとのことです。

そんなことを思いつつ数百mほど歩くと、お目当ての風景が目の前にありました。

※スタンドで自立させているのでロードバイクはどこにも触れていません

はい。ここです。

たぶん誰もが一度は見たことがあるであろう、竹林の中を通過するという日本的な情緒あふれる線路。しかも一部については線路の中にまで竹が生えており、これこそが倉吉線の唯一無二の風景なんです。

林の中を通っている路線は今までに何度も乗ったことがあるし、たぶん田舎の電車に乗れば数分に一度くらいは遭遇すると思う。でも竹林の中ってありそうであんまり無いと思っていて、青々とした竹に囲まれた一角はとても神秘的でした。

この日の天気は実は曇り100%で、周囲はほのかな自然光に包まれている薄暗い感じ。でもそれが逆に良い方向に働いてくれて、誰もいない静けさもプラスされて異世界感がすごい。

ちなみに、倉吉線を象徴する存在である線路中央に生えた竹。

これは今までは3本生えていたのが、うち1本については積雪の重みによって倒れてしまったようです。残り2本についても補強がされていて、ちょっとやそっとでは倒れそうにない。

ただ竹も植物なのでもちろん寿命があって、この看板にも書かれているように少しでも長く元気なままでいることを願っています。

山守トンネル

そのまましばらく進むと入り口が塞がれた山守トンネル(全長107m)というトンネルがありますが、ここを通れるのはツアー参加者だけのようです。ちなみに線路は山守トンネルを抜けたすぐ先で途切れている模様。

Uターンして竹林ゾーンに戻ってきてから改めて思ったこととして、この一帯の静けさはとても心地が良い。シチュエーションだけ見ると蚊がめちゃくちゃ多そうな場所だと最初は不安になったものの、実際にはまだシーズン前?なので蚊は皆無でした。よかった。

湿気の中に若干の冷たさを感じる環境に身を置き、ここの雰囲気に浸っていると時間を忘れそうになる。良さげなスポットがあるということで寄り道をした結果、想像以上に濃い体験ができて嬉しい限りだ。

三朝温泉での一夜

倉吉線を後にし、時間に十分な余裕を持って今日の宿がある三朝温泉へと移動。

今回は温泉街の散策に時間を割きたかったのと、宿泊メインの行程なのでライドは必要最小限にしました。天気が良いのは今日よりも明日ということで、状況に応じてその辺は柔軟にやっていきたい。


三朝温泉は鳥取県三朝町に位置する温泉で、その特徴は高濃度のラドンを含む日本有数、いや世界屈指の放射能泉にあります。

ラドンを身体に浴びたり体内に取り入れたりすることで細胞の働きが活発になり、免疫力や自然治癒力を高めることができるとのこと。あとミネラル分を豊富に含んでいるので、浴用に加えて飲用(飲泉)にも適しています。

その効能の高さから、三朝温泉は長期間滞在して身体の悪いところを治す「湯治」で古くから有名になりました。昔から続くような旅館では食事なしの湯治用プランもあったりして、現在でも一日や二日ではなく一週間、二週間と泊まる人がいるそうです。

ちょっと印象的だったのが、三朝温泉へ向かう途中の一沿いに「三朝町にひかりが来た!!」というデカい看板が建っていたこと。

なんのことかと思ったら光インターネットサービスのことでした。たぶんサービスの公式キャラっぽいのがめっちゃ嬉しそうにしている。

三朝橋

三朝温泉に到着。

三朝温泉は三徳川にかかる三朝橋を堺にして南北に分かれた広い温泉街で、橋から見て北西方面の旅館大橋や今回泊まった桶屋旅館等があるのが比較的新しいエリア、南東方面の木屋旅館や飲食店街等があるのが古いエリアとなります。昔の白黒写真を見ても、今で言う「温泉本通り」を中心とした町並みが写っていました。

