【雲ノ平~高天原温泉】北アルプス縦走 日本一遠い秘湯を目指して Part 2/3

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秘湯でまったりする

やっとの思いで北アルプスの最深部・高天原温泉(からまつ露天の湯)に到着した私は歓喜に包まれていた。

ぱっと見だと岩が散乱している河原にしか見えないものの、ここには確かに温泉が存在している。高ぶる興奮を抑えつつ、まずは周辺を探索してみることに。

ヤマノススメジャージと一緒に撮影

向かって右手方向には温泉沢という沢が上流に続いていて、このままコースタイムで3時間ほど歩くと赤牛岳や水晶岳方面に行くことができるようです。

ただし「山と高原地図」だと破線になっているので一般登山道ではなく、今まで通ってきた道よりは難易度は高めのようです。まあ目印はあるみたいなので、ショートカットしたい場合はここを通ることになるのかもしれません。

その手前には露天風呂が一つありますが、看板の類は何も書いていないので混浴のようです。実を言うと自分が到着した時点では、年齢は伏せますが(察して)女性の方が入られており、案の定水着を着用されてました。

特に仕切りも何もなく、開放感溢れる露天風呂なのでチャレンジャーの方はこっちに入られるのがよさげです。

そして左手方向に進んで橋を渡ると分岐があり、右方向には女性専用、左方向にはこれまた混浴の露天風呂であることを示す看板がありました。

混浴に入られる場合はさっきの方の露天風呂があるので、実質的に左方向が男性専用と考えて間違いないようです。

今回入ったお風呂は、消去法で考えてこちらにしました。

自分の履いてるパンツは丈が長いので、入ろうと思えばさっきの露天風呂の方に入れたかもしれませんが、この直後に結構若い女性が入りにきたのでこっちにしておいて正解でした。

というわけで、早速中へ入ってみます。

素晴らしい。

高天原温泉はまさに"秘湯"のイメージ通りのシンプルさ。

服を脱いだら即風呂に入れる簡便さもさることながら、自然と一体となったような空間が広がっているのが感動をさらに引き立てる。簡素な脱衣所は木材とトタンという必要最小限の素材で構成されていて、この場所の雰囲気に調和しています。

脱衣所については靴を脱ぐ場所も何もなく、しかも壁の殆どが腰くらいまでしかないので普通に外からは丸見えになってます。でも、逆に言うと景色を眺めるという点ではこれ以上ないくらい見通しが良くて、現に自分も温泉に入りつつ突然立ち上がって向こうの風景を見たりしてました。

こんな感じで眺めは極めて良いです

温泉自体は源泉をそのまま注いでおり、ご覧の通り白濁色なので単純硫黄泉(硫化水素型)とされているようです。

硫黄臭自体はそれほど強くないのが不思議でした。

温泉を眺めていたら居ても立っても居られなくなったので、早速服を脱いで入浴開始。

お湯の温度はかなり温めで、源泉が注がれている部分は多少熱い程度。しかしこれがこの日の気温に最高にマッチしており、暑くも寒くもない絶妙な湯加減で実に気持ちがいい。温めなのでその気になれば1時間でも入っていられるくらい快適です。

湯に浸かってまったりしていると、ここまでの道のりを思い出さずにはいられません。新穂高温泉から半日かけて三俣山荘まで登ってきて、かと思ったら一気に下って樹林帯の中を突き進んだ場所にあるこの温泉。確かにアクセスの難易度も高いし、ここまで歩いてくるのはそれなりに疲労を伴います。

だがそれがいい。

徒歩でしかこれない場所にあるということは、温泉の気持ちよさに尋常でない達成感がプラスされるということ。疲労についても湯に入っているうちに身体から溶け出していくようで、いつしか心地よい気持ちよさだけが残りました。

鷲羽岳へ

高天原温泉の居心地が本当に良すぎたせいもあり、湯船に浸かっているにも関わらず寝そうになりました。

正直に言うといつまでもこうしていたい。仮に高天原山荘が予約不要だったら、迷うことなくもう一泊していたかもしれません。

しかしそこは無情にも予約必須、今日もまたテント泊をするしかなく、これから鷲羽岳経由で三俣山荘まで戻らないといけないわけです。

せっかくなので、高天原山荘に戻る前に温泉のさらに先にある龍晶池まで足を伸ばしてみました。

龍晶池は温泉から1kmほど歩いたところにある天然の池で、ここが本当の高天原の最深部になります。

黒部源流や温泉沢など水量がとにかく多いこの一帯ですが、池となると雨水以外に水分の供給がないため、気候によっては枯れていることもありそうな気がします。今回の訪問時はたっぷりと水をたたえており、秘境の雰囲気を醸し出していました。