ざっくり見て回った感じでは、三徳川の右岸側はホテル等の大きな宿が多く、左岸側(温泉街中心部)には小さな建物が密集しているという印象です。

観光案内所が「温泉本通り」の入り口にあることも踏まえて、夕方くらいからは温泉街の散策のために右岸から左岸に渡ってくる人を多く見かけました。

木屋旅館

ちなみにこの木屋旅館も、いずれ泊まってみたいと考えている宿の一つです。

温泉本通り

観光案内所の中には温泉むすめのパネルが飾ってあるほか、グッズ類も販売されています。展示によると、三朝温泉の温泉むすめは三朝歌蓮という看護師らしい。

今まで訪問した温泉旅館の中にはここみたいに温泉むすめの存在をアピールしているところもあったし、全国的にみても取り組みが盛んみたいですね。

右岸側の大きな宿の一つ「万翆楼」
旅館大橋

三朝温泉に到着した後はロードと徒歩を駆使して温泉街を散策してみたりして、結果的に三朝温泉の全容を把握できました。すべて徒歩移動だったらそこそこ疲れるかもしれないけど、こういうときに自転車があると散策が捗る。

今更なこととして、ここまで多種多様な宿泊施設が一箇所に集まっているのって温泉街くらいしかないと思う。温泉という要素を抜きにして宿泊施設が密集しているのは都市部の駅前くらいで、その場合はビジネスホテルばかりという画一的なもの。

翻って温泉街は古くからその土地に湧き出る温泉という存在を中心にして、昔や旅館、近年だとホテル等が建築されてきて千差万別です。一つ一つの宿も注目のいくものであるのに加えて、「温泉街」として町並みを形成している様子についても実際に歩いていて情緒を感じる。

何が言いたいのかというと、温泉に入りに温泉街を訪れたのなら一緒に散策も楽しむのが吉ということ。

統一感という言葉とは無関係な色んな要素が交差する路地裏とか町並みを歩いてみると、また違った発見があると思います。秘湯に属する大自然の中の一件宿や、三朝温泉のような町並みの中にある温泉宿。同じ温泉というカテゴリーでも、場所によって雰囲気が全く異なるのが面白い。


一通りあちこちを巡った後は、この日の宿である桶屋旅館に宿泊しました。宿泊記録は別記事に書いています。

温泉に入って夕食を頂いて、再度温泉に入る前には夜の散策へ。せっかく宿に泊まっているのなら、夜の時間も忘れずに楽しむしかない。

街頭に照らされた町並みもまた美しい。

他の宿の宿泊者に夜の時間帯に出会うことは少なく、まあ夕食食べた後は温泉入って寝るのが一般的なパターンだと思います。でも三朝温泉には居酒屋やバー、射的場なんかもあったりして華やかで、各人のニーズにマッチした過ごし方ができるはず。

今回の訪問では投宿してからは温泉に入っている時間が長く、夕食後はこうして夜の散策をしてから宿に戻って再度温泉へ。つまり何もしていないタイミングが皆無で、非常に充実した宿泊となりました。

居心地が良い宿だと一箇所に留まって雰囲気を満喫するというケースもある一方で、今回のように行動できる範囲が広いとむしろあちこちに出かけてみたくなる。

百名山の大山へ上る

三朝温泉宿泊から一夜明けた翌日。

今日は昨日よりは天気が良いという予報だったので、ロードバイク中心の行程にしました。具体的に言うと鳥取県を代表する山・大山に上った後、この日の宿がある島根県の奥出雲まで移動するという形です。

「山に上る」ということはつまりヒルクライムをすることになって、こういう風に割と体力を使う行程はこれからの季節だとなかなか難しいのでこの時期にしました。夏場になるとたとえ標高1,000mあったとしても気温は平野部と大差ないので、そういうときに山に行くのであれば乗鞍とかの標高が高いところに限るかな。


ここで大山について軽く説明すると、大山は日本百名山に中国地方で唯一指定されている標高1,729mの山です。大山周辺には蒜山をはじめとした大山隠岐国立公園が形成されており、岡山県民が県北に遊びに行くとなればそのあたりが候補に挙がりやすい。

これから目指していくのは大山の北西方面に位置する大神山神社という神社で、大山の登山口の一つであると同時に大山を代表するスポット。道そのものは大山の周りを囲むようにして豊富に走っている中で、大神山神社周辺は観光目的で大山を訪れる人が多いです。

要は「大山を間近に感じられるほど標高が高いところ」と、「ある程度休憩ができるところ」という点から、ここを目的地としました。大山そのものは遠方からでも眺められるけど、ヒルクライムを行うことでその迫力が増すとなればやらない手はない。

大山周辺は棚田が美しい

倉吉方面から大神山神社を目指すルートは東西南北にあり、その中で今回は順当に北部の山麓から南へ向かうことにしました。具体的にはしばらく山麓を円周方向に走った後、県道158号をひたすら上ることになります。

まだ「山」成分が希薄な平野部(仁王堂公園周辺)には棚田が多く作られていて、そういえばちょうど山の反対側に位置する貝田の棚田も似たような地形であったことに気がつく。5月を象徴するような視界手前側の棚田と、視界奥に見える大山の対比がとても美しい。

こういう風に、周囲の地形の移り変わりが人々の生活の様子という形で見えるのはとても良いですね。

ずっと日陰なので割と楽だが、ずっとこんな感じの景色が続く

しばらく進むと棚田ゾーンは終了し、道の左右が林になると同時に斜度がきつくなっていきます。

あと山岳部の道でありがちなつづら折りは大山周辺では逆に少なく、特に県道158号は頂上までずっと一直線。つまり斜度が緩まるポイントが一切ないので割と心を折られました。

ただ北部→南のルートを午前中に走る場合は日光の当たり方でメリットがあり、左側通行のロードバイクに対して左側の林が日光を遮ってくれます。今日は前の日と比べると気温の上がり方が強烈だったこともあって、日陰の中を走れるのは単純に嬉しい。

参道に到着
参道を上りきったところ。登山客も多い。

あとは順当に上っていって、鳥取県立大山自然歴史館や宿泊施設が立ち並ぶ目的のエリアに到着。

がっつり上るのはこれで終了というわけで、お疲れさまでした。終盤は斜度がずっと12~14%なので辛かった上に、交通量が多い点にも注意する必要があります。


今まで走ってきた大山環状道路は歴史館の前で北へ曲がりますが、そのまま直進すると車道から大山寺や大神山神社の参道に切り替わります。予想以上に体力を削られた感はあるものの、休憩する前に参拝をしようということでさらに坂を上ることに。

というか、この参道だけ切り取っても斜度が尋常じゃない。車が通れるように傾斜がついているというだけで、本来なら階段を設けるくらいの坂道でした。

大山寺の山門

大山寺の山門や大神山神社奥宮の一ノ鳥居があるところがロードバイクで行くことができる一番上の場所なので、ここからは徒歩で移動していく。

ただ石段の前にサイクルラックが設けてあるのが本当に驚きなんだけど、ここまで自走で来る人はそう多くないのでは…。

大神山神社奥宮 一ノ鳥居

参拝ルートは天狗茶屋の前で2通りに分かれており、正面の山門を通って大山寺に参拝してから大神山神社奥宮参道に合流するか、もしくは最初から一ノ鳥居を抜けて参道を通るかです(今回は前者を選択)。

大山寺までは石段が多い一方で、参道の方は石畳の緩い斜面が奥宮まで続いているので歩くのが楽でした。どっちを通るかはお好みで。


大山のように大きな山には古くから山岳信仰が伝えられていて、大山信仰が始まったのは奈良時代。

最初は行者達の修業の場として崇拝されていたところに、大山寺が創建されました。一時期は周辺にも関連する寺院が次々と建設され、高野山金剛峯寺や比叡山延暦寺と並ぶ勢力があったそうです。

大神山神社奥宮はその大山に上った修験者(僧)がこの場所に遥拝所を建てたのが始まりとされていて、つまり両者は最初から密接な関係があったということ。明治時代の神仏分離によって寺院と神社に分かれましたが、長いあいだ神仏習合の理念によって営まれてきたという歴史があります。