まずはサクッと高天原山荘まで帰還。

ここでは水を無料で補給できるので、本格的な登りに入る前にしっかり水分補給しておきます。

それにしても、こんなにいい天気なんて誰が予想しただろうか。

いや、天気予報を確認しているので晴れることは分かっていたものの、透き通るような青空を眺めていると実に運がいいとしか思えない。あまりにも快晴なので自然と気分も向上してきます。

そこにはあまり直視したくない現実が待っていた。

目の前に見えるのは水晶岳で、獲得標高的にはあそこに等しい高さまで登ることになります(だいたい900mくらい)。

高天原から、鷲羽岳と水晶岳の分岐に位置する岩苔乗越までのコースタイムはおよそ3時間。しかも行きと同じように樹林帯の中を歩いていくので精神的にも参りました。

道の途中では、水晶岳の麓にある水晶池を眺めたりして気分を落ち着かせつつ、再度登っていきます。

こういう風に展望が得られない中で心を無にして上っていくときって、一人だと正直かなり心細い。でも、その一方で自然の音に耳を傾けてみるのもそれはそれで楽しいもの。水が流れる音だったり、風で枝が揺れる音だったり。

せっかく大自然の中にいるわけなので、それを全身で味わわないと損。

斜度的には大したことはないので、自分のペースで少しずつ歩いていくのが正解。

あとは、岩苔乗越まで残り1/3程度になったところから沢が出現するので、万が一水分が途中でなくなったという場合でも大丈夫だと思います。

歩いてきた行程を振り返ってみる

そんなこんなで無事に岩苔乗越に到着。

ここにきて、三俣山荘から水晶岳や赤牛岳方面に向かう登山客が一気に増えるので安心できました。

ワリモ北分岐を過ぎ、ワリモ岳から鷲羽岳に続く稜線まで出てしまえばもう不安要素はありません。

以前にも歩いたことがある道だし、何より西や東の山々が全て見渡せるのでどこか頼もしく思えました。

この稜線からの眺めはもう迫力満点の一言。

北方面には水晶岳や、野口五郎岳を経て烏帽子岳方面へ続く裏銀座ルートも確認できます。

何度も書くけど、昼を過ぎてここまでガスってないのは秋登山の利点の一つだと実感できました。夏だと天気がいいのは午前中だけで、昼からはもう虚無一直線という天気が多いです。ただでさえ北アルプスの山域ってしょっちゅうガスってるのに。

むしろここまで晴れてくれているのは、今日の高天原温泉訪問を祝福しているのかもしれない。そう錯覚してしまうくらいに天候が最高すぎた。そんな気分。

2年ぶりに鷲羽岳(標高2,924m)に無事登頂成功

高天原温泉からは天気が保ってくれることをずっと祈りながら歩いてたものの、結局最後まで晴れのままでした。と同時に、本日の行程もここにきて一段落ついたということで、途端に疲労がドッと押し寄せてくる始末。そんな疲れもどこか気持ちよく、軽い筋肉痛とともに充足感が押し寄せてくる。

ここまで歩けて本当によかった。

視点をふと横に移してみれば、今日の早朝に歩いた雲ノ平の山容が目に飛び込んでくる。

緑で覆われた台地、そこを縫うように走っている登山道を実際に歩いてきたんだなと思うと、単純なんですけど達成感を感じずにはいられません。

鷲羽池

北アルプスを代表する槍ヶ岳方面…は残念ながらガスってましたが、鷲羽池も見れたことだし満足です。

こうして目視できると途端に"欲"が湧いてきて、いつかはあの槍ヶ岳の北鎌尾根を歩いてみたいと思ってたりします。登山中に別の山のことを考えるなんて浮気か?という意見もあると思うけど、登山中って他の山々も見渡せてしまうので、目標がどんどん増えてしまいがち。

地図やネットを見て目的の山を決めるのが通常のやり方ですが、実際に自分の目で見ると「あそこまで行ってみたい!」という思いがより強くなります。例えば今回のように異なる山域を歩いていて遠くに見える場合もあるし、麓から見える場合もある。遠方から見える=山の巨大さを実感できる=登りたい!という思考になるからでしょうか。

いずれにせよ、自分の北アルプス散策は今後もまだまだ続くようです。

予め買っておいてザックに忍ばせておいた日本酒

三俣山荘のテン場に戻ってきました。

その後はすでに戻られていた隣のテントの方と快晴を喜びあい、お互いの登山報告(お隣さんは今日は黒部五郎岳に行かれてたようです)を聞きながら祝杯を上げるという体験をしてました。テン場だとこんな風に割と気軽に話せるし、向こうの話を聞いているだけでこっちまで楽しくなってくる。

登山の面白さは、何もピークハントだけじゃない。それを改めて実感させてくれるようなひとときでした。

明日は双六岳に登って、あとはもう下山するだけ。今日入った高天原温泉のぬくもりを思い出しながら床につきました。

Part 3に続きます▶【雲ノ平~高天原温泉】北アルプス縦走 日本一遠い秘湯を目指して Part 3/3 - TAMAISM

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