参道の様子
大神山神社 奥宮の社殿

大神山神社 奥宮(工事中)に参拝。

今の季節は春から夏へと変わろうとしている合間の時期で、山々には緑が溢れていて見渡すだけでも心地よくなってくる。視界の中の色彩が濃いのは個人的に好きな要素でもあるし、あとは純粋に自然に囲まれている環境が気持ちいいというか。

今回の旅では鳥取県の温泉や山だったりと、まとめるとすれば自然に触れる機会がとにかく多かった。実際に道中をロードバイクで走ると自然の良さを実感しやすくて、ここまで上ってきてよかったと思います。

天狗茶屋前に帰還

さて、参拝を終わらせたところで昼食にするかどうか迷う。

大山を後にしてしまえば下るしかなく、しかも昼食ってある意味での区切りになるので昼食の後はすぐに下山という流れにしたい。そういう背景もあって、休憩の前にもう一箇所のスポットに寄ることにしました。

自分のライドってこういう面が強くて、休憩や食事よりもアクティビティの方が優先されるので昼食時間が5分(パン2つのみ)とかになりがち。燃費が良い体質なので今まではそれでもいいかと思っていたものの、最近では一つ一つの行動を丁寧にやっていくことに重点を置くようにしています。

ライド、食事、宿泊。旅を構成する各要素の質を高めていくことで、最終的に旅全体の満足度を高くする。自分の中の方針って年齢や環境によって次第に変化しているものだし、そこは柔軟に切り替えていきたい。いつまでも昔のままではないので。

豪円山のろし台

というわけで、大山寺の北西部にある豪円山のろし台にやってきました。

先程訪れた神社仏閣は標高こそ高いものの森の中にあって、逆に大山の山肌に近すぎる影響で迫力さはあまりなかったと思います。しかし眼下にスキー場を臨む豪円山のろし台はその真逆で、

  • 大山山頂付近の地形がよく見えるくらいにほどよい距離感。
  • 周りに木々が少なく視界が開けており、スケール感が大きい。昔は狼煙台として使われていたので当然といえば当然。
  • 大山周辺では貴重な、目の前に若干の標高が低い斜面を含む展望台的な立ち位置。

と良いことづくめ。大山を訪問したのなら、ぜひともここまで上ってみてほしい。知る人ぞ知る場所という感じです。

のろし台から参道まで戻り、昼食は大山参道市場というお店でガパオライス(大盛り)を注文。

大山ならではの濃い牛乳と一緒にいただくと、ヒルクライムで消費した体力があっという間に回復していく。最近は本当に食事をしているときが一番安心できると感じるようになって、特に全然知らない土地で美味しい食事を満喫できるのは幸せ感があります。

自然が素晴らしいところは食も美味しいということで、大山周辺ではさっき見た棚田由来の米はもちろんのこと、斜面を活かした畜産や酪農(白バラ牛乳)が盛んです。スイーツやアイスも充実していたので、これからの季節は大山を訪れる目的の一つになるはず。

奥出雲への下り

大山でのひとときはこれで終了し、奥出雲へ向けて下山していくことに。

弓ヶ浜半島の海岸線

下りの道中では、米子から境港方面へと続く弓ヶ浜海岸の姿が見えました。

自然がつくりだした造形は近くにいると全体像が分かりにくいものもあるけど、こんな風に遠方からだとその美しさがよく分かる。その名の通り、弓のように弧を描く海岸線(約20km)が見事です。

暑いときにヒルクライムをやるのは気温的な問題もあってとにかく疲れる一方で、「上」からの景色を加味すれば体験としては非常に有意義だと改めて感じました。

大山の景色、そして遥か下に見える下界の様相。車とかで一瞬で到達するより、ロードバイクには達成感というプラス要素がある。

西から眺める大山
桝水地蔵尊の名水
水分補給ありがたい

ちょっと下ったところにある大山ますみず高原という場所で、意図せずして早くも休憩タイム。道の脇に湧いているのは大山由来の名水で、その向こうには別の角度から眺める大山の姿。これはもう一休みするしかない。

山という不動の場所から生まれる要素として水があって、独立峰である大山の山麓には人々の生活を支える名水スポットが数多く存在しています。そのうちの一箇所がこの桝水地蔵尊の名水で、ちょうどよかったのでボトルの水を補給しておきました。

暑いときほど冷たい水は何よりのクールダウンになるし、一口飲めば疲れもあっという間に吹き飛んでいく。大山の周りを回りつつ、疲れたら天然水で休憩するというのも面白いかもしれない。


水分を得たところで下山を再開していく中で、大山は本当に色んな要素を含んでいるということが分かる場所に遭遇しました。

ヒルクライムに出会った風景といえば米に関係する棚田と、あとは標高が上がってきたことを示す森林が少しくらいでした。でも下山中の道中では棚田はほんの少しで、代わりに大部分を占めていたのが牧場です。

昼食で濃い牛乳をいただいたのでその由来が気になっていたこともあり、早速の答え合わせに驚くばかり。大山の東西南北はそれぞれに特徴的なスポットが存在していて、景色が目まぐるしく変わっていくので飽きることがなさそうだ。

牧場と牛、そして大山

訪れたのは、県道284号沿いにある大山放牧場。大山の西側の斜面は比較的斜度が緩いようで、その地形を利用して牛が放牧されているみたいです。

訪問時には牛たちが絶賛昼寝中だったりもして平和感がある上に、向こう側に見える新緑の大山とのコントラストがとにかく良すぎる。初夏の快晴の日に牧場を訪れるというシチュエーション自体も好きになりました。

こっちは下山中で体温も適度に落ち着いている状態で、心地よい風を感じながらのダウンヒルも含めて牧歌的な風景は精神を和らげてくれる。

牧場の隣にある大山まきばみるくの里ではアイスクリームや牛乳が販売されているので"本場"の味を楽しめるのに加え、大山や日本海が一望できるので景色的にも最高すぎた。もちろん訪問する観光客や地元の方もめちゃくちゃ多くて、人気のほどが伺えます。

大山の西側では、比較的下っていくとダイナミックな地形に出会える
奥出雲へ

その後は下山を続けていき、気がつけばさっきまではあんなに近くにあった大山が遠くに見えました。

今日の行程を振り返ってみると、最初は遠くにあった大山に近づいていくことでテンションが上っていく。そして神社への参拝をして今度は下山し、今はこうして最初と同じように大山を臨んでいる。

同じようなシチュエーションが続くと飽きてしまうのが自分の性格である一方で、今回のライドは地形も風景が移り変わっていくタイミングが早かった。自分の狙い通りにことが進んでくれて、時間の経ち方が一瞬だったと思います。


奥出雲へ入った後は、今日の宿である村上旅館に宿泊しました。宿泊記録は別記事に書いています。

鳥取県から始まった旅はここ島根県で終わりを迎え、翌朝を静かに向かえることができたので何も言うことはない。今回のライドも大満足のまま帰路につきました。

おわりに

岡山県民にとっては割と馴染みがある(と思っている)大山にロードバイクで上れば楽しそうということで、今回は温泉旅館や鄙びた宿への宿泊とセットで訪問してみました。訪れる時期も個人的には良かったと思っていて、暑すぎない適度な気温のなかで走れたことを嬉しく思います。

大山も奥出雲も棚田が多くて、この時期の水田は眺めているだけで心を癒やしてくれる日本ならではの風景。今後も、各地に広がる日本らしさに出会うために山陰を訪問する機会は多そうだ。

おしまい。


本ブログ、tamaism.com にお越しいただきありがとうございます。主にロードバイク旅の行程や鄙びた旅館への宿泊記録を書いています。「役に立った」と思われましたら、ブックマーク・シェアをしていただければ嬉しいです。

過去に泊まった旅館の記事はこちらからどうぞ。

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